5 / 85
1.gift
4.apple
しおりを挟む
そうだよ、身元ばれてるなら記憶喪失の振りしようが何だろうが強制送還じゃない。これじゃここに置いてもらえない!
え、あの……か、鏡さんこれどうすべきなの……って鏡の存在ばらしちゃダメって言われてるし聞けないじゃない!!
考えろ私。ここはどう言えば良いんだろう?
そうだ、と、とりあえず同情を誘おう。えーっと……
「……帰る場所がっ、ないんですっ!!」
思いついたものをそのまま口に出してみると。
……その場に沈黙が舞い降りた。
ややあって後。
「……言いたいことは、それだけでしょうか?」
紺色の髪の青年が微笑んだままそう訊ねてきた。
いやいやいやそこは同情しようよ!!
っていうかあの、事実彼らが「小人」の役回りだというのなら、もうほんとに、この人を惚れさせるとか無理すぎて笑えてくるんですけど。何この無理ゲー聞いてない。
「わ、私っ。……こ、殺されそうに、なっているんです!」
そう言うと。
「……殺されそうに、なっている?」
それまで会話に参加していなかった黒髪に赤い目の青年が反応した。
よく見てみると彼だけではない。全員、様子が一変した。
「……っていうことは、追われてるの?」
金髪に緑の双眸を持つ派手な装いの青年が、私に問うてくる。
それに頷くと、全員顔をしかめた。
「……匿ってあげようよ」
白髪に赤の双眸を持つ青年がそう言った。
「……ぼくも、賛成」
眠たげな様子の、黒髪の青年と同じくそれまで全く会話に参加していなかった若草色の髪に青の双眸の……七人の中で一番背の低い少年らしき子がそう言う。
あれ、この子は小人なのかな?
「……そうだね。俺も、助けてあげたいかな。……っくち!」
そう言うのは、浅紫の髪に紺の双眸を持つ青年だ。……多分、彼だろう。敬語野郎……紺の髪の青年に「頭の中身が一年中花粉だらけのお花畑」と評されていたのは。
「……わたしはもとよりそのつもりだが――」
銀髪の青年は、拳銃を未だに突きつけている紺の髪の青年を見た。
「――なんです? わたくしにそれを問うのですか?」
「……厭うのはわからんでもない。だがお前は引きずりすぎだ」
黒髪の青年が静かにそう言うと、紺の髪の青年は顔をしかめる。
「ならば赦せと? 二度と戻らないのが判っていて? あはは、貴方たちは本当に容易く人を信じることができるのですね」
青年は渇いた笑い声を上げた。
それに銀髪の青年は目を細める。
「信じろとは言わない。あなたは特にやるせないだろう。だが、“先ほどの件”からすれば、一概に悪い話とも言えないのは、あなたもわかるだろう」
「……」
紺の髪の青年は視線を落としてしばらく何も言わなかった。
しかしやがてため息を着くと、拳銃を仕舞った。
「――まぁ、いいでしょう。彼女を見ていて、「その気」は今の所ないと考えても間違ってはいないでしょうし。ならばそのお遊びに付き合ってあげても構いません」
先ほどから判るような判らないような、微妙なお話が彼らの中で進んでいく。当の私を置き去りにして。
「ただし」
紺の髪の青年は私を見つめ、酷薄に笑った。
「ただ置くというのも筋違いな話です。我々が稼ぐ金で食べていくと言うのなら、それ相応の働きはしていただきます」
…………。え、どういうこと?
「シルヴィス……女の子一人くらい……」
「女だろうが男だろうが老人だろうが子供だろうが。財を食い潰すことに変わりはありません。ならばせいぜい働いてもらうというのが筋でしょう? ただ飯喰らいを呑気に置けるほど、我々も裕福ではないんですから」
「それはそうかもしれないが……」
つまるところ、何かしろと。ギブアンドテイクって奴ですね。
……ええと。何をすれば良いんだろう。
「君、何か特技は?」
金髪の青年がわくわくとした表情で聞いてくる。
「えっと……」
特技?
特技って……
「……ええと、料理と、掃除…………すいません、何もありません」
料理も掃除も特技と言うほどできるわけじゃないし、そう考えると特技とか何もない。
しかし七人はそれに妙に反応した。
「え……料理と、掃除?」
え? 何かおかしなこと言った?
しかし私が問う間もなく、紺の髪の青年は頷き、
「実に結構。それでしたらこの家の掃除をして下さい。あと、洗濯くらいはできるでしょう。……まぁつまり、家事全般をこなせということですが。できますか?」
「あ、はい。多分大丈夫です……けど、料理はそんなにレパートリーがなくて」
「でしょうね。別にそれは気にしなくて結構です。料理は当番制ですので、その日が回ってくるまでは料理はせずとも構いません。ですが、我々が「仕事」で料理ができない日は当番でなくとも当番の人間の代わりに料理を担当してください」
「あ、それなら多分大丈夫です」
というか大丈夫じゃなくても大丈夫と言わなければ死ぬので言います。大丈夫です。
え、あの……か、鏡さんこれどうすべきなの……って鏡の存在ばらしちゃダメって言われてるし聞けないじゃない!!
考えろ私。ここはどう言えば良いんだろう?
そうだ、と、とりあえず同情を誘おう。えーっと……
「……帰る場所がっ、ないんですっ!!」
思いついたものをそのまま口に出してみると。
……その場に沈黙が舞い降りた。
ややあって後。
「……言いたいことは、それだけでしょうか?」
紺色の髪の青年が微笑んだままそう訊ねてきた。
いやいやいやそこは同情しようよ!!
っていうかあの、事実彼らが「小人」の役回りだというのなら、もうほんとに、この人を惚れさせるとか無理すぎて笑えてくるんですけど。何この無理ゲー聞いてない。
「わ、私っ。……こ、殺されそうに、なっているんです!」
そう言うと。
「……殺されそうに、なっている?」
それまで会話に参加していなかった黒髪に赤い目の青年が反応した。
よく見てみると彼だけではない。全員、様子が一変した。
「……っていうことは、追われてるの?」
金髪に緑の双眸を持つ派手な装いの青年が、私に問うてくる。
それに頷くと、全員顔をしかめた。
「……匿ってあげようよ」
白髪に赤の双眸を持つ青年がそう言った。
「……ぼくも、賛成」
眠たげな様子の、黒髪の青年と同じくそれまで全く会話に参加していなかった若草色の髪に青の双眸の……七人の中で一番背の低い少年らしき子がそう言う。
あれ、この子は小人なのかな?
「……そうだね。俺も、助けてあげたいかな。……っくち!」
そう言うのは、浅紫の髪に紺の双眸を持つ青年だ。……多分、彼だろう。敬語野郎……紺の髪の青年に「頭の中身が一年中花粉だらけのお花畑」と評されていたのは。
「……わたしはもとよりそのつもりだが――」
銀髪の青年は、拳銃を未だに突きつけている紺の髪の青年を見た。
「――なんです? わたくしにそれを問うのですか?」
「……厭うのはわからんでもない。だがお前は引きずりすぎだ」
黒髪の青年が静かにそう言うと、紺の髪の青年は顔をしかめる。
「ならば赦せと? 二度と戻らないのが判っていて? あはは、貴方たちは本当に容易く人を信じることができるのですね」
青年は渇いた笑い声を上げた。
それに銀髪の青年は目を細める。
「信じろとは言わない。あなたは特にやるせないだろう。だが、“先ほどの件”からすれば、一概に悪い話とも言えないのは、あなたもわかるだろう」
「……」
紺の髪の青年は視線を落としてしばらく何も言わなかった。
しかしやがてため息を着くと、拳銃を仕舞った。
「――まぁ、いいでしょう。彼女を見ていて、「その気」は今の所ないと考えても間違ってはいないでしょうし。ならばそのお遊びに付き合ってあげても構いません」
先ほどから判るような判らないような、微妙なお話が彼らの中で進んでいく。当の私を置き去りにして。
「ただし」
紺の髪の青年は私を見つめ、酷薄に笑った。
「ただ置くというのも筋違いな話です。我々が稼ぐ金で食べていくと言うのなら、それ相応の働きはしていただきます」
…………。え、どういうこと?
「シルヴィス……女の子一人くらい……」
「女だろうが男だろうが老人だろうが子供だろうが。財を食い潰すことに変わりはありません。ならばせいぜい働いてもらうというのが筋でしょう? ただ飯喰らいを呑気に置けるほど、我々も裕福ではないんですから」
「それはそうかもしれないが……」
つまるところ、何かしろと。ギブアンドテイクって奴ですね。
……ええと。何をすれば良いんだろう。
「君、何か特技は?」
金髪の青年がわくわくとした表情で聞いてくる。
「えっと……」
特技?
特技って……
「……ええと、料理と、掃除…………すいません、何もありません」
料理も掃除も特技と言うほどできるわけじゃないし、そう考えると特技とか何もない。
しかし七人はそれに妙に反応した。
「え……料理と、掃除?」
え? 何かおかしなこと言った?
しかし私が問う間もなく、紺の髪の青年は頷き、
「実に結構。それでしたらこの家の掃除をして下さい。あと、洗濯くらいはできるでしょう。……まぁつまり、家事全般をこなせということですが。できますか?」
「あ、はい。多分大丈夫です……けど、料理はそんなにレパートリーがなくて」
「でしょうね。別にそれは気にしなくて結構です。料理は当番制ですので、その日が回ってくるまでは料理はせずとも構いません。ですが、我々が「仕事」で料理ができない日は当番でなくとも当番の人間の代わりに料理を担当してください」
「あ、それなら多分大丈夫です」
というか大丈夫じゃなくても大丈夫と言わなければ死ぬので言います。大丈夫です。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
もしもゲーム通りになってたら?
クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが
もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら?
全てがゲーム通りに進んだとしたら?
果たしてヒロインは幸せになれるのか
※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。
※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。
※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。
※4/14「パターンその7・おまけ」を更新しました。
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在
唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話
中山加恋(20歳)
二十歳でトオルの妻になる
何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛
中山トオル(32歳)
17歳の加恋に一目ぼれ
加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する
加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる
会社では群を抜くほどの超エリートが、
愛してやまない加恋ちゃんに
振り回されたり落ち込まされたり…
そんなイケメンエリートの
ちょっと切なくて笑えるお話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる