そんなに私の事がお嫌いならもう放っておいてください!

Karamimi

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第15話:エイダン様が守ってくれました

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ゆっくり入場すると、たくさんの貴族が私たちの方を見ていた。その中には両親や私を虐めていた令嬢たちの姿も。

その瞬間、体が震えだす。ダメよ、とにかく耐えるのよ。そう自分に言い聞かせる。そんな私に気が付いたエイダン様が、再び私の手を握ってくれた。なぜだろう、不快感しかなかったエイダン様の手。でも今は、この温もりが安心する。

結局陛下の挨拶が終わるまで、ずっと手を握っていてくれた。陛下の挨拶が終わると、それぞれ自由行動だ。ダンスを踊る者、雑談をする者、食事を楽しむ者など様々だ。いつもなら私は、エイダン様から離れ、壁の花に徹するのだが。今日はエイダン様が私の手をぎゅっと握っていてくれている。

「サーラ、大丈夫かい?さっき震えていただろう?辛いなら、控室に行って休憩してもいいんだよ。もちろん、僕も傍にいるから」

気を使ってくれるエイダン様。

「お気遣いありがとうございます。でも、大丈夫ですわ。どうか私は大丈夫ですので、エイダン様はお好きな様に動いて下さい」

パーティーでもずっと独りぼっちだった。だから1人にも慣れている。

「今日は君を1人にするつもりはないよ。ずっと一緒だ。なにより、僕が君から離れたくないからね。こんな時じゃないと、君とずっと一緒にいられないだろう。僕はね、サーラと一緒にいられるのが、嬉しくてたまらないんだ。どんな形であれ、こうやって夫婦として隣に並べるなんて、こんなに嬉しい事はない」

「エイダン様…」

その時だった。私を虐めていた令嬢たちがやって来たのだ。

「エイダン様、お可哀そうに。こんな女と一緒にいないといけないなんて…」

「正妻になったからって、調子に乗らないでよ。あんた何て…」

「君たち、僕の妻に何て事を言うんだ!サーラは僕の大切な妻だ。第一、王太子妃でもあるサーラをバカにするという事は、王族をバカにしているのと同じ事だぞ!」

令嬢たちに向かって、怒鳴ったエイダン様。

「あの…私たちはただ、エイダン様を心配して…」

「心配?そんな心配はいらない!いいかい、この際だからはっきりと言っておく。彼女は僕の大切な妻だ。金輪際、サーラを傷つける者は僕が許さない!万が一サーラの悪口を言う者がいたら、その時は国家反逆罪で処罰するからそのつもりで」

令嬢たちにはっきりとそう告げたエイダン様。でも、さすがに国家反逆罪は言い過ぎでは…いつも穏やかで優しいと評判のエイダン様に怒鳴られた事に、かなり驚いたのだろう。それでもまだ、私を睨んでいる。すると…

「あなたたち、エイダンの言った意味が分からないの?」

やって来たのは、王妃様だ。

「王妃様、エイダン様がサーラ様に脅されているみたいなのです。急にサーラ様を庇うなんて…」

「脅されている?それはどういう事かしら?私たちはね。あなた達の本性を見るために、あえて演技をしていたのよ。誰がサーラさんにとって敵で、誰が味方かを…それが何を意味するか、わかっているのかしら?もう一度言うわよ、サーラさんは、エイダンの正妻で、次期王妃になる子よ。そんな子を落としいれ、暴言を吐き、暴力まで振るうだなんて!本当に恐ろしい子たちね」

王妃様にまで責められ、完全に青くなる令嬢たち。周りからも

「あの穏やかな王太子殿下を怒らせるなんて…」

「確かに次期王妃のサーラ様に、あんな暴言を吐くなんて…さすがにねぇ」

「王妃様まで怒らせて…あの子たち、もう貴族界では生きていけないだろうな」

「そもそも、王太子妃様に暴言を吐くだなんて、国家反逆罪に問われてもおかしくないわ。本当に愚かな子たち」

一斉に彼女たちに向けられる冷ややかな視線。

「も…申し訳ございませんでした」

真っ青な顔をして、私たちの前から去って行った。

「すまない、サーラ。大丈夫か?」

「サーラさん、ごめんなさいね。まさか王太子妃に暴言を吐く、愚かな者がいるだなんて。彼女たちの両親は、一体どんな教育をされてきたのかしら?」

彼女たちのご両親に向かって、そう言い放った王妃様。

「娘が、本当に申し訳ございませんでした。王太子妃様。娘には厳重に注意し、それ相応の対処をいたします」

何人のも貴族が、頭を下げていた。

「結局君に嫌な思いをさせてしまったね…さあ、控室に行こうか?」

そう言うと、私の手を引き大ホールから出て行こうとするエイダン様。

「お待ちください、エイダン様。あの…せっかくなので、もう少しここにおりますわ。それと…先ほどは私を庇ってくださり、ありがとうございます」

ペコリと頭を下げた。

「そんな事、当たり前じゃないか。本来なら婚約した時点で、僕は君を守らないといけなかったんだ…それなのに、僕は…」

悔しそうに唇を噛んでいる。彼なりに、自分の行いを悔い後悔しているのだろう。

「あの…それでしたら、せっかくなので、一緒にダンスを踊りませんか?エイダン様と、今まで一度も踊った事がなかったでしょう?」

「いいのかい?」

「はい」

ゆっくりホールへとやって来て、ダンスを踊る。私の動きに合わせ踊ってくれるエイダン様。とても踊りやすい。

「サーラはダンスが上手だね。とても踊りやすいよ。今日は君と踊れるとは思わなかった。本当に夢の様だ」

「こちらこそ、今日は色々とありがとうございます」

結局その後、食事を楽しんだりお話ししたりして、最後までパーティー会場で過ごしたのであった。
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