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第1章 変則ポーカー
第1章 エピローグ 賭けて得たモノは
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「賭けは、私の勝ちだよ」
女子トイレから出て来るなり、待たせていた幸太に新和は言った。
嬉しさが隠しきれないほど、その表情には笑顔が広がり、期待に声は弾んでいた。
「ん、おめでと」
そっけなく、幸太は返す。そして家に帰る為にゲタ箱に。
置き去りにされるような形になった新和は、一瞬とまどうように固まった後、慌てて後を追い駆ける。
「ちょ、待ってよっ。ズルいっ、私勝ったのにっ。約束は――」
「守るよ」
追い駆けて来た新和に向き合うように、途中で待っていた幸太は言った。
「ちゃんと、にーなが作るクラブに入るよ。それで良いんだろ」
これに新和は表情をゆるめ、
「うん! これから高校も一緒に、よろしくね」
「へいへい。こういうの、腐れ縁って言うんだろうな」
「え~、違うよ。幼馴染だよ」
「似たようなもんだろ。にしても、生徒会長を何でも良いから騙せれば勝ち、って言ったのは俺だけどさ、だからってああいうやり方するか」
「それはっ……その、しょうがないじゃない。他に成功しそうなの、思いつかなかったんだし」
「まぁ、正攻法だと、会長騙せたとは思えなかったけどさ。話で聞くのと、目の前で見るのじゃ大違いだな。なんだあのチーター」
「……だね。実際に勝負してみて分かったけど、あの人勝負に関しては全部読んでたっぽいもん。偶然が絡まない読み合いの勝負だと、絶対に勝てる気しない。今は、だけど」
「そだな……とはいえやっぱ、穿いてないけど穿いてます、て騙すのはどうかと思うけどな」
脱力するように息をつきながら幸太は思う。
実力が上の相手を騙す為に、ギャンブル勝負に意識を向けさせた上で、それとは全く関係ない、馬鹿らしいと言える事で騙しに賭けた事を。
(あれ、勝負が終わった後の、しかもこちらが勝った勝負だったから成功した事だよな……大したヤツだよ、お前は)
「なに? どしたの?」
急に自分を見詰める幸太に聞き返した新和へ、
「べっつに~。ギャンブラーならそれぐらい読んでみろよ~」
茶化すように幸太は返すと、家路に向かう為に歩き出す。それに新和は拗ねたように、
「出来る訳ないじゃん。エスパーじゃないんだから。こーたのいじわる」
幸太の背中に向かって返す。どこか安堵するような表情を見せながら。
こうして、今までと同じ幼馴染との日常を望んだ彼女は賭けに勝ち、今日もまた、今まで通り一緒に下校するのだった。
女子トイレから出て来るなり、待たせていた幸太に新和は言った。
嬉しさが隠しきれないほど、その表情には笑顔が広がり、期待に声は弾んでいた。
「ん、おめでと」
そっけなく、幸太は返す。そして家に帰る為にゲタ箱に。
置き去りにされるような形になった新和は、一瞬とまどうように固まった後、慌てて後を追い駆ける。
「ちょ、待ってよっ。ズルいっ、私勝ったのにっ。約束は――」
「守るよ」
追い駆けて来た新和に向き合うように、途中で待っていた幸太は言った。
「ちゃんと、にーなが作るクラブに入るよ。それで良いんだろ」
これに新和は表情をゆるめ、
「うん! これから高校も一緒に、よろしくね」
「へいへい。こういうの、腐れ縁って言うんだろうな」
「え~、違うよ。幼馴染だよ」
「似たようなもんだろ。にしても、生徒会長を何でも良いから騙せれば勝ち、って言ったのは俺だけどさ、だからってああいうやり方するか」
「それはっ……その、しょうがないじゃない。他に成功しそうなの、思いつかなかったんだし」
「まぁ、正攻法だと、会長騙せたとは思えなかったけどさ。話で聞くのと、目の前で見るのじゃ大違いだな。なんだあのチーター」
「……だね。実際に勝負してみて分かったけど、あの人勝負に関しては全部読んでたっぽいもん。偶然が絡まない読み合いの勝負だと、絶対に勝てる気しない。今は、だけど」
「そだな……とはいえやっぱ、穿いてないけど穿いてます、て騙すのはどうかと思うけどな」
脱力するように息をつきながら幸太は思う。
実力が上の相手を騙す為に、ギャンブル勝負に意識を向けさせた上で、それとは全く関係ない、馬鹿らしいと言える事で騙しに賭けた事を。
(あれ、勝負が終わった後の、しかもこちらが勝った勝負だったから成功した事だよな……大したヤツだよ、お前は)
「なに? どしたの?」
急に自分を見詰める幸太に聞き返した新和へ、
「べっつに~。ギャンブラーならそれぐらい読んでみろよ~」
茶化すように幸太は返すと、家路に向かう為に歩き出す。それに新和は拗ねたように、
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