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第54話:皆が気遣ってくれます
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う~ん、なんだか外が騒がしいわね。
目を覚ますと、薄暗い部屋が。どうやら疲れてぐっすりと眠ってしまった様だ。部屋から出ると、興奮気味のレイズがお父様に何か言っていた。
「どうしたの?レイズ、そんなに興奮して」
「姉上…いえ、何でもありません。それよりも、体調は大丈夫ですか?今日弓矢が飛んできたのでしょう?怪我などはないのですか?」
「ありがとう、私は大丈夫よ。ただ…ダルク様が私を庇って怪我をしてしまって…」
「その様だね。幸いダルク殿の怪我も大したことない様だし、アンジュは気にしなくてもいいよ。さあ、夕食にしよう。お腹が空いているだろう?」
「姉上、食堂に行きましょう」
なぜだろう、いつものレイズならもっとワーワー騒ぎそうだが、今日は随分と話に入ってこないのね。それだけレイズも大人になったという事かしら?
そう思いつつ、食事をした。少し眠ったせいか、心も随分と落ち着いた。ただ…やはり考える事と言えば、ダルク様とデイビッド様の事。
彼らが真剣に私に気持ちをぶつけてくれている以上、私も真剣に気持ちに応えないといけない。分かっている…分かっているが、頭の中が混乱して、どうしていいのか分からないのだ。
「アンジュ、大丈夫?食欲がないの?そうよね、事故とはいえ矢が飛んできたのだものね。怖かったわよね」
お母様が心配そうに話しかけてきてくれる。確かに矢が飛んできた時は、びっくりした。ただ、正直矢が飛んで来たことよりも、ダルク様が毒のせいであの様な状況になった事の方がショックだった。
今にも命の灯が消えそうなダルク様の姿を思い出したら、胸が締め付けられ涙が溢れ出した。
「大丈夫かい?アンジュ。やっぱり今日は、もう休みなさい。カリア、アンジュを頼む」
「かしこまりました。さあ、お嬢様」
カリアに支えられ、食堂を後にする。
「お嬢様はご自分でも気づいていない程、心に傷を負っているのです。とにかく今日はお休みください」
そう言って再びカリアがベッドに寝かせてくれた。さらに心配したお母様が、私と一緒に寝ると言い出し、私の部屋にやって来たのだ。
「お母様、私はもう17歳で、4ヶ月後には貴族学院を卒院するのですよ。1人で大丈夫ですわ」
そう伝えたのだが
「私があなたと一緒に寝たいのよ。たまにはいいでしょう」
そう言うと、ギュッと私を抱きしめたお母様。お母様の匂い…落ち着くわ。子供の頃、よくお母様にくっ付いて寝ていたわね。なんだか懐かしくなるとともに安心した私は、すぐに眠りについたのだった。
そして翌日
いつもの様にレイズと一緒に学院へと向かう。
「姉上が卒院するまで、後4ヶ月しかないのです。僕はその時間を大切にしたい、それでですね。これからは帰りも一緒に帰りましょう!後4ヶ月しかないのですから、いいですよね?」
レイズったら、急にどうしたのかしら?でも、確かにレイズと一緒にこうやって馬車に乗れるのも、後4ヶ月か…
「分かったわ、でも、レイズが用事があるときは、別に気にしなくていいからね」
「いいえ!帰りも姉上と一緒に帰ります!絶対に1人で帰らないで下さい。分かりましたね」
なぜか強めに言われてしまった。変なレイズね。
学院に着くと
「「アンジュ(嬢)、おはよう」」
私の事を待っていてくれたのは、デイビッド様とダルク様だ。正直今はあまり会いたくない2人と登場に、何とも言えない気持ちになる。
「おはようございます」
私も挨拶をする。ふとレイズの方を見ると、デイビッド様を凄い形相で睨んでいたが、そのまま去って行った。珍しいわね、いつもならデイビッド様に文句を言うのに…
そうだわ!
「ダルク様、お怪我の具合はどうですか?痛みとか熱とかは大丈夫でしたか?」
大けがを負った場合、熱が出る事があるのだ。私も以前、大けがを負った時熱が出た。でも…なんで怪我をした時だったかしら?う~ん、思い出せない。
「特に痛みもないし、熱も出なかったよ。というより、本当に大した怪我ではなかったんだ。矢がほんの少しかすっただけだからね」
「そうですか、それなら良かったですわ」
「さあ、アンジュ、教室に向かおう。昨日の事件の事は、今学院内でも話がもちきりになっているが、アンジュはあまり気にする事はないよ」
スッと私の手を取るデイビッド様。すると反対側の手を、ダルク様が握った。
「ダルク殿、アンジュの手を放してもらえるかな?令息2人から手を握られているだなんて、意地悪な令嬢たちがどんな噂を流すか分からないじゃないか」
「そうですね、アンジュ嬢の評判が下がったら大変だ。それではデイビッド殿が放せばいいのではないですか?」
お互い見えない火花がバチバチと飛び交っている。一体何なの?どうしたらいいの?1人オロオロしていると
「アンジュ、おはよう。デイビッド様とダルク様も。ダルク様、お怪我の方は大丈夫ですか?」
私達の元にやって来たのは、アリアだ。
「おはよう、アリア」
「アリア嬢、おはよう。怪我の方は大したことないよ。矢がかすっただけだからね」
「それは良かったですわ。それでは私たちはこの辺で。行きましょう、アンジュ」
私の手を握り、歩き出したアリア。彼女のお陰で助かったわ。
目を覚ますと、薄暗い部屋が。どうやら疲れてぐっすりと眠ってしまった様だ。部屋から出ると、興奮気味のレイズがお父様に何か言っていた。
「どうしたの?レイズ、そんなに興奮して」
「姉上…いえ、何でもありません。それよりも、体調は大丈夫ですか?今日弓矢が飛んできたのでしょう?怪我などはないのですか?」
「ありがとう、私は大丈夫よ。ただ…ダルク様が私を庇って怪我をしてしまって…」
「その様だね。幸いダルク殿の怪我も大したことない様だし、アンジュは気にしなくてもいいよ。さあ、夕食にしよう。お腹が空いているだろう?」
「姉上、食堂に行きましょう」
なぜだろう、いつものレイズならもっとワーワー騒ぎそうだが、今日は随分と話に入ってこないのね。それだけレイズも大人になったという事かしら?
