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デイビッドとのIFストーリー
デイビッドとのIFストーリー4
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事件から5日後、やっと熱が下がった。元気になると同時に、すぐに2人に手紙を出し、時間を作ってもらう様依頼したのだ。
2人とも快く承諾してくれたため、2人に会う為に準備を整える。そして、馬車へと乗り込んだ。まず向かった先は、ダルク様のいる王宮だ。王宮に着くと、既にダルク様が待っていてくれた。
「アンジュ嬢、よく来てくれたね。随分と長い間熱を出していた様だけれど、大丈夫だったかい?」
「ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。もうすっかり元気になりましたわ」
「それは良かった。さあ、中に入ってくれ」
ダルク様に案内され、部屋へと通される。そして2人で向かい合わせに座った。
「ダルク様、明日帰国されるのに、急に押しかけて申し訳ございません。ですが、どうしてもダルク様が帰国する前に、気持ちを伝えておきたかったのです」
真っすぐダルク様を見つめ、そう告げた。そんな私に対し、ダルク様はスッと視線を晒したのだ。その瞳は酷く動揺していて、とても不安げだ。
「ダルク様、初めて私たちが交流を持った時の事を覚えておりますか?私がひな鳥を助けようとして、木から落ちた時に助けて下さいましたよね。あの後、病院に連れて行って下さいました。今思えば、あの時からダルク様には本当に良くしてもらっておりましたわ。そしてこの国に来て、あなた様は本当に表情が豊かになった。私、ダルク様の笑顔が大好きですわ」
「私の笑顔が大好きという事は、私と一緒にミラージュ王国に来てくれるのかい?」
必死にダルク様が訴えてくる。そんなダルク様に向かって、ゆっくり首を横に振った。
「申し訳ございません。ダスク様の事は好きです。ですが、友人の1人として好きという意味です。スカーレット様や王太子殿下と同じように、大切な友人の1人なのです。ですから、ダルク様と一緒に、ミラージュ王国に向かう事は出来ません。本当にごめんなさい。それからこのドレス、お返しいたしますわ」
ダルク様がデザインしてくれたドレスを彼に返すと、ゆっくりと頭を下げた。
「…アンジュ嬢…何となく断られる様な気がしていたが、やはり本人から正式に断られると辛いな…」
「本当に申し訳ございません。ですがやはり私は、デイビッド様と未来を歩んでいきたいのです。すれ違ってしまった期間はありましたが、それでも私は、デイビッド様の事を愛しております」
「分かったよ、アンジュ嬢。君が決めた事なら、私は受け入れるよ。どうか…どうか今度こそデイビッド殿に大切にしてもらうんだよ」
ダルク様の瞳から、ポロポロと涙が溢れている。
「あれ?私、泣いているのかな?私でも泣く事が出来るのだな。きっとアンジュ嬢が、私に人間としての感情を教えてくれたのだね。ありがとう、アンジュ嬢。君に会えて、本当によかった」
「私の方こそ、ダルク様にお会いできて本当によかったですわ。どうかダルク様も、素敵な令嬢を見つけて下さい。今のあなた様でしたら、きっと素敵な令嬢に出会えますわ。私はこの国で、あなた様の幸せを祈っておりますから」
「ありがとう、アンジュ嬢…」
そう言うと、ダルク様が泣きながらほほ笑んでくれた。彼の涙を見た瞬間、胸が締め付けられた。でも、自分で決めた事だ。後悔はない。
「それでは私はそろそろ失礼いたします。ダルク様、国に戻っても、どうかその素敵な笑顔を忘れないで下さいね。本当にお世話になりました」
改めてダルク様に向かって、頭を下げた。
「ああ…君が好きだと言ってくれた笑顔を、私は絶対に忘れない。私はフラれてしまったけれど、どうかまたミラージュ王国にも遊びに来て欲しい。きっと殿下やスカーレット様も、君に会いたがっているだろうから。それから、私はこれからもミラージュ王国とカリオス王国、2つの国の架け橋になれる様に頑張るよ。君のお陰で、私には新たな目標が出来たからね」
「ありがとうございます、ぜひ遊びに行かせていただきますわ。それから、ダルク様ならきっと、2つの国の架け橋になれると思います。それでは私はこれで、失礼いたします」
ダルク様に一礼して部屋から出る。そして馬車に乗り込んだ。わざわざ私を見送るために、着いて来てくれたダルク様が、私に向かって手を振ってくれている。私もダルク様に手を振る。
