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赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜
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あるところに、まぁるい澄んだ目と柔らかいほっぺを持った可愛い女の子がいました。
女の子の住む村の隣国には、獣人の傭兵がたくさん出入りしていました。
獣人はひとたび番いをみつけると、どんな対価を渡しても番いを離してくれません。
女の子の両親は可愛い娘が獣人にみつからないよう、赤い布で帽子を作って女の子に被せていました。赤い布は火の加護で、獣を遠ざけると言い伝えられていたからです。
女の子はあどけない純真な心で、両親の言いつけを守っていつも赤い帽子をかぶっていました。両親はそんな彼女を愛おしく思い、うちの「赤ずきん」と愛称で呼んでいました。
そんな赤ずきんの住む村に、ある日隣国から来た立派な騎士隊が通りかかりました。
騎士様にご縁ができれば、いざというときに村を守ってもらえる。村の人たちは大喜びで、お酒やごちそうを騎士隊にふるまいました。
けれど騎士隊の中に、その狼獣人はいたのです。
狼獣人は人の数倍の腕力を持ち、鋼も通さない屈強な体を持っていました。騎士隊の本来の目的は、他国で功績を挙げた彼を隣国に招くためだったのです。
ただ、狼獣人は素知らぬ顔で、騎士隊に埋没していました。その野性的で力強い風貌に似合わず、彼は何事にも無関心な性格だったからです。
ところが狼獣人は宴の中、村人たちの中に赤ずきんの姿を見かけます。
「……あの、子だ」
狼獣人は全力疾走したように心臓が高鳴り、彼女しか目に映らないくらいに赤ずきんをみつめました。それが番いをみつけたときの獣人の衝動でした。
狼獣人は矢も楯もたまらず、今すぐ彼女を抱きしめて結婚を申し込みたいと思いました。
けれど狼獣人は、彼女の被っている、獣人への警戒を示す赤い帽子に、彼女の両親の反対を見て取ります。
正面から結婚を申し込めば、あの愛しい子の両親が彼女を隠してしまうかもしれない。
彼女に会えなくなる。ほんの少し前まで彼女を知らなかったというのに、今はその未来が絶望となって迫ってきました。
獣人は、伴侶を手に入れるためには手段を選びません。狼獣人は仕える騎士を通じて、赤ずきんに森の中の小屋へ果物を運ぶように命じました。
赤ずきんを呼んだ両親は、隣国の豊かさに目がくらんで喜びのままに言いました。
「騎士様がお前をご指名なんだ。名誉なことだよ」
赤ずきんは両親の喜びも、その言葉の裏の意味もよくわかっていませんでした。でも彼女はまぁるい目をまたたかせてうなずきました。
赤ずきんは暮れかけた道を、ひとりで歩いて行きました。その彼女を食い入るようにみつめる狼獣人のまなざしには、まだ気づいていませんでした。
森の中の小屋に辿り着くと、赤ずきんは戸を叩いて言いました。
「こんばんは。騎士様、お届け物です」
「早く入っておいで」
狼獣人は逸る気持ちを抑えて、低く答えを返しました。赤ずきんはうなずいて、扉を開きます。
「果物を……きゃっ」
薄暗い小屋の中で、赤ずきんはいきなり抱きすくめられて悲鳴を上げました。
狼獣人は片手で、赤ずきんの小さな手では開けられないような重い鍵を下ろしてしまいます。
狼獣人は赤ずきんを抱きしめて、その小さな体から立ち上る番いの芳香に酔いました。
「こんな甘い匂いを振りまいて……ここで出会えなかったら、俺はあと何年無感動な日々を送ったんだろう」
「き、騎士様? あの」
