あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

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第1話:前世の記憶が蘇りました

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 苦しい…助けて…

「カナリア、可哀そうに…熱が全く引かないわ。至急もっと優秀な医者を手配して頂戴」

 目の前でお母様が目に涙を浮かべながら、メイドたちに指示を出している。私、カナリア・ディステニーは、ディステニー公爵家の令嬢で13歳。来週には貴族学院の入学を控えているのだが、3日前から原因不明の高熱に襲われているのだ。

 この3日、色々な医者が診察をしたが、原因が分からないとの事。日に日に弱っていく私を、お父様やお母様、お兄様たちが必死に優秀な医者を探してくれているが、皆首をかしげるばかり。

 もしかして私、このまま死ぬのかしら…

 頭がボーっとする、息使いも荒くなってきたし…苦しいわ…

 どうせもう死ぬのなら、日本酒が飲みたい。それからおつまみには、するめがいいわね。サラミも食べたいわ。

 ん?日本酒?するめ?サラミ?

 私、何を言っているのかしら?きっと熱のせいで、頭が変になってしまったのね。とにかく苦しいし、寝よう。

 ゆっくり瞳を閉じようとした時だった。

「カナリア、まだ熱が下がらないのだってね。可哀そうに。他国から優秀な医師を呼んできたよ。大丈夫だ、君は必ず僕が助けるから」

 真っ青な美しいサラサラの髪、エメラルドグリーンの瞳、そして整った顔立ち。彼は私の婚約者で、この国の王太子殿下、アルト様だ。幼い頃から私は、アルト様が大好きだった。私の想いが叶い、5年前正式にアルト様の婚約者になったのだ。

 大好きなアルト様の婚約者になれて、本当に嬉しかった。アルト様はとても優しくて、いつも私に寄り添ってくれる素敵な方だ。彼がいてくれるだけで、私は辛い王妃教育も耐えられた。

「頼む…死なないでくれ。僕は君がいないと、生きていけないんだ…」

 涙を浮かべ、私の手を握ったアルト様。と、その瞬間

 “頼む、彼女を殺さないでくれ。僕はもう、彼女がいないと生きていけないのだよ”

 アルト様のセリフが、脳裏に浮かんだ。

 “シャーラがいない世界なんて、僕は生きている意味はない。待っていてね、シャーラ。すぐに君の元にいくから…”

 走馬灯のように、あるセリフが次から次へと浮かぶ。

 シャーラ…シャーラ…

 “アルト様、どうして…そこまで彼女が好きだっただなんて…私もあなた様と同じように、あなた様がいないこの世界なんて生きていても意味がないですわ…”

 このセリフ…私、知っている気がする。アルト様もシャーラもカナリアも。でも、一体何だったかしら?ただ、なんだか悲しくてたまらない。それに今浮かんだセリフは一体…


「カナリア、辛いのかい?可哀そうに。涙を流しているではないか!すぐに診察を…」

「アルト様…大丈夫ですわ…熱のせいで、少し頭がおかしくなっている様で…お忙しいのに、私の為にわざわざ足を運んでくださり、ありがとうございます。万が一あなた様に移してしまうといけないので…どうか私に近づかないで下さい…」

 必死に笑顔を作り、アルト様に訴えた。なぜだろう、アルト様の顔を見ると、胸が締め付けられるような気持ちになるのだ。この苦しさは、熱のせい…ではない気がする。

「君が苦しんでいるのに、このまま黙って帰る事は出来ないよ。カナリアが楽になるのだったら、どうか僕に移して欲しい」

 必死に訴えてくるアルト様。

「殿下、準備が整いました。今すぐカナリア様の精密検査を行いますので、どうか外に出て下さい」

 どうやら今から精密検査を受ける様で、様々な器具が集まっていた。

「わかったよ。カナリア、大丈夫だ。必ず君は良くなるから」

 そう言うと、私のおでこに口づけをして、アルト様が外に出て行った。

 私がこのまま命を落とした方が、皆幸せになれるのに…て、私は何を思っているのかしら?今日の私、やっぱり変だわ。

「それでは早速検査を行いましょう」

 医者たちによって、様々な検査を受けた。まるで昔病院で受けた人間ドッグの様ね。あっ、でも人間ドッグの方が、もっと精密だったわ…て、人間ドッグ?

「お疲れ様でした。今のところ、特に異常は見られません。なぜここまで高熱が続くのか…」

 そんなにすぐに結果が出るだなんて、我が国の医療はすごいわ。熱があるときは、熱燗が美味しいのよね。昔おばあちゃんが作ってくれた、梅干し粥も美味しかったわ。

 あぁ、やっぱり日本は良かったわ。ん?日本?

 日本…日本。

 そうだわ、私、ずっと日本という国で生きて来たのだったわ。毎日仕事に行って、仕事終わりは自宅で晩酌するのが、毎日の日課だった。そして私は小説が大好きで、暇さえあれば読んでいた。

 小説…

 なんだろう、この違和感…

「カナリア様、申し訳ございません。やはり熱の原因が分からなくて。とにかくこの解熱剤をお飲みください」

 そう言うと、お医者様がお薬を手渡してくれた。

「これを飲んでも…多分効かないわ。色々と調べてくれてありがとう。明日には熱が引いていると思うから、もう心配しなくてもいいわ…」

 私、何を言っているのだろう。明日には熱が下がるですって?でも、なんだかそんな気がする。この熱の原因は、きっと…

 急激に眠気に襲われ、私はそのまま意識を飛ばしたのだった。


 ※新連載始めました。
 よろしくお願いしますm(__)m
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