浮気した殿下とは結婚は出来ません!私は従者と国を出て幸せになりますので!

Karamimi

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第1話:大好きだった婚約者が別の女性と抱き合っていました

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今日も深緑のドレスに身を包み、いつもの様に王宮へと向かう。そう、大好きな婚約者、イライジャ様の瞳の色のドレスだ。

私、エリザ・ブレィテレスは侯爵令嬢で、この国の王太子でもあるイライジャ様の婚約者だ。8歳の時に、王妃様の勧めで婚約が成立した。そう、我が家は侯爵家ではあるが、歴代に何度も王妃を輩出している由緒正しき家柄なのだ。

そんな我が家から妻を迎えたいと言う王妃様の要望で、私が婚約する事になった。正直イライジャ様と婚約が決まった時は、天にも昇る気持ちになった。何を隠そう、私はずっとイライジャ様が大好きだったのだ。

いつも笑顔で誰にでも優しくて、ノロマな私にも親切に接してくれた。だからまさかそんなイライジャ様が、私の婚約者になって下さるなんて夢にも思っていなかった。これから幸せな日々が待っている!そう思っていたのだが、現実はそう甘くはなかった…

どうもイライジャ様は、あまり私の事がお好きではない様だ。他の令嬢とは楽しそうに話をしているのに、婚約してからは、なぜか私の前になるとあまり話さなくなる。それに私に極力触れようとしないのだ。

本来婚約者なのだから、手ぐらい握ってもよさそうなものなのだが、それすらない。それこそ夜会やパーティーの時に腕を組むぐらいだ。正直言って私は何処にでもいるような平凡な令嬢だ。そんな私と、家が由緒あると言うだけで婚約させられたのだから、きっと嫌なのだろう。

そんな事を考えているうちに、王宮にやって来た。本当は今日は王妃教育は休みだったはずなのだが、私の理解力が無いせいで先生から

「今日出来なかったところを、明日しっかり復習しましょう!いいですか?このペースでは、とても王妃教育は終わりません!それにしても、どうしてあなたはこんなに物覚えが悪いのですかねぇ」

そうため息を付かれてしまったので、今日もやって来たのだ。正直私は王妃の器ではないのだろう。それでも逃げ出すわけにはいかない。どんなに辛くても、イライジャ様の為に頑張らないと!

いつもの様に王妃教育の部屋へと向かい、厳しいレッスンを受ける。相変わらず手厳しい先生の言葉に涙が込み上げて来るが、それでも耐えるしかない。せめて立派な王妃になって、イライジャ様を喜ばせたい!その一心で頑張っているのだ。

何とかレッスンが終わり、イライジャ様が待つ部屋へと向かう。私の王妃教育が終わった後は、必ずイライジャ様に挨拶をして帰ると言うのがルールなのだ。

と言っても、1言2言言葉を交わして終わりなのだが、それでも私にとっては大切な時間。この1言2言話すだけでも、物凄く幸せなのだ。

コンコン
「失礼します。イライジャ様、王妃教育が終わりましたので挨拶に…」

ドアを開け、中に入ろうとした私の目の前に飛び込んできたのは、裸で令嬢を抱いているイライジャ様の姿だ!

「エリザ!どうして君がここに居るんだ!今日は王妃教育は休みのはずでは無かったのか?」

かなり動揺しているイライジャ様。

「昨日教育係から、今日も王妃教育を受ける様にと言われたので、今受けて来ましたの。お取込み中でしたか、それは失礼しました!」

自分でもびっくりする程冷静に言葉を返し、そのままドアを閉めた。なんとなく分かっていた。イライジャ様にはきっと、別に好きな女性がいるという事を。でも、まさかその女性と密会しているなんて…

そう言えばこの国では、王族のみ側室を持つ事が許されている。ただ、ここ何代も側室は持っていないとの事。実際に今の陛下も王妃様を溺愛しており、もちろん側室なんていない。だからきっとイライジャ様も、側室なんて持たないと信じ切っていたのだ。

でも実際は…

きっとさっきの令嬢を側室として迎え入れるつもりだろう。そうなれば私はきっと、イライジャ様から愛情を受ける事はないだろう。こんなにも厳しい王妃教育を受けているのに、好きな人からは一生愛されず、王妃と言う責務だけを全うさせられる。そして1人孤独に耐えながら、ただ虚しい生涯を送るのか…

そう思ったら、涙が込み上げて来た。駄目よ、ここで泣いてはいけないわ。そもそも、王妃は涙を見せてはいけないと、王妃教育で習ったわ。そう、私は泣く事すら許されないのだ!

「待ってくれ!エリザ!」

後ろから服を着ながら、イライジャ様が私を追いかけて来た!そうか、優しいイライジャ様は、 一応正妻になる私に気を使ってくれているのか…

「どうかされましたか?イライジャ様?」

「さっきの令嬢なのだが、彼女は…」

「大丈夫ですわ!私の事をお嫌いなのは分かっておりましたので!あの方をいずれ側室として迎えられるのでしょう?この国の王族は、側室を持つ事が出来る事は、私も理解しておりますので」

精一杯の強がりを、イライジャ様に伝えた。駄目だ、これ以上イライジャ様の顔を見ていては、涙が出そうだ。

「それでは私は失礼いたします」

急いでイライジャ様に背を向け、歩き出そうとしたのだが…

「エリザ!泣いているのか?」

イライジャ様に手を掴まれた瞬間、先ほどの光景がフラッシュバックし、嫌悪感に包まれた。

「いや、放して!」

とっさに、イライジャ様の手を振り払ってしまった。

「申し訳ございません!私はこれで失礼いたします」

深々と頭を下げ、速足でその場を去ったのであった。
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