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1.gift
4.apple
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そうだよ、身元ばれてるなら記憶喪失の振りしようが何だろうが強制送還じゃない。これじゃここに置いてもらえない!
え、あの……か、鏡さんこれどうすべきなの……って鏡の存在ばらしちゃダメって言われてるし聞けないじゃない!!
考えろ私。ここはどう言えば良いんだろう?
そうだ、と、とりあえず同情を誘おう。えーっと……
「……帰る場所がっ、ないんですっ!!」
思いついたものをそのまま口に出してみると。
……その場に沈黙が舞い降りた。
ややあって後。
「……言いたいことは、それだけでしょうか?」
紺色の髪の青年が微笑んだままそう訊ねてきた。
いやいやいやそこは同情しようよ!!
っていうかあの、事実彼らが「小人」の役回りだというのなら、もうほんとに、この人を惚れさせるとか無理すぎて笑えてくるんですけど。何この無理ゲー聞いてない。
「わ、私っ。……こ、殺されそうに、なっているんです!」
そう言うと。
「……殺されそうに、なっている?」
それまで会話に参加していなかった黒髪に赤い目の青年が反応した。
よく見てみると彼だけではない。全員、様子が一変した。
「……っていうことは、追われてるの?」
金髪に緑の双眸を持つ派手な装いの青年が、私に問うてくる。
それに頷くと、全員顔をしかめた。
「……匿ってあげようよ」
白髪に赤の双眸を持つ青年がそう言った。
「……ぼくも、賛成」
眠たげな様子の、黒髪の青年と同じくそれまで全く会話に参加していなかった若草色の髪に青の双眸の……七人の中で一番背の低い少年らしき子がそう言う。
あれ、この子は小人なのかな?
「……そうだね。俺も、助けてあげたいかな。……っくち!」
そう言うのは、浅紫の髪に紺の双眸を持つ青年だ。……多分、彼だろう。敬語野郎……紺の髪の青年に「頭の中身が一年中花粉だらけのお花畑」と評されていたのは。
「……わたしはもとよりそのつもりだが――」
銀髪の青年は、拳銃を未だに突きつけている紺の髪の青年を見た。
「――なんです? わたくしにそれを問うのですか?」
「……厭うのはわからんでもない。だがお前は引きずりすぎだ」
黒髪の青年が静かにそう言うと、紺の髪の青年は顔をしかめる。
「ならば赦せと? 二度と戻らないのが判っていて? あはは、貴方たちは本当に容易く人を信じることができるのですね」
青年は渇いた笑い声を上げた。
それに銀髪の青年は目を細める。
「信じろとは言わない。あなたは特にやるせないだろう。だが、“先ほどの件”からすれば、一概に悪い話とも言えないのは、あなたもわかるだろう」
「……」
紺の髪の青年は視線を落としてしばらく何も言わなかった。
しかしやがてため息を着くと、拳銃を仕舞った。
「――まぁ、いいでしょう。彼女を見ていて、「その気」は今の所ないと考えても間違ってはいないでしょうし。ならばそのお遊びに付き合ってあげても構いません」
先ほどから判るような判らないような、微妙なお話が彼らの中で進んでいく。当の私を置き去りにして。
「ただし」
紺の髪の青年は私を見つめ、酷薄に笑った。
「ただ置くというのも筋違いな話です。我々が稼ぐ金で食べていくと言うのなら、それ相応の働きはしていただきます」
…………。え、どういうこと?
「シルヴィス……女の子一人くらい……」
「女だろうが男だろうが老人だろうが子供だろうが。財を食い潰すことに変わりはありません。ならばせいぜい働いてもらうというのが筋でしょう? ただ飯喰らいを呑気に置けるほど、我々も裕福ではないんですから」
「それはそうかもしれないが……」
つまるところ、何かしろと。ギブアンドテイクって奴ですね。
……ええと。何をすれば良いんだろう。
「君、何か特技は?」
金髪の青年がわくわくとした表情で聞いてくる。
「えっと……」
特技?
特技って……
「……ええと、料理と、掃除…………すいません、何もありません」
料理も掃除も特技と言うほどできるわけじゃないし、そう考えると特技とか何もない。
しかし七人はそれに妙に反応した。
「え……料理と、掃除?」
え? 何かおかしなこと言った?
しかし私が問う間もなく、紺の髪の青年は頷き、
「実に結構。それでしたらこの家の掃除をして下さい。あと、洗濯くらいはできるでしょう。……まぁつまり、家事全般をこなせということですが。できますか?」
「あ、はい。多分大丈夫です……けど、料理はそんなにレパートリーがなくて」
「でしょうね。別にそれは気にしなくて結構です。料理は当番制ですので、その日が回ってくるまでは料理はせずとも構いません。ですが、我々が「仕事」で料理ができない日は当番でなくとも当番の人間の代わりに料理を担当してください」
「あ、それなら多分大丈夫です」
というか大丈夫じゃなくても大丈夫と言わなければ死ぬので言います。大丈夫です。
え、あの……か、鏡さんこれどうすべきなの……って鏡の存在ばらしちゃダメって言われてるし聞けないじゃない!!
