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第一章 街を作る前準備編
10 魔術協会に行こう その④ ギクシャクしつつ交渉成立?
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(なんで一般には明かされてない情報を軽々しく交渉の場で口にしちゃうかな~。
そもそも、そっちにとってこっちは、敵対してるつもりの相手でしょうに)
どう考えても、自分達が知っていることを口にして、こちらに圧力を掛けているつもりの長老たちを見て俺は思う。
(わざと軽々しく口にして、こっちの反応を見ようとしてる、訳じゃないよなどう見ても……確実に、知ってること我慢できずに口にしちゃったヤツだ、これ)
正直、頭が痛い。
将来的には協力関係を結びたい相手だというのに、こうも口が軽いと不安しかない。
協力関係になるという事は、こちらの情報も可能な限り伝えるという事で、それが考え無しに拡散されると困るのだ。
(さて、どうするかな……?)
少し思い悩み黙っていると、
「どうなされた、勇者殿。まさか、我らが知らぬとでも思っていたのか?」
「見くびり過ぎであろうよ。こちらとて、王政府との情報網は持っておるのだ」
「新たな街を作る偉業は、労力も人手も膨大であろうが、だからといって今さら我らの手を借りたいなど、少々、浅ましいのではないかな?」
「どうしても、我らの手を借りたいというのなら、もっと礼儀を尽くされてはどうだろうかの?」
「まぁ、始めからこちらの世界に生れ落ちた訳でもない、異世界からの転生者では難しいことではあると、我らとて理解はしておるが」
長老たちは次々に喋り出す。そこから俺は、可能な限り情報を読み取った。
(王政府との情報網、か……元々あったのは分かってたけど、前王が俺たちを召還してから最近までは、それほど太くは無かった筈だ。王政府としては、それまで魔術師協会が持っていた権威が縮小する事を望んでいたからな。なのに今回の街を作る件は、早くから知っている感じだし。これってばつまり……)
王政府が権力のバランスを取ろうとしている。これに尽きるだろう。
俺たちを召還した前王は、その辺りが非常に巧い男だった。
そのセンスを引き継いでいる今の王政府が、考え無しに情報を広めているとは考え辛い。
十中八九、勢いを付けてきた俺たち元勇者隊への牽制と、権勢が落ちてきた魔術協会に新規の情報網の構築と、恩を売ることで制御下に置こうとしているのが読み取れる。
俺たちと魔術協会が対立するなら、それはそれでよし。
間に入るなり煽るなりして、立ち回れば良いだけだ。
逆に協力関係になったとしても、すでに双方との情報網は作っている。
ある程度の影響を及ぼすことが出来ると、考えている筈だ。
そこまで考えつき、同時に感じ取る。
魔術協会は、俺たちとの協力関係を水面下では望んでいると。
(礼を尽くせと言ってきたり、俺たちが転生者という異物であると言いながら、理解すると言ってるからな。条件付きなら、手を組んでやっても良い、という感じだな)
恨みやプライドが邪魔をして素直になれない。
そんな感じがする。
(向こうが乗り気なら、それはそれで助かるけど……もう少し、探っておきたいな)
俺は、より多く情報を引き出せないものかと、長老たちに話し掛ける。
「ご慧眼、感服いたしました。さすがは長い歴史のある魔術協会を支える方々は違いますね」
とにかく褒める。まず褒める。完全に接待のつもりで褒める。
これで少しでも交渉が巧くいくのなら、幾らでも下でに出るってなもんである。
これに、長老たちは気を良くしたのか、
「世辞が良く回る御仁だな、ヒイロ殿」
「道理を知るというのは、良きことであるがな」
「さよう。過去のわだかまりはあるが、道理が分かる御仁であるのなら、それも乗り越えられぬものでもあるまい」
かなり口が軽くなって来たのか、気軽な様子で返してくれる。
これなら少し、踏み込んだことを聞いても大丈夫かも。
「皆さまの深慮、感謝いたします」
まずは相手を持ち上げ、俺は問い掛けを口にする。
「皆さまのお考えの通り、この度、王より命を受け街を新に作り治めることとなりましたが、そのために必要な物が足りておりません。
特に、魔術素材が不足しております。もし、皆さまの元にございましたら、ご都合頂けないものかと思っておりました。
皆さまの元に、余裕は無いでしょうか?」
この問い掛けに、長老たちは目くばせをする。
それは、予想していた問い掛けに、どう答えるべきか考えているというよりは、思ってもいなかった問い掛けに、どう返すべきか迷っているようだった。
(どういうことだ?)
