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第12話:私の意見が聞き入れられました
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早速翌日、デザイナーと宝石商がやって来ることになった。さすがに私の部屋では会えないので、本宮に向かう事になった。本宮に足を踏み入れるのは勇気がいった。それでも、昨日王妃様が謝罪してくれた事もあり、意を決して向かったのだ。
久しぶりに入る本宮は、相変わらず立派だ。でも…私にとってこの場所にはいい思いではない。つい緊張してしまう。
「サーラ様、そんなに緊張されなくても大丈夫ですわ。さあ、力を抜いて下さい」
そうリサに言われたが、やっぱり緊張する。案内された部屋は、客間だ。しばらく待っていると、デザイナーと思われる女性がやって来た。
一瞬大きく目を見開いた後、すぐに笑顔を向けたデザイナー。よく見ると私の服、少し汚れているのよね。この1ヶ月間、1日おきに着ている。もちろん洗濯はしているが、森に行くとどうしても汚れてしまうのだ。王太子妃のドレスをデザインすると聞いて来たのだから、そりゃ驚くだろう。
「王太子妃様、お初にお目にかかります。王宮御用達のデザイナーをしております、メリッサと申します。あなた様のお洋服はたくさん作らせていただきましたが、念のためもう一度サイズを測らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
そういえば以前大量に洋服が届いたわね。もしかしたら、あれは彼女がデザインした服だったのかしら?それにしても、ゴージャスな女性ね。マダムって感じだわ。
早速マダムが、手際よくサイズを測り始めた。
「ほとんどサイズは変わっておりませんね。ありがとうございました。では早速ドレスのデザインを決めていきましょう。まずはお色はどうされますか?」
「あの…できればピンクとか黄色とか、そういった色がいいのですが…」
「それでしたら、ピンクにいたしましょう。王太子妃様は可愛らしい雰囲気がありますので、きっとピンクが似合いますわ」
可愛らしい雰囲気か。初めて言われたわ。なんだか恥ずかしいような嬉しいような、何とも言えない気持ちになる。
「ドレスの形はどういたしましょう?」
「そうですね。出来るだけシンプルなものがいいです」
「それでしたら、デザインはシンプルにして、ドレスに膨らみを持たせるのはどうでしょう?」
サラサラと絵を書いていくマダム。
「ええ、とても素敵ですわ。ドレスの裾の部分に、刺繍を入れてくれると嬉しいのですが」
「もちろんです。刺繍のお色は、王太子妃様の瞳の色に合わせて、赤なんかはいかがでしょう」
「ええ、そうして頂けると嬉しいわ」
私の意見をどんどん取り入れてくれるマダム。それが嬉しくてたまらない。さらに細かいデザインを、マダムと決めていく。マダムは私に似合いそうなものを次々と提案してくれるのだ。
「それでは、デザインが決まりましたので、早速制作に取り掛からせていただきますね。さあ、次は普段着のデザインに入りましょうか」
「えっ、普段着の方は…」
そんな話、聞いていないのだが…困惑する私にマダムが
「王妃様が、是非普段着もデザインして欲しいと依頼されているのです。どうやら前回準備した服は、王太子殿下が勝手に選んでいた様で…あまりセンスの良いものではなかったとの事で…」
「まあ、王妃様が?」
王妃様ったら、私の為にわざわざ普段着まで頼んでくれていたのね…
「さあ、早速デザインを始めましょう。と言っても、普段着ですからすぐに作れるシンプルなものが良いかと思います。10着くらい作る様言われておりますので。今回はいくつか見本を持ってまいりましたの」
そう言うと、50着くらいのワンピースやドレスを並べてくれた。シンプルなものから、豪華なものまで色々だ。