さようなら、ダルク様。どうかミラージュ王国で、幸せになってください。心の中でダルク様の幸せを、そっと願ったのだった。
2人とも快く承諾してくれたため、2人に会う為に準備を整える。そして、馬車へと乗り込んだ。まず向かった先は、ダルク様のいる王宮だ。王宮に着くと、既にダルク様が待っていてくれた。
「アンジュ嬢、よく来てくれたね。随分と長い間熱を出していた様だけれど、大丈夫だったかい?」
「ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。もうすっかり元気になりましたわ」
「それは良かった。さあ、中に入ってくれ」
ダルク様に案内され、部屋へと通される。そして2人で向かい合わせに座った。
「ダルク様、明日帰国されるのに、急に押しかけて申し訳ございません。ですが、どうしてもダルク様が帰国する前に、気持ちを伝えておきたかったのです」
真っすぐダルク様を見つめ、そう告げた。そんな私に対し、ダルク様はスッと視線を晒したのだ。その瞳は酷く動揺していて、とても不安げだ。
「ダルク様、初めて私たちが交流を持った時の事を覚えておりますか?私がひな鳥を助けようとして、木から落ちた時に助けて下さいましたよね。あの後、病院に連れて行って下さいました。今思えば、あの時からダルク様には本当に良くしてもらっておりましたわ。そしてこの国に来て、あなた様は本当に表情が豊かになった。私、ダルク様の笑顔が大好きですわ」
「私の笑顔が大好きという事は、私と一緒にミラージュ王国に来てくれるのかい?」
必死にダルク様が訴えてくる。そんなダルク様に向かって、ゆっくり首を横に振った。
「申し訳ございません。ダスク様の事は好きです。ですが、友人の1人として好きという意味です。スカーレット様や王太子殿下と同じように、大切な友人の1人なのです。ですから、ダルク様と一緒に、ミラージュ王国に向かう事は出来ません。本当にごめんなさい。それからこのドレス、お返しいたしますわ」
ダルク様がデザインしてくれたドレスを彼に返すと、ゆっくりと頭を下げた。
「…アンジュ嬢…何となく断られる様な気がしていたが、やはり本人から正式に断られると辛いな…」
「本当に申し訳ございません。ですがやはり私は、デイビッド様と未来を歩んでいきたいのです。すれ違ってしまった期間はありましたが、それでも私は、デイビッド様の事を愛しております」
「分かったよ、アンジュ嬢。君が決めた事なら、私は受け入れるよ。どうか…どうか今度こそデイビッド殿に大切にしてもらうんだよ」
ダルク様の瞳から、ポロポロと涙が溢れている。
「あれ?私、泣いているのかな?私でも泣く事が出来るのだな。きっとアンジュ嬢が、私に人間としての感情を教えてくれたのだね。ありがとう、アンジュ嬢。君に会えて、本当によかった」
「私の方こそ、ダルク様にお会いできて本当によかったですわ。どうかダルク様も、素敵な令嬢を見つけて下さい。今のあなた様でしたら、きっと素敵な令嬢に出会えますわ。私はこの国で、あなた様の幸せを祈っておりますから」
「ありがとう、アンジュ嬢…」
そう言うと、ダルク様が泣きながらほほ笑んでくれた。彼の涙を見た瞬間、胸が締め付けられた。でも、自分で決めた事だ。後悔はない。
「それでは私はそろそろ失礼いたします。ダルク様、国に戻っても、どうかその素敵な笑顔を忘れないで下さいね。本当にお世話になりました」
改めてダルク様に向かって、頭を下げた。
「ああ…君が好きだと言ってくれた笑顔を、私は絶対に忘れない。私はフラれてしまったけれど、どうかまたミラージュ王国にも遊びに来て欲しい。きっと殿下やスカーレット様も、君に会いたがっているだろうから。それから、私はこれからもミラージュ王国とカリオス王国、2つの国の架け橋になれる様に頑張るよ。君のお陰で、私には新たな目標が出来たからね」
「ありがとうございます、ぜひ遊びに行かせていただきますわ。それから、ダルク様ならきっと、2つの国の架け橋になれると思います。それでは私はこれで、失礼いたします」
ダルク様に一礼して部屋から出る。そして馬車に乗り込んだ。わざわざ私を見送るために、着いて来てくれたダルク様が、私に向かって手を振ってくれている。私もダルク様に手を振る。
さようなら、ダルク様。どうかミラージュ王国で、幸せになってください。心の中でダルク様の幸せを、そっと願ったのだった。
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