魔術師が、魔術素材を集めているのは、すでにこちらでも確認している。
まさか、それを魔術協会のトップである、長老たちが知らないとでもいうのか?
俺が訝しんでいると、長老の一人が、部屋の入り口で控えていたカルナに問い掛ける。
「資材に、いま空きがあるか?」
それにカルナは、静かな声で返した。
「資材課に問い合わせねば正確な数字は分かりませんが、どのような素材であれ、余力はあるかと思われます。お命じ頂ければ、数日中に報告書を上げることも可能かと」
「ふむ、そうか……」
カルナの答えを聞いて、長老たちは小さな声で話し合う。
そして話がまとまったのか、リーダー格の長老が俺に言った。
「ヒイロ殿、いま聞かれた通りだ。
我らとしては、そちらが求めるならば、資材を提供する用意が無いでもない。
ただ、今すぐという訳にはいかぬ。
いずれ、そちらには親書を送るゆえ、正式な話し合いは、それからにして頂こう。
かまわぬかな、ヒイロ殿」
「ご厚意、感謝します」
礼を返し、俺は言った。
「では、いずれ正式に話し合える時を、心より待ち望んでおります」
「我らも、期待しておるよ」
その言葉を最後に、俺は部屋を後にした。
もちろん、最初と同じように、カルナの後についていきながらだけども。
魔術師の本拠地に居る以上、勝手に動く訳にもいかないし。
そうして再び、門扉にまで辿り着こうとした時だった。
「ヒイロさま」
俺の後ろをついて歩いていた、ミリィに呼び止められる。
「ハンカチを、落とされました」
呼び声に歩みを止め身体を向ければ、持って来てもいない白いハンカチを差し出す彼女の姿が。
「ありがとう。危うく無くすとこだったよ」
俺は笑顔で、折りたたまれたハンカチを彼女から受け取る。
彼女は、感情を消した無表情で、渡してくれた。
「どうしましたか?」
先を歩いていたカルナが、いま気付いた、とでも言いだけに立ち止り、身体を向けて問い掛ける。
それに、俺は返す。
「いえ、貴方のミリィは、良いメイドさんだと思っただけですよ。きっと、貴方の言う事なら、何でも聞いてくれるんでしょうね」
「ええ。ですから、彼女の行動は、全て私の命令です。彼女の意志ではありません」
「なるほど。よく分かりました」
お互い笑顔で言葉を交わし、再び門扉へと向かう。そして、
「では、いずれまた」
「ええ。出来るだけ、早く会えることを望んでいます」
カルナの含みのある言葉を受け取って、俺は門の外へと出た。
ゆっくりと、閉まる門を見詰め、閉まり切ってから背伸びを一つ。
「んっ……つっかれた~」
気を抜いて意識を切り替えてると、門衛の少年が、こちらを驚いたように見ている。
「びっくりした? 元勇者なのに、気を抜いてるから」
「えっ、い、いえ、その――」
話し掛けられるとは思わなかったのか、慌てて返す少年に苦笑しつつ、気になったので名前を聞いてみる。
「俺は、ヒイロって言うんだけど、キミの名前は? 嫌じゃなきゃ、教えてくれるかな?」
