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デイビッドとのIFストーリー
デイビッドとのIFストーリー6
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「アンジュ、本当に俺を選んでくれてありがとう。その…ダルク殿の件は…」
「デイビッド様のお家に来る前に、きちんとお別れを言って参りましたので大丈夫ですわ」
「そうか…それじゃあ、もう二度とダルク殿とは会わないし、二度とミラージュ王国に行く事もないのだよね?」
なぜか笑顔で呟くデイビッド様。
「あの…その…ダルク様とは、今後も友人の1人として接して行けたらと…それにミラージュ王国の王太子殿下とスカーレット様の結婚式の時には、私も参列したいですし…」
「君は何を言っているのだい?誰が恋敵のいる国になんて、行かせるものか!と言いたいところだが、アンジュが望むなら致し方ない。ただし、ミラージュ王国に行くときは、俺も一緒だ。もちろん、ひと時も傍を離れる事はないから、そのつもりで。分かったね!」
「ええ…分かりましたわ…」
とはいっても、2人の結婚式はまだ先だし、しばらくダルク様に会う事はないのだが…なんだか殺気立っているデイビッド様に、これ以上ダルク様やミラージュ王国の話をする事は出来ない。
「さあ、両親にも報告に行こう。きっと涙を流して喜ぶよ」
「そうですわね、行きましょうか」
2人で手を繋いで部屋の外に出ると、デイビッド様専属の執事が声をかけて来た。
「デイビッド坊ちゃま、旦那様と奥様、アンジュ様のご両親がお待ちです」
「アンジュのご両親も待っているのかい?」
なぜうちの両親まで来ているのか理解できないが、2人で急いで皆が待つ部屋へと向かった。その部屋は、いつもデイビッド様に婚約を申し込んでは断られていた部屋だ。
「アンジュ、君にとってこの部屋は、あまりいい思い出がない部屋だね。本当にごめんね」
私の手をギュッと握り、デイビッド様が悲しそうに呟く。確かにこの部屋には良い思い出はない。でも…
「デイビッド様、もう気にしないで下さい。それにあまり良い思い出がないお部屋なら、良い思い出のお部屋に変えればいいだけですわ」
「アンジュ、君って子は…」
「さあ、両親たちが待っていますわ。参りましょう」
デイビッド様の手を強く握ると、そのまま2人で部屋に入って行った。
「アンジュちゃん、デイビッドを受け入れてくれて、本当にありがとう。デイビッドはあんなにも酷い事をアンジュちゃんにして来たのに…どうかこれからも、デイビッドの事をよろしくお願いします」
「アンジュ嬢、私からもお礼を言わせてくれ。本当にありがとう。デイビッドは変に頑固で、面倒な男だがどうか…どうか傍にいてやって欲しい。君がいてくれるだけで、デイビッドは生きていけるのだから」
デイビッド様のご両親が涙を流して私の手を握り、頭を下げている。まさかデイビッド様のお父様まで涙を流すだなんて…
「父上、母上。嬉しいのは分かりますが、アンジュに気安く触らないでくれ。さあ、アンジュ、こっちにおいで」
なぜかご両親から私の手を奪い取ると、そのままソファに私を座らせるデイビッド様。
「デイビッド様、お2人ともデイビッド様の事を物凄く心配してくださっていたのですよ。こちらこそ、どうかこれからもよろしくお願いいたします」
スッと立ち上がり、お2人に頭を下げた。
「さあ、アンジュ。座って。それよりも、皆集まってどうされたのですか?」
少し不機嫌顔のデイビッド様が、お父様に語り掛けている。
「実は昨日、アンジュからデイビッド殿と共に未来を歩みたいと聞いてね。デイビッド殿には5度も婚約を断られているから、デイビッド殿の気が変わらないうちに、婚約を結んでしまおうと思ってね」
ちょっとお父様、確かに私はデイビッド様に5度婚約を断られているけれど、その後はとても大切にして頂いていたわ。いくら何でも失礼よ。
そう思ったのだが…
