婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi

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第12話:私のせいでオスカー様が怪我をしました

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「アメリア様、ちょっと話がしたいの。一緒に来て」

そう言って私の腕を掴んだミア様。

「ごめんなさい。ここから動くなとオスカー様に言われているの」

「何よそれ!私への当てつけ?とにかく一緒に来て」

ミア様と取り巻き達に連行され、連れてこられたのは稽古場の裏側だ。なんとなく分かる。きっと文句を言われるのだろう。

「アメリア様、あなた一体どういうつもり?オスカー様に何を言ったの?オスカー様はあなたと婚約を解消してから、すっかり人が変わってしまったの。今までは物凄く私を大切にしてくれていたのに、私に冷たく当たる様になったわ。そう言えば、あなた達のご両親は大の仲良しなのよね。ご両親に泣きついて、オスカー様に何か制裁でも加えたの?」

は?この人、何を言っているのかしら?

「お言葉ですが、私はオスカー様とミア様が恋仲だと思ったからこそ、お父様に婚約解消のお願いをし、そのまま商船で旅に出たのです。オスカー様が、なぜあの様になってしまったのか、逆に私が聞きたいぐらいですわ!」

「あなた伯爵令嬢のくせに、侯爵令嬢のミア様に意見する気?ではどうして、オスカー様はミア様に冷たくなったのよ!」

取り巻きが顔を真っ赤にして叫ぶ。

「そんな事、私に言われてもわかりませんわ。直接本人に聞いてくださいませ!」

「本人に聞こうとしても無視されるから、あなたに聞きに来たのでしょう?私の事をバカにしているの?ふざけないでよ!」

ドン!

「キャァ」

真っ赤な顔をして怒り狂うミア様に突き飛ばされて、そのまま転んでしまった。

「本当にどんくさい女ね!あまり調子に乗っていると、ただじゃおかないわよ!」

さらに私に向かって怒鳴るミア様。美しいお顔が怒りで歪んでしまい、残念な事になっている。

「やっぱりむしゃくしゃするわね。この女を再起不能にして差し上げましょう」

ニヤリと笑ったミア様の指示で、どこからか鉄パイプを取り出した。ちょっと、もしかして、それで私の殴るのかしら。

ヒィィィィィ
逃げなきゃ!でも、恐怖で体が動かない。鉄パイプを振り上げたミア様。殴られる!!そう思って強く目を閉じた。

「ガコン」
ん?痛みと衝撃が来ない?それより、誰かに抱きしめられている感じがする。ゆっくり目を開けると、目の前にはオスカー様の姿が。

どうやら私を庇って、オスカー様が鉄パイプで背中を殴られてしまった様だ。

「オスカー様、大丈夫ですか?」

「オスカー、大丈夫か?すぐに医務室に連れていけ!」

どうやら私を心配したオスカー様とその仲間たちが、助けに来てくれた様だ。でも、オスカー様が怪我をしてしまった。私のせいで…

「待って、僕は大丈夫だよ。それよりも、少し話をさせてくれないかい?」

そう言うと、オスカー様は真っ青な顔で鉄パイプを握っているミア様に向き合った。

「ミア嬢、君を傷つけてしまってすまなかった。僕の浅はかな行動のせいで、君を追い詰めた。これは明らかに、僕の責任だ。僕はね、小さい頃からずっとアメリアだけを愛してきた。今でもその気持ちは変わらない。そんなアメリアは、僕が他の女性の話すと、プクっと頬を膨らませて抗議をして来るんだ。その姿が可愛くてね。つい調子に乗って、他の令嬢と仲良くしてしまった。正直、君でなくても良かったんだ!僕は平気で人を傷つける最低な男だ。そして、最愛のアメリアまでも深く傷つけてしまった。君の心を弄ぶつもりはなかった。でも、結果的にはそうなってしまった事、深く反省している。本当に、すまなかった」

そう言うと、ミア様に深々と頭を下げるオスカー様。でも、次の瞬間

「ただ、アメリアを傷つけようとした事だけは絶対に許さない!この事については、侯爵家に強く抗議させてもらうよ!それと、金輪際、アメリアに近づくな!もし近づいたら、ただじゃおかないからな!」

あまりのオスカー様の迫力に、完全に怯えてしまったミア様(と取り巻き達)。

「申し訳ございませんでした」

そう言って立ち去ろうとするが

「おっと、鉄パイプを振り回して令嬢を襲おうとしたのに、黙って帰す訳ないだろう。話が聞きたいから、ちょっと来てくれるかい?それと、ここに設置してある監視カメラの回収も頼む。どうしてこうなったのか、しっかり検証する必要があるからな」

何処から現れたのか、団長たちも集まって来ていた。

「アメリア嬢も一緒に来てもらえるかな。もちろん、彼女たちとは別の部屋で話を聞くから大丈夫だよ」

「はい、わかりました」

団長に付いて行こうとした時だった。

「待って、アメリア。僕も行くよ。たとえ団長でも、男と同じ部屋に君を置いておくのは危険だからね!」

そう言って、私の側までやって来たオスカー様。

「オスカー、お前はまず怪我の手当てを受けろ。その怪我が致命傷になって、騎士団を続けられなくなったらどうするんだ!」

「僕は騎士団よりアメリアの方が大事ですから、気にしないで下さい」

そう言ってにっこり笑うオスカー様。

「団長様、オスカー様の怪我が心配です。まずはオスカー様を医務室に連れて行き、治療を行ってからお話をするという事でもよろしいでしょうか?」

「は~、全くオスカーには困ったものだ!わかったよ、アメリア嬢の言う通りにしよう」

許可が下りたので、早速オスカー様の治療を行う為、医務室へと向かった。診察の結果、幸い骨には異常が見られなかった。ただ、皮膚が赤黒くなっていて、腫れもあり痛そうだ。

痛みが引くまでは、騎士団をお休みする事になってしまった。今まで必死に稽古をしていたのに、私を庇ったばっかりに…

「オスカー様、申し訳ございません。私を庇ったばかりに、こんな怪我を負わせてしまいました」

深々とオスカー様に頭を下げた。

「いいや、悪いのは僕だよ。全くこれっぽっちも興味のない令嬢と仲良くしていたのだから。少し考えれば、令嬢が逆恨みをして君に危害を加えるかもしれないなんて、分かる事なのに。本当にごめんね。今後は二度とこんな怖い思いをさせない様に、ずっと側に居るから。もう泣かないで!」

次から次へと溢れる涙を優しく拭ってくれるオスカー様。やっぱりオスカー様は優しい。

「処置も済んだし、少し話を聞かせてもらってもいいかな?」

側に居た団長が、気まずそうに話しかけて来た。周りの騎士たちも生暖かい目で見ている。そうだったわ。気を取り直し、今回何があったか、経緯を丁寧に説明した。

「わかったよ!オスカー、今回は騎士団の敷地内で起こった事件だ。騎士団が責任をもって対処するよ!」

「わかりました。よろしくお願いします。さあアメリア、帰ろうか」

差し出されたオスカー様の手を取り、馬車へと乗り込む。

「オスカー様、背中は大丈夫ですか?心配なので、私がオスカー様のお屋敷まで送って行きますわ」

「大した事ないから大丈夫だよ。相変わらずアメリアは優しいね。ほら、伯爵家が見えて来たよ」

結局オスカー様に送ってもらって帰って来た。

「明日も迎えに来るから、屋敷で待っていてね。それじゃあまた」

そう言うと、頬に口付けをして馬車に乗り込むオスカー様。

「オスカー様、朝は大丈夫ですわ!」

そう叫んだものの、きっと聞こえていないだろう。帰宅後、お父様に今日の出来事を話し、オスカー様の家に向かった。

侯爵様に今回の件を話して、私のせいで怪我をさせてしまった謝罪と、助けてもらったお礼を言う為だ。

でも…

「アメリア、オスカーのバカのせいで、怖い思いをさせてしまって悪かったね。それにしても、アメリアが怪我をしなくて本当に良かったよ」

と、なぜか逆に謝られた。そして、私が来た事を聞きつけたオスカー様。嬉しそうに私の隣に座っていたのだが

「オスカー。今回の件で分かっただろう。お前がどれほど浅はかな行動をしたかって事が!結局お前は2人の女性を傷つけたんだ!分かっているのか!」

と、きつめに怒られていた。

「分かっていますよ、父上!伯爵、アメリアを危険な目に合わせてしまい、申し訳ございませんでした!今後は二度とアメリアに危険が及ばない様、ひと時も離れることなくしっかり守りますのでご安心を!」

そう宣言すると、私の腰にしっかり手を回し、頬に口付けをするオスカー様。

「オスカー様!」

抗議の声を上げたが

「ごめんごめん、こっちだったかな?」

と、今度は唇を塞がれてしまった。何なんだこの人は!それもお父様たちの前で、恥ずかしすぎる。何も言えず、顔を真っ赤にして俯くしかない。

「は~、伯爵、悪いが近いうちに婚約を結び直す事になりそうだ」

「その様だな。ただ言いそびれていたのだが、役所の人間の話では一度婚約を解消した場合、半年たたないと再度婚約を結び直す事は出来ないらしい」

「お前、そんな大切な話をなぜ今するんだ」

「しばらくは婚約を結び直す事は無いと思っていたから、別に良いかと思って」

「は~、お前は昔からいい加減なところがあるからな!それじゃあ、後4ヶ月程度経たないと、婚約は結び直せないいという事か」

ちょっと待って、私まだ婚約を結び直す事に了承していないのだけれど…結局私の意見は無視なの?すかさず抗議の声を上げようとしたのだが

「伯爵、そう言った話は最初にしておくべきだろう!だから僕は婚約解消に反対だったんだ!」

「私だってその話を知ったのは、婚約解消証明書を出しに行った時だったんだ!」

「その時点で、提出するのを止めればよかったでしょう!気が利かない人だ」

「何だと!そもそも、お前がアメリアを傷つけなければ、こんな事にはならなかったんだ!」


「2人共止めろ!とにかく、婚約は4ヶ月後に再度結び直すという事でいいだろう!この話は終わりだ!」

オスカー様とお父様が白熱しだしたところで、すかさず止める侯爵様。それにしても、最後まで私に意見を聞く事は無かったわね。あんなに私の意見を尊重すると言っていたのに…

でも、今更私の意見を聞いて!なんて言える空気じゃないわ。それに、あれだけ色々な人に私とオスカー様のイチャイチャを見られたのですもの。婚約を結び直さない訳にはいかないわよね。
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