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第59話:やっと手に入れた大切な子だったのに…~ジェイデン視点~
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「キャリーヌ嬢に側妃になれだと!お前は何を寝ぼけた事を言っているのだ!それに我が国では、側室制度は廃止されている。そもそも側室制度は欠陥だらけで…」
なぜか父上が怒り狂い、全力で反対してきたのだ。長い長い父上のお説教を受けた僕だが、正直なぜ側妃を迎える事がいけないのか分からない。
父上め、きっと2人の女性を手に入れようとしている僕に、嫉妬しているのだな。ただ、父上が反対している以上、話を進める事が出来ない。
その間にも、何度も何度もラミア王女から“早くキャリーヌと婚約を解消して、自分と婚約を結んで欲しい。婚約解消後に、改めて側妃の話をすればいい”そう訴えてくる。そんな中、父上と母上が公務の為、長期間国を留守にする事になったのだ。
国王でもある父上が不在の間、王太子でもある僕が一番の権力者だ。僕の言う事は絶対!そうだ、このタイミングで、キャリーヌを側妃にしてしまえばいいんだ。きっとキャリーヌも、話せばわかってくれる。そう思っていたのだが…
キャリーヌもマディスン公爵も、婚約解消は承諾してくれたが、側妃は頑なに拒否したのだ。王太子でもある僕に歯向かうだなんて、国家反逆罪だ!キャリーヌには、少し頭を冷やしてもらおう。
そう思い、キャリーヌを地下牢に入れた。さらに抗議してきたマディスン公爵も、同じく捕らえた。あの気味の悪い地下牢に入れば、キャリーヌも考え直してくれる。そう思ったのだ。
でも…
僕の前に立ちはだかったのは、実の弟でもあるサミュエルだ。サミュエルはいつの間にか捕らえていたマディスン公爵を地下牢から出しただけではなく、キャリーヌまでどこかに逃がしてしまったのだ。
父上まで味方に付け、父上が帰るまで、全ての権限はサミュエルに与えられてしまったのだ。
一体どうなっているのだ?僕はただ、キャリーヌとラミア王女、2人とも手に入れたかっただけなのに…
まさかキャリーヌが、他国に逃げてしまうだなんて…
どうやらキャリーヌは、実の姉の嫁ぎ先でもある、カリアン王国に避難している様だ。すぐに連れ戻したいが、今の僕にはその権限はない。
くそ、サミュエルめ。でも、大丈夫だ、僕は王太子なのだから。結局最後に権力を握るのは僕なのだ。今は抵抗しているマディスン公爵もキャリーヌも、最終的には折れるしかなくなる。
この国で生きていきたいなら、次期国王でもある僕の言う事は絶対なのだから。
ただ、今回の事件で怒りをあらわにしたマディスン公爵が、僕が王太子にはふさわしくないと言い出したのだ。僕を廃嫡して、サミュエルを新たな王太子にと考えているとの事。
マディスン公爵め、自分の立場が危うくなったからと言って、サミュエルを王太子に推すだなんて。でもきっと、父上がそんな事は許さない。それにこっちには、ラミア王女もいるんだから。
そんな中、父上たちが帰国した。僕の顔を見るなり
「ジェイデン、お前はなんて事をしたんだ!お前は権力を使い、あろう事か罪もないマディスン公爵とキャリーヌ嬢を投獄したそうじゃないか。これは立派な権力乱用だ。もうお前に忠誠を誓えないと、多くの貴族が申し出ているんだ」
そう怒鳴りつけて来たのだ。このままでは僕は、廃嫡されてしまう。そう思っていたのだが、僕には最大の味方、ラミア王女がいたのだ。
「国王陛下、私とジェイデン様が結婚すれば、この国にとってかなり国益になりますわ。それなのに、ジェイデン様を廃嫡するだなんて…もしその様な事をなさるのでしたら、私にも考えがございますわ」
そう言って、父上を脅したラミア王女。さすがに大国、ディステル王国を敵に回したくない父上は、僕を廃嫡する決断をする事が出来なくなった。
さらに貴族の中でも、ディステル王国との今後の関係を考え、僕を王太子にしたままラミア王女と結婚させた方がいいという意見も出始めたのだ。
もう僕には、ラミア王女に頼るしかない。このままラミア王女と結婚出来れば、僕はいずれ国王になれる。そうなれば権力を使い、キャリーヌを呼び戻し、僕の側妃にできる。
僕はやっぱり、キャリーヌの事が大好きだ。大丈夫、きっとうまくいく。それに僕は、キャリーヌにも沢山愛情を注ぐつもりだ。今はショックを受けているキャリーヌも、きっと僕を受け入れてくれるはず。
キャリーヌ…会いたい…この混乱のせいで、僕は半年近くもキャリーヌに会えていないのだ。この問題にケリがついたら、自らキャリーヌを迎えに行こう。
そう考えていたのに、事態は思わぬ方向へと進んでいったのだ。
そう、ディステル王国の陛下と王妃殿下が、ラミア王女を連れ戻しに来たのだ。その結果、僕とラミア王女の結婚は白紙に戻り、僕はラミア王女という最大の後ろ盾を無くした。
ラミア王女を失った僕は、あっと言う間に王太子の座をサミュエルに奪われてしまったのだ。さらにサミュエルはキャリーヌを迎えに行くため、カリアン王国に留学する事まで決まってしまったのだ。
あり得ない…
どうしてこんな事になってしまったのだろう…
