次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi

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第48話:どうして私が裁判にかけられるの?~アナリス視点~

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「アナリス殿下、外に出て下さい」

騎士たちが私の部屋に入って来たと思ったら、急にそう言ったのだ。

狭くて息苦しい北の塔に閉じ込められてから早3ヶ月、やっとここから出してもらえる日が来たのね。

そう、この3ヶ月窓もないこの狭い部屋で、ずっと生活をさせられてきたのだ。何度出して欲しいと頼んでも、私を外に出してくれなかったお兄様。やっとお兄様も、私の気持ちが分かってくれたのね。

そう思ったのだが…

なぜか私の腕に分厚い鎖を付ける騎士たち。

「ちょっと、何なのよこの鎖は。まるで私が犯罪者の様じゃない。私は王女なのよ、早くこの鎖を外しなさい!」

「あなた様は立派な犯罪者ですよ。何をおっしゃっているのですか?とにかくここから出て下さい」

鎖を乱暴に引っ張り、私を外に連れ出す騎士たち。何なのこいつら、私を誰だと思っているのよ。まあいいわ、後でお父様に頼んで、こいつらを処罰してもらおう。

そう思っていると、なぜか小汚い馬車に乗せられたのだ。

「どうして馬車に乗せられないといけないのよ。王宮に戻るなら馬車に何て乗る必要は無いでしょう?それになんなの、このみすぼらしい馬車は!」

そう叫ぶが、全く私を相手にしていない様で、無視している。何なのよ、こいつら!

「無視するとはいい度胸ね。一体何様なのよ。何とか言いなさいよ!」

あまりにも腹が立ったので、立ち上がって叫んだ。すると

「いい加減落ち着いて下さい。あなた様は今から、被告として裁判を受けてもらうのです」

「裁判ですって…ふざけないで。私が何をしたというの?確かにあの女を崖から落としたけれど、生きているのでしょう?それならいいじゃない!」

そうよ、ちょっと怪我をしたくらいで大騒ぎする方が間違っているのよ。きっとあの女に遠慮して、カルロス様も私の元に来られないのだわ。一度だけ私の様子を見に来てくれたけれど、すぐに帰ってしまったし…

「あなた様の罪は、ルミナス嬢に対する殺人未遂だけではありません。闇の組織と手を組み、あろう事かこの国では最も重罪と言われている、魔物に手を出したのです!そのせいで今、再び魔物たちは街を襲い、罪もない民たちの命を奪っているのですよ!騎士団員たちが今、必死に魔物たちの討伐に出ているのです!」

「もしかしてカルロス様も、魔物討伐部隊に参加しているの?あんな危険な場所に、カルロス様は行っていないでしょうね?」

「あんな危険な場所に騎士団員を向かわせる様仕向けたあなたが言える事ですか!たくさんの罪もない人々の命と財産を奪うきっかけを作った事の重大さを、少しは認識したらいかがですか?」

そう言うと、もう私とは話したくはないと言わんばかりに、反対方向を向いてしまった騎士。そんな…私はただ、カルロス様と結婚したかっただけなのに…カルロス様をあの女から引き離すには、魔物が必要だったのよ…

そうよ、カルロス様を私から奪ったあの女が悪いのよ。あの女さえいなければ、カルロス様は私のもの。そう思ったから、私は今回の件を思い立って実行した。

それなのにあの女は生きているうえ、私は今から裁かれるですって…そんな理不尽な事ってある?

体中から怒りがこみ上げて来た。まあ、裁判と言っても、きっと形だけのものだろう。なんたって私は王女なのだから。さっさと裁判とやらを終わらせて、王宮でゆっくり過ごそう。隣国の王太子との結婚も無しになった事だし!

でも、お兄様の事だから、また私を他国に留学させるつもりかしら?まあ、それならそれでいいわ。王女という事で、皆チヤホヤしてくれるし。

そんな事を考えているうちに、馬車が停まった。

「降りて下さい」

鎖を引っ張られ、そのまま馬車から降ろされた。本当に乱暴な男ね!絶対お父様に言って、処罰してもらわないと!

そう思っていると…

バチン!

えっ…

何かが頭に当たったのを感じた。これは一体何?

どうやらゴミを投げつけられた様だ。

「お前のせいで、家の息子が魔物討伐に行かされたじゃないか!」

「魔物の子供を連れてくるだなんて、なんて事をしてくれたんだ!この悪魔!」

「あんたのせいで私は家族を失い、故郷を捨てなければいけなくなったのよ!一生許さないから!」

次々と暴言と共に、ゴミなどを投げてくる平民たち。何なのよ、こいつら。私が王女という事を分かっていてやっているの?

ただ…あまりの迫力にその場から動くことが出来ない。

「早く行きましょう」

動けない私の鎖を引っ張り、足早に裁判所に入って行く。

「あなた、よほど平民たちから嫌われているのですね。あれほどまでに沢山の平民たちが集まっているだなんて…それにしても臭いますね。一度着替えをしましょう。今女性騎士を呼んできますので、少しお待ちを」

そう言うと、騎士の1人が出て行った。
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