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36.ゲートのヒビ
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「右だ!」
「りょうかい、っとぉ! ふ~、これで全部ですか?」
「ああ。ボーダーラットが出てきた時はどうなるかと思ったが、早い段階でゲートが閉まってくれて助かった」
ゲートの遭遇もこれで三回目。
クアラの方も何度か遭遇しているらしい。
日に日に遭遇率が高くなり、着火が苦手など言っている暇がないほどに発煙筒の使用頻度が増えてきている。
今日もゲート目撃からすぐに火を付けたので、そろそろ騎士団の人が到着する頃だろう。
ゲートが消滅したとはいえ、魔物が集まっている可能性や近くに他のゲートが発生している可能性も考慮して、応援到着後は彼らと分担して見回ることになる。
待機している間に、倒したボーダーラットから魔石や使えそうなものをサクサクと剥ぎ取っておく。
「今回は初めから結構ヒビ入ってましたもんね。聞いていたよりもずっと固かったので、無事退治出来て良かったです」
今回の敵、ボーダーラットは身体に細かい線があり、柔らかい部分と固い皮膚の境目を突かなければ決定的なダメージを与えることが出来ない。そこを突いてしまえばすぐに倒せるのだが、動きが非常に素早い。厄介な魔物として知られているようだ。
知識はあってもいざ遭遇してみるとなかなか戦いづらく、戦い方を習得するまで少し時間がかかった。とはいえ動きに特徴もあるので、二度目以降は手こずることもないだろう。
「ヒビ? 何のことだ?」
「? ゲートに入っている亀裂のことですよ?」
ゲートは発生した時点から亀裂が入っており、魔物が出てくるごとにその亀裂が大きくなっていく。最後は氷の板のようにパリンと割れていく。
ちなみに父さんの剣が当たった時や魔物が吹っ飛んでぶつかった時にもその線が大きくなっていく。
クアラと二人で『ヒビ』と呼んでいるのだが、別の呼び方でもあるんだろうか。
「ゲートにヒビなんて入らないし、ゲートが割れるってなんだ? 煙のように空気に溶けるように消滅してるだろ?」
「え?」
どういうことだろうか?
夜にクアラと話している時に何度もこのことを話しているが疑問をもたれないどころか、あの『ヒビ』はダメージの蓄積なのかな? なんて話していたくらいだ。
父さんだけ見え方が違う?
だが父さんは今までも騎士団の仕事で何度もゲートの発生に直面しているはず。他の人達と見え方が違うというのなら、もっと早い段階で気付いているはずだ。
ということは私とクアラだけが他と違う見え方をしている可能性が高い。
「……そういえば一昨日も似たようなことを言っていたな」
一昨日魔物討伐に行ったのはクアラの方だ。
父さんは空を見上げてう~んと唸る。けれどパカラパカラと馬が近づく音が聞こえると一旦考えることを止めた。
「帰ったら話を聞かせてくれ」
「分かりました」
他の人にこの話を聞かれるのはよくないと考えたのだろう。
私もクアラが一緒にいてくれた方が混乱せずに済む。コクリと頷いて、応援の騎士達と合流する。
その後は前回同様、周りの確認をして、残っている魔物を倒していく。
一通り見回りを終えてから報告へ行き、屋敷に戻る。
「おかえりなさい」
玄関で待っていてくれたクアラがトトトと駆け寄ってきてタオルを渡してくれた。
「ただいま」
「あれ、今日は父さんも一緒に帰ってきたの?」
「ああ、クアラとキャサリンに聞きたいことがあってな」
「聞きたいこと、ですか?」
「ゲートのことだって」
「?」
クアラは心当たりがないようで「何のことだろう? 姉さん知ってる?」と首をひねる。だが変に私から伝えるよりも父さんが切り出したほうがいいだろう。「すぐ分かるよ」とだけ伝えてクアラと共に父さんについていく。
書斎に入り、ドアを閉めると父さんは早速本題を切り出した。
「クアラにゲートの消滅がどのように見えているか聞きたい」
「? 割れた破片が落ちて、消えていくように見えています」
「ゲートにヒビのような亀裂は見えるか?」
「はい。ってなんでこんな当たり前のことを聞くのですか?」
やはり私と同じ反応だ。
クアラと私には同じ光景が見えている。
「……私を含め、多くの者にはそのヒビは見えない。ゲートの消滅も煙が消えていくように見えている」
