白雪姫の継母に転生しました。

天音 神珀

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 ――翌日の夜。

 適当な夕食をとり終わり、食器を片付けてからリビングのテーブルで顔を伏せて色々思い返していると、窓の方からコンコン、と小さな音がした。

 何かと窓の方へ視線を向けると、白い鳥が窓ガラスを嘴で叩いている。

「もしかして、ルーヴァスからの手紙?」

 椅子から立ち上がり、窓を開けて鳥を招き入れる。鳥は片足をこちらへ差し出すようにした。その足には紙が結び付けられている。

 それを確認すると、鳥の足から手紙を解き、開く。

「えっと……」

 と受け取ってからはたと気づく。

 まだまともにここの文字を読めないのだった。

「頑張ればいける……かな? えーっと……これって……」

 しばらくしてからきちんと挫折したので、スジェルクに読み解いてもらうことになった。



 手紙の内容は、明日には戻れそうだという簡潔なものだった。

「確かに言われてた通り早い帰りだな……寝る前に二階の廊下の掃除でもしておこうか……」

 とつぶやいてから窓辺に未だ佇んでいる白い鳥に目を向けた。

「中に入ったら? ……って言っても、解るわけないか」

 ところが予想に反し、鳥はばさばさと翼をはためかせて家の中に入ってきた。

「頭いいんだ……まぁ、ルーヴァスの鳥だし、何か雰囲気的に納得かも」

 空いている椅子の背に留まった白い鳥をじっと見てみる。やはりかなり大きい。頭から尾まで、四0センチ強はある。

 開け放しのままになっている窓を閉め、掃除のために二階へ向かおうとし――

「じゃあね」

 と鳥に向かって手を振ってみた。その瞬間、フイっと顔を背けられた。

 ものすごく、可愛くなかった。










 そして翌日。

 朝早くに、七人は帰ってきた。

 家の前に立って七人を待っていると皆が一様に驚いた顔をしていたが、笑顔で「お帰りなさい」と告げると、各々の反応をしつつ、どこかほっとした表情を見せていた。



「お仕事お疲れ様でした。すぐに食事を出すのでちょっと待っててくださいね」

 あらかじめ作っておいた料理――スジェルクに教えてもらったものだ――の仕上げにかかろうとすると、「待て」とノアフェスから声がかかった。

「どうかしましたか?」
「お前……何かおかしなものを見てないか?」
「お、おかしなもの?」

 わけがわからず怪訝な顔をすると、ノアフェスはじっと私の顔を見てから首を振り、「いや、なんでもない」と言ってそのまま私のそばを通り過ぎていった。

「……?」

 意味がわからないまま、私は台所へと行き、料理の仕上げを始めた。
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