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第2話:こんな気持ちでは婚約は継続できません
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馬車の中、溢れる涙をこらえる事出来ずにいた。駄目、泣いては駄目!でも…
私は一体何のために必死に王妃教育を受けて来たのかしら?こんなにも厳しい王妃教育に耐えても、待っているのは孤独な日々…そう思ったら、今まで張りつめていた糸が、プツンと切れてしまった。
いっその事、お父様に婚約破棄できないか聞いてみようかしら?そうよ、私よりもっとイライジャ様の婚約者にふさわしい方がいるわ。よし、駄目元で聞いてみよう。
早速屋敷に着くと、お父様の元へと向かった。明らかに眉間にシワを寄せるお父様。
「あの…お父様、今日イライジャ様が、別の女性と裸で抱き合っているところを目撃しました。きっとイライジャ様は、その方がお好きなのでしょう。正直王妃教育もうまく行っておりませんし、私は王妃の器ではございません!どうか婚約を破棄してもらえる様、王妃様に頼んで頂けないでしょうか?」
我が儘を言っている事は分かっている。でも、もうイライジャ様の婚約者で居る事が辛いのだ…
「お前は何をふざけた事を言っているのだ!いいか、イライジャ殿下は王太子なんだ。別に浮気の1つや2つ、何て事は無い!たったそれごときで婚約破棄だと!ふざけるのも大概にしろ!」
浮気の1つや2つですって…
「これだから甘やかされて育った令嬢は嫌なのよね!浮気は男の甲斐性よ!浮気1つ出来ない男なんて、魅力が無いって事よ!だからあの女が産んだ子供は!いい、あなたはこの家の為に働く義務があるのよ!侯爵家の為に、何が何でも王妃になって、王太子殿下の子供を産みなさい!いくらあんたが殿下に嫌われていても、初夜くらいはしてもらえるでしょうしね」
そう言ったのは、継母だ。家は5年前お母様が亡くなったと同時に、お父様が継母と再婚したのだ。継母には息子が1人おり、その息子が侯爵家を継ぐことになっている。
そもそも私はイライジャ様に愛されていない。それなのに、子供を作れだなんてメチャクチャだわ…
「こいつの言う通りだ!いいか、今までお前を育ててやったんだ!それ以上にこの家の為に恩返しをしろ!そもそも、殿下に嫌われているお前が悪いのだろう!まずは自分を磨いて、愛される努力をしたらどうなんだ!とにかく今日は晩ご飯は抜きだ!部屋で反省していろ!」
そう言って部屋から私を追い出したお父様と継母。トボトボと自室に向かって歩いていると
「父上たちのやり取りが丸聞こえだったよ。お前は本当に頭が悪いな。こんなバカが義理とは言え妹だと思うと、吐き気がする。俺だってお前が王妃の器でないことぐらいは分かっている、でもな。お前みたいなバカでも、王妃になれば家の地位はグンと上がるんだよ!お前も殿下に色仕掛けでもかけて見ろよ!運が良ければ抱いてもらえるかもな」
そう言って去っていたのは、継母の連れ子だ。義理兄も私を嫌っている様で、私の顔を見るとあんな感じで暴言を吐いて来る。
何も考えられないまま、自室へと戻った。どうしてこんな事になってしまったのかしら?お母様が生きていた時は、お父様もお優しかったのに…5年前、病気で亡くなってしまったお母様。
ふと首に掛かっているネックレスを手に取る。いつまでもお母様を思って泣く私が気に入らなかったのか、お母様の物は全て継母によって捨てられてしまった。それでも、このネックレスだけは何とか死守できた。
と言っても、このネックレスは彼が隠し持っていてくれたものだけれど…
「お嬢様、大丈夫ですか?食事を持って来ましたので、どうか召し上がって下さい」
そう言ってスープとパンを持って来てくれたのは、私の従者、ジャックだ。ジャックは8年前、道端で倒れているところをお母様と一緒に発見し、治療後私の従者として働いてもらっている。私より5歳上の20歳の青年だ。
この国では珍しい銀色の髪をしている為、多分異国から来たのだろう。もちろん、ジャックの過去について触れたりしていないので、ただの推測ではあるが…
そんな彼は、私の唯一の味方でよき理解者だ。ジャックはいつも私の事を考え、私の為に動いてくれる。お母様の形見のネックレスを私に渡してくれたのもジャックだ。
「お嬢様、これしか取り返せませんでした。申し訳ございません」
悔しそうに唇を噛み、私にネックレスを渡してくれたジャック。そんなジャックが気に入らない継母は、何度もジャックを追い出す様お父様に交渉していたが、どうやらジャックはお父様の弱みを握っている様で、追い出すことが出来ないらしい。
そう、ジャックは物凄く優秀なのだ。
「ありがとう、ジャック。でも、なんだか食欲がないの。今日は食べられそうにないわ…」
「お嬢様、駄目です!ちゃんと食べて下さい!それなら、私が食べさせて差し上げましょう」
スープをすくい、私の口に入れた。そう言えば、子供の頃病気になると、こうやってお母様が私にスープを飲ませてくれていたわね。あの時の記憶が蘇り、涙が溢れだす。
お母様…会いたいです…
溢れる涙を止める事が出来ない。いっその事、お母様の元に行こうかしら…そんな考えすら頭をよぎる。
「お嬢様、そんなに泣かないで下さい。ほら、まだ沢山ありますよ!頑張って食べて下さいね」
そう言って再びスープを口に入れてくれるジャック。ジャックの優しさが、今の私にはたまらなく嬉しい。
「ありがとう、ジャック。あなたのお陰で、少し元気が出たわ」
ジャックがいるから、私はこの家でも生きていけている。そう思うと、ジャックには感謝しかない。
私は一体何のために必死に王妃教育を受けて来たのかしら?こんなにも厳しい王妃教育に耐えても、待っているのは孤独な日々…そう思ったら、今まで張りつめていた糸が、プツンと切れてしまった。
いっその事、お父様に婚約破棄できないか聞いてみようかしら?そうよ、私よりもっとイライジャ様の婚約者にふさわしい方がいるわ。よし、駄目元で聞いてみよう。
早速屋敷に着くと、お父様の元へと向かった。明らかに眉間にシワを寄せるお父様。
「あの…お父様、今日イライジャ様が、別の女性と裸で抱き合っているところを目撃しました。きっとイライジャ様は、その方がお好きなのでしょう。正直王妃教育もうまく行っておりませんし、私は王妃の器ではございません!どうか婚約を破棄してもらえる様、王妃様に頼んで頂けないでしょうか?」
我が儘を言っている事は分かっている。でも、もうイライジャ様の婚約者で居る事が辛いのだ…
「お前は何をふざけた事を言っているのだ!いいか、イライジャ殿下は王太子なんだ。別に浮気の1つや2つ、何て事は無い!たったそれごときで婚約破棄だと!ふざけるのも大概にしろ!」
浮気の1つや2つですって…
「これだから甘やかされて育った令嬢は嫌なのよね!浮気は男の甲斐性よ!浮気1つ出来ない男なんて、魅力が無いって事よ!だからあの女が産んだ子供は!いい、あなたはこの家の為に働く義務があるのよ!侯爵家の為に、何が何でも王妃になって、王太子殿下の子供を産みなさい!いくらあんたが殿下に嫌われていても、初夜くらいはしてもらえるでしょうしね」
そう言ったのは、継母だ。家は5年前お母様が亡くなったと同時に、お父様が継母と再婚したのだ。継母には息子が1人おり、その息子が侯爵家を継ぐことになっている。
そもそも私はイライジャ様に愛されていない。それなのに、子供を作れだなんてメチャクチャだわ…
「こいつの言う通りだ!いいか、今までお前を育ててやったんだ!それ以上にこの家の為に恩返しをしろ!そもそも、殿下に嫌われているお前が悪いのだろう!まずは自分を磨いて、愛される努力をしたらどうなんだ!とにかく今日は晩ご飯は抜きだ!部屋で反省していろ!」
そう言って部屋から私を追い出したお父様と継母。トボトボと自室に向かって歩いていると
「父上たちのやり取りが丸聞こえだったよ。お前は本当に頭が悪いな。こんなバカが義理とは言え妹だと思うと、吐き気がする。俺だってお前が王妃の器でないことぐらいは分かっている、でもな。お前みたいなバカでも、王妃になれば家の地位はグンと上がるんだよ!お前も殿下に色仕掛けでもかけて見ろよ!運が良ければ抱いてもらえるかもな」
そう言って去っていたのは、継母の連れ子だ。義理兄も私を嫌っている様で、私の顔を見るとあんな感じで暴言を吐いて来る。
何も考えられないまま、自室へと戻った。どうしてこんな事になってしまったのかしら?お母様が生きていた時は、お父様もお優しかったのに…5年前、病気で亡くなってしまったお母様。
ふと首に掛かっているネックレスを手に取る。いつまでもお母様を思って泣く私が気に入らなかったのか、お母様の物は全て継母によって捨てられてしまった。それでも、このネックレスだけは何とか死守できた。
と言っても、このネックレスは彼が隠し持っていてくれたものだけれど…
「お嬢様、大丈夫ですか?食事を持って来ましたので、どうか召し上がって下さい」
そう言ってスープとパンを持って来てくれたのは、私の従者、ジャックだ。ジャックは8年前、道端で倒れているところをお母様と一緒に発見し、治療後私の従者として働いてもらっている。私より5歳上の20歳の青年だ。
この国では珍しい銀色の髪をしている為、多分異国から来たのだろう。もちろん、ジャックの過去について触れたりしていないので、ただの推測ではあるが…
そんな彼は、私の唯一の味方でよき理解者だ。ジャックはいつも私の事を考え、私の為に動いてくれる。お母様の形見のネックレスを私に渡してくれたのもジャックだ。
「お嬢様、これしか取り返せませんでした。申し訳ございません」
悔しそうに唇を噛み、私にネックレスを渡してくれたジャック。そんなジャックが気に入らない継母は、何度もジャックを追い出す様お父様に交渉していたが、どうやらジャックはお父様の弱みを握っている様で、追い出すことが出来ないらしい。
そう、ジャックは物凄く優秀なのだ。
「ありがとう、ジャック。でも、なんだか食欲がないの。今日は食べられそうにないわ…」
「お嬢様、駄目です!ちゃんと食べて下さい!それなら、私が食べさせて差し上げましょう」
スープをすくい、私の口に入れた。そう言えば、子供の頃病気になると、こうやってお母様が私にスープを飲ませてくれていたわね。あの時の記憶が蘇り、涙が溢れだす。
お母様…会いたいです…
溢れる涙を止める事が出来ない。いっその事、お母様の元に行こうかしら…そんな考えすら頭をよぎる。
「お嬢様、そんなに泣かないで下さい。ほら、まだ沢山ありますよ!頑張って食べて下さいね」
そう言って再びスープを口に入れてくれるジャック。ジャックの優しさが、今の私にはたまらなく嬉しい。
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