この中から、私が選んでいいのかしら?どうしていいか分からず、固まっていると
「もしよろしければ、お手に取ってみてください。この中でお好みのデザインなどがあれば、何なりとお申しつけ下さい。こちらは見本ですので、このデザインでこのお色がいいなどのご要望も頂ければと思います」
何から何まで、私に選ばせてもらえる様だ。せっかくなので、何着か要望を出しながら選んでいった。ピンク、黄色、エメラルドグリーン、水色など、色々な色を選んでいく。いつも紫色を着せられていた私。自分で好きな色を選べるって、やっぱりいいわね。
結局12着も選んでしまった。
さらにすぐに着られる様にと、その場で見本の服を、私が着られる様直してくれたマダム。本当に感謝しかない。
マダムを笑顔で見送ると、すぐにリサが
「サーラ様、せっかくなのでお着替えをされてはいかがですか?」
と、提案してくれたので、エメラルドグリーンのドレスに着替えた。
「とてもよくお似合いですよ。やっぱりサーラ様は、明るいお色がお似合いなのですね」
と、リサが褒めてくれる。その後は宝石商が来たので、そこでも好きな宝石を選ばせてもらった。と言っても、ルビーを中心にイヤリングとネックレスをデザインした。リサに他のものも選んでもいいと言われたが、今回はこれだけにしておいた。
もしかしたら、もうパーティーなど公の場に参加する事はないかもしれない。そうなった時、宝石が無駄になってしまうと思ったからだ。
宝石を選び終わった後、また離宮に戻ってきた。
「サーラ様、ドレスと宝石が出来上がるのが、楽しみですね。きっと素敵に仕上がりますよ」
「そうね。私、ドレスや宝石選びがこんなに楽しいなんて知らなかったわ。それに何より、自分の意見が聞き入れられたことが、嬉しくてたまらないの」
今までずっと、私の意見なんて誰も耳を傾けてくれなかった。でも今日は、私の意見を真剣に聞いてくれたマダムと宝石商。本当に感謝しかない。
「サーラ様、これからは、あなた様が着たいと思うお洋服やドレス、付けたいと思う宝石を付けて頂ければいいのです。もう誰も、あなた様の意見を無視する者はおりませんので」
そう言うと、リサは笑った。そんなリサを見て、私も笑ったのであった。
久しぶりに入る本宮は、相変わらず立派だ。でも…私にとってこの場所にはいい思いではない。つい緊張してしまう。
「サーラ様、そんなに緊張されなくても大丈夫ですわ。さあ、力を抜いて下さい」
そうリサに言われたが、やっぱり緊張する。案内された部屋は、客間だ。しばらく待っていると、デザイナーと思われる女性がやって来た。
一瞬大きく目を見開いた後、すぐに笑顔を向けたデザイナー。よく見ると私の服、少し汚れているのよね。この1ヶ月間、1日おきに着ている。もちろん洗濯はしているが、森に行くとどうしても汚れてしまうのだ。王太子妃のドレスをデザインすると聞いて来たのだから、そりゃ驚くだろう。
「王太子妃様、お初にお目にかかります。王宮御用達のデザイナーをしております、メリッサと申します。あなた様のお洋服はたくさん作らせていただきましたが、念のためもう一度サイズを測らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
そういえば以前大量に洋服が届いたわね。もしかしたら、あれは彼女がデザインした服だったのかしら?それにしても、ゴージャスな女性ね。マダムって感じだわ。
早速マダムが、手際よくサイズを測り始めた。
「ほとんどサイズは変わっておりませんね。ありがとうございました。では早速ドレスのデザインを決めていきましょう。まずはお色はどうされますか?」
「あの…できればピンクとか黄色とか、そういった色がいいのですが…」
「それでしたら、ピンクにいたしましょう。王太子妃様は可愛らしい雰囲気がありますので、きっとピンクが似合いますわ」
可愛らしい雰囲気か。初めて言われたわ。なんだか恥ずかしいような嬉しいような、何とも言えない気持ちになる。
