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第9話:どうしても諦めきれなくて…~エイダン視点~
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サーラにメイドの事で怒られ、一旦自室に戻ってきた。ふとサーラの為に準備した部屋に入る。そこには、サーラの為に準備したドレスやワンピースが、所狭しと並んでいた。さらに宝石も、これでもかと言うくらい準備してある。
部屋自体も、あんな囚人が使う様な離宮に比べれば、数倍の広さがある立派な部屋だ。もちろん窓も大きいし、浴槽も立派だ。サーラは今頃、あんな狭くて陰気くさい場所で過ごしているのか。
やっぱり、サーラにはこの場所で幸せに暮らして欲しい。そんな思いから、僕は再び離宮に向かった。離宮でも本当に外れにある為、本宮から少し時間が掛かる。その上、森のすぐ隣にあるのだ。そう、あの森には恐ろしいクマやオオカミ、さらに大蛇がいる。
あんな恐ろしい森と隣り合わせだなんて…一刻も早く、サーラを連れ戻さないと!
離宮に着くと、護衛騎士とメイドがいるのみで、サーラの姿はどこにもない。一体どこにいるのかと尋ねると、なんと森に入っていたっとの事。
「どうして森なんかに行かせた!何かあったらどうするんだ」
「申し訳ございません。ですが、サーラ様がどうしてもとおっしゃられまして…それに、護衛も後ろから付けておりますので」
サーラがあんな恐ろしい森に自ら入ったというのか…でも、チャンスかもしれない。とにかく、もうこの離宮が使えない様に、扉を開かない様にした。さらに、サーラの荷物も本宮に運ばせた。
これでサーラも諦めて本宮で暮らすだろう。そう思っていたのだが…戻ってきたサーラは、本宮には立ち入る事を禁止されているので行かない。外で暮らすと言い出したのだ。
令嬢が外でなんて暮らせるわけがない。いい加減これ以上の我が儘は認められない、そう伝えたのだが。今まで溜め込んでいた思いを、一気に爆発させるサーラ。美しい赤い瞳から、ポロポロ涙を流しながら、僕を睨みつけている。
さらに自分を国家反逆罪で訴えてくれとまで言ってきたのだ。僕といる事は、彼女にとって死ぬほど嫌な事だったなんて…
「私と離縁し別の令嬢を正室として迎えて頂いても構いませんから」
最後にそう吐き捨て、そのまま森に向かって走って行ってしまった。僕も急いで追おうとする。でも
「私たちがサーラ様を追います。どうか殿下はこの場所に」
護衛騎士にそう言われてしまった。きっと僕が追いかけたところで、さらにサーラは僕から逃げる様に森の奥に進むだろう。サーラは僕が思っている以上に傷つき、心を閉ざしてしまっている。その事実を、改めて突き付けられた。
「悪いが、離宮をサーラが使える様に戻してくれ…それから、サーラが望むとおりにしてやってほしい」
そう伝え、離宮を後にした。これほどまでに嫌われているなんて…それでも僕は、サーラを諦める事なんて出来ない。僕はサーラを愛しているのだから…
自室に戻り、ソファーに腰を掛けた。サーラと結婚すれば、全てうまく行く。サーラを幸せにできる、そう思っていた。でも、サーラは…
“もうあなた様の顔を見るだけで、声を聞くだけで、吐き気と頭痛がする”
“どうかあなたの手で、私を殺してください!”
さっきサーラに言われた言葉が、僕の心に深く突き刺さる。でもよく考えてみたら、僕はずっと彼女に、似たような事を言って来た。7年間、僕はずっとサーラの心を、ナイフで傷つけ続けてきたのだ。
頭では分かっている。僕がやって来たことは、間違いだったという事…僕の存在自体が、サーラを苦しめているという事も…
結局その日はほとんど何もする気が起きず、ただ自室で過ごした。それでも翌日からは、王太子の仕事を再開させた。もし僕がサーラと結婚したことで、王太子の仕事を放り出すような事があったら、きっとまたサーラが悪く言われるだろう。
もう彼女が悪く言われるのは嫌だ。これが僕に出来る、唯一の罪滅ぼしなのかもしれない。それでもサーラに会いたくて、こっそり離宮に向かう。予想通りサーラは、僕を見るとすぐに無表情になる。
そういえばサーラ、いつも同じような服を着ているな。宝石類も一切身につけていないし。そんな思いから、サーラに洋服と宝石を贈ったが、置く場所がないと送り返されてしまった。
さらにメイドが頻繁に図書館に通っているのを見て、本を贈ろうとしたが、こちらも断られてしまった。そんなある日、いつもの様にサーラに会いに行くと、楽しそうにメイドを話しをしている姿が目に入った。
いつも無表情のサーラが、笑っている…その笑顔は、本当に可愛かった。
僕はこの笑顔が大好きだったんだ…それなのに僕は…あの笑顔を守りたい、あの時の僕は、確かにそう思ったはずなのに…
その日は結局サーラに会わず、その場を後にしたのだった。
部屋自体も、あんな囚人が使う様な離宮に比べれば、数倍の広さがある立派な部屋だ。もちろん窓も大きいし、浴槽も立派だ。サーラは今頃、あんな狭くて陰気くさい場所で過ごしているのか。
やっぱり、サーラにはこの場所で幸せに暮らして欲しい。そんな思いから、僕は再び離宮に向かった。離宮でも本当に外れにある為、本宮から少し時間が掛かる。その上、森のすぐ隣にあるのだ。そう、あの森には恐ろしいクマやオオカミ、さらに大蛇がいる。
あんな恐ろしい森と隣り合わせだなんて…一刻も早く、サーラを連れ戻さないと!
