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第7話:森は発見の連続です
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早速本を片手に、部屋を出る。すると、リサと護衛騎士たちが待機していた。そういえば昨日、リサからあまり部屋から出ない様にって言われていたのよね…どうしよう、やっぱり外には出してもらえないのかしら?
不安そうな顔をしていると、リサが話しかけてきた。
「サーラ様、どうされましたか?」
「あの…ちょっとお散歩に行きたくて…でも、部屋から出てはダメよね…」
「とんでもありません。あなた様は王太子妃様なのです、好きな事をぜひなされてください」
あら?そうなの?
「ありがとう。それなら、少し散歩に行ってくるわね」
早速森に向かって歩き出したのだが…なぜかリサと護衛騎士が付いてくる。
「私、1人で散歩をしたいのだけれど…」
「いいえ、いけません。あなた様は王太子妃様なのですよ。それも、森に向かっている様に見受けられます。森の奥には、クマやオオカミ、さらには大蛇が住んでいるのです。食べられてしまいます」
「まあ、そんなにたくさんの動物が?大丈夫よ。入り口付近を少し散策するだけだから。それに、たとえ私が食べられても、誰も悲しまないわ。きっと王妃様は泣いて喜ぶと思うの。だって私、ものすごく王妃様に嫌われているでしょう?」
「サーラ様…」
「お願い、今までずっと縮こまって生きて来たの。どうか1人にさせて…」
「わかりました。でも、あまり奥には行かない様、お願いします…」
「ありがとう。それじゃあ、行ってくるわね」
早速1人で森の中に入る。少し薄暗いが、それでも新鮮だ。空気もとても美味しい。あまり遠くに行ってはダメだと言っていたわね。あっ、あれはこの本に書いてある木の実だわ。
早速1口。うん、甘くておいしい。これも食べられるみたいね。万が一食事を与えられなくなったとしても、この森に来れば食べるものには困らないわ。そうだ、せっかくだから、摘んで帰ろう。
スカートを籠代わりに、たくさんの木の実を摘んだ。あら?あっちには何があるのかしら?
何やらキラキラと光っている。気になって向かうと、小川が流れていた。ここだけ木が生えていないからか、太陽の光が反射して、とても綺麗だ。そっと水に触れてみる。
「冷たい!でも、気持ちいい」
木の実を傍に置き、足を付けてみる。少しはしたないが、今は誰もいない。怒られることもない。やっぱり1人って、素敵ね…こんなに自分の思う様に行動した事って、あったかしら?いつも両親の言いなりで生きて来た。でも今は…
太陽の光がまぶしい。このまま、どこかに行ってしまいたい…そんな思いが、心を支配する。でも、そんな事は出来ない。さあ、そろそろ戻ろう。再び木の実をスカートの籠に入れる。
離宮に着くと、なぜかまたあの男が待っていた。
「サーラ、森に行くなんて危ないじゃないか。それにそんな服をきて、今すぐ君の為に準備した服に着替えるんだ!」
私の顔を見るなり、文句を言うのはエイダン様だ。この人の声を聞くだけで、頭痛がする。そんな彼を無視して、自室に戻ろうとしたのだが…あら?ドアが開かない。どうして?
「君の部屋はここじゃない。いつまでも意地を張っていないで、本来の君の部屋に戻ろう。君は僕の妻なんだ。こんなところにいてはいけないんだ。さあ、おいで」
私の手を掴もうとするエイダン様を、振り払った。
「イヤ、触らないでください!私は王妃様から、本宮に入る事を禁じられております。この離宮が私の部屋なのです。この部屋に入る事を禁じられたら、私はもう外で暮らすしかありません」
「そこ事は母上も深く反省している。君は僕の妻なんだよ。これ以上の我が儘は許さない。さあ、こっちに来るんだ!今日こそ初夜をすまなさないとね。君は僕の子を産み、王妃として幸せに暮らすんだよ。それが君の幸せでもある。大丈夫だ、もう君を虐める者はいない。君は王太子でもある僕の妻なのだから」
「虐める人はいないですって?散々私を傷つけ、苦しめてきたあなた自身がそれを言うのですか?私はずっと孤独だった。毎日毎日酷い暴言や嫌味に耐えてきました。正直、もうあなた様の顔を見るだけで、声を聞くだけで、吐き気と頭痛がするのです。どうかもう私に構わないでください。彼女たちに言っていたではありませんか?私と結婚なんて本当はしたくない。私を抱きたくないと!君たちを側室にするから、僕を癒してくれと!どうかご自分の発言に、責任を持って下さい」
私がどれほどその言葉に傷つけられてきたか、あなたには分からないでしょうね。それなのに、どうして私に構うの?どうしてまだ私の心をナイフでえぐるような事をするの?私だって、傷つくし心が痛いのよ!
一気に涙が溢れ出す。この男と婚約して、私はどれくらい涙を流しただろう。きっと一生分の涙を流したはずだ。
「サーラ、すまなかった。本当に…でもあれは、言葉の綾と言うか…」
「あなたにとって大した言葉でなくても、私は毎回ナイフで心をえぐられる様な思いでした。あなたはどれだけ私の心を殺せば気が済むのですか?私はあなたなんかに、指一本触れられたくないのです!もう本当に嫌悪感しか、あなたに抱いておりません!」
「君は僕の妻なんだよ。そんな事が許されると思っているのかい?」
「そうですね。許されませんね。それなら、私を国家反逆罪で訴えて下さい。そして、極刑にでも処したらどうですか?そうですね、公開処刑がよろしいかと。皆の前で、惨めったらしく死ねば、あなた様の大切な人たちも喜びますよ。それならそれで、私も本望です。どうかあなたの手で、私を殺してください!」
もう感情が抑えられない。自分で何を言っているのか分からない。でも、こんな男に抱かれるくらいなら、いっその事…
「サーラ、ごめん。そこまで君を追い詰め、傷つけていたなんて…僕の責任だ。本当にすまない」
何を思ったのか、急に涙を流し、謝罪し始めたエイダン様。
「もし…少しでも私に悪いと思ってくださっているのでしたら…どうかもう、私には関わらないでください…私は王妃としての仕事も果たせませんので…私と離縁し別の令嬢を正室として迎えて頂いても構いませんから」
そう言い残し、再び森に向かった。
「待ってくれ、サーラ…」
後ろであの男の叫び声が聞こえるが、無視して歩き始めたのだった。
不安そうな顔をしていると、リサが話しかけてきた。
「サーラ様、どうされましたか?」
「あの…ちょっとお散歩に行きたくて…でも、部屋から出てはダメよね…」
「とんでもありません。あなた様は王太子妃様なのです、好きな事をぜひなされてください」
あら?そうなの?
「ありがとう。それなら、少し散歩に行ってくるわね」
早速森に向かって歩き出したのだが…なぜかリサと護衛騎士が付いてくる。
「私、1人で散歩をしたいのだけれど…」
「いいえ、いけません。あなた様は王太子妃様なのですよ。それも、森に向かっている様に見受けられます。森の奥には、クマやオオカミ、さらには大蛇が住んでいるのです。食べられてしまいます」
「まあ、そんなにたくさんの動物が?大丈夫よ。入り口付近を少し散策するだけだから。それに、たとえ私が食べられても、誰も悲しまないわ。きっと王妃様は泣いて喜ぶと思うの。だって私、ものすごく王妃様に嫌われているでしょう?」
「サーラ様…」
「お願い、今までずっと縮こまって生きて来たの。どうか1人にさせて…」
「わかりました。でも、あまり奥には行かない様、お願いします…」
「ありがとう。それじゃあ、行ってくるわね」
早速1人で森の中に入る。少し薄暗いが、それでも新鮮だ。空気もとても美味しい。あまり遠くに行ってはダメだと言っていたわね。あっ、あれはこの本に書いてある木の実だわ。
早速1口。うん、甘くておいしい。これも食べられるみたいね。万が一食事を与えられなくなったとしても、この森に来れば食べるものには困らないわ。そうだ、せっかくだから、摘んで帰ろう。
スカートを籠代わりに、たくさんの木の実を摘んだ。あら?あっちには何があるのかしら?
何やらキラキラと光っている。気になって向かうと、小川が流れていた。ここだけ木が生えていないからか、太陽の光が反射して、とても綺麗だ。そっと水に触れてみる。
「冷たい!でも、気持ちいい」
木の実を傍に置き、足を付けてみる。少しはしたないが、今は誰もいない。怒られることもない。やっぱり1人って、素敵ね…こんなに自分の思う様に行動した事って、あったかしら?いつも両親の言いなりで生きて来た。でも今は…
太陽の光がまぶしい。このまま、どこかに行ってしまいたい…そんな思いが、心を支配する。でも、そんな事は出来ない。さあ、そろそろ戻ろう。再び木の実をスカートの籠に入れる。
離宮に着くと、なぜかまたあの男が待っていた。
「サーラ、森に行くなんて危ないじゃないか。それにそんな服をきて、今すぐ君の為に準備した服に着替えるんだ!」
私の顔を見るなり、文句を言うのはエイダン様だ。この人の声を聞くだけで、頭痛がする。そんな彼を無視して、自室に戻ろうとしたのだが…あら?ドアが開かない。どうして?
「君の部屋はここじゃない。いつまでも意地を張っていないで、本来の君の部屋に戻ろう。君は僕の妻なんだ。こんなところにいてはいけないんだ。さあ、おいで」
私の手を掴もうとするエイダン様を、振り払った。
「イヤ、触らないでください!私は王妃様から、本宮に入る事を禁じられております。この離宮が私の部屋なのです。この部屋に入る事を禁じられたら、私はもう外で暮らすしかありません」
「そこ事は母上も深く反省している。君は僕の妻なんだよ。これ以上の我が儘は許さない。さあ、こっちに来るんだ!今日こそ初夜をすまなさないとね。君は僕の子を産み、王妃として幸せに暮らすんだよ。それが君の幸せでもある。大丈夫だ、もう君を虐める者はいない。君は王太子でもある僕の妻なのだから」
「虐める人はいないですって?散々私を傷つけ、苦しめてきたあなた自身がそれを言うのですか?私はずっと孤独だった。毎日毎日酷い暴言や嫌味に耐えてきました。正直、もうあなた様の顔を見るだけで、声を聞くだけで、吐き気と頭痛がするのです。どうかもう私に構わないでください。彼女たちに言っていたではありませんか?私と結婚なんて本当はしたくない。私を抱きたくないと!君たちを側室にするから、僕を癒してくれと!どうかご自分の発言に、責任を持って下さい」
私がどれほどその言葉に傷つけられてきたか、あなたには分からないでしょうね。それなのに、どうして私に構うの?どうしてまだ私の心をナイフでえぐるような事をするの?私だって、傷つくし心が痛いのよ!
一気に涙が溢れ出す。この男と婚約して、私はどれくらい涙を流しただろう。きっと一生分の涙を流したはずだ。
「サーラ、すまなかった。本当に…でもあれは、言葉の綾と言うか…」
「あなたにとって大した言葉でなくても、私は毎回ナイフで心をえぐられる様な思いでした。あなたはどれだけ私の心を殺せば気が済むのですか?私はあなたなんかに、指一本触れられたくないのです!もう本当に嫌悪感しか、あなたに抱いておりません!」
「君は僕の妻なんだよ。そんな事が許されると思っているのかい?」
「そうですね。許されませんね。それなら、私を国家反逆罪で訴えて下さい。そして、極刑にでも処したらどうですか?そうですね、公開処刑がよろしいかと。皆の前で、惨めったらしく死ねば、あなた様の大切な人たちも喜びますよ。それならそれで、私も本望です。どうかあなたの手で、私を殺してください!」
もう感情が抑えられない。自分で何を言っているのか分からない。でも、こんな男に抱かれるくらいなら、いっその事…
「サーラ、ごめん。そこまで君を追い詰め、傷つけていたなんて…僕の責任だ。本当にすまない」
何を思ったのか、急に涙を流し、謝罪し始めたエイダン様。
「もし…少しでも私に悪いと思ってくださっているのでしたら…どうかもう、私には関わらないでください…私は王妃としての仕事も果たせませんので…私と離縁し別の令嬢を正室として迎えて頂いても構いませんから」
そう言い残し、再び森に向かった。
「待ってくれ、サーラ…」
後ろであの男の叫び声が聞こえるが、無視して歩き始めたのだった。
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