私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi

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第58話:全てが順風満帆だった日々~ジェイデン視点~

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 アラステ王国の第一王子として生まれた僕には、子供の頃から大好きな幼馴染がいた。この国では珍しい銀色の髪をした可愛らしい少女、公爵令嬢のキャリーヌだ。僕とキャリーヌ、キャリーヌの兄のキャスディン、そして僕の弟のサミュエルの4人でよく遊んでいた。

 僕は優しくて可愛いキャリーヌが、子供の頃から大好きだった。ただ、キャリーヌはなぜか、僕の弟、サミュエルととても仲が良かった。サミュエルもどうやらキャリーヌが好きな様だ。

 いつも手を取り合い、いつの間にか2人の世界を作ってしまう。それが悔しくてたまらなかった。弟に嫉妬するだなんて…そう思ったが、僕だってキャリーヌが大好きなんだ。僕は絶対に、キャリーヌと結婚したい!

 大丈夫だ、僕は王太子で、次期国王になる男。いつか家臣に降りるサミュエルなんかよりも、国王になる僕と結婚したいはず。だからキャリーヌもきっと、僕を選んでくれるはず。

 そう思っていた。

 だから僕は

 “キャリーヌは僕と結婚してくれるよね?だって僕は、いずれ国王になるのだから”

 そうキャリーヌに話したのだ。でも…

 “ジェイデン様、ごめんなさい。私、サミュエル様をお慕いしていて…“

 少し恥ずかしそうに呟いたキャリーヌ。ショックだった。国王になる予定の僕ではなく、家臣に降りる弟を選ぼうとしているだなんて…

 でも、キャリーヌはまだ幼い。それにキャリーヌの実家は、この国で3本の指に入る大貴族だ。爵位的にも年齢的にも、僕の婚約者にふさわしい人物は、キャリーヌしかない!

 何が何でも、キャリーヌと結婚したい!

 そんな思いで僕は“キャリーヌと結婚できなければ、王太子を辞める”そう言ったのだ。正直王太子を辞めるつもり何てない。だって僕は、いずれこの国で一番偉い人になりたいから。

 誰かの下につくなんて、御免だ。

 ちなみにこの国ではよほどのことがない限り、第一子が国王を継ぐことになっている。だから、僕が王太子を辞めるなんて言い出したものだから、皆大騒ぎになった。

 もちろん、マディスン公爵にも色々な貴族から圧がかかる。きっとマディスン公爵も、僕とキャリーヌを婚約させると言うだろう。そう思っていたのに、何を思ったのか“娘の気持ちを大切にしたい”だなんて、ふざけた事を言いだしたのだ。

 その結果、キャリーヌが王宮に呼び出され、沢山の貴族に囲まれることになったのだ。マディスン公爵は、非常に優秀な人間と聞いていたのに、こんな時に8歳の娘に大事な事を決めさせるだなんて。なんて愚かな男なのだろう…

 実際キャリーヌは、貴族の大人たちから囲まれ、今にも泣きそうな顔をしていた。あれだけの大人たちからの圧がかかったキャリーヌ。さすがに8歳の子には耐えられなかったのだろう。僕との婚約を認めてくれたのだ。

 そのお陰で僕は、晴れてキャリーヌと婚約を結ぶことが出来た。僕とキャリーヌが婚約を結んでからは、なぜかサミュエルもキャリーヌに絡む事は無くなったし、キャリーヌもサミュエルに近づかなくなった。

 そう、僕は完全にキャリーヌを手に入れる事が出来たのだ。その後の日々は、幸せそのものだった。キャリーヌは非常に優秀で、王妃教育はもちろん、慈善活動にも力を入れていた。同じ年頃の令嬢たちが、やれ宝石だのドレスだのと戯言を抜かしている間に、1人もくもくと勉強を続け、知識を身に付けて行く。

 “ジェイデン様を支えられる立派な王妃殿下になれる様に、頑張りますわ”

 そう言って努力するキャリーヌ、きっともう、僕の事が好きでたまらないのだろう。キャリーヌが頑張れば頑張るほど、僕も嬉しかった。

 そんな幸せな日々が、7年ほど続いたある日。ディステル王国から、それはそれは美しい王女が我が国に視察にやって来たのだ。

 ふくよかなバストに全身から漂う色気、見た目が美しいだけではなく、男心をくすぐるラミア王女に、僕は釘付けになった。

 でも、僕には愛するキャリーヌがいる。それに、あんなにも美しいラミア王女が、僕に興味を示す訳がない。そう思っていたのだが…

 “ジェイデン殿下は、本当に魅力的な男性ですね。私、ジェイデン殿下に好意を抱いてしましたわ”

 そう言って、僕の手に胸を押し当てて来たのだ。こんなにも魅力的な女性が、僕を好きになってくれるだなんて。それにラミア王女は、大国、ディステル王国の王女。彼女と結婚すれば、我が国にとってかなり利益が大きい。

 でも僕には、愛するキャリーヌがいる。ラミア王女もキャリーヌも、どっちも手に入れたい。そんな僕の悩みに気が付いたラミア王女が

 “それならキャリーヌ嬢を、側妃として迎えればよいのではないですか?彼女が側妃になってくれたら、面倒な王妃の仕事も押し付けられるし”

 そう僕に提案してきてくれたのだ。

 側妃か…昔我が国でも取り入れていた側妃制度。確かにキャリーヌは優秀だし、彼女が僕の側妃になってくれたら、ラミア王女もキャリーヌも、両方手に入る。

 これは名案だ。

 そう思い、父上に相談したのだが…
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