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デイビッドとのIFストーリー
デイビッドとのIFストーリー5
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次に私が向かった先は、デイビッド様のお屋敷だ。デイビッド様だけでなく、ご両親まで一緒に待っていてくれた。私にとてもよくしてくださったデイビッド様のご両親。彼らの顔を見たら、なんだか懐かしい気持ちになった。
「アンジュ、元気そうでよかったよ」
「アンジュ嬢、よく来てくれたね。さあ、中には入ってくれ」
「アンジュちゃんが誘拐されたと聞いた時は、本当に心配したのよ。でも、元気そうでよかったわ」
「おじ様、おば様、ご無沙汰しております。デイビッド様、今日はお時間を作って下さり、ありがとうございます。少しだけお話ししたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。さあ、中に入って」
デイビッド様に促され、案内された部屋は、いつもの客間ではなく、デイビッド様のお部屋だ。
「子供の頃、よくデイビッド様とこのお部屋で遊びましたわね。あの頃と、あまり変わっておりませんわ。懐かしい…」
まだ私とデイビッド様が仲良しだった頃、よくデイビッド様のお部屋で一緒に遊んだのだ。あの頃と、ほとんど変わっていない部屋を見て、なんだか懐かしい気持ちになる。
「そうだったね。アンジュ、俺はあの頃からずっと、アンジュが大好きだ。もちろん、その気持ちは今も変わらない。アンジュが誘拐されて、俺のせいで怪我をしてしまった時、どうしても自分が許せなかった。言い訳がましいと思われるかもしれないが、アンジュを守るためには、何が何でも騎士団長にならないといけない。騎士団長になるまでは、俺にはアンジュの傍にいる権利はないとずっと思いこんでいた。でも、その思い込みが、アンジュを傷つけているとも気が付かずに…俺はアンジュを失って、初めてその事に気が付いたんだ。本当に愚かな男だ…」
そう呟くと、悔しそうに唇をかむデイビッド様。そして、再び私の方を真っすぐ見つめる。
「それでも俺は、誰よりもアンジュを愛している。もしアンジュが俺を選んでくれると言うのなら、もう二度とアンジュを悲しませない。ずっとずっと、アンジュが俺といるのが嫌だと言うくらい、傍にいる。俺にとってアンジュは、生きる希望、アンジュがいるから俺は頑張れるんだ。俺は不器用で視野が狭いどうしようもない男だけれど、アンジュを愛している気持ちは誰にも負けない。だから、どうかもう一度俺にチャンスを下さい」
デイビッド様が頭を下げた。
「デイビッド様、頭をお上げください。確かにデイビッド様に冷たく当たられた日々は、私にとって辛く悲しい時間でした。全てが嫌になり、ミラージュ王国に留学したこともありました。でも、帰国後は昔の優しいデイビッド様に戻っていて…正直戸惑いの方が大きかったです。今更どういうつもりだろうと、怒りを覚える事もありました。それでもデイビッド様と過ごしていくうちに、あなた様はずっと私を愛してくれていたのだという事に気が付いたのです」
私は不安そうな顔のデイビッド様を見つめ、そっと手を握った。
「ラミネス様に襲われ熱を出した時、私は全てを思い出しました。盗賊に襲われたあの日、デイビッド様を庇って怪我をして、熱を出した日の事を…涙を流し、何度も何度も謝るあなた様の姿を…デイビッド様がなぜそこまで騎士団長にこだわっていたのか、今なら何となくわかるのです。あなた様はあの日、私を助けられなかった事を酷く後悔し、騎士団長になるまでは、ご自分のお気持ちを封印しようと決めたのでしょう?あなた様は一度決めたら絶対曲げない、頑固なところがありますものね。その証拠に、もう私を泣かせないと決めた後は、ご自分すら傷つけないように、あのような服まで着て。お父様に聞きましたが、あの服は重くて動きにくくて、よほどのことがないと着ない服だと言っておりましたわ」
本当にこの人は、一度決めたら絶対に曲げない、頑固なところがあるのだ。まさかあんな服まで着ていただなんて。それでも私をもう二度と悲しませないために、彼なりに必死に考えての事だろう。
「デイビッド様、私はそんな真っすぐなデイビッド様が、大好きだったのです。一度は過去のものにしようとしたこの気持ちですが、やはり私には過去のものにする事は出来ない様ですわ。だって私は、デイビッド様が大好きなのですもの。少し不器用でこうと決めたら絶対に曲げない、デイビッド様が。私もデイビッド様を愛しています。あなたと共に、未来を歩んでいきたい、そう思っておりますわ」
「それは本当かい?本当に俺の傍にいてくれるのかい?」
「ええ、もちろんですわ。すれ違ってしまった時間を、これからは2人でゆっくり埋めていきましょう」
「ありがとう…ありがとう、アンジュ。俺、ずっと不安だった。いつかアンジュが、ダルク殿とミラージュ王国に行ってしまうのではないかと…夜もろくに眠れなくて…」
ポロポロと涙を流すデイビッド様が、ギュッと抱きしめてくれる。やっぱりデイビッド様の腕の中は、温かくて落ち着く。私もデイビッド様にギュッと抱き着いた。
「アンジュ、もう二度と君を悲しませたりしないし、絶対に離さない!アンジュ、愛している。これからはずっと一緒だ」
「ええ、これからはずっと一緒です」
