婚約者を奪われ魔物討伐部隊に入れられた私ですが、騎士団長に溺愛されました

Karamimi

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第23話:クレアの為に沢山の人が動いてくれた~マケット伯爵視点~

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クレアが魔物討伐部隊に入れられてから2週間が経った。妻はショックで寝込んでしまった。それはそうだろう。可愛い娘が魔物討伐部隊に入れられたのだ。

こんな理不尽な事はない。そして今日は、久しぶりの夜会だ。正直参加したくないが、参加しない訳にもいかない。

「父上、母上の体調が優れないようなので、俺が母上の代わりに参加します」

そう言ってくれた息子。彼には随分と助けられている。今日の夜会は、沢山の貴族が参加する大きな夜会だ。そんな中、男2人で参加すれば、どうしても目立つだろう。それも、先日正式にクレアとサミュエル殿の婚約が破棄されたのだ。

ある意味注目の的でもある。それでも、やはり参加しない訳には行かない。息子と2人、重い足取りで会場へとやって来た。

「やあ、マケット伯爵、それに令息も。今回の婚約破棄の件、残念だったな。一体何があったんだい?それに、夫人はどうした?」

私に話しかけてきたのは、古くからの友人でもある、アネッド伯爵だ。アネッド伯爵に今回の事を話した。クレアを思い、つい涙が込み上げてきて、途中から話せなくなってしまった。そんな私の代わりに、息子が話してくれた。


「なんてひどい話だ!そんな事があっていいのか!それじゃあ、クレアがあまりにも可哀そうだ!」

大声で怒鳴り出すアネッド伯爵。伯爵の言葉を聞き、皆が集まって来た。興奮した伯爵が、私の代わりにすべて話してくれた。

「それは酷い!いくら王女でも、それはあんまりだ」

「そんな恐ろしい事をするなんて!さすがにこんな事をされたら、陛下には今後忠誠を誓えない!」

「うちも昔あの王女には娘が酷い目に合ったんだ!さすがに今回の件は、見逃せない!」

口々に怒り狂う貴族たち。

そこにやって来たのは、グラードルフ侯爵だ。

「実はその件なんだが、どうやらサミュエル殿も王女に嵌められ、ずっと脅されていたんだ。そもそも、サミュエル殿に、王女を紹介したのは家の息子の様なんだ。本当に申し訳ない事をした」

深々と頭を下げる侯爵。たとえ嵌められたとしても、サミュエル殿がクレアを裏切った事には変わりない。

「まあ、サミュエル殿も王女に脅されていたですって。それは一体どういう事ですの?」

別の夫人が食いついて来た。

「さすがに私の口からは…」

そう濁すグラードルフ侯爵。そこへ、カードリッド侯爵がやって来た。

「グラードルフ侯爵、息子の為にありがとう。でも、サミュエルは騙されたとはいえ、王女と関係を持ったのは事実のようだ。マケット伯爵、本当に申し訳ない。陛下たちが戻ったら、我がカードリッド家からも正式に抗議をするつもりだ」

そう言って深々と頭を下げた侯爵。結局この日は、この話でもちきりだった。

1週間後
どうやら夜会での話が随分噂になっている様で、かなり王宮に貴族たちからの抗議が来ている様だと、アネッド伯爵が教えてくれた。ただ、陛下も王太子殿下もまだ不在の様で、王女がキーキー文句を言っている様だ。

さらにサミュエル殿にも、特に女性陣から批判が上がっているらしい。例え脅されていたとしても、クレアを裏切ったのは事実だ!と。

とにかくこのまま行けば、何とかクレアを討伐部隊から取り返す事が出来るかもしれない。そう思っていた時だった。

「旦那様、バーレッジ公爵夫人がいらっしゃいました」

「何だって!バーレッジ公爵夫人だと」

彼女は王妃様の実の妹だ。もしかしたら、姪を悪く言った事へと抗議に来たのかもしれない。そう思っていたのだが…

「先日の夜会の話、聞きました!本当に、あの子娘にはほとほと愛想が尽きましたわ!それで、夫人は大丈夫なのですか?大切な娘をあんな恐ろしい魔物討伐部隊に参加されたとなれば、寝込むのも当然です!とにかく、お義兄様とお姉様が帰ってきたら、激しく抗議いたしますのでご安心を!もちろん、あのバカ娘には今度こそ制裁を加えさせますので!」

私の顔を見るなり、物凄い勢いで話す夫人。話を聞くと、どうやら夫人の息子も王女に難癖をつけられ、騎士団長として討伐に参加している様だ。有難い事に、令息に陛下たちが帰って来るまでクレアを守る様依頼してくれるとの事。

さらに、手紙まで渡してくれると言ってくれた。

「とにかく、今回の件は私に任せてください!」

そう言って帰って行った夫人。早速今回の件を妻にも話した。

「まあ、バーレッジ公爵夫人がクレアの為にですって!なんて有難い話なのでしょう」

そう言って涙を流し、喜んでいた。その後も定期的に我が家を訪ねて来ては、妻の話し相手になってくれた夫人。そのおかげで、随分と元気になっていった。

「クレアへの手紙は私が書くわ」

そう言って、ペンをとった妻の姿を見て、ホッとした。本当に、バーレッジ公爵夫人には感謝してもしきれない。結局夫人の提案から少し時間が経ってしまったが、無事手紙を夫人に託すことが出来た。

