余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
7 / 46

第7話:王宮に向かいます

しおりを挟む
「お嬢様、おはようございます。体調はいかがですか?」

「ええ、薬のお陰で、なんだか体が軽いわ。今日は王宮に行く最後の日ですもの。頑張らないとね」

 そう、今日はロイド様を解放してあげる日。私ももう苦しまなくて済む。そう思うと、なんだか心が軽い。

「それでもどうか、ご無理をなさらない様にとの事です。特に心が不安定だと、進行が早いととお医者様がおっしゃっておられました。どうか心穏やかにお過ごしください」

「ええ、分かったわ。今日の話し合いが終わったら、お屋敷で過ごす予定だから、大丈夫よ」

 この話し合いが終われば、後は屋敷で残りの人生を静かに送るだけだ。最期は使用人たちに見守られながら、静かに人生の幕を下ろしたい、そう願っている。

「それじゃあ、行ってくるわね」

 軽やかな足取りで馬車に乗り込んだ。どうやらお父様は、先に行ってしまったようだ。役立たずの私の顔など、見たくないのだろう。

 お父様も私がいなくなったら、養子をとるかもしれないわね。もしかしたら、若くてきれいな奥さんを迎えるかもしれないわ。そもそも、お母様が亡くなった時点で、後妻を迎えればよかったのに。

 どうせお母様の事を、愛していなかったのだから。お父様が少しでもお母様の事を愛してくれていたら、お母様は…

 て、今そんな事を考えても仕方がないわね。

 さて、王宮が見えてきた。薬も飲んだし、きっと大丈夫だろう。そう思い、馬車から降りると

「セイラ嬢、昨日は大丈夫でしたか?かなり体調が悪かった様だけれど」

 なんと、ラファエル様が待っていてくれたのだ。この人、どこまでいい人なのかしら?私なんかを待っていてくれるだなんて。

「ラファエル様、おはようございます。ご心配をおかけして、申し訳ございません。あの後医者に診察をしてもらったのですが、容態が思わしくなくて。それで今日、陛下やロイド様に大切なお話をするために来たのです」

「容態が思わしくないとは、一体どういうことですか?大切なお話しと言う事は、もしや命に関わる病気なのですか?」

 いつも穏やかなラファエル様が、声を荒げて迫って来たのだ。もしかして、心配してくれているのかしら?

「ええ、実は母と同じ病気にかかっている様で。余命3ヶ月を診断されました。それでは私はこれで失礼いたします」

「余命3ヶ月…」

 目を大きく見開き固まっているラファエル様に挨拶をして、その場を後にする。ラファエル様は、本当にお優しい方だ。私の心配をしてくれるのだから。

 彼と会うのも、今日で最後かもしれない。そう思いつつ、使用人に案内された部屋に通された。そこにはお父様の姿が。

 どうやらお父様と一緒に、陛下たちの元に向かう様だ。こうやってお父様と並んで歩くのは、いつぶりだろう。

 そんな事を考えながら、陛下たちの元へと向かった。

「陛下、王妃殿下、王太子殿下、お待たせして申し訳ございません」

「ツィンクル公爵、セイラ嬢、今日は一体どうしたのだい?大事な話があると聞いたが」

 陛下と王妃様が、不思議そうな顔でこちらを見ていた。ロイド様は無表情のまま、遠くを見つめていた。あの人、心ここにあらずだ。きっとミーア様の事を考えているのだろう。

 分かっている事だけれど、やっぱり胸が痛い。ロイド様の顔を見ると、胸が張り裂ける様な痛みに襲われるのだ。

 痛くて息が出来ない。でも今、うずくまる訳にはいかない。必死に呼吸を整える。しっかりしないと、最後位は笑顔でお別れしたい。

「セイラ、胸が苦しいのかい?大丈夫かい?」

 何を思ったのか、急にロイド様が私の元にやって来たのだ。どうして今更、私に優しくするのだろう。それでも、優しくされると嬉しい。

「ロイド様、心配して下さりありがとうございます。どうやら私は、母と同じ病にかかっているそうなのです。余命3ヶ月と昨日、医者に宣告されました」

「夫人と同じ病気だって…」

「ツィンクル公爵、それは本当なのかい?夫人と同じ病気で、余命宣告をされているというのは」

「そんな…セイラちゃんまで…」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

【完】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた

迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」  待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。 「え……あの、どうし……て?」  あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。  彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。 ーーーーーーーーーーーーー  侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。  吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。  自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。  だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。  婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。 第18回恋愛小説大賞で、『奨励賞』をいただきましたっ! ※基本的にゆるふわ設定です。 ※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます ※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。 ※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。 ※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)  

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

【完結】そんなに好きなら、そっちへ行けば?

雨雲レーダー
恋愛
侯爵令嬢クラリスは、王太子ユリウスから一方的に婚約破棄を告げられる。 理由は、平民の美少女リナリアに心を奪われたから。 クラリスはただ微笑み、こう返す。 「そんなに好きなら、そっちへ行けば?」 そうして物語は終わる……はずだった。 けれど、ここからすべてが狂い始める。 *完結まで予約投稿済みです。 *1日3回更新(7時・12時・18時)

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。 他小説サイトにも投稿しています。

【完結】貴方をお慕いしておりました。婚約を解消してください。

暮田呉子
恋愛
公爵家の次男であるエルドは、伯爵家の次女リアーナと婚約していた。 リアーナは何かとエルドを苛立たせ、ある日「二度と顔を見せるな」と言ってしまった。 その翌日、二人の婚約は解消されることになった。 急な展開に困惑したエルドはリアーナに会おうとするが……。

処理中です...