そう思いつつ、食事をした。少し眠ったせいか、心も随分と落ち着いた。ただ…やはり考える事と言えば、ダルク様とデイビッド様の事。
彼らが真剣に私に気持ちをぶつけてくれている以上、私も真剣に気持ちに応えないといけない。分かっている…分かっているが、頭の中が混乱して、どうしていいのか分からないのだ。
「アンジュ、大丈夫?食欲がないの?そうよね、事故とはいえ矢が飛んできたのだものね。怖かったわよね」
お母様が心配そうに話しかけてきてくれる。確かに矢が飛んできた時は、びっくりした。ただ、正直矢が飛んで来たことよりも、ダルク様が毒のせいであの様な状況になった事の方がショックだった。
今にも命の灯が消えそうなダルク様の姿を思い出したら、胸が締め付けられ涙が溢れ出した。
「大丈夫かい?アンジュ。やっぱり今日は、もう休みなさい。カリア、アンジュを頼む」
「かしこまりました。さあ、お嬢様」
カリアに支えられ、食堂を後にする。
「お嬢様はご自分でも気づいていない程、心に傷を負っているのです。とにかく今日はお休みください」
そう言って再びカリアがベッドに寝かせてくれた。さらに心配したお母様が、私と一緒に寝ると言い出し、私の部屋にやって来たのだ。
「お母様、私はもう17歳で、4ヶ月後には貴族学院を卒院するのですよ。1人で大丈夫ですわ」
そう伝えたのだが
「私があなたと一緒に寝たいのよ。たまにはいいでしょう」
そう言うと、ギュッと私を抱きしめたお母様。お母様の匂い…落ち着くわ。子供の頃、よくお母様にくっ付いて寝ていたわね。なんだか懐かしくなるとともに安心した私は、すぐに眠りについたのだった。
そして翌日
いつもの様にレイズと一緒に学院へと向かう。
「姉上が卒院するまで、後4ヶ月しかないのです。僕はその時間を大切にしたい、それでですね。これからは帰りも一緒に帰りましょう!後4ヶ月しかないのですから、いいですよね?」
レイズったら、急にどうしたのかしら?でも、確かにレイズと一緒にこうやって馬車に乗れるのも、後4ヶ月か…
「分かったわ、でも、レイズが用事があるときは、別に気にしなくていいからね」
「いいえ!帰りも姉上と一緒に帰ります!絶対に1人で帰らないで下さい。分かりましたね」
なぜか強めに言われてしまった。変なレイズね。
学院に着くと
「「アンジュ(嬢)、おはよう」」
私の事を待っていてくれたのは、デイビッド様とダルク様だ。正直今はあまり会いたくない2人と登場に、何とも言えない気持ちになる。
「おはようございます」
私も挨拶をする。ふとレイズの方を見ると、デイビッド様を凄い形相で睨んでいたが、そのまま去って行った。珍しいわね、いつもならデイビッド様に文句を言うのに…
そうだわ!
「ダルク様、お怪我の具合はどうですか?痛みとか熱とかは大丈夫でしたか?」
大けがを負った場合、熱が出る事があるのだ。私も以前、大けがを負った時熱が出た。でも…なんで怪我をした時だったかしら?う~ん、思い出せない。
「特に痛みもないし、熱も出なかったよ。というより、本当に大した怪我ではなかったんだ。矢がほんの少しかすっただけだからね」
「そうですか、それなら良かったですわ」
「さあ、アンジュ、教室に向かおう。昨日の事件の事は、今学院内でも話がもちきりになっているが、アンジュはあまり気にする事はないよ」
スッと私の手を取るデイビッド様。すると反対側の手を、ダルク様が握った。
「ダルク殿、アンジュの手を放してもらえるかな?令息2人から手を握られているだなんて、意地悪な令嬢たちがどんな噂を流すか分からないじゃないか」
「そうですね、アンジュ嬢の評判が下がったら大変だ。それではデイビッド殿が放せばいいのではないですか?」
お互い見えない火花がバチバチと飛び交っている。一体何なの?どうしたらいいの?1人オロオロしていると
「アンジュ、おはよう。デイビッド様とダルク様も。ダルク様、お怪我の方は大丈夫ですか?」
私達の元にやって来たのは、アリアだ。
「おはよう、アリア」
「アリア嬢、おはよう。怪我の方は大したことないよ。矢がかすっただけだからね」
「それは良かったですわ。それでは私たちはこの辺で。行きましょう、アンジュ」
私の手を握り、歩き出したアリア。彼女のお陰で助かったわ。
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