そんなに私の事がお嫌いならもう放っておいてください!

Karamimi

文字の大きさ
14 / 20

第14話:陛下の誕生日パーティー当日を迎えました

しおりを挟む
「サーラ、明日は父上の誕生日パーティーだね。本当にサーラは来てくれるのかい?」

相変わらず私の部屋で食事をとるエイダン様。

「はい、そのつもりです。先日ドレスと宝石も届きましたし。そうそう、ドレスと宝石を買っていただき、ありがとうございました」

王妃様が色々と手配してくれた様だが、一応エイダン様にもお礼を言っておいた。

「別にお礼を言われることはしていないよ。君がパーティーに来てくれるだけで、僕は嬉しいんだ。でも、もし嫌だったら無理して出なくてもいいからね」

「ありがとうございます。でも大丈夫ですわ…嫌味には…慣れておりますので…」

「ごめん…サーラ。また嫌な事を思い出させてしまったね。さあ、食べよう。今日は君の好きな魚料理を準備したんだ」

「私がお魚が好きだと知っているのですか?」

ここに来てから、美味しいお魚料理を頂く事も増えた。そのお陰か、すっかりお魚が好きになったのだ。

「君は魚を食べるとき、嬉しそうにしているからね。少しずつだけれど、サーラの事が分かって来た気がするんだ。でも、まだまだだけれど…」

そう言って恥ずかしそうに笑ったエイダン様。彼なりに、私の事を知ろうとしてくれている様だ。この3ヶ月、一生懸命私の好きな事を知ろうとしてくれたり、私に話しかけてくれたりしている。

それでも私は、7年間受け続けた仕打ちを思い出すと、どうしてもエイダン様を受け入れる事が出来ない。

「エイダン様…申し訳ございません…」

「急にどうしたんだい?どうして君が謝るんだい?」

「私はやはり、あなた様をどうしても受け入れる事が出来ません。だから…その…」

「分かっているよ。僕がした仕打ちを考えれば、そう簡単に受け入れられないだろう。それでも、こうして一緒に食事をしてくれている。それだけで、僕は十分嬉しいんだ。そうそう、デザートは君が摘んできてくれた木の実をたくさん使ったタルトだそうだ。楽しみだな」

「木の実のデザートも、しばらくはお預けになりそうですわ。もうすぐ冬が来ますので」

随分と森の木も枯れて来た。木の実もほとんど取れなくなってきたのだ。もうすぐ寒い冬がやって来る。この地域は、冬自体はせいぜい2ヶ月程度なのだが、一気に気温が下がり、とても寒くなる。ここは森も近い離宮。きっとかなり寒くなるだろう。

「サーラ、冬はとても寒くなる。どうか本宮に…」

「いいえ、大丈夫ですわ。どうか私の事は、気にしないでください」

とにかく、本宮に行くつもりはない。いくら寒くても、この場所から離れるつもりはないのだ。それよりも、まずは明日の陛下の誕生日パーティーを無事に終わらせることが先決よね。


そして迎えた翌日。
さすがに私の部屋では着替え等やりにくいため、一時的に本宮にお邪魔している。やっぱり本宮はなんだか落ち着かない。ついキョロキョロとしてしまう。

そんな私を、綺麗に磨き上げていくメイドたち。今日はリサ以外にも、何人ものメイドが手伝いに来てくれている。

「サーラ様、出来ましたよ。やっぱりサーラ様は、ピンクが良くお似合いです。本当にお美しい」

「ありがとう、リサ。こうやって誰からに褒められると、やっぱり嬉しいものね」

今まではどんなに着飾っても、誰も褒めてくれなかった。でも今は、こうやってリサが褒めてくれる。さらに

「本当に王太子妃様は、お美しいですわ。王太子妃様はこういった明るいお色がお似合いですわね」

「瞳に合わせたルビーも、よく似合っておいでですよ」

他のメイドたちも、笑顔で褒めてくれる。それが嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。

「さあ、参りましょうか」

部屋の外に出ると、エイダン様が待っていた。

「サーラ、今日のドレス、本当によく似合っているよ。君は…紫色よりもピンクの方が似合うね」

「ありがとうございます」

少し恥ずかしそうに褒めてくれたエイダン様。なんだか恥ずかしいわ。エイダン様にエスコートされ、陛下や王妃様の元へと向かう。

「国王陛下、王妃様、お久しぶりです」

2人に挨拶をした。

「サーラさん、今日のドレス、とてもよく似合っておりますよ。今日は参加してくれてありがとう」

3ヶ月ぶりに会った王妃様は、以前あった時と同じように、優しい表情を浮かべていた。さらに陛下からも

「サーラ、今日はありがとう。エイダンがすまなかったな…」

そう言って頭を下げてくれたのだ。本当にこの人たちは、変わったのね。と言っても、陛下とは元々ほとんど関りはなかったのだけれど。

「さあ、そろそろ行きましょうか。サーラさん、控室を準備してあるから、嫌だと思ったらすぐに控室で休憩して頂戴」

「お気遣い、ありがとうございます。王妃様」

4人並んで、入場の時を待つ。久しぶりの大きな舞台。なんだか緊張してきた。そんな私の手をぎゅっと握って来たのは、エイダン様だ。

無意識にエイダン様の方を向く。

「僕にこんな事を言われても信じられないかもしれないが…今日は必ずサーラを守るから…もう二度と、君に嫌な思いはさせないから」

真っすぐ私を見て、そう伝えてくれたのだ。どう答えていいか分からず固まっていると、そのまま入場の時間になった。陛下と王妃様、エイダン様に続いて入場したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

【完結】旦那に愛人がいると知ってから

よどら文鳥
恋愛
 私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。  だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。  それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。  だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。 「……あの女、誰……!?」  この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。  だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。 ※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

公爵夫人は愛されている事に気が付かない

山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」 「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」 「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」 「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」 社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。 貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。 夫の隣に私は相応しくないのだと…。

あなたの言うことが、すべて正しかったです

Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」  名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。  絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。  そして、運命の五年後。  リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。 *小説家になろうでも投稿中です

処理中です...