考えろ私。ここはどう言えば良いんだろう?
そうだ、と、とりあえず同情を誘おう。えーっと……
「……帰る場所がっ、ないんですっ!!」
思いついたものをそのまま口に出してみると。
……その場に沈黙が舞い降りた。
ややあって後。
「……言いたいことは、それだけでしょうか?」
紺色の髪の青年が微笑んだままそう訊ねてきた。
いやいやいやそこは同情しようよ!!
っていうかあの、事実彼らが「小人」の役回りだというのなら、もうほんとに、この人を惚れさせるとか無理すぎて笑えてくるんですけど。何この無理ゲー聞いてない。
「わ、私っ。……こ、殺されそうに、なっているんです!」
そう言うと。
「……殺されそうに、なっている?」
それまで会話に参加していなかった黒髪に赤い目の青年が反応した。
よく見てみると彼だけではない。全員、様子が一変した。
「……っていうことは、追われてるの?」
金髪に緑の双眸を持つ派手な装いの青年が、私に問うてくる。
それに頷くと、全員顔をしかめた。
「……匿ってあげようよ」
白髪に赤の双眸を持つ青年がそう言った。
「……ぼくも、賛成」
眠たげな様子の、黒髪の青年と同じくそれまで全く会話に参加していなかった若草色の髪に青の双眸の……七人の中で一番背の低い少年らしき子がそう言う。
あれ、この子は小人なのかな?
「……そうだね。俺も、助けてあげたいかな。……っくち!」
そう言うのは、浅紫の髪に紺の双眸を持つ青年だ。……多分、彼だろう。敬語野郎……紺の髪の青年に「頭の中身が一年中花粉だらけのお花畑」と評されていたのは。
「……わたしはもとよりそのつもりだが――」
銀髪の青年は、拳銃を未だに突きつけている紺の髪の青年を見た。
「――なんです? わたくしにそれを問うのですか?」
「……厭うのはわからんでもない。だがお前は引きずりすぎだ」
黒髪の青年が静かにそう言うと、紺の髪の青年は顔をしかめる。
「ならば赦せと? 二度と戻らないのが判っていて? あはは、貴方たちは本当に容易く人を信じることができるのですね」
青年は渇いた笑い声を上げた。
それに銀髪の青年は目を細める。
「信じろとは言わない。あなたは特にやるせないだろう。だが、“先ほどの件”からすれば、一概に悪い話とも言えないのは、あなたもわかるだろう」
「……」
紺の髪の青年は視線を落としてしばらく何も言わなかった。
しかしやがてため息を着くと、拳銃を仕舞った。
「――まぁ、いいでしょう。彼女を見ていて、「その気」は今の所ないと考えても間違ってはいないでしょうし。ならばそのお遊びに付き合ってあげても構いません」
先ほどから判るような判らないような、微妙なお話が彼らの中で進んでいく。当の私を置き去りにして。
「ただし」
紺の髪の青年は私を見つめ、酷薄に笑った。
「ただ置くというのも筋違いな話です。我々が稼ぐ金で食べていくと言うのなら、それ相応の働きはしていただきます」
…………。え、どういうこと?
「シルヴィス……女の子一人くらい……」
「女だろうが男だろうが老人だろうが子供だろうが。財を食い潰すことに変わりはありません。ならばせいぜい働いてもらうというのが筋でしょう? ただ飯喰らいを呑気に置けるほど、我々も裕福ではないんですから」
「それはそうかもしれないが……」
つまるところ、何かしろと。ギブアンドテイクって奴ですね。
……ええと。何をすれば良いんだろう。
「君、何か特技は?」
金髪の青年がわくわくとした表情で聞いてくる。
「えっと……」
特技?
特技って……
「……ええと、料理と、掃除…………すいません、何もありません」
料理も掃除も特技と言うほどできるわけじゃないし、そう考えると特技とか何もない。
しかし七人はそれに妙に反応した。
「え……料理と、掃除?」
え? 何かおかしなこと言った?
しかし私が問う間もなく、紺の髪の青年は頷き、
「実に結構。それでしたらこの家の掃除をして下さい。あと、洗濯くらいはできるでしょう。……まぁつまり、家事全般をこなせということですが。できますか?」
「あ、はい。多分大丈夫です……けど、料理はそんなにレパートリーがなくて」
「でしょうね。別にそれは気にしなくて結構です。料理は当番制ですので、その日が回ってくるまでは料理はせずとも構いません。ですが、我々が「仕事」で料理ができない日は当番でなくとも当番の人間の代わりに料理を担当してください」
「あ、それなら多分大丈夫です」
というか大丈夫じゃなくても大丈夫と言わなければ死ぬので言います。大丈夫です。
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