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第8話:どこまで律儀な方なのでしょうか
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陛下と王妃様、さらにはロイド様まで目を丸くして固まっている。さすがに愛していない婚約者であっても、余命宣告されたとなれば、びっくりするわよね。
「はい、昨日王宮で吐血したそうで、その後我が家の専属医師が診察を行った結果、妻と同じ病気との事でした。助かる見込みはないとの事で」
「確か夫人は、不治の病に侵されていたのだったね。まさかセイラ嬢まで、同じ病を患ってしまうだなんて」
「先ほど娘が話した通り、既に余命宣告をされております。治療法もありません。ですので、セイラとロイド殿下の婚約を今日、解消して頂きたくてここに参りました。どのみちセイラは、あと3ヶ月の命です。命を落としてから婚約解消となると、何かと面倒な事も多いですし、既にロイド殿下は16歳。すぐにでも新しい婚約者を決めた方がよいでしょう」
「本当にセイラ嬢は、助からないのかい?」
「はい、妻の時も色々な医者に見せましたが、皆首をかしげるばかりで。亡き妻の話では、この病気は妻の血筋で受け継がれてしまう病気との事で。今まで同じ病気にかかった人間は、誰1人助からなかったとの事です。妻も吐血してから3ヶ月足らずで命を落としましたので、余命宣告をした医師の見解で間違いないかと」
淡々とお父様が話している。この人は、お母様の事を本当に愛していなかったのね。だからこんなにも、淡々と話せるのだわ。
もしお母様が、別の男性を愛し結婚していたら、今頃幸せに暮らしていたかもしれない。そう考えると、胸が締め付けられた。
「父からお話しがあった通り、私はもう長くはありません。母と同じように、近いうちにはベッドから起き上がる事もままならなくなるでしょう。そうなる前に、やるべきことをやっておきたいのです。ロイド様、どうか私と婚約を解消してください。そして、愛する人と幸せになってください」
真っすぐロイド様を見つめ、そう伝えた。
「愛する人と幸せになって欲しいか…セイラの気持ちは分かりました。ですが僕は、婚約を解消しません。僕は最後まで、セイラの婚約者としていたいのです。それが僕の願いです」
「ロイド殿下、気持ちは有難いのですが、セイラは既に余命宣告を受けているのです。既に死ぬとわかっているセイラと、このまま婚約を継続する意味はありません。セイラの為にも、どうか今ここで、婚約を解消してください。それがセイラの願いでもあるのです」
ここにきて、お父様が珍しく私の気持ちと同じ意見を述べている。でも、お父様は別に私の為に言っている訳ではないのだろう。
ロイド様やこの国の事を考えて、そう言っているだけだ。
「お言葉ですがツィンクル公爵、僕は婚約者が病気だからと言って、さっさと婚約を解消し、別の令嬢と婚約を結べるほど、神経が図太くはありません。それにセイラの病気だって、全く治す方法がない訳ではないのでしょう?」
「ロイド様、私の病は、治すことはほぼ不可能なのです。それは医師からもはっきりと言われています。我が家の専属医師は、母の実家から連れてきた医師です。彼女は母やその一族が持つ病の存在を、誰よりも理解している人物です。そんな医師が、不治の病と呼んでいる病気なのですから。それに私は、既に覚悟は出来ております。残りの人生は、公爵家で静かに暮らしたいのです。それが私の、最後の願いですから」
最後ぐらいは、心穏やかでいたい。あなたの事を考えずに…
涙を流しながら、そう伝えた。
再び胸に、ナイフが刺さったような激しい痛みが襲う。そして
「ゴホゴホゴホ…」
「「「セイラ(嬢)(ちゃん)」」」
感情が高ぶった事で、一気に気持ちが不安定になったからか、吐血してしまったのだ。
「申し訳ございません。とにかく、婚約を解消してください。どうかお願いします」
持っていたハンカチで口を押えながら、必死に訴えた。ただ、起きている事も辛く、隣にいたお父様に寄り掛かってしまった。
その瞬間、スッと立ち上がったお父様。そのままソファに倒れ込んだ。
ああ…この人は、私に触れられるのも嫌なくらい、私を嫌っていたのね。そう思うと、増々悲しみが襲ってくる。自然と涙が流れた。
「申し訳ございません、娘の体調が悪化してしまった様で。とにかく、娘はもう既にこのような状況ですので。おい、今すぐセイラを連れて行け」
近くに控えていた護衛たちに、私を連れていくように伝えるお父様。護衛たちに抱えられ、退場する事になったのだった。
次回、ロイド視点です。
よろしくお願いします。
「はい、昨日王宮で吐血したそうで、その後我が家の専属医師が診察を行った結果、妻と同じ病気との事でした。助かる見込みはないとの事で」
「確か夫人は、不治の病に侵されていたのだったね。まさかセイラ嬢まで、同じ病を患ってしまうだなんて」
「先ほど娘が話した通り、既に余命宣告をされております。治療法もありません。ですので、セイラとロイド殿下の婚約を今日、解消して頂きたくてここに参りました。どのみちセイラは、あと3ヶ月の命です。命を落としてから婚約解消となると、何かと面倒な事も多いですし、既にロイド殿下は16歳。すぐにでも新しい婚約者を決めた方がよいでしょう」
「本当にセイラ嬢は、助からないのかい?」
「はい、妻の時も色々な医者に見せましたが、皆首をかしげるばかりで。亡き妻の話では、この病気は妻の血筋で受け継がれてしまう病気との事で。今まで同じ病気にかかった人間は、誰1人助からなかったとの事です。妻も吐血してから3ヶ月足らずで命を落としましたので、余命宣告をした医師の見解で間違いないかと」
淡々とお父様が話している。この人は、お母様の事を本当に愛していなかったのね。だからこんなにも、淡々と話せるのだわ。
もしお母様が、別の男性を愛し結婚していたら、今頃幸せに暮らしていたかもしれない。そう考えると、胸が締め付けられた。
「父からお話しがあった通り、私はもう長くはありません。母と同じように、近いうちにはベッドから起き上がる事もままならなくなるでしょう。そうなる前に、やるべきことをやっておきたいのです。ロイド様、どうか私と婚約を解消してください。そして、愛する人と幸せになってください」
真っすぐロイド様を見つめ、そう伝えた。
「愛する人と幸せになって欲しいか…セイラの気持ちは分かりました。ですが僕は、婚約を解消しません。僕は最後まで、セイラの婚約者としていたいのです。それが僕の願いです」
「ロイド殿下、気持ちは有難いのですが、セイラは既に余命宣告を受けているのです。既に死ぬとわかっているセイラと、このまま婚約を継続する意味はありません。セイラの為にも、どうか今ここで、婚約を解消してください。それがセイラの願いでもあるのです」
ここにきて、お父様が珍しく私の気持ちと同じ意見を述べている。でも、お父様は別に私の為に言っている訳ではないのだろう。
ロイド様やこの国の事を考えて、そう言っているだけだ。
「お言葉ですがツィンクル公爵、僕は婚約者が病気だからと言って、さっさと婚約を解消し、別の令嬢と婚約を結べるほど、神経が図太くはありません。それにセイラの病気だって、全く治す方法がない訳ではないのでしょう?」
「ロイド様、私の病は、治すことはほぼ不可能なのです。それは医師からもはっきりと言われています。我が家の専属医師は、母の実家から連れてきた医師です。彼女は母やその一族が持つ病の存在を、誰よりも理解している人物です。そんな医師が、不治の病と呼んでいる病気なのですから。それに私は、既に覚悟は出来ております。残りの人生は、公爵家で静かに暮らしたいのです。それが私の、最後の願いですから」
最後ぐらいは、心穏やかでいたい。あなたの事を考えずに…
涙を流しながら、そう伝えた。
再び胸に、ナイフが刺さったような激しい痛みが襲う。そして
「ゴホゴホゴホ…」
「「「セイラ(嬢)(ちゃん)」」」
感情が高ぶった事で、一気に気持ちが不安定になったからか、吐血してしまったのだ。
「申し訳ございません。とにかく、婚約を解消してください。どうかお願いします」
持っていたハンカチで口を押えながら、必死に訴えた。ただ、起きている事も辛く、隣にいたお父様に寄り掛かってしまった。
その瞬間、スッと立ち上がったお父様。そのままソファに倒れ込んだ。
ああ…この人は、私に触れられるのも嫌なくらい、私を嫌っていたのね。そう思うと、増々悲しみが襲ってくる。自然と涙が流れた。
「申し訳ございません、娘の体調が悪化してしまった様で。とにかく、娘はもう既にこのような状況ですので。おい、今すぐセイラを連れて行け」
近くに控えていた護衛たちに、私を連れていくように伝えるお父様。護衛たちに抱えられ、退場する事になったのだった。
次回、ロイド視点です。
よろしくお願いします。
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