「どういう、ことですか?」
「私にも分からない。だがクアラとキャサリンには同じように見えていることだけは確かだ。昔から双子は魂を分けた存在だと言われている。魂に宿った特別な力が二人共に備わったとしても不思議ではない」
「特別な力……」
「父さんは私達が二人で嘘をついていると疑わないんですか?」
「お前たちは揃って弱点を見抜くことに長けている。ゲートの弱点が見えたのもその一環だと思えば納得できないこともない。とはいえ私も今の話だけで事態を正確に理解している訳ではない。今後、ゲート遭遇時にゲートの状態を聞くことになると思う」
分かりましたと頷きはしたものの、自分達だけが見え方が違うことに対する衝撃は消えない。
お風呂に入ってからクアラの部屋に行き、二人で『何で他の人には見えないんだろう?』なんて顔を突き合わせながら一晩中考えてーー答えは出なかった。
けれど「見えて損するものでもない。何より自分一人だけのものじゃないから深く悩むこともないか」という結論に至った。父さんがヒビをゲートの弱点と言っていたのも、私達がそういうものかと納得できた要因の一つである。
それからゲートを見つけるたびに父さんに目の前の情報を事細かに伝えるようになった。
今回はヒビの入りが浅いから時間がかかりそうだとか、今の衝撃で大きい亀裂が入っただとか。
相変わらず父さんにはヒビもゲートが割れる瞬間も見ることができないらしいが、私達の情報は想像以上に役立った。
一番大きな変化が『ゲートに直接ダメージを食らわせることでゲートの消滅を早めることができる』と知れた点である。
今まではひたすら消滅を待つだけだったが、ゲートへの攻撃を行うことで半分ほどの時間で対処が可能になったのだ。
騎士団全体に伝えればきっと今まで以上の活躍が期待できることだろう。
だが父さんは悩んだ末に、報告をしない決断を下した。
なにせ討伐に同行しているのはクアラのみということになっているのだ。たった一人がヒビを見たと主張したところで疑われるだけ。
もし今が魔の周期でさえなければ、ゆっくりと検証も行える。
だがここで十分把握できていない能力で得た情報を報告すれば、最悪の場合、完成された連携が崩れ、情報が足を引っ張ることとなる。
ヒビが確認できる二人が揃って王都から離れることができないため、情報の正確さを十分に伝えきれないというのもある。
得られるメリットも大きいが、同時に考えられるデメリットも大きすぎたのだ。
「りょうかい、っとぉ! ふ~、これで全部ですか?」
「ああ。ボーダーラットが出てきた時はどうなるかと思ったが、早い段階でゲートが閉まってくれて助かった」
ゲートの遭遇もこれで三回目。
クアラの方も何度か遭遇しているらしい。
日に日に遭遇率が高くなり、着火が苦手など言っている暇がないほどに発煙筒の使用頻度が増えてきている。
今日もゲート目撃からすぐに火を付けたので、そろそろ騎士団の人が到着する頃だろう。
ゲートが消滅したとはいえ、魔物が集まっている可能性や近くに他のゲートが発生している可能性も考慮して、応援到着後は彼らと分担して見回ることになる。
待機している間に、倒したボーダーラットから魔石や使えそうなものをサクサクと剥ぎ取っておく。
「今回は初めから結構ヒビ入ってましたもんね。聞いていたよりもずっと固かったので、無事退治出来て良かったです」
今回の敵、ボーダーラットは身体に細かい線があり、柔らかい部分と固い皮膚の境目を突かなければ決定的なダメージを与えることが出来ない。そこを突いてしまえばすぐに倒せるのだが、動きが非常に素早い。厄介な魔物として知られているようだ。
知識はあってもいざ遭遇してみるとなかなか戦いづらく、戦い方を習得するまで少し時間がかかった。とはいえ動きに特徴もあるので、二度目以降は手こずることもないだろう。
「ヒビ? 何のことだ?」
「? ゲートに入っている亀裂のことですよ?」
ゲートは発生した時点から亀裂が入っており、魔物が出てくるごとにその亀裂が大きくなっていく。最後は氷の板のようにパリンと割れていく。
ちなみに父さんの剣が当たった時や魔物が吹っ飛んでぶつかった時にもその線が大きくなっていく。
クアラと二人で『ヒビ』と呼んでいるのだが、別の呼び方でもあるんだろうか。
「ゲートにヒビなんて入らないし、ゲートが割れるってなんだ? 煙のように空気に溶けるように消滅してるだろ?」
「え?」
どういうことだろうか?
夜にクアラと話している時に何度もこのことを話しているが疑問をもたれないどころか、あの『ヒビ』はダメージの蓄積なのかな? なんて話していたくらいだ。
父さんだけ見え方が違う?
だが父さんは今までも騎士団の仕事で何度もゲートの発生に直面しているはず。他の人達と見え方が違うというのなら、もっと早い段階で気付いているはずだ。
ということは私とクアラだけが他と違う見え方をしている可能性が高い。
「……そういえば一昨日も似たようなことを言っていたな」
一昨日魔物討伐に行ったのはクアラの方だ。
父さんは空を見上げてう~んと唸る。けれどパカラパカラと馬が近づく音が聞こえると一旦考えることを止めた。
「帰ったら話を聞かせてくれ」
「分かりました」
他の人にこの話を聞かれるのはよくないと考えたのだろう。
私もクアラが一緒にいてくれた方が混乱せずに済む。コクリと頷いて、応援の騎士達と合流する。
その後は前回同様、周りの確認をして、残っている魔物を倒していく。
一通り見回りを終えてから報告へ行き、屋敷に戻る。
「おかえりなさい」
玄関で待っていてくれたクアラがトトトと駆け寄ってきてタオルを渡してくれた。
「ただいま」
「あれ、今日は父さんも一緒に帰ってきたの?」
「ああ、クアラとキャサリンに聞きたいことがあってな」
「聞きたいこと、ですか?」
「ゲートのことだって」
「?」
クアラは心当たりがないようで「何のことだろう? 姉さん知ってる?」と首をひねる。だが変に私から伝えるよりも父さんが切り出したほうがいいだろう。「すぐ分かるよ」とだけ伝えてクアラと共に父さんについていく。
書斎に入り、ドアを閉めると父さんは早速本題を切り出した。
「クアラにゲートの消滅がどのように見えているか聞きたい」
「? 割れた破片が落ちて、消えていくように見えています」
「ゲートにヒビのような亀裂は見えるか?」
「はい。ってなんでこんな当たり前のことを聞くのですか?」
やはり私と同じ反応だ。
クアラと私には同じ光景が見えている。
「……私を含め、多くの者にはそのヒビは見えない。ゲートの消滅も煙が消えていくように見えている」
「どういう、ことですか?」
「私にも分からない。だがクアラとキャサリンには同じように見えていることだけは確かだ。昔から双子は魂を分けた存在だと言われている。魂に宿った特別な力が二人共に備わったとしても不思議ではない」
「特別な力……」
「父さんは私達が二人で嘘をついていると疑わないんですか?」
「お前たちは揃って弱点を見抜くことに長けている。ゲートの弱点が見えたのもその一環だと思えば納得できないこともない。とはいえ私も今の話だけで事態を正確に理解している訳ではない。今後、ゲート遭遇時にゲートの状態を聞くことになると思う」
分かりましたと頷きはしたものの、自分達だけが見え方が違うことに対する衝撃は消えない。
お風呂に入ってからクアラの部屋に行き、二人で『何で他の人には見えないんだろう?』なんて顔を突き合わせながら一晩中考えてーー答えは出なかった。
けれど「見えて損するものでもない。何より自分一人だけのものじゃないから深く悩むこともないか」という結論に至った。父さんがヒビをゲートの弱点と言っていたのも、私達がそういうものかと納得できた要因の一つである。
それからゲートを見つけるたびに父さんに目の前の情報を事細かに伝えるようになった。
今回はヒビの入りが浅いから時間がかかりそうだとか、今の衝撃で大きい亀裂が入っただとか。
相変わらず父さんにはヒビもゲートが割れる瞬間も見ることができないらしいが、私達の情報は想像以上に役立った。
一番大きな変化が『ゲートに直接ダメージを食らわせることでゲートの消滅を早めることができる』と知れた点である。
今まではひたすら消滅を待つだけだったが、ゲートへの攻撃を行うことで半分ほどの時間で対処が可能になったのだ。
騎士団全体に伝えればきっと今まで以上の活躍が期待できることだろう。
だが父さんは悩んだ末に、報告をしない決断を下した。
なにせ討伐に同行しているのはクアラのみということになっているのだ。たった一人がヒビを見たと主張したところで疑われるだけ。
もし今が魔の周期でさえなければ、ゆっくりと検証も行える。
だがここで十分把握できていない能力で得た情報を報告すれば、最悪の場合、完成された連携が崩れ、情報が足を引っ張ることとなる。
ヒビが確認できる二人が揃って王都から離れることができないため、情報の正確さを十分に伝えきれないというのもある。
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