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第21話:いつも間にかお尋ね人になっていました
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この村に来て、半年以上が過ぎた。リリアンさんたちに私の素性を明かしてからも、以前と変わらず接してくれている。それが嬉しくてたまらない。
今日もいつもの様に工場で作業を行い、家に帰って来た。
「レティシアおねえちゃん、おかえりなさい」
家に帰るなり飛んできたのは、ミリアだ。すっかり元気になったミリア。私が4歳の誕生日にあげたぬいぐるみがお気に入りの様で、毎日持ち歩いている。
まるで昔の私みたいね。そう言えば、昔大切にしていたミミちゃんを、リアム様にあげたのよね。ミミちゃん、元気かしら?
「レティシアおねえちゃん、どうしたの?」
私が考え事をしていたものだから、心配そうに顔を覗き込むミリア。
「何でもないのよ。今日は何をして遊んでいたの?」
「今日もこのウサギのミミちゃんと一緒に遊んだわ」
嬉しそうにそう答えたミリア。“ミミちゃん”そう、私がお気に入りの人形に付けた名前と同じ名前だ。初めて聞いた時はびっくりしたけれど、きっとミリアと私はよく似ているのね、そう思ったら嬉しかった。
2人で手を繋いで歩いていると、リリアンさんと村長さんがやって来た。
「レティシア、お帰り。ちょっと大変な事になっているのだけれど…少しいいかしら?」
大変な事?一体何かしら?とにかく2人に一旦家に入ってもらう。
「レティシアちゃん、これ」
村長さんが見せてくれたのは、1枚の紙だ。そこには私によく似た似顔絵が描かれている。さらに髪や瞳の色、年齢、名前なども書かれていた。そしてこの女性を見つけたら、至急王宮に報告する様に。報告してくれたものには、3,000,000マネーを与えるとの事。何ですって!
「これは…」
「そうなの、どうやらこの国の王族があなたを探しているみたいなの。それも報奨金まで付けて…本当は少し前に届いていたのだけれど、どうしていいか分からなくて。中々見せられなくてごめんなさい」
そう言って頭を下げたリリアンさん。確かにこんなものが届いたら、どうしていいか分からないだろう。それも王宮からのお尋ね人だ。
「リリアンさん、頭を上げて下さい。見せてくれてありがとうございます。でも、なぜ私を探しているのでしょうか?正直私は、この国には縁もゆかりもありませんわ…」
「ねえ、もしかしたら、あなたの元婚約者、パンドラ王国の王太子が探しているのではなくって?」
「それは無いですわ。だって彼は、今頃愛する女性と幸せに暮らしているはずですもの!とにかく明日の朝、王宮に向かいますわ」
「その方がいいわね。私も一緒に行くわ。村長、すぐに馬車を手配して。馬車で真っすぐ向かえば、2日で王都に付くはずよ!」
「ああ、分かった。心配だから私も行こう」
「お2人共ありがとうございます」
2人に頭を下げた。その時だった。
ドンドン
誰かがドアを叩く音が聞こえた。
「はい、今出ます」
急いでドアを開ける。そこにいたのは…
「やっと見つけた…レティシア、会いたかったよ。もう二度と離さない!」
そこに立っていたのは、まぎれもないリアム様だった。でも、目にはクマが出来、随分とやつれている。一体何があったの?ギューギュー抱きしめるリアム様に、困惑顔の私。後ろには、王宮騎士団長も立っていた。
「リアム様、なぜここにいらっしゃるのですか?あなた様はミランダ様と婚約したのではないのですか?」
その瞬間、唇を塞がれた。そしてそのままリアム様の舌が入って来る。今まで頬やおでこに口付けをする事はあったが、唇は初めてだ。それなのにこんなに濃厚な口付けをされたら、完全にキャパオーバー。
やっと解放された頃には、ぐったりだ。
「レティシア、あの女と僕は愛し合ってなどいない。そもそもあの女は他に好きな奴がいたんだよ。それで僕に取引を持ちかけて来た。僕に父親の悪事の証拠を渡す代わりに、あの女が好きな男を助けて欲しいってね。それで僕は、あの女の取引に乗った。ガルシア侯爵はレティシアを僕の婚約者から引きづり下ろそうとしていたからね。潰しておく必要があったんだ」
何ですって…
「それでは、中庭の奥で楽しそうにお話されていたのは…」
「楽しそう?一体どこをどう見たら楽しそうに見えたんだい?まあその事はいい。あの場所は人が来ないからね。2人で作戦を練るのにはちょうどよかったんだよ」
そんな…では、私の勘違いだったと言うの?
