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第18話:本宮で生活する事になりました
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重い瞼をゆっくり持ち上げる。すると、見覚えのない豪華な天井が目に飛び込んできた。なぜか体が重くてだるい…
「サーラ、目が覚めたんだね」
エイダン様が私をギューッと抱きしめてくれた。そうか、私、暖炉に勝手に火をつけて、それで…
「エイダン様…ここは?」
「ここは本宮の君の部屋だよ。とにかく、一度医師に診てもらおう」
この部屋は、私の為にエイダン様が準備してくださった部屋なのね。きっと離宮は燃えてしまったのだろう。
「エイダン様…申し訳ございません。私が勝手に暖炉に火をつけたまま眠ってしまったから、離宮は燃えてしまったのですよね?」
「君は悪くないよ。寒い部屋だってわかっていたのに、あのまま離宮に返した僕が悪いんだ。ごめんね、あの日、僕がもっと強引にでも君を引き留めていたら、こんな目に合わなかっただろうに」
申し訳なさそうに頭を下げるエイダン様。
「エイダン様は悪くないですわ!悪いのは全て私です。ですから…どうかリサや護衛騎士を処罰しないでください」
私が勝手にやった事だ。万が一私のせいで、彼らが処罰されるようなことがあったら大変だ。
「そう言うと思ったよ。彼らには引き続き、君の担当をしてもらおうと思っている。それから、これからの住まいなのだが…」
「離宮が私の不注意で燃えてしまったのですもの。エイダン様さえよろしければ、このお部屋を使わせていただけますか?そもそも、今まで私の我が儘のせいで、リサや護衛騎士には過酷な環境でお仕事をさせてしまいましたし…」
今回の件といい、リサや護衛騎士には迷惑を掛けっぱなしだ。それに、いつまでも意地を張っていても仕方がない。何より、ここまで私の事を心配してくれるエイダン様の傍に、これからはいたいと思ったのだ。
「サーラ、君からそう言ってくれるなんて、嬉しいよ。ありがとう。さあ、医者が来たよ。まずは診察からだ。僕は外に出て待っているから」
そう言って部屋を出て行ったエイダン様。あの人、あんなに気遣いが出来る人だったのね。エイダン様の後ろ姿を見ながら、つい笑ってしまった。
診察の結果、特に異常が見られないとの事。
「王太子妃様は、本当に王太子殿下に愛されているのですね。あなた様が意識を失っている間、寒さも忘れ必死に手を握り励まし続けられていたのですよ。あんなに真剣な王太子殿下、初めて見ました。どうかこれからは王太子殿下の為にも、ご自分を大切にしてください」
そう言って出ていったお医者様。そうか、エイダン様は、ずっと私の傍にいてくれたのか。なんだか心の中が、温かいものに包まれた。今のエイダン様となら、温かい家庭を築けるかもしれない…
そんな事すら考えてしまう。
診察後、再びエイダン様がやって来た。隣には、リサの姿が。
「リサ、心配かけてごめんなさい。どうかこれからも、私のお世話をしてくれるかしら?」
「サーラ様、ご無事で本当によかったです。私の方こそ、申し訳ございませんでした。どうかこれからも、お傍においてください」
そう言って泣き出してしまった。リサの泣き顔を見た時、改めて自分の浅はかな行動を反省した。
その後、王妃様も様子を見に来てくれた。王宮には敵ばかりだと思っていたが、いつの間にか私の事を心配してくれる人ばかりに変わっていった。それが未だに不思議でたまらない。
「さあ、サーラ。食事にしよう。お腹が空いているだろう。君は病み上がりだから、僕が食べさせてあげるね」
「さすがにそれは申し訳ないですわ。今すぐ起き上がります…」
そう言って起き上がろうとしたのだが、なぜかめまいが…
「危ない。サーラ、まだ頭がボーっとするのだろう。とにかく、今日は僕に甘えて欲しい」
倒れそうになった私を抱きかかえたエイダン様に、再びベッドに寝かされた。さらに
「食べやすいスープにしてもらったよ。野菜やお肉がたっぷり入っているから、栄養満点だ」
そう言って、スープを食べさせてくれた。なんだか恥ずかしいわ。でも、こうやって世話を焼いてもらえるのは、やっぱり嬉しい。こんな風に食事を食べさせてもらったのは、いつぶりだろう。
