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第一章 街を作る前準備編
13 帰り道で襲撃されました その③
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呪文を唱えることで、圧縮状態で保存していた魔術を活性化させる。
解放された魔術は、俺の魔力を糧に実体化。
一振りの妖刀として現れたそれを手に、俺は魔物に対峙する。
その瞬間、横なぎの斬撃が。
音すら切り裂くような鋭さで迫りくるそれを、俺は手にした妖刀で迎撃した。
重く鈍い音を響かせ、俺は魔物の斬撃を弾く。
それに魔物が反応するより早く、俺は重心を落とし、一気に踏み込む。
身体強化魔術により人体の限界を超えた俺は、一足で10m以上離れていた距離を瞬時に詰める。
あと一足。
踏み込み一つで斬り裂ける距離に近づいた所で、魔物の胴体が波打つ。
マズい、と思うより早く、新たなる攻撃は放たれた。
無数の針が、魔物の胴体から放たれる。
不意打ちに近い、必殺の一撃。
しかしそれは、なにも無い虚空を貫くことしかできなかった。
すでに攻撃が放たれた瞬間には、俺は上に跳ぶ事で回避している。
弧を描くようにして魔物の頭上を跳び越え、空中で身体を上下反転。
頭から魔物の背後に自由落下し、交差した瞬間、横なぎの一撃を放った。
手応えと共に、魔物の首を斬り裂く。
だが、浅い。半ばを切り裂く事は出来ても、斬り飛ばすには届かない。
俺が斬撃を放った瞬間、前に出た魔物がギリギリで致命傷を避けたのだ。
それを確認しながら、俺は妖刀を持たない左手一本で地面に着地。
そのまま腕を曲げ、魔物から距離を取るべく、反動を付けて跳ぶ。
今度は足から地面に降り立つと、魔物の出方を見極める。
見れば魔物は胴体を、くしゃりと細く絞るように縮めると、縮めた分の体積を左腕に集中。
膨れ上がったそれを、十数本の細く長い板状の刃へと変えると、一斉に俺に向け放って来た。
上下左右、連続して放たれた斬撃は途切れることなく、俺を追い詰めるように重ねられる。
だが、その全ての追撃を、俺は置き去りにする。
身体強化魔術を、更に一段押し上げる。
地面を削るような勢いで、俺は魔物の斬撃の尽くを回避。
荒地から林へと、緩急をつけジグザグに軌道を読ませない動きで辿り着く。
周囲の木々を盾にするように動けば、魔物はお構いなしに斬撃を放つ。
切り裂き抉れ、破壊されていく周囲の木々。
それを目の端で捕えながら、俺は思う。
(威力が低い。手数だけ多くして、僅かでも傷を与えれば良いとでも言うような攻撃だな)
「……毒か」
考えをまとめるために呟きながら、俺は今まで戦ってきた経験を元に判断する。
(十中八九、間違いないな。攻撃力を捨てても、それなら手数で補える。悪くない手だよ。でもな――)
魔物の斬撃を避けながら見極めていた俺は、兆しを捉え林から跳び出る。
繰り返した横の回避の動きから、真っ直ぐに跳び込んで行く点の動きに変え、魔物の間合いを侵略する。
一跳びに半ばまで距離を詰めた所で、魔物は刃物と化した無数の触腕を引き戻し、再び俺を斬り裂こうとする。
だが、その動きは鈍い。今までの滑らかさは失われていた。
それは、毒の効果だ。
俺が手にする、魔術により生み出した妖刀村正。それは斬り裂くと同時に、相手に毒の効果を持った魔術を食い込ませる。
生物であれば神経系を混乱させ、魔力によって動く魔物であれば、命令系統の伝達を阻害する。
魔術であるため、相手の魔力量や密度、あるいは魔力操作能力の高さによっては、短時間で解除されることもあるし、そもそも効かない事さえある。
目の前の魔物に対しては、ごく短い時間、動きを鈍らせることが出来る程度だろう。
けれど、それで十分。
あとは、死線を潜る覚悟を持てば良いだけ。
更に、俺は踏み込む。
放たれる斬撃を避け、斬り裂き弾き、あるいは斬り飛ばしながら、前へ前へと距離を詰める。
「ギイイイィィィィィッ!」
威嚇するような、魔物の憎悪の声。
無駄だ。意味が無い。
そんな物を上げる余裕があるなら、死線に踏み込め。
俺はそれを証明するように、前へ前へと踏み込み続け、ついに到達する。
踏み込み一つで斬り裂ける、必殺の間合い。
それに気付いた魔物が、俺を抱き潰すように腕を動かそうとするが、遅すぎる。
一歩踏み込むと同時に、重心を落とし。魔物の股下から脳天へ、全身のバネを連動させるようにして妖刀を振り上げる。
手応えと共に、留まることなく一刀両断に魔物を斬り裂いた。
真っ二つ、左右二つに魔物は斬り分けられる。
