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第19話:会いたくない人に会いました
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夕食後、エイダン様は一旦自室に戻って行った。私もリサに手伝ってもらいながら、湯あみを済ます。それにしても、この部屋の浴槽は広くて大きい。今まで離宮の浴槽を使っていたから、なおさらそう思えるのだろう。
湯あみを終えると、ゆっくりと扉を開けた。そう、ここは夫婦の寝室だ。部屋に入ると、不安そうな顔のエイダン様と目が合った。
「サーラ、来てくれたんだね。ありがとう」
私の顔を見ると、心底ほっとしたような顔をしている。
「お待たせして申し訳ございません。私はこう言った事は初めてで…どうかお手柔らかに」
私、一体何を言っているのかしら?急に恥ずかしくなって、俯いてしまう。そんな私の手を引き、ベッドに誘導してくれた。
「君はまだ体調が万全ではない。今日は、そういった行為はしないよ。さあ、一緒に寝ようか。僕はね、ずっとこのベッドでサーラと眠るのが夢だったんだ。やっとその夢が叶って嬉しいよ」
そう言うと、私をギューッと抱きしめてくれた。
「私は大丈夫ですわ。だから…」
「僕はね、サーラに無理をして欲しくないんだ。まだまだ時間はある。ゆっくり進んでいこう。僕たちのペースで」
「私たちのペースでですか…エイダン様は本当に変わりましたね」
「僕を変えたのは君だよ。今まで本当にすまなかった。サーラ、僕は君の我が儘ならどんな事でも受け入れようと思っている。だから、どうか僕にだけは、遠慮しないで何でも言って欲しい」
「ありがとうございます。エイダン様。そうですね、それなら、ずっと傍にいて下さいますか?私はずっと独りぼっちだったので、人の温もりが恋しいのです」
「それならお安い御用だ。君が嫌だというまで、ずっと傍にくっ付いているよ。さあ、もうお休み。まだ体調が万全じゃないのだからね」
「はい、お休みなさい」
エイダン様の腕の中は、温かくて心地いい…こんな風に人の温もりを感じながら眠るのは、初めてだ。これからはずっと、この温もりを感じながら眠られるのね。
ゆっくりと瞼を閉じ、そのまま眠りに付いたのだった。
翌日、エイダン様と一緒に朝食を食べた後、自室で1人過ごす。それにしても、広くて立派な部屋だわ。クローゼットにはたくさんのドレスが入っているし、宝石箱も3箱分びっしりと詰まっている。
さらに、恋愛小説が詰まった本棚まで準備されている。ちなみにクローゼットのドレスは、以前エイダン様が選んでくれたドレスだ。エイダン様はすぐに私好みの洋服を作る為、マダムを呼んでくれると言ってくれたが、丁重に断った。
なんだかんだ言って、エイダン様の選んでくれた服も、とても可愛くて気に入っている。きっと彼なりに、私に合いそうなドレスを選んでくれたのだろう。ちなみに今日は、エメラルドグリーンのドレスを着ている。
「サーラ様、今日は天気もよろしいし、せっかくですから中庭を散歩されてはいかがですか?」
リサがそう提案してくれた。
「そうね、せっかくだから、散歩しようかしら?」
王妃様も随分と私の事を気に掛けてくれているし、この王宮内に、もう私を悪く言う人はいない。中庭を散歩しても問題ないだろう。
早速リサを連れて、中庭に向かっていると…
「サーラ、久しぶりだな」
この声は…
ゆっくり声の方を向く。するとそこには、お父様の姿が。一瞬にして、体が強張る。
「お久しぶりです、お父様」
お父様に向かって、挨拶をした。
「お前、ちゃんと殿下に愛されているのか?いいか、お前の今の仕事は、王太子殿下のお子を授かる事だ!それで、子供はどうなんだ?」
急に私に向かってそんな事を言いだしたお父様。リサが怪訝そうな顔で、お父様を睨んでいる。
「あの…まだ…」
「お前が輿入れして、半年以上たっているんだぞ!まだ子供が出来ないなんて…本当にお前は役立たずだな!いいか、お前に子供が出来なければ、王太子殿下は側室を持つかもしれない。そうなったら、お前の価値なんてなくなるんだ!わかっているのか?」
相変わらずお父様にとって、権力を維持するための道具でしかないのだ。そう思ったら、どうしようもないほど悲しくなってきた。
「ウィヴィッズ侯爵様、無礼を承知で申し上げます。サーラ様の事を侮辱するのはお止めください!サーラ様はとても素敵な方でございます。さっきのお言葉を取り消してください!」
なんと、リサがお父様に向かって意見を言ったのだ。
「何だこのメイドは!私に向かって文句を言うのか!本当にお前はメイドの躾も出来ないのか。情けない!」
何なの、この人!私の事はともかく、リサの事まで悪く言うなんて。
「お言葉ですが、私の大切なメイドに向かって、暴言を吐くのはお止めください!」
真っすぐお父様を見つめ、はっきりとそう告げた。
