殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします

Karamimi

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第25話:見つかってしまいました

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カイ様と街に出てから1ヶ月が過ぎた。あの日以来、何となくだが2人の距離が縮まったような気がする。もしかして、お互い呼び方を変えたお陰かしら?やっぱり名前で呼び合うと、なんだか仲良くなれたような気がするのよね。

今日は天気がとてもいいので、カイ様と一緒に海で貝拾いだ。

「カイ様、こっちにとても綺麗な貝がありますわ。あっ、こっちにも」

「本当だ、とても綺麗な貝だね。この貝を使って、また花瓶を作るのかい?」

「ええ、もちろんですわ」

そう、私は拾った貝を使って、花瓶などちょっとした物を作っているのだ。と言っても、素人が作りました感満載だが、それでも私の作った作品を、王宮にカイ様が飾ってくれるのだ。

有難いやら恥ずかしいやら…それでもカイ様の気遣いが嬉しくてたまらない。

「アナスタシア、こっちにも綺麗な貝があるよ。ほら」

「まあ、本当。カイ様、お忙しいのに私の為にありがとうございます」

この国の国王でもあるカイ様は、毎日多忙な日々を送っている。そんな中でも、私と過ごす時間を作ってくれている様で、毎日こうやって私に付きあってくれるのだ。本当にお優しい方。

その時だった。

「陛下、その…お客様がいらしております」

カイ様の家臣が、こちらにやって来たのだ。なぜか私の方をチラチラと見ている。もしかして、私たちの邪魔をしてしまった事を申し訳なく思っているのかしら?

「客だと?もしかして、隣国の…」

「いえ…その様な相手ではありません。とにかく、一度王宮にお戻りください」

「分かった、すぐに戻ろう。アナスタシア、申し訳ないが、来客の対応をして来る。君は部屋に戻っていてくれるかい?部屋まで送るから」

「いえ、私はもう少し貝を拾っていますわ。ですからカイ様、私の事は気にせず、すぐにお客様の元に向かってください」

「そうか、申し訳ない。それじゃあ、行ってくる」

そう言って家臣とカイ様は、王宮に戻って行った。その後もしばらく貝を拾っていると

「アナスタシア様、陛下がお呼びです」

先ほどカイ様を呼びに来た家臣が、今度は私を呼びに来たのだ。

「…分かりましたわ。すぐに参ります」

なんだか嫌な予感がする。でも…まさかあの人たちが、ここまで来るわけないわよね…
そう自分に言い聞かせ、急いでカイ様の待つ部屋へと向かった。

家臣がゆっくりとドアを開ける。すると…

「あぁ、アナスタシア…本当に生きていたのだね」

嬉しそうにこちらにやって来るのは、まぎれもなく私の元婚約者のルイス様だ。そのまま抱きしめられそうになるのを、スッとかわした。

「お久しぶりでございます、ルイス殿下。あの日、国から逃げ出してしまい、申し訳ございませんでした」

悪い予感は的中した。ただ、両親ではなかった事だけは救いだ。

「アナスタシア、君には辛い思いをさせてしまってすまなかった。まさかマルモットが、君に毒を盛った張本人だったとは…」

「どうしてそれを…」

あの日、あの場所には私とマルモットしかいなかったはず。それなのに…

「このイヤリングを覚えているかい?」

「はい…それはルイス様が14歳のお誕生日に私に下さったものですよね。確か私を誘拐した男性に奪われたはずですが」

「あの後、僕の家臣が回収したんだよ。このイヤリングには居場所が特定できる機能と、録音機能も付いているんだ。それで僕は、君たちの会話をすべて聞いた。君が絶望し、自らこの国を去ろうとした事も…」

このイヤリングにそんな機能が付いていただなんて…確かにルイス様から“このイヤリングはどんな時でも肌身離さず持っていてね”と言われていたが…

「僕は最愛の婚約者を殺そうとした女に、まんまと嵌められ、結婚してしまったんだ。君の専属メイドに罪を擦り付けるだなんて、本当に恐ろしい女だ」

ルイス様が悔しそうに唇を噛んでいる。

「アナスタシア、マルモットはもうこの世にはいないよ。さすがに公に罪を公表する事は出来なかったけれど、マルモットは国の最北端にある施設に幽閉したよ。そして少し前、この世を去った。父親でもあるディーズィ侯爵も、君に使った毒物の栽培に関与していたとして、侯爵家は取り潰し、マルモットと同じ施設に幽閉された。だからもう、君を苦しめる人たちはいない。安心して国に帰って来てほしい」

最北端にある施設…あそこは国で一番過酷な施設だと聞いた事がある。あの様な場所に、マルモットを…

「ルイス様、マルモットのお腹には、あなた様の子供がいたはずですが…」

「その件だが、すぐに確認したが、子供はいなかったよ。子供が出来ていたら面倒な事になっていたからね。出来てなくてよかったよ」

「…私には少なくとも、ルイス様はマルモットを愛している様に見えましたが…そうではなかったのですか?」

「僕は騙されていたんだ。マルモットは非常に演技が上手かったからね。君の意識が戻らず悲しんでいる僕に“私も親友の意識が戻らなくて辛いです、あなた様の気持ちが分かります”と、寄って来て。それでまんまと騙されてしまったんだ。弱っている時って、ちょっと優しくされただけでも、なびいてしまうものだろう?」

そう言って少し困ったように笑っている。

「とにかく国に帰ろう。国に帰って、すぐに結婚式を挙げないとね。マルモットがいなくなった今、君は僕の正室として受け入れるよ」
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