35 / 75
第35話:ダルク様は心配性です
しおりを挟む
「アンジュ嬢、足が痛いのかい?見せてごらん?」
「いえ…私は…」
大丈夫です!と言おうとしたのだが、すぐに近くにあったベンチに座らせてくれたダルク様。
「これは酷いな、血が出ているではないか。すまない、私が長時間歩かせてしまったからだ」
「いえ、私も楽しくてつい。大したことないので、大丈夫ですわ。さあ、行きましょう」
そう言って立ち上がろうとしたのだが
「血が出ているのに、大したことない訳がないだろう」
そう言うと、真新しいハンカチを傷口に巻いてくれた。
「すまない、こんな手当しか出来ずに。とにかく、帰ろう」
そう言うと、ダルク様が私を抱きかかえ、歩き出したのだ。
「あの、ダルク様。私は1人で歩けますわ!それに私、重いでしょう」
「君は怪我をしているのだよ。じっとしていて。それにアンジュ嬢は、ちっとも重くなんてない。もっとたくさん食べた方がいい」
そう言ってほほ笑んでくれたのだ。ここから馬車までは、結構距離がある。さすがに申し訳なく思い
「あの、本当に私…」
「私は鍛えているからこれくらい大丈夫だ。今日はありがとう、とても楽しかったよ。アンジュ嬢と2人で、街に出られて。また一緒に街に出てくれるかい?」
「ええ、もちろんですわ。私でよろしければ、いつでも案内します」
「それは良かった、特にハンバーグが美味しかったな。あのお店、毎日でも通いたいくらいだ」
「毎日だなんて、ダルク様ったら」
よほどハンバーグが気に入ってくれた様だ。よかったわ、あのお店を紹介出来て。
「さあ、馬車に着いたよ」
いつの間にか馬車のところまで戻って来ていた様だ。どうやらダルク様は、私の気を紛らわすために、色々と話してくれていたみたい。やっぱりダルク様は、優しいわね。それにがっちりとした胸板…ダルク様も、男性なのね…
て、私は何を考えているのかしら?これじゃあまるで、私がダルク様の事を意識しているみたいじゃない。ダルク様は友達なのに…
「アンジュ嬢、少し顔が赤いね。まさか熱が」
「いえ、何でもありませんわ。夕焼けに照らされて、赤く見えるだけです。さあ、陛下も心配しているかもしれませんし、帰りましょう」
「そうかい?それならいいのだが…それじゃあ、帰ろうか」
どうしたのかしら?私…なんだか急に、ダルク様が男性に見えてしまった。て、元々男性なのだが…
とにかく、落ち着かないと!そう自分に言い聞かせ、王宮まで戻ってきた。
すると何を思ったのか、スッと私を抱きかかえるダルク様。
「あの、ダルク様、私は…」
「アンジュ嬢は怪我をしているのだよ。無理して歩いて、傷が残ったら大変だ。とにかく大人しくして」
優しく微笑んでくれている。この人、こんな顔も出来るのね…
て、感心している場合ではない。そもそも、王宮内に客人でもあるダルク様に抱っこされてはいるだなんて…
でも、既に王宮に入ってきているし、近くにいた使用人たちに指示をしている。すぐに近くの部屋に案内され、治療を受けた。
その時だった。
「アンジュ、怪我をしたと聞いたが、大丈夫か?」
やって来たのはお父様だ。
「スィークルン侯爵、私が傍に付いていながら、本当に申し訳ございませんでした」
なぜかダルク様が、お父様に頭を下げている。
「違うのですわ、お父様。ヒールの靴で行ったので、靴擦れをしてしまって。それでダルク様が心配して、ここまで運んでくださったのです。ダルク様、本当にありがとうございました」
急いで事情を説明するとともに、ダルク様にお礼を言った。
「何だ…靴擦れか…ダルク殿、わざわざ娘を運んでいただき、ありがとうございました」
「いえ…私はアンジュ嬢が怪我をしている事に、すぐに気づけませんでした。本当に申し訳ございません」
なぜかダルク様が申し訳なさそうにしている。
「本当に私、大丈夫ですのよ。治療も終わったようですし、私たちはそろそろお暇させていただきますわ。ダルク様、明日貴族学院でお待ちしておりますね」
そう伝え、お父様と帰ろうとしたのだが…
「治療が終わったとはいえ、君は怪我を負っているのだよ。私が馬車まで運ぼう。本当にすまない、私がもっと早く気が付いていればこんな事には」
すかさず私を抱き上げると、ダルク様がスタスタと歩き出した。だから大丈夫ですって!