子供の頃熱を出した時、まだ優しかったメイドが食べさせてくれた。あの時を思い出す。
「随分と嬉しそうな顔をしているね。そんなにスープは美味しいかい?」
「はい、エイダン様が食べさせてくれるスープは、格別に美味しいですわ」
つい本音がポロリと出てしまった。やだ、私ったら恥ずかしいわ…
「あの…エイダン様、今のは…」
「サーラ、ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。さあ、まだまだたくさんあるから、いっぱい食べて。果物もあるよ。そうだ、サーラは甘いものが好きなんだよね。後でケーキも準備させよう」
「さすがにそんなにも沢山、食べられませんわ。でも、ありがとうございます。嬉しいです」
その後もエイダン様は甲斐甲斐しく私の世話をしてくれる。きっと王太子の仕事もあるだろうに。そんなエイダン様を見ていたら、彼を支えたい、彼に喜んで貰いたい、そんな気持ちになった。
「エイダン様、今までごめんなさい…私、結婚してから随分我が儘を言いましたわ。でも、これからはエイダン様と共に、歩んでいけたらと思っています。今からでも私を受け入れて下さいますか?」
素直に自分の気持ちを伝えた。エイダン様には確かに7年間苦しめられた。でも、それ以上にここ半年大切にしてもらっている事は、痛いほどわかったのだ。
私はエイダン様と未来を歩みたい。今は素直にそう思っている。
「サーラ…それは本当かい?本当に僕を受け入れてくれるのかい?」
「はい…」
なんだか恥ずかしくなって、つい俯いてしまう。その後、なぜか沈黙が…あら?
不安になってエイダン様を見ると、美しい紫色の瞳から涙が溢れていた。
「エイダン様、どうされたのですか?もしかして、今更遅かったですか?」
「そんな事はない。ただ、君が僕を受け入れてくれるなんて…あれほどまで酷い事をした僕を…それが嬉しくてたまらないんだ。本当に本当に僕を受け入れてくれるのかい?」
「はい、私はエイダン様と未来を歩んでいきたいです」
「ありがとう…サーラ…」
何度も何度も泣きながらお礼を言うエイダン様。そんなエイダン様を、そっと抱きしめたのであった。
「サーラ、目が覚めたんだね」
エイダン様が私をギューッと抱きしめてくれた。そうか、私、暖炉に勝手に火をつけて、それで…
「エイダン様…ここは?」
「ここは本宮の君の部屋だよ。とにかく、一度医師に診てもらおう」
この部屋は、私の為にエイダン様が準備してくださった部屋なのね。きっと離宮は燃えてしまったのだろう。
「エイダン様…申し訳ございません。私が勝手に暖炉に火をつけたまま眠ってしまったから、離宮は燃えてしまったのですよね?」
「君は悪くないよ。寒い部屋だってわかっていたのに、あのまま離宮に返した僕が悪いんだ。ごめんね、あの日、僕がもっと強引にでも君を引き留めていたら、こんな目に合わなかっただろうに」
申し訳なさそうに頭を下げるエイダン様。
「エイダン様は悪くないですわ!悪いのは全て私です。ですから…どうかリサや護衛騎士を処罰しないでください」
私が勝手にやった事だ。万が一私のせいで、彼らが処罰されるようなことがあったら大変だ。
「そう言うと思ったよ。彼らには引き続き、君の担当をしてもらおうと思っている。それから、これからの住まいなのだが…」
「離宮が私の不注意で燃えてしまったのですもの。エイダン様さえよろしければ、このお部屋を使わせていただけますか?そもそも、今まで私の我が儘のせいで、リサや護衛騎士には過酷な環境でお仕事をさせてしまいましたし…」
今回の件といい、リサや護衛騎士には迷惑を掛けっぱなしだ。それに、いつまでも意地を張っていても仕方がない。何より、ここまで私の事を心配してくれるエイダン様の傍に、これからはいたいと思ったのだ。
「サーラ、君からそう言ってくれるなんて、嬉しいよ。ありがとう。さあ、医者が来たよ。まずは診察からだ。僕は外に出て待っているから」
そう言って部屋を出て行ったエイダン様。あの人、あんなに気遣いが出来る人だったのね。エイダン様の後ろ姿を見ながら、つい笑ってしまった。
診察の結果、特に異常が見られないとの事。