ちょうどクレアが討伐に連れていかれて、1ヶ月が経過しようとしていた時だった。ちなみにこの1ヶ月、サミュエル殿はずっと部屋に閉じこもっているらしい。そんな事は家が知ったこっちゃないが、なぜかグラードルフ侯爵がいちいち報告してくるのだ。

どうやら、クレアを失ってショックを受けている様だ。遠回しにクレアが帰ってきたら、婚約を結び直してやって欲しいとも言われた。そもそも、カードリッド侯爵から打診されるなら分かるが、全く関係のないグラードルフ侯爵からとやかく言われたくはない。

でも、カードリッド侯爵からたとえ打診されたとしても、絶対に断るがな!クレアがあの男のせいで、どれほど傷つけられたか!

考えただけで腹ただしい。とにかく、クレアには別の人と幸せになって欲しい。妻もそう思っている様で、王都に戻った後のクレアの事を、バーレッジ公爵夫人に相談している様だ。とにかく、クレアには今度こそ幸せになってもらわないと!

そしてクレアが討伐に行って約1ヶ月半後。やっと陛下と王太子殿下が帰って来たそうで、バーレッジ公爵と夫人に呼び出された。なぜかカードリッド侯爵も一緒だ。

向かった先は、やはり王宮だ。王宮に着くと、既に陛下と王妃様、王太子殿下、さらにエミリア王女が待っていた。

私達が入るや否や、陛下が駆け寄って来た。

「マケット伯爵、夫人、今回の件、本当に申し訳ない事をした。とにかく、クレア嬢は今すぐ討伐部隊から連れ戻す様手配した。本当に、謝って済む問題ではないのは分かっている。でも謝罪されてくれ!本当に申し訳ない!」

物凄い勢いで頭を下げる陛下。さらに王太子殿下と王妃様まで頭を下げている。

「どうか頭をお上げください!娘を返して頂けるなら、私たちはそれだけで十分です!」

そう伝えたのだが…

「何をおっしゃっているのですか!マケット伯爵。夫人はショックで寝込んだのですよ。本当に、今回の件でさすがに堪忍袋の緒が切れました。お義兄様、お姉様、あんな娘を育てたあなた達にも責任があるのですよ!そもそも、か弱い令嬢から婚約者を寝取っただけでなく、討伐にまで行かせるなんて!一体どんな教育をしたら、こんなバカ娘に育つのですか!!!!」

顔を真っ赤にして怒鳴る公爵夫人。陛下も王妃様も小さくなっている。

「本当にすまないと思っている。とにかく、今回の件はさすがに私たちもまずいと思っている。貴族たちからも、随分と苦情が来ている様だし。とにかく処罰が決まるまで、エミリアは無期限の謹慎とする。さっさと連れていけ」

陛下が、王女に向かってそう叫んだ。

「どうして私が謹慎なのよ!そもそも、ウィリアムが私と結婚しなかったから悪いんでしょう!おば様にも責任があるわ!」

そう叫ぶエミリア王女。

「いい加減にしなさい!」
バチーン

エミリア王女の頬を叩いたのは、王妃様だ。

「あなたはどれだけの人を傷つけたら気が済むの?そもそも、あなたのせいでウィリアムも討伐に参加しているのでしょう!本当に、私はあなたの教育を間違えた様ね!マケット伯爵、夫人、本当にごめんなさい!」

泣きながら謝る王妃様。正直どうしていいのか分からない。

「それに、カードリッド侯爵、あなたが証拠として提示してくれた書類に目を通して愕然としたわ。こんなにも色々な男と体の関係があっただなんて!エミリア、この国では特に女性はそう言った事を守る事が美徳とされているの。あなたの様な女は、たとえ後妻でも貰い手はないわよ!」

さらに泣きながらエミリア王女を怒鳴りつける王妃様。いつもニコニコと手を振っているイメージしかない王女様の別の一面を見て、さらに動揺が広がる。

「とにかく、エミリアが起した今回の件で、私たちに出来る事があれば何でもします。ですから、何なりと申し付けてください。もちろん、慰謝料もしっかり払いますから」

そう言って再び頭を下げた王妃様。ふとエミリア王女の方を見ると、王妃様に叩かれたのが余程ショックだったのか、座り込んでしくしく泣いていた。

「ほら、あなたもそんなところで泣いていないで、謝りなさい!」

そんな王女の首根っこを掴んで、無理やりこちらに連れて来たのは、バーレッジ公爵夫人だ。

「私の言った事が聞こえなかったのかしら?ほら、謝りなさいと言っているのよ!」

そう言って、無理やり王女の頭を抑え付けている夫人。どうやら、謝るまで離すつもりはない様だ。

「申し訳…ありません…」

物凄く小声ではあるが、王女様から謝罪を頂いた。

「とにかく、エミリアはしばらく謹慎だ。早く部屋に連れていけ!」

陛下の言葉で、護衛騎士たちが王女を連れて行った。見てはいけないものを見てしまった気がするが、これで私たちの可愛いクレアは、あと数日で帰ってるだろう。ホッと胸をなでおろす、伯爵であった。
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