離宮に着くと、護衛騎士とメイドがいるのみで、サーラの姿はどこにもない。一体どこにいるのかと尋ねると、なんと森に入っていたっとの事。
「どうして森なんかに行かせた!何かあったらどうするんだ」
「申し訳ございません。ですが、サーラ様がどうしてもとおっしゃられまして…それに、護衛も後ろから付けておりますので」
サーラがあんな恐ろしい森に自ら入ったというのか…でも、チャンスかもしれない。とにかく、もうこの離宮が使えない様に、扉を開かない様にした。さらに、サーラの荷物も本宮に運ばせた。
これでサーラも諦めて本宮で暮らすだろう。そう思っていたのだが…戻ってきたサーラは、本宮には立ち入る事を禁止されているので行かない。外で暮らすと言い出したのだ。
令嬢が外でなんて暮らせるわけがない。いい加減これ以上の我が儘は認められない、そう伝えたのだが。今まで溜め込んでいた思いを、一気に爆発させるサーラ。美しい赤い瞳から、ポロポロ涙を流しながら、僕を睨みつけている。
さらに自分を国家反逆罪で訴えてくれとまで言ってきたのだ。僕といる事は、彼女にとって死ぬほど嫌な事だったなんて…
「私と離縁し別の令嬢を正室として迎えて頂いても構いませんから」
最後にそう吐き捨て、そのまま森に向かって走って行ってしまった。僕も急いで追おうとする。でも
「私たちがサーラ様を追います。どうか殿下はこの場所に」
護衛騎士にそう言われてしまった。きっと僕が追いかけたところで、さらにサーラは僕から逃げる様に森の奥に進むだろう。サーラは僕が思っている以上に傷つき、心を閉ざしてしまっている。その事実を、改めて突き付けられた。
「悪いが、離宮をサーラが使える様に戻してくれ…それから、サーラが望むとおりにしてやってほしい」
そう伝え、離宮を後にした。これほどまでに嫌われているなんて…それでも僕は、サーラを諦める事なんて出来ない。僕はサーラを愛しているのだから…
自室に戻り、ソファーに腰を掛けた。サーラと結婚すれば、全てうまく行く。サーラを幸せにできる、そう思っていた。でも、サーラは…
“もうあなた様の顔を見るだけで、声を聞くだけで、吐き気と頭痛がする”
“どうかあなたの手で、私を殺してください!”
さっきサーラに言われた言葉が、僕の心に深く突き刺さる。でもよく考えてみたら、僕はずっと彼女に、似たような事を言って来た。7年間、僕はずっとサーラの心を、ナイフで傷つけ続けてきたのだ。
頭では分かっている。僕がやって来たことは、間違いだったという事…僕の存在自体が、サーラを苦しめているという事も…
結局その日はほとんど何もする気が起きず、ただ自室で過ごした。それでも翌日からは、王太子の仕事を再開させた。もし僕がサーラと結婚したことで、王太子の仕事を放り出すような事があったら、きっとまたサーラが悪く言われるだろう。
もう彼女が悪く言われるのは嫌だ。これが僕に出来る、唯一の罪滅ぼしなのかもしれない。それでもサーラに会いたくて、こっそり離宮に向かう。予想通りサーラは、僕を見るとすぐに無表情になる。
そういえばサーラ、いつも同じような服を着ているな。宝石類も一切身につけていないし。そんな思いから、サーラに洋服と宝石を贈ったが、置く場所がないと送り返されてしまった。
さらにメイドが頻繁に図書館に通っているのを見て、本を贈ろうとしたが、こちらも断られてしまった。そんなある日、いつもの様にサーラに会いに行くと、楽しそうにメイドを話しをしている姿が目に入った。
いつも無表情のサーラが、笑っている…その笑顔は、本当に可愛かった。
僕はこの笑顔が大好きだったんだ…それなのに僕は…あの笑顔を守りたい、あの時の僕は、確かにそう思ったはずなのに…
その日は結局サーラに会わず、その場を後にしたのだった。
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