そう伝える間に、足が長いダルク様はあっという間に馬車の停まっている門までやって来て、馬車に乗せてくれた。
「アンジュ嬢、今日はありがとう。とても楽しかったよ。それから怪我の件、本当にすまなかった。それじゃあ、また明日」
「もう、ダルク様ったら。本当に大したことないのですよ。でも、ありがとうございます。はい、また明日」
ダルク様と入れ違いに、お父様が馬車に入って来た。いつの間にか、陛下や王妃殿下も出てきている。たかだか侯爵家の人間が帰るくらいで、王族に見送って頂くなんて…そう思いつつも、笑顔で手を振ってくれるダルク様に、私も手を振り返した。
今日は疲れたけれど、楽しかったわ。またダルク様と一緒に、街に行けたら嬉しいな。
※次回、ダルク視点です。
よろしくお願いいたします。
「いえ…私は…」
大丈夫です!と言おうとしたのだが、すぐに近くにあったベンチに座らせてくれたダルク様。
「これは酷いな、血が出ているではないか。すまない、私が長時間歩かせてしまったからだ」
「いえ、私も楽しくてつい。大したことないので、大丈夫ですわ。さあ、行きましょう」
そう言って立ち上がろうとしたのだが
「血が出ているのに、大したことない訳がないだろう」
そう言うと、真新しいハンカチを傷口に巻いてくれた。
「すまない、こんな手当しか出来ずに。とにかく、帰ろう」
そう言うと、ダルク様が私を抱きかかえ、歩き出したのだ。
「あの、ダルク様。私は1人で歩けますわ!それに私、重いでしょう」
「君は怪我をしているのだよ。じっとしていて。それにアンジュ嬢は、ちっとも重くなんてない。もっとたくさん食べた方がいい」
そう言ってほほ笑んでくれたのだ。ここから馬車までは、結構距離がある。さすがに申し訳なく思い
「あの、本当に私…」
「私は鍛えているからこれくらい大丈夫だ。今日はありがとう、とても楽しかったよ。アンジュ嬢と2人で、街に出られて。また一緒に街に出てくれるかい?」
「ええ、もちろんですわ。私でよろしければ、いつでも案内します」
「それは良かった、特にハンバーグが美味しかったな。あのお店、毎日でも通いたいくらいだ」
「毎日だなんて、ダルク様ったら」
よほどハンバーグが気に入ってくれた様だ。よかったわ、あのお店を紹介出来て。
「さあ、馬車に着いたよ」
いつの間にか馬車のところまで戻って来ていた様だ。どうやらダルク様は、私の気を紛らわすために、色々と話してくれていたみたい。やっぱりダルク様は、優しいわね。それにがっちりとした胸板…ダルク様も、男性なのね…
て、私は何を考えているのかしら?これじゃあまるで、私がダルク様の事を意識しているみたいじゃない。ダルク様は友達なのに…
「アンジュ嬢、少し顔が赤いね。まさか熱が」
「いえ、何でもありませんわ。夕焼けに照らされて、赤く見えるだけです。さあ、陛下も心配しているかもしれませんし、帰りましょう」
「そうかい?それならいいのだが…それじゃあ、帰ろうか」
どうしたのかしら?私…なんだか急に、ダルク様が男性に見えてしまった。て、元々男性なのだが…
とにかく、落ち着かないと!そう自分に言い聞かせ、王宮まで戻ってきた。
すると何を思ったのか、スッと私を抱きかかえるダルク様。
「あの、ダルク様、私は…」
「アンジュ嬢は怪我をしているのだよ。無理して歩いて、傷が残ったら大変だ。とにかく大人しくして」
優しく微笑んでくれている。この人、こんな顔も出来るのね…
て、感心している場合ではない。そもそも、王宮内に客人でもあるダルク様に抱っこされてはいるだなんて…
でも、既に王宮に入ってきているし、近くにいた使用人たちに指示をしている。すぐに近くの部屋に案内され、治療を受けた。
その時だった。
「アンジュ、怪我をしたと聞いたが、大丈夫か?」
やって来たのはお父様だ。
「スィークルン侯爵、私が傍に付いていながら、本当に申し訳ございませんでした」
なぜかダルク様が、お父様に頭を下げている。
「違うのですわ、お父様。ヒールの靴で行ったので、靴擦れをしてしまって。それでダルク様が心配して、ここまで運んでくださったのです。ダルク様、本当にありがとうございました」
急いで事情を説明するとともに、ダルク様にお礼を言った。
「何だ…靴擦れか…ダルク殿、わざわざ娘を運んでいただき、ありがとうございました」
「いえ…私はアンジュ嬢が怪我をしている事に、すぐに気づけませんでした。本当に申し訳ございません」
なぜかダルク様が申し訳なさそうにしている。
「本当に私、大丈夫ですのよ。治療も終わったようですし、私たちはそろそろお暇させていただきますわ。ダルク様、明日貴族学院でお待ちしておりますね」
そう伝え、お父様と帰ろうとしたのだが…
「治療が終わったとはいえ、君は怪我を負っているのだよ。私が馬車まで運ぼう。本当にすまない、私がもっと早く気が付いていればこんな事には」
すかさず私を抱き上げると、ダルク様がスタスタと歩き出した。だから大丈夫ですって!
そう伝える間に、足が長いダルク様はあっという間に馬車の停まっている門までやって来て、馬車に乗せてくれた。
「アンジュ嬢、今日はありがとう。とても楽しかったよ。それから怪我の件、本当にすまなかった。それじゃあ、また明日」
「もう、ダルク様ったら。本当に大したことないのですよ。でも、ありがとうございます。はい、また明日」
ダルク様と入れ違いに、お父様が馬車に入って来た。いつの間にか、陛下や王妃殿下も出てきている。たかだか侯爵家の人間が帰るくらいで、王族に見送って頂くなんて…そう思いつつも、笑顔で手を振ってくれるダルク様に、私も手を振り返した。
今日は疲れたけれど、楽しかったわ。またダルク様と一緒に、街に行けたら嬉しいな。
※次回、ダルク視点です。
よろしくお願いいたします。
57
あなたにおすすめの小説
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう
音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。
幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。
事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。
しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。
己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。
修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
完結 愛のない結婚ですが、何も問題ありません旦那様!
音爽(ネソウ)
恋愛
「私と契約しないか」そう言われた幼い貧乏令嬢14歳は頷く他なかった。
愛人を秘匿してきた公爵は世間を欺くための結婚だと言う、白い結婚を望むのならばそれも由と言われた。
「優遇された契約婚になにを躊躇うことがあるでしょう」令嬢は快く承諾したのである。
ところがいざ結婚してみると令嬢は勤勉で朗らかに笑い、たちまち屋敷の者たちを魅了してしまう。
「奥様はとても素晴らしい、誰彼隔てなく優しくして下さる」
従者たちの噂を耳にした公爵は奥方に興味を持ち始め……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる