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第53話:今度こそ俺の手でアンジュを守りたい~デイビッド視点~
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「アンジュ嬢は、きっと何者かに狙われているのでしょう。ただ、本人がこの事実を知ったら、きっと恐怖とショックを受けると思います。ですから、どうかアンジュ嬢に内緒にして頂けないでしょうか?」
しばらく考え込んだ後、ダルク殿がそんな提案をして来たのだ。この男、やはりアンジュの事をとても大切に思っているのだろう。だからアンジュの前では、あえて“学院の誰かが間違って弓を放った”と言ったのだろう。
「俺もその意見には賛成です。これ以上アンジュに負担をかける様なことはしたくはありません。ただ、犯人を取り逃している今、このまま何もしない訳にはいきません。またアンジュを襲ってくる可能性は、十分ありますから。とにかく アンジュの父、スィークルン侯爵に話しをして、屋敷内の護衛の強化をお願いしましょう」
「そうだな、学院内はもちろん、移動中の馬車なども警戒した方がいい。ただ、本人には知らせたくはないのだろう?だとすると、護衛も大変だが…」
「その点は俺から侯爵に話しをします。騎士団長、どうかこの件、俺に任せて頂けないでしょうか?俺はアンジュを守りたい一心で、今まで頑張って来たのです。ですので、どうかお願いします」
アンジュを守るのは、俺の役目だ!今こそ俺の出番なのだ。そんな思いで、騎士団長にお願いをする。
「分かった、それじゃあ、アンジュ嬢の事はデイビッドにお願いするよ。私は引き続き、犯人の特定に力を入れよう」
「ありがとうございます、俺は今からスィークルン侯爵家に向かい、状況を伝えに行ってきます。それでは失礼します」
騎士団長とダルク殿に頭を下げ、そのまま王宮を後にしようとした時だった。
「待ってくれ、デイビッド殿。私も一緒に、スィークルン侯爵家に一緒に行くよ」
そう言うと、馬車に乗り込んできたダルク殿。
「貴族を守るのは、騎士団の仕事だ。だから今回は、俺に任せて欲しい」
そう伝えたのだが、既に馬車が動き出していた。クソ、仕方がない。こうなったらダルク殿も一緒に連れて行くしかないか…
仕方なくダルク殿と一緒に、アンジュの家へとやって来た。
「スィークルン侯爵、お久しぶりです。今日は大事な話があって参りました」
アンジュに会いたいと押しかけて以来、久しぶりに訪れるアンジュの家。一瞬俺を見て怪訝そうな顔をした侯爵だったが、すぐに客間に案内してくれた。
「ダルク殿、メイドから聞きました。アンジュの命を助けてくださっとの事で、本当にありがとうございました。それでお怪我のほどは」
「大したことありませんので大丈夫です。それよりも、アンジュ嬢に怖い思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」
そう言って逆に謝っているダルク殿。
「頭を上げて下さい。私はあなた様に感謝しているのですから。それで、今日はどういったご用件で?」
「はい、まず今回の件、騎士団が警護する中で起こった事件です。アンジュを危険に晒してしまった事、本当に申し訳なく思っております。それから、目撃者やダルク殿の証言から、どうやら今回の事件、アンジュの命を狙った犯行の様です。弓矢に塗られていた毒は猛毒で、すぐに解毒剤の飲まないと助からない様な毒でした。さらに矢は、まっすぐアンジュに向かって飛んで行った様です」
「何だって!一体誰がアンジュの命を!アンジュは命を狙われる様な子ではない」
俺の話を聞き、いつも冷静な侯爵が珍しく声を荒げて怒っている。
「俺だって、アンジュがなぜ命を狙われているのか全く理解できません。ただ、犯人が見つかっていない今、またいつアンジュが命を狙われるか分かりません。それで、侯爵にもアンジュの命を守る協力をして頂きたいと思い、今日参りました。もちろん、俺もアンジュを守るために全力を尽くします!もう二度と、アンジュにあんな思いをさせたくはありません!」
7年前の誘拐事件の様なことは、絶対に起こしたくはない。だからこそ、絶対にアンジュに危害を加える前に何とかしたいのだ。
「分かりました。それで私は何をすればいいのでしょうか?とにかくアンジュにも話をして、注意する様に…」
「その件なのですが、どうかアンジュには黙っていてください。アンジュにはこれ以上怖い思いや辛い思いをして欲しくないのです。俺がこんな事を言えた立場じゃないのは分かっています。でも…これ以上アンジュを傷つけたくはないのです!この気持ちは、ダルク殿も同じです」
「デイビッド殿…ダルク殿もありがとうございます。アンジュの事を色々と考えて下さっているのですね。分かりました…それでは、アンジュに気づかれない様に動くという事ですね。具体的にはどうなさるおつもりですか?」
「はい、まずは侯爵家の護衛を増やしてください。騎士団からも、何人か護衛を手配します。特に移動中は危険です。常に数名の護衛を付ける様にしましょう。学院内は、俺が極力アンジュから目を離さないようにしますが、念のため護衛も付けようと思っております。万が一異変があった時の為に、通信機を持たせ、すぐに連絡と取り合える様にしましょう。犯人はどこからアンジュを狙ってくるかはわかりません。信頼できる人間以外、屋敷に入れる事は控えて下さい。それから、屋敷にいるときはアンジュを絶対に1人にしない様にお願いします。細かい事は、後日お話ししましょう」
「…分かりました。護衛の方も増やします。それからしばらくは、業者への出入りも厳しく制限し、新しい使用人の雇用は中止いたします。とにかく、アンジュの命を守る事を第一に考えましょう」
「ありがとうございます、侯爵。今度こそアンジュを必ず守ります」
「侯爵殿、私もアンジュ嬢を守る事に全力を尽くします。皆でアンジュ嬢を卑劣な犯人から守りましょう」
「2人ともありがとうございます。どうかよろしくお願いします」
その後侯爵と少し話をした後、侯爵家を後にした。屋敷を出るとき、すごい形相で俺を睨んでいるレイズを見つけた。きっと俺は、アンジュの家族から嫌われているのだろう。
それでも俺は、今度こそアンジュを守りたい。
絶対にこの手で…
※次回、アンジュ視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
しばらく考え込んだ後、ダルク殿がそんな提案をして来たのだ。この男、やはりアンジュの事をとても大切に思っているのだろう。だからアンジュの前では、あえて“学院の誰かが間違って弓を放った”と言ったのだろう。
「俺もその意見には賛成です。これ以上アンジュに負担をかける様なことはしたくはありません。ただ、犯人を取り逃している今、このまま何もしない訳にはいきません。またアンジュを襲ってくる可能性は、十分ありますから。とにかく アンジュの父、スィークルン侯爵に話しをして、屋敷内の護衛の強化をお願いしましょう」
「そうだな、学院内はもちろん、移動中の馬車なども警戒した方がいい。ただ、本人には知らせたくはないのだろう?だとすると、護衛も大変だが…」
「その点は俺から侯爵に話しをします。騎士団長、どうかこの件、俺に任せて頂けないでしょうか?俺はアンジュを守りたい一心で、今まで頑張って来たのです。ですので、どうかお願いします」
アンジュを守るのは、俺の役目だ!今こそ俺の出番なのだ。そんな思いで、騎士団長にお願いをする。
「分かった、それじゃあ、アンジュ嬢の事はデイビッドにお願いするよ。私は引き続き、犯人の特定に力を入れよう」
「ありがとうございます、俺は今からスィークルン侯爵家に向かい、状況を伝えに行ってきます。それでは失礼します」
騎士団長とダルク殿に頭を下げ、そのまま王宮を後にしようとした時だった。
「待ってくれ、デイビッド殿。私も一緒に、スィークルン侯爵家に一緒に行くよ」
そう言うと、馬車に乗り込んできたダルク殿。
「貴族を守るのは、騎士団の仕事だ。だから今回は、俺に任せて欲しい」
そう伝えたのだが、既に馬車が動き出していた。クソ、仕方がない。こうなったらダルク殿も一緒に連れて行くしかないか…
仕方なくダルク殿と一緒に、アンジュの家へとやって来た。