ゆっくりとデイビッド様から離れると、どちらともなくゆっくり近づき、そして唇が重なった。この日やっと、すれ違っていた2人の想いが1つになったのだった。
次回、最終話です。
よろしくお願いしますm(__)m
「アンジュ、元気そうでよかったよ」
「アンジュ嬢、よく来てくれたね。さあ、中には入ってくれ」
「アンジュちゃんが誘拐されたと聞いた時は、本当に心配したのよ。でも、元気そうでよかったわ」
「おじ様、おば様、ご無沙汰しております。デイビッド様、今日はお時間を作って下さり、ありがとうございます。少しだけお話ししたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。さあ、中に入って」
デイビッド様に促され、案内された部屋は、いつもの客間ではなく、デイビッド様のお部屋だ。
「子供の頃、よくデイビッド様とこのお部屋で遊びましたわね。あの頃と、あまり変わっておりませんわ。懐かしい…」
まだ私とデイビッド様が仲良しだった頃、よくデイビッド様のお部屋で一緒に遊んだのだ。あの頃と、ほとんど変わっていない部屋を見て、なんだか懐かしい気持ちになる。
「そうだったね。アンジュ、俺はあの頃からずっと、アンジュが大好きだ。もちろん、その気持ちは今も変わらない。アンジュが誘拐されて、俺のせいで怪我をしてしまった時、どうしても自分が許せなかった。言い訳がましいと思われるかもしれないが、アンジュを守るためには、何が何でも騎士団長にならないといけない。騎士団長になるまでは、俺にはアンジュの傍にいる権利はないとずっと思いこんでいた。でも、その思い込みが、アンジュを傷つけているとも気が付かずに…俺はアンジュを失って、初めてその事に気が付いたんだ。本当に愚かな男だ…」
そう呟くと、悔しそうに唇をかむデイビッド様。そして、再び私の方を真っすぐ見つめる。
「それでも俺は、誰よりもアンジュを愛している。もしアンジュが俺を選んでくれると言うのなら、もう二度とアンジュを悲しませない。ずっとずっと、アンジュが俺といるのが嫌だと言うくらい、傍にいる。俺にとってアンジュは、生きる希望、アンジュがいるから俺は頑張れるんだ。俺は不器用で視野が狭いどうしようもない男だけれど、アンジュを愛している気持ちは誰にも負けない。だから、どうかもう一度俺にチャンスを下さい」
デイビッド様が頭を下げた。
「デイビッド様、頭をお上げください。確かにデイビッド様に冷たく当たられた日々は、私にとって辛く悲しい時間でした。全てが嫌になり、ミラージュ王国に留学したこともありました。でも、帰国後は昔の優しいデイビッド様に戻っていて…正直戸惑いの方が大きかったです。今更どういうつもりだろうと、怒りを覚える事もありました。それでもデイビッド様と過ごしていくうちに、あなた様はずっと私を愛してくれていたのだという事に気が付いたのです」
私は不安そうな顔のデイビッド様を見つめ、そっと手を握った。
「ラミネス様に襲われ熱を出した時、私は全てを思い出しました。盗賊に襲われたあの日、デイビッド様を庇って怪我をして、熱を出した日の事を…涙を流し、何度も何度も謝るあなた様の姿を…デイビッド様がなぜそこまで騎士団長にこだわっていたのか、今なら何となくわかるのです。あなた様はあの日、私を助けられなかった事を酷く後悔し、騎士団長になるまでは、ご自分のお気持ちを封印しようと決めたのでしょう?あなた様は一度決めたら絶対曲げない、頑固なところがありますものね。その証拠に、もう私を泣かせないと決めた後は、ご自分すら傷つけないように、あのような服まで着て。お父様に聞きましたが、あの服は重くて動きにくくて、よほどのことがないと着ない服だと言っておりましたわ」
本当にこの人は、一度決めたら絶対に曲げない、頑固なところがあるのだ。まさかあんな服まで着ていただなんて。それでも私をもう二度と悲しませないために、彼なりに必死に考えての事だろう。
「デイビッド様、私はそんな真っすぐなデイビッド様が、大好きだったのです。一度は過去のものにしようとしたこの気持ちですが、やはり私には過去のものにする事は出来ない様ですわ。だって私は、デイビッド様が大好きなのですもの。少し不器用でこうと決めたら絶対に曲げない、デイビッド様が。私もデイビッド様を愛しています。あなたと共に、未来を歩んでいきたい、そう思っておりますわ」
「それは本当かい?本当に俺の傍にいてくれるのかい?」
「ええ、もちろんですわ。すれ違ってしまった時間を、これからは2人でゆっくり埋めていきましょう」
「ありがとう…ありがとう、アンジュ。俺、ずっと不安だった。いつかアンジュが、ダルク殿とミラージュ王国に行ってしまうのではないかと…夜もろくに眠れなくて…」
ポロポロと涙を流すデイビッド様が、ギュッと抱きしめてくれる。やっぱりデイビッド様の腕の中は、温かくて落ち着く。私もデイビッド様にギュッと抱き着いた。
「アンジュ、もう二度と君を悲しませたりしないし、絶対に離さない!アンジュ、愛している。これからはずっと一緒だ」
「ええ、これからはずっと一緒です」
ゆっくりとデイビッド様から離れると、どちらともなくゆっくり近づき、そして唇が重なった。この日やっと、すれ違っていた2人の想いが1つになったのだった。
次回、最終話です。
よろしくお願いしますm(__)m
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