「な、名前、ですか?」
ちょっとだけ迷いを見せてたけれど、
「コ、コニーって言います、勇者さま!」
元気良く応えてくれた。そして更に、聞いてくる。
「あ、あのっ、一つ聞いても良いでしょうか!」
「うん、良いよ」
「そ、その……ま、魔王。魔王を倒しに行くのに、怖くは無かったですか?」
問い掛ける眼差しは、どこか憧れを浮かべ、俺を見詰めてくれる。
その眩しい瞳に、俺は正直に答えた。
「怖かったよ。でも、独りじゃなかったから。だから、戦えた。そして勝てたんだ」
真剣に聞いてくれるコニーに、俺は望む未来を伝える。
「独りじゃなく、みんなで協力すれば、出来なかった事も出来るんだ。
だから俺たちは、キミたち魔術協会と協力したくて、今日ここに来たんだよ。
もしかすると、それが叶うかもしれない。その時は、よろしくね、コニー」
コニーは、俺の言葉を聞いて、少しだけ固まっていたけれど、
「は、はい! よろしくです!」
素直な言葉を返してくれた。
そんなコニーに苦笑しながら、俺は別れを告げ、その場を後にした。
振り返る事も無く、そのまま歩く。
歩き続け、短くない時間が過ぎたころ、俺はミリィから受け取ったハンカチを取り出した。
手触りの好いそのハンカチには、紙が一枚挟まれている。
見れば、王都の外れにある住所と、一つの文章が。そこに書かれていた言葉は、
【蒸気機関に関して話したい事があります、本日夜10時にて記した住所に来て下さい】
「ん……面白そうだね」
思わず笑みが浮かんでしまう。少しばかり悪だくみの匂いがするけれど、それはそれとして楽しみだ。
「……蛍火よ、灯れ」
俺は魔術を使い、伝言の書かれていた紙を燃やす。魔術により生まれた小指の先ほどの炎の塊は、紙に触れると即座に燃え広がり全てを灰にした。
「さて、約束の時間まで大分あるけど、どうしようかな?」
一端、屋敷に帰ることも考えたけれど、それだと休んで貰ってる菊野さんが、また俺のフォローに動いてしまうかもしれない。
休んで貰う事を考えると、戻らない方が良いだろう。となると、
「王都にいる、みんなに会いに行くかな」
俺は、王都に住んでいる元勇者達に会うために、ゆっくりと歩いて向かうことにした。
そもそも、そっちにとってこっちは、敵対してるつもりの相手でしょうに)
どう考えても、自分達が知っていることを口にして、こちらに圧力を掛けているつもりの長老たちを見て俺は思う。
(わざと軽々しく口にして、こっちの反応を見ようとしてる、訳じゃないよなどう見ても……確実に、知ってること我慢できずに口にしちゃったヤツだ、これ)
正直、頭が痛い。
将来的には協力関係を結びたい相手だというのに、こうも口が軽いと不安しかない。
協力関係になるという事は、こちらの情報も可能な限り伝えるという事で、それが考え無しに拡散されると困るのだ。
(さて、どうするかな……?)
少し思い悩み黙っていると、
「どうなされた、勇者殿。まさか、我らが知らぬとでも思っていたのか?」
「見くびり過ぎであろうよ。こちらとて、王政府との情報網は持っておるのだ」
「新たな街を作る偉業は、労力も人手も膨大であろうが、だからといって今さら我らの手を借りたいなど、少々、浅ましいのではないかな?」
「どうしても、我らの手を借りたいというのなら、もっと礼儀を尽くされてはどうだろうかの?」
「まぁ、始めからこちらの世界に生れ落ちた訳でもない、異世界からの転生者では難しいことではあると、我らとて理解はしておるが」
長老たちは次々に喋り出す。そこから俺は、可能な限り情報を読み取った。
(王政府との情報網、か……元々あったのは分かってたけど、前王が俺たちを召還してから最近までは、それほど太くは無かった筈だ。王政府としては、それまで魔術師協会が持っていた権威が縮小する事を望んでいたからな。なのに今回の街を作る件は、早くから知っている感じだし。これってばつまり……)
王政府が権力のバランスを取ろうとしている。これに尽きるだろう。
俺たちを召還した前王は、その辺りが非常に巧い男だった。
そのセンスを引き継いでいる今の王政府が、考え無しに情報を広めているとは考え辛い。
十中八九、勢いを付けてきた俺たち元勇者隊への牽制と、権勢が落ちてきた魔術協会に新規の情報網の構築と、恩を売ることで制御下に置こうとしているのが読み取れる。
俺たちと魔術協会が対立するなら、それはそれでよし。
間に入るなり煽るなりして、立ち回れば良いだけだ。
逆に協力関係になったとしても、すでに双方との情報網は作っている。
ある程度の影響を及ぼすことが出来ると、考えている筈だ。
そこまで考えつき、同時に感じ取る。
魔術協会は、俺たちとの協力関係を水面下では望んでいると。
(礼を尽くせと言ってきたり、俺たちが転生者という異物であると言いながら、理解すると言ってるからな。条件付きなら、手を組んでやっても良い、という感じだな)
恨みやプライドが邪魔をして素直になれない。
そんな感じがする。
(向こうが乗り気なら、それはそれで助かるけど……もう少し、探っておきたいな)
俺は、より多く情報を引き出せないものかと、長老たちに話し掛ける。
「ご慧眼、感服いたしました。さすがは長い歴史のある魔術協会を支える方々は違いますね」
とにかく褒める。まず褒める。完全に接待のつもりで褒める。
これで少しでも交渉が巧くいくのなら、幾らでも下でに出るってなもんである。
これに、長老たちは気を良くしたのか、
「世辞が良く回る御仁だな、ヒイロ殿」
「道理を知るというのは、良きことであるがな」
「さよう。過去のわだかまりはあるが、道理が分かる御仁であるのなら、それも乗り越えられぬものでもあるまい」
かなり口が軽くなって来たのか、気軽な様子で返してくれる。
これなら少し、踏み込んだことを聞いても大丈夫かも。
「皆さまの深慮、感謝いたします」
まずは相手を持ち上げ、俺は問い掛けを口にする。
「皆さまのお考えの通り、この度、王より命を受け街を新に作り治めることとなりましたが、そのために必要な物が足りておりません。
特に、魔術素材が不足しております。もし、皆さまの元にございましたら、ご都合頂けないものかと思っておりました。
皆さまの元に、余裕は無いでしょうか?」
この問い掛けに、長老たちは目くばせをする。
それは、予想していた問い掛けに、どう答えるべきか考えているというよりは、思ってもいなかった問い掛けに、どう返すべきか迷っているようだった。
(どういうことだ?)
魔術師が、魔術素材を集めているのは、すでにこちらでも確認している。
まさか、それを魔術協会のトップである、長老たちが知らないとでもいうのか?
俺が訝しんでいると、長老の一人が、部屋の入り口で控えていたカルナに問い掛ける。
「資材に、いま空きがあるか?」
それにカルナは、静かな声で返した。
「資材課に問い合わせねば正確な数字は分かりませんが、どのような素材であれ、余力はあるかと思われます。お命じ頂ければ、数日中に報告書を上げることも可能かと」
「ふむ、そうか……」
カルナの答えを聞いて、長老たちは小さな声で話し合う。
そして話がまとまったのか、リーダー格の長老が俺に言った。
「ヒイロ殿、いま聞かれた通りだ。
我らとしては、そちらが求めるならば、資材を提供する用意が無いでもない。
