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第14話:彼女は何者なんだ~カイ視点~
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女が目覚めた次の日。
「陛下、やはりアナスタシア様はスパイとは思えません。今日は海に一緒に行ったのですが、海に手紙を入れた小瓶を流し、涙を流しながら手を合わせておられました。きっと大切な方が亡くなったのでしょう。お可哀そうに。それに時折悲しそうに海を見つめられていらっしゃいます。やはり彼女は…」
「それで、小瓶は回収したのか?もしかしたら、小瓶に入っていた手紙は、我が国の情報が書かれているかもしれないだろう」
「陛下、私はアナスタシア様が手紙を書いている時、後ろでこっそり見ておりましたが、内容はスパイ活動に関するものではありませんでした。私の口から手紙の内容はお伝え出来ませんが、どうやらかつてのメイドに宛てた謝罪の手紙の様でしたわ。それに、アナスタシア様はスパイにしては無防備すぎます!ほとんど部屋から出られませんし、夜もしっかり眠られている様です。逐一映像で監視していますが、おかしな動きは見受けられません!」
「クロハ、君は随分とアナスタシア嬢という女性の肩を持つのだね。今まで数々の女スパイの悪事を見破って来たクロハがそこまで言うなら、信じよう…ただ、引き続き監視は頼む」
「はい、かしこまりました」
その後もアナスタシア嬢は特に怪しい動きをする事はなく、日々を過ごしている様だ。ただ、なぜか私に直接お礼を言いたいとの事だが、丁重にお断りした。すると、可愛らしい刺しゅう入りのハンカチが、私の元に届いたのだ。
「わざわざ私の様な男にハンカチを渡すだなんて、やはりスパイか?」
令嬢が震えあがるほど恐ろしい顔をしている私に、刺しゅう入りのハンカチをくれるだなんて…
「陛下、アナスタシア様はあなた様の姿を知りません。どうやら彼女は、義理堅い性格なのでしょう。そうそう、最近では湯あみや着替えを自分で行える様に、日々練習をしておりますよ。本当にスパイでしたら、着替えも湯あみも1人で出来ますし、何よりあんなに一生懸命なされません」
「もう彼女をスパイだとは疑っていない!しつこいな」
「それならよろしいです。陛下、良かったですね。令嬢からの初めてのプレゼントです。大事にしてください。それでは私はこれで」
そう言うと、クロハはさっさと去って行った。クソ、私の事をバカにして。でも…確かに令嬢から初めて貰ったプレゼント。それも私の為に、刺繍を入れてくれたのか…と言っても、私の顔を見ていないのだ。きっと美しい男性でも想像しているのだろう。
それでもこうやって贈り物をもらうと嬉しいものだな。
彼女がこの国に来て、もうすぐ2週間。助けた時の泥だらけの姿しか見ていないが、クロハの話ではとても美しい女性の様だ。
“陛下も一度ご覧になってはいかがですか?”と言われたが、万が一私の姿を見られたら、きっと怯えられてしまうだろう。そんな思いから、まだ元気になった彼女の姿を一度も見ていない。
まあ、彼女がスパイでないのであれば、王宮に好きなだけ居てもらっても構わないと思っている。
そんなある日、いつもの様に海に行くと、そこにはクロハを連れたアナスタシア嬢の姿が。あの時とは打って変わって、美しい水色の髪の毛をなびかせ、貝殻を拾っている。クロハの言う通り、とても綺麗な令嬢だ。瞳の色はエメラルドグリーンか。この海と同じ色だな。
万が一私の姿を見られたら、彼女に怯えられる。分かっているが、なぜか彼女から目が離せない。その時だった。彼女と目があってしまったのだ。
しまった!見られた!
急いでその場を去ろうとしたのだが…なんと彼女から貰ったハンカチを落としてしまったのだ。
そのハンカチを拾って渡してくれたアナスタシア嬢。その時、目が合ってしまった。きっと彼女を怖がらせてしまっただろう。そう思い、急いでその場を去ろうとしたのだが。
何とアナスタシア嬢は、私を怖がることなく話しかけてきたのだ。初めて近くで見る彼女は、とても美しかった。さらに私に必死に話かけてくるアナスタシア嬢に、“私が怖くないのか?”と聞くと、“なぜ怖いのですか?”と、心底不思議そうな顔で首をコテンと傾けている。
な…何なんだ…この可愛い生き物は…
一気に鼓動が早くなるをの感じる。そんな私にはお構いなしに、話しかけてくるアナスタシア嬢。
クロハも私たちの元にやって来て、あろう事か私の正体をばらしてしまったのだ。私の様な男が国王だと知って、さぞショックを受けるだろう…そう思っていたのだが。アナスタシア嬢の顔がぱぁぁっと明るくなったかと思ったら、改めて助けた事のお礼を言われた。
さらに私の為にまたハンカチに刺繍を入れてくれると言ってくれた上、令嬢になれていない私の為に、色々と協力してくれると申し出てくれたのだ。
早速アナスタシア嬢をエスコートする。そっと私の腕に手を添えるアナスタシア嬢。近い…近いぞ…それにいい匂いもする。さっきアナスタシア嬢の手が私に触れた時、とても柔らかかった。令嬢とはこんなにも柔らかいものなのか…