その瞬間、魔物の表面が粟立つ。それに舌打ちをする余裕も無く、俺は大きく後方へと跳ぶ。
そして、魔物は間髪入れず爆発した。
解放された魔術は、俺の魔力を糧に実体化。
一振りの妖刀として現れたそれを手に、俺は魔物に対峙する。
その瞬間、横なぎの斬撃が。
音すら切り裂くような鋭さで迫りくるそれを、俺は手にした妖刀で迎撃した。
重く鈍い音を響かせ、俺は魔物の斬撃を弾く。
それに魔物が反応するより早く、俺は重心を落とし、一気に踏み込む。
身体強化魔術により人体の限界を超えた俺は、一足で10m以上離れていた距離を瞬時に詰める。
あと一足。
踏み込み一つで斬り裂ける距離に近づいた所で、魔物の胴体が波打つ。
マズい、と思うより早く、新たなる攻撃は放たれた。
無数の針が、魔物の胴体から放たれる。
不意打ちに近い、必殺の一撃。
しかしそれは、なにも無い虚空を貫くことしかできなかった。
すでに攻撃が放たれた瞬間には、俺は上に跳ぶ事で回避している。
弧を描くようにして魔物の頭上を跳び越え、空中で身体を上下反転。
頭から魔物の背後に自由落下し、交差した瞬間、横なぎの一撃を放った。
手応えと共に、魔物の首を斬り裂く。
だが、浅い。半ばを切り裂く事は出来ても、斬り飛ばすには届かない。
俺が斬撃を放った瞬間、前に出た魔物がギリギリで致命傷を避けたのだ。
それを確認しながら、俺は妖刀を持たない左手一本で地面に着地。
そのまま腕を曲げ、魔物から距離を取るべく、反動を付けて跳ぶ。
今度は足から地面に降り立つと、魔物の出方を見極める。
見れば魔物は胴体を、くしゃりと細く絞るように縮めると、縮めた分の体積を左腕に集中。
膨れ上がったそれを、十数本の細く長い板状の刃へと変えると、一斉に俺に向け放って来た。
上下左右、連続して放たれた斬撃は途切れることなく、俺を追い詰めるように重ねられる。
だが、その全ての追撃を、俺は置き去りにする。
身体強化魔術を、更に一段押し上げる。
地面を削るような勢いで、俺は魔物の斬撃の尽くを回避。
荒地から林へと、緩急をつけジグザグに軌道を読ませない動きで辿り着く。
周囲の木々を盾にするように動けば、魔物はお構いなしに斬撃を放つ。
切り裂き抉れ、破壊されていく周囲の木々。
それを目の端で捕えながら、俺は思う。
(威力が低い。手数だけ多くして、僅かでも傷を与えれば良いとでも言うような攻撃だな)
「……毒か」
考えをまとめるために呟きながら、俺は今まで戦ってきた経験を元に判断する。
(十中八九、間違いないな。攻撃力を捨てても、それなら手数で補える。悪くない手だよ。でもな――)
魔物の斬撃を避けながら見極めていた俺は、兆しを捉え林から跳び出る。
繰り返した横の回避の動きから、真っ直ぐに跳び込んで行く点の動きに変え、魔物の間合いを侵略する。
一跳びに半ばまで距離を詰めた所で、魔物は刃物と化した無数の触腕を引き戻し、再び俺を斬り裂こうとする。
だが、その動きは鈍い。今までの滑らかさは失われていた。
それは、毒の効果だ。
俺が手にする、魔術により生み出した妖刀村正。それは斬り裂くと同時に、相手に毒の効果を持った魔術を食い込ませる。
生物であれば神経系を混乱させ、魔力によって動く魔物であれば、命令系統の伝達を阻害する。
魔術であるため、相手の魔力量や密度、あるいは魔力操作能力の高さによっては、短時間で解除されることもあるし、そもそも効かない事さえある。
目の前の魔物に対しては、ごく短い時間、動きを鈍らせることが出来る程度だろう。
けれど、それで十分。
あとは、死線を潜る覚悟を持てば良いだけ。
更に、俺は踏み込む。
放たれる斬撃を避け、斬り裂き弾き、あるいは斬り飛ばしながら、前へ前へと距離を詰める。
「ギイイイィィィィィッ!」
威嚇するような、魔物の憎悪の声。
無駄だ。意味が無い。
そんな物を上げる余裕があるなら、死線に踏み込め。
俺はそれを証明するように、前へ前へと踏み込み続け、ついに到達する。
踏み込み一つで斬り裂ける、必殺の間合い。
それに気付いた魔物が、俺を抱き潰すように腕を動かそうとするが、遅すぎる。
一歩踏み込むと同時に、重心を落とし。魔物の股下から脳天へ、全身のバネを連動させるようにして妖刀を振り上げる。
手応えと共に、留まることなく一刀両断に魔物を斬り裂いた。
真っ二つ、左右二つに魔物は斬り分けられる。
その瞬間、魔物の表面が粟立つ。それに舌打ちをする余裕も無く、俺は大きく後方へと跳ぶ。
そして、魔物は間髪入れず爆発した。
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