「そして全ての資料が揃ったあの日、ガルシア侯爵を断罪し、失脚させた。ちなみに君の両親を事故に見せかけて殺したのも、あの男だ。全ての罪が明らかになり、全てが終わった。やっとこれでレティシアと幸せになれる。そう思っていたのに、君はあの日、僕を置いて出て行ってしまった!ねえ、どうして僕を置いて出て行ったんだい?こんなにも君を愛していたのに…」
悲しそうに呟くリアム様。
「ごめんなさい。他の貴族から、リアム様はずっとミランダ様が好きだった。それなのに私が父の権力を使って2人の仲を引き裂いたと聞いたので…リアム様にはどうしても幸せになって欲しかったのです。だから、自ら身を引いたのです。決してあなた様を捨てたのではありません!それだけは信じて下さい」
「へ~、君にそんな嘘を吹き込んだ貴族がいたんだ…一体誰だい?厳罰に処さないといけないね。そうだな、公開処刑が妥当かな、一族もろ共ね」
「リアム様…どうしたのですか?いつもあんなにも優しかったのに、そんな恐ろしい事を言うなんて…」
「優しい?僕はずっとこういう人間だよ。君に嫌われたくなくて、ずっと紳士を演じていたんだ。でも結局君を失った。だから決めたんだ、もう二度と君を失わない為に、自分を隠すのは止めようってね」
そう言うと、ニヤリと笑ったリアム様。一体どうしてしまったの?
今日もいつもの様に工場で作業を行い、家に帰って来た。
「レティシアおねえちゃん、おかえりなさい」
家に帰るなり飛んできたのは、ミリアだ。すっかり元気になったミリア。私が4歳の誕生日にあげたぬいぐるみがお気に入りの様で、毎日持ち歩いている。
まるで昔の私みたいね。そう言えば、昔大切にしていたミミちゃんを、リアム様にあげたのよね。ミミちゃん、元気かしら?
「レティシアおねえちゃん、どうしたの?」
私が考え事をしていたものだから、心配そうに顔を覗き込むミリア。
「何でもないのよ。今日は何をして遊んでいたの?」
「今日もこのウサギのミミちゃんと一緒に遊んだわ」
嬉しそうにそう答えたミリア。“ミミちゃん”そう、私がお気に入りの人形に付けた名前と同じ名前だ。初めて聞いた時はびっくりしたけれど、きっとミリアと私はよく似ているのね、そう思ったら嬉しかった。
2人で手を繋いで歩いていると、リリアンさんと村長さんがやって来た。
「レティシア、お帰り。ちょっと大変な事になっているのだけれど…少しいいかしら?」
大変な事?一体何かしら?とにかく2人に一旦家に入ってもらう。
「レティシアちゃん、これ」
村長さんが見せてくれたのは、1枚の紙だ。そこには私によく似た似顔絵が描かれている。さらに髪や瞳の色、年齢、名前なども書かれていた。そしてこの女性を見つけたら、至急王宮に報告する様に。報告してくれたものには、3,000,000マネーを与えるとの事。何ですって!
「これは…」
「そうなの、どうやらこの国の王族があなたを探しているみたいなの。それも報奨金まで付けて…本当は少し前に届いていたのだけれど、どうしていいか分からなくて。中々見せられなくてごめんなさい」
そう言って頭を下げたリリアンさん。確かにこんなものが届いたら、どうしていいか分からないだろう。それも王宮からのお尋ね人だ。
「リリアンさん、頭を上げて下さい。見せてくれてありがとうございます。でも、なぜ私を探しているのでしょうか?正直私は、この国には縁もゆかりもありませんわ…」
「ねえ、もしかしたら、あなたの元婚約者、パンドラ王国の王太子が探しているのではなくって?」
「それは無いですわ。だって彼は、今頃愛する女性と幸せに暮らしているはずですもの!とにかく明日の朝、王宮に向かいますわ」
「その方がいいわね。私も一緒に行くわ。村長、すぐに馬車を手配して。馬車で真っすぐ向かえば、2日で王都に付くはずよ!」
「ああ、分かった。心配だから私も行こう」
「お2人共ありがとうございます」
2人に頭を下げた。その時だった。
ドンドン
誰かがドアを叩く音が聞こえた。
「はい、今出ます」
急いでドアを開ける。そこにいたのは…
「やっと見つけた…レティシア、会いたかったよ。もう二度と離さない!」
そこに立っていたのは、まぎれもないリアム様だった。でも、目にはクマが出来、随分とやつれている。一体何があったの?ギューギュー抱きしめるリアム様に、困惑顔の私。後ろには、王宮騎士団長も立っていた。
「リアム様、なぜここにいらっしゃるのですか?あなた様はミランダ様と婚約したのではないのですか?」
その瞬間、唇を塞がれた。そしてそのままリアム様の舌が入って来る。今まで頬やおでこに口付けをする事はあったが、唇は初めてだ。それなのにこんなに濃厚な口付けをされたら、完全にキャパオーバー。
やっと解放された頃には、ぐったりだ。
「レティシア、あの女と僕は愛し合ってなどいない。そもそもあの女は他に好きな奴がいたんだよ。それで僕に取引を持ちかけて来た。僕に父親の悪事の証拠を渡す代わりに、あの女が好きな男を助けて欲しいってね。それで僕は、あの女の取引に乗った。ガルシア侯爵はレティシアを僕の婚約者から引きづり下ろそうとしていたからね。潰しておく必要があったんだ」
何ですって…
「それでは、中庭の奥で楽しそうにお話されていたのは…」
「楽しそう?一体どこをどう見たら楽しそうに見えたんだい?まあその事はいい。あの場所は人が来ないからね。2人で作戦を練るのにはちょうどよかったんだよ」
そんな…では、私の勘違いだったと言うの?
「そして全ての資料が揃ったあの日、ガルシア侯爵を断罪し、失脚させた。ちなみに君の両親を事故に見せかけて殺したのも、あの男だ。全ての罪が明らかになり、全てが終わった。やっとこれでレティシアと幸せになれる。そう思っていたのに、君はあの日、僕を置いて出て行ってしまった!ねえ、どうして僕を置いて出て行ったんだい?こんなにも君を愛していたのに…」
悲しそうに呟くリアム様。
「ごめんなさい。他の貴族から、リアム様はずっとミランダ様が好きだった。それなのに私が父の権力を使って2人の仲を引き裂いたと聞いたので…リアム様にはどうしても幸せになって欲しかったのです。だから、自ら身を引いたのです。決してあなた様を捨てたのではありません!それだけは信じて下さい」
「へ~、君にそんな嘘を吹き込んだ貴族がいたんだ…一体誰だい?厳罰に処さないといけないね。そうだな、公開処刑が妥当かな、一族もろ共ね」
「リアム様…どうしたのですか?いつもあんなにも優しかったのに、そんな恐ろしい事を言うなんて…」
「優しい?僕はずっとこういう人間だよ。君に嫌われたくなくて、ずっと紳士を演じていたんだ。でも結局君を失った。だから決めたんだ、もう二度と君を失わない為に、自分を隠すのは止めようってね」
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