ただ、今すぐという訳にはいかぬ。
いずれ、そちらには親書を送るゆえ、正式な話し合いは、それからにして頂こう。
かまわぬかな、ヒイロ殿」
「ご厚意、感謝します」
礼を返し、俺は言った。
「では、いずれ正式に話し合える時を、心より待ち望んでおります」
「我らも、期待しておるよ」
その言葉を最後に、俺は部屋を後にした。
もちろん、最初と同じように、カルナの後についていきながらだけども。
魔術師の本拠地に居る以上、勝手に動く訳にもいかないし。
そうして再び、門扉にまで辿り着こうとした時だった。
「ヒイロさま」
俺の後ろをついて歩いていた、ミリィに呼び止められる。
「ハンカチを、落とされました」
呼び声に歩みを止め身体を向ければ、持って来てもいない白いハンカチを差し出す彼女の姿が。
「ありがとう。危うく無くすとこだったよ」
俺は笑顔で、折りたたまれたハンカチを彼女から受け取る。
彼女は、感情を消した無表情で、渡してくれた。
「どうしましたか?」
先を歩いていたカルナが、いま気付いた、とでも言いだけに立ち止り、身体を向けて問い掛ける。
それに、俺は返す。
「いえ、貴方のミリィは、良いメイドさんだと思っただけですよ。きっと、貴方の言う事なら、何でも聞いてくれるんでしょうね」
「ええ。ですから、彼女の行動は、全て私の命令です。彼女の意志ではありません」
「なるほど。よく分かりました」
お互い笑顔で言葉を交わし、再び門扉へと向かう。そして、
「では、いずれまた」
「ええ。出来るだけ、早く会えることを望んでいます」
カルナの含みのある言葉を受け取って、俺は門の外へと出た。
ゆっくりと、閉まる門を見詰め、閉まり切ってから背伸びを一つ。
「んっ……つっかれた~」
気を抜いて意識を切り替えてると、門衛の少年が、こちらを驚いたように見ている。
「びっくりした? 元勇者なのに、気を抜いてるから」
「えっ、い、いえ、その――」
話し掛けられるとは思わなかったのか、慌てて返す少年に苦笑しつつ、気になったので名前を聞いてみる。
「俺は、ヒイロって言うんだけど、キミの名前は? 嫌じゃなきゃ、教えてくれるかな?」
「な、名前、ですか?」
ちょっとだけ迷いを見せてたけれど、
「コ、コニーって言います、勇者さま!」
元気良く応えてくれた。そして更に、聞いてくる。
「あ、あのっ、一つ聞いても良いでしょうか!」
「うん、良いよ」
「そ、その……ま、魔王。魔王を倒しに行くのに、怖くは無かったですか?」
問い掛ける眼差しは、どこか憧れを浮かべ、俺を見詰めてくれる。
その眩しい瞳に、俺は正直に答えた。
「怖かったよ。でも、独りじゃなかったから。だから、戦えた。そして勝てたんだ」
真剣に聞いてくれるコニーに、俺は望む未来を伝える。
「独りじゃなく、みんなで協力すれば、出来なかった事も出来るんだ。
だから俺たちは、キミたち魔術協会と協力したくて、今日ここに来たんだよ。
もしかすると、それが叶うかもしれない。その時は、よろしくね、コニー」
コニーは、俺の言葉を聞いて、少しだけ固まっていたけれど、
「は、はい! よろしくです!」
素直な言葉を返してくれた。
そんなコニーに苦笑しながら、俺は別れを告げ、その場を後にした。
振り返る事も無く、そのまま歩く。
歩き続け、短くない時間が過ぎたころ、俺はミリィから受け取ったハンカチを取り出した。
手触りの好いそのハンカチには、紙が一枚挟まれている。
見れば、王都の外れにある住所と、一つの文章が。そこに書かれていた言葉は、
【蒸気機関に関して話したい事があります、本日夜10時にて記した住所に来て下さい】
「ん……面白そうだね」
思わず笑みが浮かんでしまう。少しばかり悪だくみの匂いがするけれど、それはそれとして楽しみだ。
「……蛍火よ、灯れ」
俺は魔術を使い、伝言の書かれていた紙を燃やす。魔術により生まれた小指の先ほどの炎の塊は、紙に触れると即座に燃え広がり全てを灰にした。
「さて、約束の時間まで大分あるけど、どうしようかな?」
一端、屋敷に帰ることも考えたけれど、それだと休んで貰ってる菊野さんが、また俺のフォローに動いてしまうかもしれない。
休んで貰う事を考えると、戻らない方が良いだろう。となると、
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