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第68話:沢山の人が私たちを待っていてくれました
「アンジュ、お疲れ様。あれが私の実家だ」
カリオス王国を出て5日目、ミラージュ王国に入った。そして目の前には、立派なお屋敷が。どうやらあのお屋敷が、ダルク様のご実家、ファリグラス公爵家の様だ。
お屋敷の中に入って行く馬車。すると、沢山の人たちが待っていてくれた。
「あれはスカーレット様だわ。王太子殿下もいらっしゃる。わざわざ来てくださったのね」
私の大切な友人、スカーレット様たちもわざわざ来てくださったのだ。馬車が停まると、ダルク様と一緒に降りた。すると
「あなたがアンジュちゃんね。ダルクを選んでくれてありがとう」
馬車を降りるや否や、金髪の女性に抱きしめられたのだ。
「母上、あなたは何をしているのですか?アンジュが困惑しているでしょう。すぐに離れて下さい」
どうやらダルク様のお母様だった様だ。よく見ると、ダルク様によく似た青色の髪をした男性が3人いる。多分お父様とお兄様たちだろう。その近くには、女性たちがニコニコしながらこちらを見ている。
「皆様、私たちの為にお出迎え頂き、ありがとうございます。カリオス王国から参りました、アンジュ・スィークルンです。どうぞよろしくお願いいたします」
令嬢らしくカーテシーを決める。
「アンジュ様ったら、改まらなくてもいいのですわ。アンジュ様がダルク様を選んでくださり、ミラージュ王国に住んで頂けると聞いた時、本当に嬉しかったのです。どうかこれからも、よろしくお願いいたします」
「私もこれからスカーレット様と一緒に学院に通えると思うと、嬉しいですわ。その上、お出迎えまでしていただき、ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
嬉しそうな顔のスカーレット様とも挨拶を交わす。
「立ち話も何だから、どうか中に入って」
ダルク様のお母様に促され、屋敷の中に入る。一体どこに行くのかしら?そう思っていると
「「「「アンジュ様(嬢)、ダルク様(殿)おかえりなさい」」」」」
案内されたホールには、かつてのクラスメイト達が待っていてくれた。
「皆様、わざわざ私たちの為に集まって下さったのですか?」
「ええ、もちろんですわ。まさかあのダルク様が、アンジュ様を連れて帰ってくるだなんて。お2人とも、本当におめでとうございます」
クラスメイト達が、笑顔で話しかけてくれた。
「皆様、ありがとうございます。こんな風に歓迎されるだなんて…」
なんだか嬉しくて、込みあげる涙をそっとぬぐった。
「さあ、せっかく皆様も集まって下さったのだし、今日はアンジュちゃんが来てくれたお祝いをしましょう。アンジュちゃん、本当にダルクを選んでくれてありがとう」
「こちらこそ、こんな素敵なパーティーを準備して頂き、ありがとうございます。どうかこれから、よろしくお願いいたします。お義母様」
「まあ、お義母様だなんて、嬉しいわ」
キャーキャー言いながら、お義母様が喜んでくれている。その後ダルク様のご家族を紹介してもらった。皆様、とても気さくな方ばかりで、すぐに仲良くなれた。ダルク様が継ぐ予定、結婚後お世話になる予定のファレックス公爵もとてもお優しい方だった。
どうやらファレックス公爵は若い頃に奥様を亡くしたらしい。奥様の事を深く愛していた公爵は、再婚もせずずっと1人で生きて来たそうだ。
「まさかダルクがこんな素敵な令嬢を連れてきてくれるだなんて。アンジュ嬢、どうかダルクと一緒に、公爵家を引っ張って行って欲しい」
目に涙を浮かべながら、そう言ってくれた公爵。彼の期待に応えるためにも、これから頑張らないと!
楽しい時間は、あっと言う間に終わるもの。もうお開きの時間になった。私達は今晩ダルク様の実家にお世話になった後、明日貴族学院の寮に入る予定になっている。
皆を見送った後、私の為に準備してもらった部屋へとやって来た。さすがに今日は疲れた。ゆっくり休もう、そう思っていた時だった。
「アンジュ、ちょっといいかい?」
私の部屋にやって来たのは、ダルク様だ。
「ええ、大丈夫ですわ。一体どうされたのですか?」
「いや…その…この5日、ずっとアンジュと2人きりでアンジュを1人じめできたのに。その、今日は皆が集まっていて、全然アンジュと一緒にいられなかったから…」
少し照れ臭そうに私の元に来ると、ギュッと抱き着いて来たのだ。どうやら寂しかったらしい。ダルク様ったら、可愛いところもあるのね。
なんだか無性にダルク様が愛おしくなって、私もギュッと抱きしめた。
「ダルク様は意外と甘えん坊なのですね。また新たな一面を見られましたわ」
「私はアンジュに嫌われたくなくて、必死に紳士を装って来たからね…私はどうやら、誰か1人に執着するみたいだ。アンジュが他の人と楽しそうに話しているだけで、無性にモヤモヤしてしまうんだよ」
「今までダルク様には、随分不安な思いをさせてしまいましたものね。どうかこれからは私に遠慮せず、ご自分の気持ちを吐き出してください。私はもう、ダルク様以外と結婚するつもりはありませんから。どんなダルク様でも受け止めますわ」
ダルク様には、デイビッド様との事で、嫌な思いや我慢をさせてしまった。だからこそ、婚約する事が決まった今、ダルク様にはもう我慢をして欲しくないのだ。
「ありがとう、アンジュ!それじゃあ、今日は一緒に寝てくれるかい?もちろん、手は出さないから。学院の寮に入ったら、男女別だろう。それにスカーレット様にきっと邪魔されるだろうから。さあ、そうと決まれば、もう寝よう」
えっ?一緒に寝る?スカーレット様に邪魔される?
一瞬ダルク様が言っている意味が分からず、固まる私を、嬉しそうにベッドへと誘導するダルク様。そのままギュッと抱きしめられた。
さすがに一緒に眠るのはまずいのでは?そう思ったのだが、なぜか笑顔で出ていくカリア。今までのダルク様の紳士っぷりを知っているカリアは、大丈夫と認識したのだろう。
まあ、今日くらいいいか。
ダルク様の温もりを感じながら、そのまま眠りについたのだった。
次回、最終話です。
よろしくお願いいたします。
カリオス王国を出て5日目、ミラージュ王国に入った。そして目の前には、立派なお屋敷が。どうやらあのお屋敷が、ダルク様のご実家、ファリグラス公爵家の様だ。
お屋敷の中に入って行く馬車。すると、沢山の人たちが待っていてくれた。
「あれはスカーレット様だわ。王太子殿下もいらっしゃる。わざわざ来てくださったのね」
私の大切な友人、スカーレット様たちもわざわざ来てくださったのだ。馬車が停まると、ダルク様と一緒に降りた。すると
「あなたがアンジュちゃんね。ダルクを選んでくれてありがとう」
馬車を降りるや否や、金髪の女性に抱きしめられたのだ。
「母上、あなたは何をしているのですか?アンジュが困惑しているでしょう。すぐに離れて下さい」
どうやらダルク様のお母様だった様だ。よく見ると、ダルク様によく似た青色の髪をした男性が3人いる。多分お父様とお兄様たちだろう。その近くには、女性たちがニコニコしながらこちらを見ている。
「皆様、私たちの為にお出迎え頂き、ありがとうございます。カリオス王国から参りました、アンジュ・スィークルンです。どうぞよろしくお願いいたします」
令嬢らしくカーテシーを決める。
「アンジュ様ったら、改まらなくてもいいのですわ。アンジュ様がダルク様を選んでくださり、ミラージュ王国に住んで頂けると聞いた時、本当に嬉しかったのです。どうかこれからも、よろしくお願いいたします」
「私もこれからスカーレット様と一緒に学院に通えると思うと、嬉しいですわ。その上、お出迎えまでしていただき、ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
嬉しそうな顔のスカーレット様とも挨拶を交わす。
「立ち話も何だから、どうか中に入って」
ダルク様のお母様に促され、屋敷の中に入る。一体どこに行くのかしら?そう思っていると
「「「「アンジュ様(嬢)、ダルク様(殿)おかえりなさい」」」」」
案内されたホールには、かつてのクラスメイト達が待っていてくれた。
「皆様、わざわざ私たちの為に集まって下さったのですか?」
「ええ、もちろんですわ。まさかあのダルク様が、アンジュ様を連れて帰ってくるだなんて。お2人とも、本当におめでとうございます」
クラスメイト達が、笑顔で話しかけてくれた。
「皆様、ありがとうございます。こんな風に歓迎されるだなんて…」
なんだか嬉しくて、込みあげる涙をそっとぬぐった。
「さあ、せっかく皆様も集まって下さったのだし、今日はアンジュちゃんが来てくれたお祝いをしましょう。アンジュちゃん、本当にダルクを選んでくれてありがとう」
「こちらこそ、こんな素敵なパーティーを準備して頂き、ありがとうございます。どうかこれから、よろしくお願いいたします。お義母様」
「まあ、お義母様だなんて、嬉しいわ」
キャーキャー言いながら、お義母様が喜んでくれている。その後ダルク様のご家族を紹介してもらった。皆様、とても気さくな方ばかりで、すぐに仲良くなれた。ダルク様が継ぐ予定、結婚後お世話になる予定のファレックス公爵もとてもお優しい方だった。
どうやらファレックス公爵は若い頃に奥様を亡くしたらしい。奥様の事を深く愛していた公爵は、再婚もせずずっと1人で生きて来たそうだ。
「まさかダルクがこんな素敵な令嬢を連れてきてくれるだなんて。アンジュ嬢、どうかダルクと一緒に、公爵家を引っ張って行って欲しい」
目に涙を浮かべながら、そう言ってくれた公爵。彼の期待に応えるためにも、これから頑張らないと!
楽しい時間は、あっと言う間に終わるもの。もうお開きの時間になった。私達は今晩ダルク様の実家にお世話になった後、明日貴族学院の寮に入る予定になっている。
皆を見送った後、私の為に準備してもらった部屋へとやって来た。さすがに今日は疲れた。ゆっくり休もう、そう思っていた時だった。
「アンジュ、ちょっといいかい?」
私の部屋にやって来たのは、ダルク様だ。
「ええ、大丈夫ですわ。一体どうされたのですか?」
「いや…その…この5日、ずっとアンジュと2人きりでアンジュを1人じめできたのに。その、今日は皆が集まっていて、全然アンジュと一緒にいられなかったから…」
少し照れ臭そうに私の元に来ると、ギュッと抱き着いて来たのだ。どうやら寂しかったらしい。ダルク様ったら、可愛いところもあるのね。
なんだか無性にダルク様が愛おしくなって、私もギュッと抱きしめた。
「ダルク様は意外と甘えん坊なのですね。また新たな一面を見られましたわ」
「私はアンジュに嫌われたくなくて、必死に紳士を装って来たからね…私はどうやら、誰か1人に執着するみたいだ。アンジュが他の人と楽しそうに話しているだけで、無性にモヤモヤしてしまうんだよ」
「今までダルク様には、随分不安な思いをさせてしまいましたものね。どうかこれからは私に遠慮せず、ご自分の気持ちを吐き出してください。私はもう、ダルク様以外と結婚するつもりはありませんから。どんなダルク様でも受け止めますわ」
ダルク様には、デイビッド様との事で、嫌な思いや我慢をさせてしまった。だからこそ、婚約する事が決まった今、ダルク様にはもう我慢をして欲しくないのだ。
「ありがとう、アンジュ!それじゃあ、今日は一緒に寝てくれるかい?もちろん、手は出さないから。学院の寮に入ったら、男女別だろう。それにスカーレット様にきっと邪魔されるだろうから。さあ、そうと決まれば、もう寝よう」
えっ?一緒に寝る?スカーレット様に邪魔される?
一瞬ダルク様が言っている意味が分からず、固まる私を、嬉しそうにベッドへと誘導するダルク様。そのままギュッと抱きしめられた。
さすがに一緒に眠るのはまずいのでは?そう思ったのだが、なぜか笑顔で出ていくカリア。今までのダルク様の紳士っぷりを知っているカリアは、大丈夫と認識したのだろう。
まあ、今日くらいいいか。
ダルク様の温もりを感じながら、そのまま眠りについたのだった。
次回、最終話です。
よろしくお願いいたします。
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