「ドレスの形はどういたしましょう?」
「そうですね。出来るだけシンプルなものがいいです」
「それでしたら、デザインはシンプルにして、ドレスに膨らみを持たせるのはどうでしょう?」
サラサラと絵を書いていくマダム。
「ええ、とても素敵ですわ。ドレスの裾の部分に、刺繍を入れてくれると嬉しいのですが」
「もちろんです。刺繍のお色は、王太子妃様の瞳の色に合わせて、赤なんかはいかがでしょう」
「ええ、そうして頂けると嬉しいわ」
私の意見をどんどん取り入れてくれるマダム。それが嬉しくてたまらない。さらに細かいデザインを、マダムと決めていく。マダムは私に似合いそうなものを次々と提案してくれるのだ。
「それでは、デザインが決まりましたので、早速制作に取り掛からせていただきますね。さあ、次は普段着のデザインに入りましょうか」
「えっ、普段着の方は…」
そんな話、聞いていないのだが…困惑する私にマダムが
「王妃様が、是非普段着もデザインして欲しいと依頼されているのです。どうやら前回準備した服は、王太子殿下が勝手に選んでいた様で…あまりセンスの良いものではなかったとの事で…」
「まあ、王妃様が?」
王妃様ったら、私の為にわざわざ普段着まで頼んでくれていたのね…
「さあ、早速デザインを始めましょう。と言っても、普段着ですからすぐに作れるシンプルなものが良いかと思います。10着くらい作る様言われておりますので。今回はいくつか見本を持ってまいりましたの」
そう言うと、50着くらいのワンピースやドレスを並べてくれた。シンプルなものから、豪華なものまで色々だ。
この中から、私が選んでいいのかしら?どうしていいか分からず、固まっていると
「もしよろしければ、お手に取ってみてください。この中でお好みのデザインなどがあれば、何なりとお申しつけ下さい。こちらは見本ですので、このデザインでこのお色がいいなどのご要望も頂ければと思います」
何から何まで、私に選ばせてもらえる様だ。せっかくなので、何着か要望を出しながら選んでいった。ピンク、黄色、エメラルドグリーン、水色など、色々な色を選んでいく。いつも紫色を着せられていた私。自分で好きな色を選べるって、やっぱりいいわね。
結局12着も選んでしまった。
さらにすぐに着られる様にと、その場で見本の服を、私が着られる様直してくれたマダム。本当に感謝しかない。
マダムを笑顔で見送ると、すぐにリサが
「サーラ様、せっかくなのでお着替えをされてはいかがですか?」
と、提案してくれたので、エメラルドグリーンのドレスに着替えた。
「とてもよくお似合いですよ。やっぱりサーラ様は、明るいお色がお似合いなのですね」
と、リサが褒めてくれる。その後は宝石商が来たので、そこでも好きな宝石を選ばせてもらった。と言っても、ルビーを中心にイヤリングとネックレスをデザインした。リサに他のものも選んでもいいと言われたが、今回はこれだけにしておいた。
もしかしたら、もうパーティーなど公の場に参加する事はないかもしれない。そうなった時、宝石が無駄になってしまうと思ったからだ。
宝石を選び終わった後、また離宮に戻ってきた。
「サーラ様、ドレスと宝石が出来上がるのが、楽しみですね。きっと素敵に仕上がりますよ」
「そうね。私、ドレスや宝石選びがこんなに楽しいなんて知らなかったわ。それに何より、自分の意見が聞き入れられたことが、嬉しくてたまらないの」
今までずっと、私の意見なんて誰も耳を傾けてくれなかった。でも今日は、私の意見を真剣に聞いてくれたマダムと宝石商。本当に感謝しかない。
「サーラ様、これからは、あなた様が着たいと思うお洋服やドレス、付けたいと思う宝石を付けて頂ければいいのです。もう誰も、あなた様の意見を無視する者はおりませんので」
そう言うと、リサは笑った。そんなリサを見て、私も笑ったのであった。
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