結局部屋に着くまで、興奮を抑えるのに必死だった。
「陛下、やはりアナスタシア様はスパイとは思えません。今日は海に一緒に行ったのですが、海に手紙を入れた小瓶を流し、涙を流しながら手を合わせておられました。きっと大切な方が亡くなったのでしょう。お可哀そうに。それに時折悲しそうに海を見つめられていらっしゃいます。やはり彼女は…」
「それで、小瓶は回収したのか?もしかしたら、小瓶に入っていた手紙は、我が国の情報が書かれているかもしれないだろう」
「陛下、私はアナスタシア様が手紙を書いている時、後ろでこっそり見ておりましたが、内容はスパイ活動に関するものではありませんでした。私の口から手紙の内容はお伝え出来ませんが、どうやらかつてのメイドに宛てた謝罪の手紙の様でしたわ。それに、アナスタシア様はスパイにしては無防備すぎます!ほとんど部屋から出られませんし、夜もしっかり眠られている様です。逐一映像で監視していますが、おかしな動きは見受けられません!」
「クロハ、君は随分とアナスタシア嬢という女性の肩を持つのだね。今まで数々の女スパイの悪事を見破って来たクロハがそこまで言うなら、信じよう…ただ、引き続き監視は頼む」
「はい、かしこまりました」
その後もアナスタシア嬢は特に怪しい動きをする事はなく、日々を過ごしている様だ。ただ、なぜか私に直接お礼を言いたいとの事だが、丁重にお断りした。すると、可愛らしい刺しゅう入りのハンカチが、私の元に届いたのだ。
「わざわざ私の様な男にハンカチを渡すだなんて、やはりスパイか?」
令嬢が震えあがるほど恐ろしい顔をしている私に、刺しゅう入りのハンカチをくれるだなんて…
「陛下、アナスタシア様はあなた様の姿を知りません。どうやら彼女は、義理堅い性格なのでしょう。そうそう、最近では湯あみや着替えを自分で行える様に、日々練習をしておりますよ。本当にスパイでしたら、着替えも湯あみも1人で出来ますし、何よりあんなに一生懸命なされません」
「もう彼女をスパイだとは疑っていない!しつこいな」
「それならよろしいです。陛下、良かったですね。令嬢からの初めてのプレゼントです。大事にしてください。それでは私はこれで」
そう言うと、クロハはさっさと去って行った。クソ、私の事をバカにして。でも…確かに令嬢から初めて貰ったプレゼント。それも私の為に、刺繍を入れてくれたのか…と言っても、私の顔を見ていないのだ。きっと美しい男性でも想像しているのだろう。
それでもこうやって贈り物をもらうと嬉しいものだな。
彼女がこの国に来て、もうすぐ2週間。助けた時の泥だらけの姿しか見ていないが、クロハの話ではとても美しい女性の様だ。
“陛下も一度ご覧になってはいかがですか?”と言われたが、万が一私の姿を見られたら、きっと怯えられてしまうだろう。そんな思いから、まだ元気になった彼女の姿を一度も見ていない。
まあ、彼女がスパイでないのであれば、王宮に好きなだけ居てもらっても構わないと思っている。
そんなある日、いつもの様に海に行くと、そこにはクロハを連れたアナスタシア嬢の姿が。あの時とは打って変わって、美しい水色の髪の毛をなびかせ、貝殻を拾っている。クロハの言う通り、とても綺麗な令嬢だ。瞳の色はエメラルドグリーンか。この海と同じ色だな。
万が一私の姿を見られたら、彼女に怯えられる。分かっているが、なぜか彼女から目が離せない。その時だった。彼女と目があってしまったのだ。
しまった!見られた!
急いでその場を去ろうとしたのだが…なんと彼女から貰ったハンカチを落としてしまったのだ。
そのハンカチを拾って渡してくれたアナスタシア嬢。その時、目が合ってしまった。きっと彼女を怖がらせてしまっただろう。そう思い、急いでその場を去ろうとしたのだが。
何とアナスタシア嬢は、私を怖がることなく話しかけてきたのだ。初めて近くで見る彼女は、とても美しかった。さらに私に必死に話かけてくるアナスタシア嬢に、“私が怖くないのか?”と聞くと、“なぜ怖いのですか?”と、心底不思議そうな顔で首をコテンと傾けている。
な…何なんだ…この可愛い生き物は…
一気に鼓動が早くなるをの感じる。そんな私にはお構いなしに、話しかけてくるアナスタシア嬢。
クロハも私たちの元にやって来て、あろう事か私の正体をばらしてしまったのだ。私の様な男が国王だと知って、さぞショックを受けるだろう…そう思っていたのだが。アナスタシア嬢の顔がぱぁぁっと明るくなったかと思ったら、改めて助けた事のお礼を言われた。
さらに私の為にまたハンカチに刺繍を入れてくれると言ってくれた上、令嬢になれていない私の為に、色々と協力してくれると申し出てくれたのだ。
早速アナスタシア嬢をエスコートする。そっと私の腕に手を添えるアナスタシア嬢。近い…近いぞ…それにいい匂いもする。さっきアナスタシア嬢の手が私に触れた時、とても柔らかかった。令嬢とはこんなにも柔らかいものなのか…
結局部屋に着くまで、興奮を抑えるのに必死だった。
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