「スィークルン侯爵、お久しぶりです。今日は大事な話があって参りました」
アンジュに会いたいと押しかけて以来、久しぶりに訪れるアンジュの家。一瞬俺を見て怪訝そうな顔をした侯爵だったが、すぐに客間に案内してくれた。
「ダルク殿、メイドから聞きました。アンジュの命を助けてくださっとの事で、本当にありがとうございました。それでお怪我のほどは」
「大したことありませんので大丈夫です。それよりも、アンジュ嬢に怖い思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」
そう言って逆に謝っているダルク殿。
「頭を上げて下さい。私はあなた様に感謝しているのですから。それで、今日はどういったご用件で?」
「はい、まず今回の件、騎士団が警護する中で起こった事件です。アンジュを危険に晒してしまった事、本当に申し訳なく思っております。それから、目撃者やダルク殿の証言から、どうやら今回の事件、アンジュの命を狙った犯行の様です。弓矢に塗られていた毒は猛毒で、すぐに解毒剤の飲まないと助からない様な毒でした。さらに矢は、まっすぐアンジュに向かって飛んで行った様です」
「何だって!一体誰がアンジュの命を!アンジュは命を狙われる様な子ではない」
俺の話を聞き、いつも冷静な侯爵が珍しく声を荒げて怒っている。
「俺だって、アンジュがなぜ命を狙われているのか全く理解できません。ただ、犯人が見つかっていない今、またいつアンジュが命を狙われるか分かりません。それで、侯爵にもアンジュの命を守る協力をして頂きたいと思い、今日参りました。もちろん、俺もアンジュを守るために全力を尽くします!もう二度と、アンジュにあんな思いをさせたくはありません!」
7年前の誘拐事件の様なことは、絶対に起こしたくはない。だからこそ、絶対にアンジュに危害を加える前に何とかしたいのだ。
「分かりました。それで私は何をすればいいのでしょうか?とにかくアンジュにも話をして、注意する様に…」
「その件なのですが、どうかアンジュには黙っていてください。アンジュにはこれ以上怖い思いや辛い思いをして欲しくないのです。俺がこんな事を言えた立場じゃないのは分かっています。でも…これ以上アンジュを傷つけたくはないのです!この気持ちは、ダルク殿も同じです」
「デイビッド殿…ダルク殿もありがとうございます。アンジュの事を色々と考えて下さっているのですね。分かりました…それでは、アンジュに気づかれない様に動くという事ですね。具体的にはどうなさるおつもりですか?」
「はい、まずは侯爵家の護衛を増やしてください。騎士団からも、何人か護衛を手配します。特に移動中は危険です。常に数名の護衛を付ける様にしましょう。学院内は、俺が極力アンジュから目を離さないようにしますが、念のため護衛も付けようと思っております。万が一異変があった時の為に、通信機を持たせ、すぐに連絡と取り合える様にしましょう。犯人はどこからアンジュを狙ってくるかはわかりません。信頼できる人間以外、屋敷に入れる事は控えて下さい。それから、屋敷にいるときはアンジュを絶対に1人にしない様にお願いします。細かい事は、後日お話ししましょう」
「…分かりました。護衛の方も増やします。それからしばらくは、業者への出入りも厳しく制限し、新しい使用人の雇用は中止いたします。とにかく、アンジュの命を守る事を第一に考えましょう」
「ありがとうございます、侯爵。今度こそアンジュを必ず守ります」
「侯爵殿、私もアンジュ嬢を守る事に全力を尽くします。皆でアンジュ嬢を卑劣な犯人から守りましょう」
「2人ともありがとうございます。どうかよろしくお願いします」
その後侯爵と少し話をした後、侯爵家を後にした。屋敷を出るとき、すごい形相で俺を睨んでいるレイズを見つけた。きっと俺は、アンジュの家族から嫌われているのだろう。
それでも俺は、今度こそアンジュを守りたい。
絶対にこの手で…
※次回、アンジュ視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
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