7年半前、僕は間違いなくキャリーヌを手に入れたはずだったのに…キャリーヌの事を、誰よりも大切にしていたはずだったのに。それなのに、キャリーヌを失ってしまっただなんて…
なぜか父上が怒り狂い、全力で反対してきたのだ。長い長い父上のお説教を受けた僕だが、正直なぜ側妃を迎える事がいけないのか分からない。
父上め、きっと2人の女性を手に入れようとしている僕に、嫉妬しているのだな。ただ、父上が反対している以上、話を進める事が出来ない。
その間にも、何度も何度もラミア王女から“早くキャリーヌと婚約を解消して、自分と婚約を結んで欲しい。婚約解消後に、改めて側妃の話をすればいい”そう訴えてくる。そんな中、父上と母上が公務の為、長期間国を留守にする事になったのだ。
国王でもある父上が不在の間、王太子でもある僕が一番の権力者だ。僕の言う事は絶対!そうだ、このタイミングで、キャリーヌを側妃にしてしまえばいいんだ。きっとキャリーヌも、話せばわかってくれる。そう思っていたのだが…
キャリーヌもマディスン公爵も、婚約解消は承諾してくれたが、側妃は頑なに拒否したのだ。王太子でもある僕に歯向かうだなんて、国家反逆罪だ!キャリーヌには、少し頭を冷やしてもらおう。
そう思い、キャリーヌを地下牢に入れた。さらに抗議してきたマディスン公爵も、同じく捕らえた。あの気味の悪い地下牢に入れば、キャリーヌも考え直してくれる。そう思ったのだ。
でも…
僕の前に立ちはだかったのは、実の弟でもあるサミュエルだ。サミュエルはいつの間にか捕らえていたマディスン公爵を地下牢から出しただけではなく、キャリーヌまでどこかに逃がしてしまったのだ。
父上まで味方に付け、父上が帰るまで、全ての権限はサミュエルに与えられてしまったのだ。
一体どうなっているのだ?僕はただ、キャリーヌとラミア王女、2人とも手に入れたかっただけなのに…
まさかキャリーヌが、他国に逃げてしまうだなんて…
どうやらキャリーヌは、実の姉の嫁ぎ先でもある、カリアン王国に避難している様だ。すぐに連れ戻したいが、今の僕にはその権限はない。
くそ、サミュエルめ。でも、大丈夫だ、僕は王太子なのだから。結局最後に権力を握るのは僕なのだ。今は抵抗しているマディスン公爵もキャリーヌも、最終的には折れるしかなくなる。
この国で生きていきたいなら、次期国王でもある僕の言う事は絶対なのだから。
ただ、今回の事件で怒りをあらわにしたマディスン公爵が、僕が王太子にはふさわしくないと言い出したのだ。僕を廃嫡して、サミュエルを新たな王太子にと考えているとの事。
マディスン公爵め、自分の立場が危うくなったからと言って、サミュエルを王太子に推すだなんて。でもきっと、父上がそんな事は許さない。それにこっちには、ラミア王女もいるんだから。
そんな中、父上たちが帰国した。僕の顔を見るなり
「ジェイデン、お前はなんて事をしたんだ!お前は権力を使い、あろう事か罪もないマディスン公爵とキャリーヌ嬢を投獄したそうじゃないか。これは立派な権力乱用だ。もうお前に忠誠を誓えないと、多くの貴族が申し出ているんだ」
そう怒鳴りつけて来たのだ。このままでは僕は、廃嫡されてしまう。そう思っていたのだが、僕には最大の味方、ラミア王女がいたのだ。
「国王陛下、私とジェイデン様が結婚すれば、この国にとってかなり国益になりますわ。それなのに、ジェイデン様を廃嫡するだなんて…もしその様な事をなさるのでしたら、私にも考えがございますわ」
そう言って、父上を脅したラミア王女。さすがに大国、ディステル王国を敵に回したくない父上は、僕を廃嫡する決断をする事が出来なくなった。
さらに貴族の中でも、ディステル王国との今後の関係を考え、僕を王太子にしたままラミア王女と結婚させた方がいいという意見も出始めたのだ。
もう僕には、ラミア王女に頼るしかない。このままラミア王女と結婚出来れば、僕はいずれ国王になれる。そうなれば権力を使い、キャリーヌを呼び戻し、僕の側妃にできる。
僕はやっぱり、キャリーヌの事が大好きだ。大丈夫、きっとうまくいく。それに僕は、キャリーヌにも沢山愛情を注ぐつもりだ。今はショックを受けているキャリーヌも、きっと僕を受け入れてくれるはず。
キャリーヌ…会いたい…この混乱のせいで、僕は半年近くもキャリーヌに会えていないのだ。この問題にケリがついたら、自らキャリーヌを迎えに行こう。
そう考えていたのに、事態は思わぬ方向へと進んでいったのだ。
そう、ディステル王国の陛下と王妃殿下が、ラミア王女を連れ戻しに来たのだ。その結果、僕とラミア王女の結婚は白紙に戻り、僕はラミア王女という最大の後ろ盾を無くした。
ラミア王女を失った僕は、あっと言う間に王太子の座をサミュエルに奪われてしまったのだ。さらにサミュエルはキャリーヌを迎えに行くため、カリアン王国に留学する事まで決まってしまったのだ。
あり得ない…
どうしてこんな事になってしまったのだろう…
7年半前、僕は間違いなくキャリーヌを手に入れたはずだったのに…キャリーヌの事を、誰よりも大切にしていたはずだったのに。それなのに、キャリーヌを失ってしまっただなんて…
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