赤ずきんは密着した体に戸惑いながら狼獣人に問いかけます。
「どうしてそんな、熱に浮かされたような目で私を見るのですか?」
狼獣人は腕に赤ずきんを抱え上げて言います。
「それはね、この世で唯一の存在を腕につかまえたからだよ」
狼獣人は小さな部屋を横切って、奥の寝台に赤ずきんを横たえます。
「それで、もう俺自身にもこの思いは止められないからだよ」
「きゃっ……な、何をなさるのですか」
狼獣人は赤ずきんの着衣をはぎ取って、彼女を簡単に生まれたままの姿にしてしまいました。
狼獣人は被っていた兜をころりと側に転がして、赤ずきんに言いました。
「見てごらん、俺の秘密」
赤ずきんは彼の頭に突き出たものを見て、息を呑みます。
「獣の耳……?」
「これはね、君の足音も呼吸音も、どこにいたって聞こえる耳なんだ」
狼獣人は暗い喜びをもって耳を動かすと、笑みを浮かべて言いました。
「この耳は君を覚えてしまった。もう君はどこにも逃げられない」
狼獣人は赤ずきんの素肌に手を滑らせると、その小さな胸のふくらみに頬を寄せてぺろりと舐め上げます。
「や、ぁ……どうして、こんなこと」
わきの下や足の指の間にも手や舌を這わせる獣人に、赤ずきんは甘い悲鳴を上げながら問います。
狼獣人はあどけなく身をよじる赤ずきんに、甘くささやきました。
「それはね、君がもっと汗と雫をあふれさせて、俺の喉をうるおしてほしいからだよ」
「ん……ふ、ぅ」
赤ずきんは全身を愛撫されて、うずくような感覚で手足をひきつらせました。
狼獣人は目を細めながら、赤ずきんの体の中心の蜜をすくいあげます。
「ふふ。とろとろだ」
「や……やだ」
赤ずきんは自分の体がよくわからないのに、恥ずかしいのはわかります。赤ずきんは真っ赤になりながら、足を交差してそこを隠そうとしました。
狼獣人はふいに息が触れるほど顔を寄せて、赤ずきんに言いました。
「俺のすべてを君に捧げると誓う。命が終わるときまで愛すると約束する。だから俺と生涯を歩んでくれないか」
赤ずきんはその言葉に、問いかけのようにつぶやきました。
「それが獣人の性だから……?」
「君をみつけたときの天啓はそうに違いない。でも」
狼獣人は神聖な約束をするように、優しく赤ずきんに口づけました。
「君が俺を選んでくれたなら、それは俺と君だけの愛の形だよ」
「ん……」
赤ずきんは唇を合わせながら、そこから伝わる温もりを愛し始めていました。
長い口づけが終わったとき、赤ずきんははらりと帽子を外します。それが狼獣人の愛を受け入れるという証になりました。
狼獣人は歓喜に満ちた目で赤ずきんを射抜いて言います。
「いいんだね?」
「……うん」
狼獣人の自身が赤ずきんの中に入ってきたときも、赤ずきんの中に満ちたのは爆発するくらいの悦でした。
「どうし……て、ぁ、ふ、苦し……いのに、きもち、い……っ」
身を震わせながら、思わず腰を動かしてしまう赤ずきんに、狼獣人はうれしそうに言いました。
「答えはもう出てる。君は俺と一緒にいきたいんだ」
「い、く……?」
「そう……俺が、連れてく」
狼獣人は容赦なく赤ずきんを突き出して、赤ずきんもそれに応えます。
「あ、ふぁ、んん……っ。いく、の……」
「ああ。俺と、いこう……っ」
二人分の熱の中で、狼獣人は赤ずきんの中にとめどない愛を注いでいったのでした。
行為の後、赤ずきんは心地よい浮遊感の中で、うっとりと狼獣人の頬をなでました。
「……狼さんに、食べられちゃいました」
狼獣人も笑い返して、赤ずきんの頬に口づけて誓いました。
「ああ。明日も明後日も、食べてやる」
その約束通り、二人は昼も夜も、隣国の新居でも毎日のように交わり合って、子どもが一人生まれ、二人、三人と生まれても、とろとろに互いを愛して、いつまでも仲睦まじく暮らしたのでした。
めでたし、めでたし。
女の子の住む村の隣国には、獣人の傭兵がたくさん出入りしていました。
獣人はひとたび番いをみつけると、どんな対価を渡しても番いを離してくれません。
女の子の両親は可愛い娘が獣人にみつからないよう、赤い布で帽子を作って女の子に被せていました。赤い布は火の加護で、獣を遠ざけると言い伝えられていたからです。
女の子はあどけない純真な心で、両親の言いつけを守っていつも赤い帽子をかぶっていました。両親はそんな彼女を愛おしく思い、うちの「赤ずきん」と愛称で呼んでいました。
そんな赤ずきんの住む村に、ある日隣国から来た立派な騎士隊が通りかかりました。
騎士様にご縁ができれば、いざというときに村を守ってもらえる。村の人たちは大喜びで、お酒やごちそうを騎士隊にふるまいました。
けれど騎士隊の中に、その狼獣人はいたのです。
狼獣人は人の数倍の腕力を持ち、鋼も通さない屈強な体を持っていました。騎士隊の本来の目的は、他国で功績を挙げた彼を隣国に招くためだったのです。
ただ、狼獣人は素知らぬ顔で、騎士隊に埋没していました。その野性的で力強い風貌に似合わず、彼は何事にも無関心な性格だったからです。
ところが狼獣人は宴の中、村人たちの中に赤ずきんの姿を見かけます。
「……あの、子だ」
狼獣人は全力疾走したように心臓が高鳴り、彼女しか目に映らないくらいに赤ずきんをみつめました。それが番いをみつけたときの獣人の衝動でした。
狼獣人は矢も楯もたまらず、今すぐ彼女を抱きしめて結婚を申し込みたいと思いました。
けれど狼獣人は、彼女の被っている、獣人への警戒を示す赤い帽子に、彼女の両親の反対を見て取ります。
正面から結婚を申し込めば、あの愛しい子の両親が彼女を隠してしまうかもしれない。
彼女に会えなくなる。ほんの少し前まで彼女を知らなかったというのに、今はその未来が絶望となって迫ってきました。
獣人は、伴侶を手に入れるためには手段を選びません。狼獣人は仕える騎士を通じて、赤ずきんに森の中の小屋へ果物を運ぶように命じました。
赤ずきんを呼んだ両親は、隣国の豊かさに目がくらんで喜びのままに言いました。
「騎士様がお前をご指名なんだ。名誉なことだよ」
赤ずきんは両親の喜びも、その言葉の裏の意味もよくわかっていませんでした。でも彼女はまぁるい目をまたたかせてうなずきました。
赤ずきんは暮れかけた道を、ひとりで歩いて行きました。その彼女を食い入るようにみつめる狼獣人のまなざしには、まだ気づいていませんでした。
森の中の小屋に辿り着くと、赤ずきんは戸を叩いて言いました。
「こんばんは。騎士様、お届け物です」
「早く入っておいで」
狼獣人は逸る気持ちを抑えて、低く答えを返しました。赤ずきんはうなずいて、扉を開きます。
「果物を……きゃっ」
薄暗い小屋の中で、赤ずきんはいきなり抱きすくめられて悲鳴を上げました。
狼獣人は片手で、赤ずきんの小さな手では開けられないような重い鍵を下ろしてしまいます。
狼獣人は赤ずきんを抱きしめて、その小さな体から立ち上る番いの芳香に酔いました。
「こんな甘い匂いを振りまいて……ここで出会えなかったら、俺はあと何年無感動な日々を送ったんだろう」
「き、騎士様? あの」
赤ずきんは密着した体に戸惑いながら狼獣人に問いかけます。
「どうしてそんな、熱に浮かされたような目で私を見るのですか?」
狼獣人は腕に赤ずきんを抱え上げて言います。
「それはね、この世で唯一の存在を腕につかまえたからだよ」
狼獣人は小さな部屋を横切って、奥の寝台に赤ずきんを横たえます。