「侯爵やアンジュには、本当に辛い思いをさせてしまった事、申し訳なく思っております。ただ、俺は二度とアンジュを手放すつもりもありません!これだけははっきり言わせてください。それから、今から婚約を結ぶ事については賛成です。いつアンジュの気が変わって、ダルク殿の元に行きたいと言うか分からないからね。逃げられない様に、一秒でも早く婚約を結ぶべきだ!」
私の腰に手を回し、デイビッド様が叫んでいる。ですから、もう私はデイビッド様から逃げたりしないのだけれど…
「それでは、早速婚約届にサインをして頂きましょう。私達親のサインは既に済んでいますので、後は当人たちのサインだけです」
お父様がスッと紙を出してきた。サラサラとサインをしたデイビッド様に、紙を渡された。これが婚約届の紙なのね。初めて見たわ。
「アンジュ、婚約届の紙を見つめてどうしたのだい?もしかして、やっぱり俺と婚約するのが嫌になった訳ではないよね…」
耳元でデイビッド様が恐ろしいほど低い声で呟いている。これはまずいわ。
「そんな事はありませんわ。すぐにサインをしますね」
急いでサインをして、お父様に紙を渡した。
「それではこれは、私が責任を持って提出してきます。デイビッド殿、もう二度とアンジュを悲しませないで下さいよ」
「ええ、分かっています。二度とアンジュを悲しませたりしません!アンジュ、これからはずっと一緒だ。もう二度と離さないから」
「私も、もう二度と離れませんわ。ずっと一緒です!」
ギュッと抱きしめてくれるデイビッド様、私も強く抱きしめ返す。随分遠回りをしてしまったけれど、やっとデイビッド様と結ばれたのだ。
デイビッド様を思って、何度も何度も涙を流した。でも…それももうおしまい。これからは、沢山の笑顔と楽しい思い出を作っていきたい。
2人で一緒に。
おしまい
~あとがき~
これにてIFストーリーは完結です。
少し早足になってしまいましたが、もしアンジュがデイビッドを選んでいたら、こんな感じかなっと思って書きました。
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m
「デイビッド様のお家に来る前に、きちんとお別れを言って参りましたので大丈夫ですわ」
「そうか…それじゃあ、もう二度とダルク殿とは会わないし、二度とミラージュ王国に行く事もないのだよね?」
なぜか笑顔で呟くデイビッド様。
「あの…その…ダルク様とは、今後も友人の1人として接して行けたらと…それにミラージュ王国の王太子殿下とスカーレット様の結婚式の時には、私も参列したいですし…」
「君は何を言っているのだい?誰が恋敵のいる国になんて、行かせるものか!と言いたいところだが、アンジュが望むなら致し方ない。ただし、ミラージュ王国に行くときは、俺も一緒だ。もちろん、ひと時も傍を離れる事はないから、そのつもりで。分かったね!」
「ええ…分かりましたわ…」
とはいっても、2人の結婚式はまだ先だし、しばらくダルク様に会う事はないのだが…なんだか殺気立っているデイビッド様に、これ以上ダルク様やミラージュ王国の話をする事は出来ない。
「さあ、両親にも報告に行こう。きっと涙を流して喜ぶよ」
「そうですわね、行きましょうか」
2人で手を繋いで部屋の外に出ると、デイビッド様専属の執事が声をかけて来た。
「デイビッド坊ちゃま、旦那様と奥様、アンジュ様のご両親がお待ちです」
「アンジュのご両親も待っているのかい?」
なぜうちの両親まで来ているのか理解できないが、2人で急いで皆が待つ部屋へと向かった。その部屋は、いつもデイビッド様に婚約を申し込んでは断られていた部屋だ。
「アンジュ、君にとってこの部屋は、あまりいい思い出がない部屋だね。本当にごめんね」
私の手をギュッと握り、デイビッド様が悲しそうに呟く。確かにこの部屋には良い思い出はない。でも…
「デイビッド様、もう気にしないで下さい。それにあまり良い思い出がないお部屋なら、良い思い出のお部屋に変えればいいだけですわ」