「王太子妃様は、本当に王太子殿下に愛されているのですね。あなた様が意識を失っている間、寒さも忘れ必死に手を握り励まし続けられていたのですよ。あんなに真剣な王太子殿下、初めて見ました。どうかこれからは王太子殿下の為にも、ご自分を大切にしてください」
そう言って出ていったお医者様。そうか、エイダン様は、ずっと私の傍にいてくれたのか。なんだか心の中が、温かいものに包まれた。今のエイダン様となら、温かい家庭を築けるかもしれない…
そんな事すら考えてしまう。
診察後、再びエイダン様がやって来た。隣には、リサの姿が。
「リサ、心配かけてごめんなさい。どうかこれからも、私のお世話をしてくれるかしら?」
「サーラ様、ご無事で本当によかったです。私の方こそ、申し訳ございませんでした。どうかこれからも、お傍においてください」
そう言って泣き出してしまった。リサの泣き顔を見た時、改めて自分の浅はかな行動を反省した。
その後、王妃様も様子を見に来てくれた。王宮には敵ばかりだと思っていたが、いつの間にか私の事を心配してくれる人ばかりに変わっていった。それが未だに不思議でたまらない。
「さあ、サーラ。食事にしよう。お腹が空いているだろう。君は病み上がりだから、僕が食べさせてあげるね」
「さすがにそれは申し訳ないですわ。今すぐ起き上がります…」
そう言って起き上がろうとしたのだが、なぜかめまいが…
「危ない。サーラ、まだ頭がボーっとするのだろう。とにかく、今日は僕に甘えて欲しい」
倒れそうになった私を抱きかかえたエイダン様に、再びベッドに寝かされた。さらに
「食べやすいスープにしてもらったよ。野菜やお肉がたっぷり入っているから、栄養満点だ」
そう言って、スープを食べさせてくれた。なんだか恥ずかしいわ。でも、こうやって世話を焼いてもらえるのは、やっぱり嬉しい。こんな風に食事を食べさせてもらったのは、いつぶりだろう。
子供の頃熱を出した時、まだ優しかったメイドが食べさせてくれた。あの時を思い出す。
「随分と嬉しそうな顔をしているね。そんなにスープは美味しいかい?」
「はい、エイダン様が食べさせてくれるスープは、格別に美味しいですわ」
つい本音がポロリと出てしまった。やだ、私ったら恥ずかしいわ…
「あの…エイダン様、今のは…」
「サーラ、ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。さあ、まだまだたくさんあるから、いっぱい食べて。果物もあるよ。そうだ、サーラは甘いものが好きなんだよね。後でケーキも準備させよう」
「さすがにそんなにも沢山、食べられませんわ。でも、ありがとうございます。嬉しいです」
その後もエイダン様は甲斐甲斐しく私の世話をしてくれる。きっと王太子の仕事もあるだろうに。そんなエイダン様を見ていたら、彼を支えたい、彼に喜んで貰いたい、そんな気持ちになった。
「エイダン様、今までごめんなさい…私、結婚してから随分我が儘を言いましたわ。でも、これからはエイダン様と共に、歩んでいけたらと思っています。今からでも私を受け入れて下さいますか?」
素直に自分の気持ちを伝えた。エイダン様には確かに7年間苦しめられた。でも、それ以上にここ半年大切にしてもらっている事は、痛いほどわかったのだ。
私はエイダン様と未来を歩みたい。今は素直にそう思っている。
「サーラ…それは本当かい?本当に僕を受け入れてくれるのかい?」
「はい…」
なんだか恥ずかしくなって、つい俯いてしまう。その後、なぜか沈黙が…あら?
不安になってエイダン様を見ると、美しい紫色の瞳から涙が溢れていた。
「エイダン様、どうされたのですか?もしかして、今更遅かったですか?」
「そんな事はない。ただ、君が僕を受け入れてくれるなんて…あれほどまで酷い事をした僕を…それが嬉しくてたまらないんだ。本当に本当に僕を受け入れてくれるのかい?」
「はい、私はエイダン様と未来を歩んでいきたいです」
「ありがとう…サーラ…」
何度も何度も泣きながらお礼を言うエイダン様。そんなエイダン様を、そっと抱きしめたのであった。
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