「それで、もう俺自身にもこの思いは止められないからだよ」
「きゃっ……な、何をなさるのですか」
狼獣人は赤ずきんの着衣をはぎ取って、彼女を簡単に生まれたままの姿にしてしまいました。
狼獣人は被っていた兜をころりと側に転がして、赤ずきんに言いました。
「見てごらん、俺の秘密」
赤ずきんは彼の頭に突き出たものを見て、息を呑みます。
「獣の耳……?」
「これはね、君の足音も呼吸音も、どこにいたって聞こえる耳なんだ」
狼獣人は暗い喜びをもって耳を動かすと、笑みを浮かべて言いました。
「この耳は君を覚えてしまった。もう君はどこにも逃げられない」
狼獣人は赤ずきんの素肌に手を滑らせると、その小さな胸のふくらみに頬を寄せてぺろりと舐め上げます。
「や、ぁ……どうして、こんなこと」
わきの下や足の指の間にも手や舌を這わせる獣人に、赤ずきんは甘い悲鳴を上げながら問います。
狼獣人はあどけなく身をよじる赤ずきんに、甘くささやきました。
「それはね、君がもっと汗と雫をあふれさせて、俺の喉をうるおしてほしいからだよ」
「ん……ふ、ぅ」
赤ずきんは全身を愛撫されて、うずくような感覚で手足をひきつらせました。
狼獣人は目を細めながら、赤ずきんの体の中心の蜜をすくいあげます。
「ふふ。とろとろだ」
「や……やだ」
赤ずきんは自分の体がよくわからないのに、恥ずかしいのはわかります。赤ずきんは真っ赤になりながら、足を交差してそこを隠そうとしました。
狼獣人はふいに息が触れるほど顔を寄せて、赤ずきんに言いました。
「俺のすべてを君に捧げると誓う。命が終わるときまで愛すると約束する。だから俺と生涯を歩んでくれないか」
赤ずきんはその言葉に、問いかけのようにつぶやきました。
「それが獣人の性だから……?」
「君をみつけたときの天啓はそうに違いない。でも」
狼獣人は神聖な約束をするように、優しく赤ずきんに口づけました。
「君が俺を選んでくれたなら、それは俺と君だけの愛の形だよ」
「ん……」
赤ずきんは唇を合わせながら、そこから伝わる温もりを愛し始めていました。
長い口づけが終わったとき、赤ずきんははらりと帽子を外します。それが狼獣人の愛を受け入れるという証になりました。
狼獣人は歓喜に満ちた目で赤ずきんを射抜いて言います。
「いいんだね?」
「……うん」
狼獣人の自身が赤ずきんの中に入ってきたときも、赤ずきんの中に満ちたのは爆発するくらいの悦でした。
「どうし……て、ぁ、ふ、苦し……いのに、きもち、い……っ」
身を震わせながら、思わず腰を動かしてしまう赤ずきんに、狼獣人はうれしそうに言いました。
「答えはもう出てる。君は俺と一緒にいきたいんだ」
「い、く……?」
「そう……俺が、連れてく」
狼獣人は容赦なく赤ずきんを突き出して、赤ずきんもそれに応えます。
「あ、ふぁ、んん……っ。いく、の……」
「ああ。俺と、いこう……っ」
二人分の熱の中で、狼獣人は赤ずきんの中にとめどない愛を注いでいったのでした。
行為の後、赤ずきんは心地よい浮遊感の中で、うっとりと狼獣人の頬をなでました。
「……狼さんに、食べられちゃいました」
狼獣人も笑い返して、赤ずきんの頬に口づけて誓いました。
「ああ。明日も明後日も、食べてやる」
その約束通り、二人は昼も夜も、隣国の新居でも毎日のように交わり合って、子どもが一人生まれ、二人、三人と生まれても、とろとろに互いを愛して、いつまでも仲睦まじく暮らしたのでした。
めでたし、めでたし。
応援ありがとうございます!
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