「お前、私に向かって口答えするつもりか!ふざけるな」
怒り狂ったお父様。殴られる!そう思い目を閉じたのだが…
※次回最終話です。
よろしくお願いしますm(__)m
湯あみを終えると、ゆっくりと扉を開けた。そう、ここは夫婦の寝室だ。部屋に入ると、不安そうな顔のエイダン様と目が合った。
「サーラ、来てくれたんだね。ありがとう」
私の顔を見ると、心底ほっとしたような顔をしている。
「お待たせして申し訳ございません。私はこう言った事は初めてで…どうかお手柔らかに」
私、一体何を言っているのかしら?急に恥ずかしくなって、俯いてしまう。そんな私の手を引き、ベッドに誘導してくれた。
「君はまだ体調が万全ではない。今日は、そういった行為はしないよ。さあ、一緒に寝ようか。僕はね、ずっとこのベッドでサーラと眠るのが夢だったんだ。やっとその夢が叶って嬉しいよ」
そう言うと、私をギューッと抱きしめてくれた。
「私は大丈夫ですわ。だから…」
「僕はね、サーラに無理をして欲しくないんだ。まだまだ時間はある。ゆっくり進んでいこう。僕たちのペースで」
「私たちのペースでですか…エイダン様は本当に変わりましたね」
「僕を変えたのは君だよ。今まで本当にすまなかった。サーラ、僕は君の我が儘ならどんな事でも受け入れようと思っている。だから、どうか僕にだけは、遠慮しないで何でも言って欲しい」
「ありがとうございます。エイダン様。そうですね、それなら、ずっと傍にいて下さいますか?私はずっと独りぼっちだったので、人の温もりが恋しいのです」
「それならお安い御用だ。君が嫌だというまで、ずっと傍にくっ付いているよ。さあ、もうお休み。まだ体調が万全じゃないのだからね」
「はい、お休みなさい」
エイダン様の腕の中は、温かくて心地いい…こんな風に人の温もりを感じながら眠るのは、初めてだ。これからはずっと、この温もりを感じながら眠られるのね。
ゆっくりと瞼を閉じ、そのまま眠りに付いたのだった。
翌日、エイダン様と一緒に朝食を食べた後、自室で1人過ごす。それにしても、広くて立派な部屋だわ。クローゼットにはたくさんのドレスが入っているし、宝石箱も3箱分びっしりと詰まっている。
さらに、恋愛小説が詰まった本棚まで準備されている。ちなみにクローゼットのドレスは、以前エイダン様が選んでくれたドレスだ。エイダン様はすぐに私好みの洋服を作る為、マダムを呼んでくれると言ってくれたが、丁重に断った。
なんだかんだ言って、エイダン様の選んでくれた服も、とても可愛くて気に入っている。きっと彼なりに、私に合いそうなドレスを選んでくれたのだろう。ちなみに今日は、エメラルドグリーンのドレスを着ている。
「サーラ様、今日は天気もよろしいし、せっかくですから中庭を散歩されてはいかがですか?」
リサがそう提案してくれた。
「そうね、せっかくだから、散歩しようかしら?」
王妃様も随分と私の事を気に掛けてくれているし、この王宮内に、もう私を悪く言う人はいない。中庭を散歩しても問題ないだろう。
早速リサを連れて、中庭に向かっていると…
「サーラ、久しぶりだな」
この声は…
ゆっくり声の方を向く。するとそこには、お父様の姿が。一瞬にして、体が強張る。
「お久しぶりです、お父様」
お父様に向かって、挨拶をした。
「お前、ちゃんと殿下に愛されているのか?いいか、お前の今の仕事は、王太子殿下のお子を授かる事だ!それで、子供はどうなんだ?」
急に私に向かってそんな事を言いだしたお父様。リサが怪訝そうな顔で、お父様を睨んでいる。
「あの…まだ…」
「お前が輿入れして、半年以上たっているんだぞ!まだ子供が出来ないなんて…本当にお前は役立たずだな!いいか、お前に子供が出来なければ、王太子殿下は側室を持つかもしれない。そうなったら、お前の価値なんてなくなるんだ!わかっているのか?」
相変わらずお父様にとって、権力を維持するための道具でしかないのだ。そう思ったら、どうしようもないほど悲しくなってきた。
「ウィヴィッズ侯爵様、無礼を承知で申し上げます。サーラ様の事を侮辱するのはお止めください!サーラ様はとても素敵な方でございます。さっきのお言葉を取り消してください!」
なんと、リサがお父様に向かって意見を言ったのだ。
「何だこのメイドは!私に向かって文句を言うのか!本当にお前はメイドの躾も出来ないのか。情けない!」
何なの、この人!私の事はともかく、リサの事まで悪く言うなんて。
「お言葉ですが、私の大切なメイドに向かって、暴言を吐くのはお止めください!」
真っすぐお父様を見つめ、はっきりとそう告げた。
「お前、私に向かって口答えするつもりか!ふざけるな」
怒り狂ったお父様。殴られる!そう思い目を閉じたのだが…
※次回最終話です。
よろしくお願いしますm(__)m
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