「アンジュ、君って子は…」
「さあ、両親たちが待っていますわ。参りましょう」
デイビッド様の手を強く握ると、そのまま2人で部屋に入って行った。
「アンジュちゃん、デイビッドを受け入れてくれて、本当にありがとう。デイビッドはあんなにも酷い事をアンジュちゃんにして来たのに…どうかこれからも、デイビッドの事をよろしくお願いします」
「アンジュ嬢、私からもお礼を言わせてくれ。本当にありがとう。デイビッドは変に頑固で、面倒な男だがどうか…どうか傍にいてやって欲しい。君がいてくれるだけで、デイビッドは生きていけるのだから」
デイビッド様のご両親が涙を流して私の手を握り、頭を下げている。まさかデイビッド様のお父様まで涙を流すだなんて…
「父上、母上。嬉しいのは分かりますが、アンジュに気安く触らないでくれ。さあ、アンジュ、こっちにおいで」
なぜかご両親から私の手を奪い取ると、そのままソファに私を座らせるデイビッド様。
「デイビッド様、お2人ともデイビッド様の事を物凄く心配してくださっていたのですよ。こちらこそ、どうかこれからもよろしくお願いいたします」
スッと立ち上がり、お2人に頭を下げた。
「さあ、アンジュ。座って。それよりも、皆集まってどうされたのですか?」
少し不機嫌顔のデイビッド様が、お父様に語り掛けている。
「実は昨日、アンジュからデイビッド殿と共に未来を歩みたいと聞いてね。デイビッド殿には5度も婚約を断られているから、デイビッド殿の気が変わらないうちに、婚約を結んでしまおうと思ってね」
ちょっとお父様、確かに私はデイビッド様に5度婚約を断られているけれど、その後はとても大切にして頂いていたわ。いくら何でも失礼よ。
そう思ったのだが…
「侯爵やアンジュには、本当に辛い思いをさせてしまった事、申し訳なく思っております。ただ、俺は二度とアンジュを手放すつもりもありません!これだけははっきり言わせてください。それから、今から婚約を結ぶ事については賛成です。いつアンジュの気が変わって、ダルク殿の元に行きたいと言うか分からないからね。逃げられない様に、一秒でも早く婚約を結ぶべきだ!」
私の腰に手を回し、デイビッド様が叫んでいる。ですから、もう私はデイビッド様から逃げたりしないのだけれど…
「それでは、早速婚約届にサインをして頂きましょう。私達親のサインは既に済んでいますので、後は当人たちのサインだけです」
お父様がスッと紙を出してきた。サラサラとサインをしたデイビッド様に、紙を渡された。これが婚約届の紙なのね。初めて見たわ。
「アンジュ、婚約届の紙を見つめてどうしたのだい?もしかして、やっぱり俺と婚約するのが嫌になった訳ではないよね…」
耳元でデイビッド様が恐ろしいほど低い声で呟いている。これはまずいわ。
「そんな事はありませんわ。すぐにサインをしますね」
急いでサインをして、お父様に紙を渡した。
「それではこれは、私が責任を持って提出してきます。デイビッド殿、もう二度とアンジュを悲しませないで下さいよ」
「ええ、分かっています。二度とアンジュを悲しませたりしません!アンジュ、これからはずっと一緒だ。もう二度と離さないから」
「私も、もう二度と離れませんわ。ずっと一緒です!」
ギュッと抱きしめてくれるデイビッド様、私も強く抱きしめ返す。随分遠回りをしてしまったけれど、やっとデイビッド様と結ばれたのだ。
デイビッド様を思って、何度も何度も涙を流した。でも…それももうおしまい。これからは、沢山の笑顔と楽しい思い出を作っていきたい。
2人で一緒に。
おしまい
~あとがき~
これにてIFストーリーは完結です。
少し早足になってしまいましたが、もしアンジュがデイビッドを選んでいたら、こんな感じかなっと思って書きました。
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m
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