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第2話:密かに抱く恋心
「アイリーン嬢、怪我はないかい?また酷い事を言われたのかい?」
私の元に駆けつけてくれたのは、この国の第二王子、ジルバード殿下だ。彼は私の婚約者でもあるレドルフ殿下の1歳下の弟。私と同じ歳の16歳だ。
この国の次期国王として大切に育てられたレドルフ殿下に対し、ジルバード殿下はレドルフ殿下を含めた王族を守るために、幼い頃から騎士団に入れられ、厳しい稽古をされられてきた。さらにレドルフ殿下に万が一の事があった場合を考え、国王になるための勉強まで叩き込まれていると聞く。
我が国では第一王子以外の王子たちは、王族を守るための存在とされているのだ。その為魔王軍が攻めて来た時も、先陣を切って戦いに行かなければいけない。いわば捨て駒的な存在なのだ。
ただ500年前は、英雄ジャンティーヌがいたため、当時10歳の第二王子は命を落とさず、天寿を全うできたとの事。
今回も私がジャンティーヌと同じ働きが出来れば、ジルバード殿下にこんな苦労をさせる事もなかったのだろう。その事を皆分かっている為、特にジルバード殿下の母、王妃殿下からの風当たりは相当なものなのだ。
「ジルバード殿下、お助けいただきありがとうございます。ですが、令嬢たちがおっしゃった事は、本当の事ですわ。私にジャンティーヌと同じくらいの力があれば、あなた様はこんな苦労をしなくて済んだのです。
既に魔王が封印されてから500年。いつ復活してもおかしくはないのです。もし復活すれば、あなた様のお命が…」
「何度も言っているが、俺は令嬢に守られて生き永らえたいとは微塵も思っていない。俺は自らの手で、魔王を封印したいと思っている。もう二度と、あんな思いは…
いいや、何でもない。とにかく俺は、魔王を倒すために今まで努力を重ねてきた。そもそも第二王子である俺には、兄上やこの国の民を守る義務があるんだ。本来王族が封印しなければいけなかった魔王を、500年前は公爵令嬢が封印してくれたというだけの話。
それなのに皆、アイリーン嬢に勝手に期待して!君は何も悪くないよ。どうか公爵令嬢として、大きな顔をして生きてほしい…と言いたいが、今の状況では厳しいよね。ごめんね、俺にもっと力があれば、君を守ってあげられるのに…」
悔しそうに呟くジルバード殿下。
「そんな…あなた様はいつもこうやって、私を守って下さっているではありませんか。婚約者でもあるレドルフ殿下ですら、私の事を毛嫌いしていらっしゃるのに…」
私の婚約者でもあるレドルフ殿下は、最初こそは大切にしてくれたが、私が出来損ないとわかると掌を返し、暴言を吐き少しでも近づこうとすれば、ゴミを見る様な目で見てくるのだ。
もちろん、私のデビュータントのエスコートもしてもらえず、寂しく1人で入場したのだ。
そんな私を不憫に思ってか、ファーストダンスはジルバード殿下が誘ってくれたのだ。ジルバード殿下は、幼い頃からずっと私に寄り添い、助けてくれている。
私のせいで、今後命を落とすかもしれないのに。それなのにいつも私に優しく接してくれるジルバード殿下に、密かに恋心を抱いているのだ。
もちろん、私なんかに好かれていると知ったら、ジルバード殿下も迷惑だろう。それに嫌われているとはいえ、一応私はレドルフ殿下の婚約者だ。
婚約者がいる身で、他の人を好きになるだなんて…
何より無力な私は、ジルバード殿下の力になる事すらできない。そう、私がジルバード殿下に出来る事は、何一つないのだ。
それが辛くてたまらない。もし私にジャンティーヌと同じ様な力があれば。何度そう願ったか…
「ジルバード殿下、助けていただきありがとうございます。あなた様が謝る事はありませんわ。どうかもう、私には関わらない方がよろしいかと。それでは、失礼いたします」
「待って、アイリーン嬢…」
ジルバード殿下に頭を下げ、その場を後にする。これ以上ジルバード殿下の優しさに触れたら、私の気持ちが溢れ出してしまう。
それに何よりも、ジルバード殿下は私なんかとは一緒にいてはいけないのだから…
私の元に駆けつけてくれたのは、この国の第二王子、ジルバード殿下だ。彼は私の婚約者でもあるレドルフ殿下の1歳下の弟。私と同じ歳の16歳だ。
この国の次期国王として大切に育てられたレドルフ殿下に対し、ジルバード殿下はレドルフ殿下を含めた王族を守るために、幼い頃から騎士団に入れられ、厳しい稽古をされられてきた。さらにレドルフ殿下に万が一の事があった場合を考え、国王になるための勉強まで叩き込まれていると聞く。
我が国では第一王子以外の王子たちは、王族を守るための存在とされているのだ。その為魔王軍が攻めて来た時も、先陣を切って戦いに行かなければいけない。いわば捨て駒的な存在なのだ。
ただ500年前は、英雄ジャンティーヌがいたため、当時10歳の第二王子は命を落とさず、天寿を全うできたとの事。
今回も私がジャンティーヌと同じ働きが出来れば、ジルバード殿下にこんな苦労をさせる事もなかったのだろう。その事を皆分かっている為、特にジルバード殿下の母、王妃殿下からの風当たりは相当なものなのだ。
「ジルバード殿下、お助けいただきありがとうございます。ですが、令嬢たちがおっしゃった事は、本当の事ですわ。私にジャンティーヌと同じくらいの力があれば、あなた様はこんな苦労をしなくて済んだのです。
既に魔王が封印されてから500年。いつ復活してもおかしくはないのです。もし復活すれば、あなた様のお命が…」
「何度も言っているが、俺は令嬢に守られて生き永らえたいとは微塵も思っていない。俺は自らの手で、魔王を封印したいと思っている。もう二度と、あんな思いは…
いいや、何でもない。とにかく俺は、魔王を倒すために今まで努力を重ねてきた。そもそも第二王子である俺には、兄上やこの国の民を守る義務があるんだ。本来王族が封印しなければいけなかった魔王を、500年前は公爵令嬢が封印してくれたというだけの話。
それなのに皆、アイリーン嬢に勝手に期待して!君は何も悪くないよ。どうか公爵令嬢として、大きな顔をして生きてほしい…と言いたいが、今の状況では厳しいよね。ごめんね、俺にもっと力があれば、君を守ってあげられるのに…」
悔しそうに呟くジルバード殿下。
「そんな…あなた様はいつもこうやって、私を守って下さっているではありませんか。婚約者でもあるレドルフ殿下ですら、私の事を毛嫌いしていらっしゃるのに…」
私の婚約者でもあるレドルフ殿下は、最初こそは大切にしてくれたが、私が出来損ないとわかると掌を返し、暴言を吐き少しでも近づこうとすれば、ゴミを見る様な目で見てくるのだ。
もちろん、私のデビュータントのエスコートもしてもらえず、寂しく1人で入場したのだ。
そんな私を不憫に思ってか、ファーストダンスはジルバード殿下が誘ってくれたのだ。ジルバード殿下は、幼い頃からずっと私に寄り添い、助けてくれている。
私のせいで、今後命を落とすかもしれないのに。それなのにいつも私に優しく接してくれるジルバード殿下に、密かに恋心を抱いているのだ。
もちろん、私なんかに好かれていると知ったら、ジルバード殿下も迷惑だろう。それに嫌われているとはいえ、一応私はレドルフ殿下の婚約者だ。
婚約者がいる身で、他の人を好きになるだなんて…
何より無力な私は、ジルバード殿下の力になる事すらできない。そう、私がジルバード殿下に出来る事は、何一つないのだ。
それが辛くてたまらない。もし私にジャンティーヌと同じ様な力があれば。何度そう願ったか…
「ジルバード殿下、助けていただきありがとうございます。あなた様が謝る事はありませんわ。どうかもう、私には関わらない方がよろしいかと。それでは、失礼いたします」
「待って、アイリーン嬢…」
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