26 / 35
第25話:見つかってしまいました
しおりを挟む
カイ様と街に出てから1ヶ月が過ぎた。あの日以来、何となくだが2人の距離が縮まったような気がする。もしかして、お互い呼び方を変えたお陰かしら?やっぱり名前で呼び合うと、なんだか仲良くなれたような気がするのよね。
今日は天気がとてもいいので、カイ様と一緒に海で貝拾いだ。
「カイ様、こっちにとても綺麗な貝がありますわ。あっ、こっちにも」
「本当だ、とても綺麗な貝だね。この貝を使って、また花瓶を作るのかい?」
「ええ、もちろんですわ」
そう、私は拾った貝を使って、花瓶などちょっとした物を作っているのだ。と言っても、素人が作りました感満載だが、それでも私の作った作品を、王宮にカイ様が飾ってくれるのだ。
有難いやら恥ずかしいやら…それでもカイ様の気遣いが嬉しくてたまらない。
「アナスタシア、こっちにも綺麗な貝があるよ。ほら」
「まあ、本当。カイ様、お忙しいのに私の為にありがとうございます」
この国の国王でもあるカイ様は、毎日多忙な日々を送っている。そんな中でも、私と過ごす時間を作ってくれている様で、毎日こうやって私に付きあってくれるのだ。本当にお優しい方。
その時だった。
「陛下、その…お客様がいらしております」
カイ様の家臣が、こちらにやって来たのだ。なぜか私の方をチラチラと見ている。もしかして、私たちの邪魔をしてしまった事を申し訳なく思っているのかしら?
「客だと?もしかして、隣国の…」
「いえ…その様な相手ではありません。とにかく、一度王宮にお戻りください」
「分かった、すぐに戻ろう。アナスタシア、申し訳ないが、来客の対応をして来る。君は部屋に戻っていてくれるかい?部屋まで送るから」
「いえ、私はもう少し貝を拾っていますわ。ですからカイ様、私の事は気にせず、すぐにお客様の元に向かってください」
「そうか、申し訳ない。それじゃあ、行ってくる」
そう言って家臣とカイ様は、王宮に戻って行った。その後もしばらく貝を拾っていると
「アナスタシア様、陛下がお呼びです」
先ほどカイ様を呼びに来た家臣が、今度は私を呼びに来たのだ。
「…分かりましたわ。すぐに参ります」
なんだか嫌な予感がする。でも…まさかあの人たちが、ここまで来るわけないわよね…
そう自分に言い聞かせ、急いでカイ様の待つ部屋へと向かった。
家臣がゆっくりとドアを開ける。すると…
「あぁ、アナスタシア…本当に生きていたのだね」
嬉しそうにこちらにやって来るのは、まぎれもなく私の元婚約者のルイス様だ。そのまま抱きしめられそうになるのを、スッとかわした。
「お久しぶりでございます、ルイス殿下。あの日、国から逃げ出してしまい、申し訳ございませんでした」
悪い予感は的中した。ただ、両親ではなかった事だけは救いだ。
「アナスタシア、君には辛い思いをさせてしまってすまなかった。まさかマルモットが、君に毒を盛った張本人だったとは…」
「どうしてそれを…」
あの日、あの場所には私とマルモットしかいなかったはず。それなのに…
「このイヤリングを覚えているかい?」
「はい…それはルイス様が14歳のお誕生日に私に下さったものですよね。確か私を誘拐した男性に奪われたはずですが」
「あの後、僕の家臣が回収したんだよ。このイヤリングには居場所が特定できる機能と、録音機能も付いているんだ。それで僕は、君たちの会話をすべて聞いた。君が絶望し、自らこの国を去ろうとした事も…」
このイヤリングにそんな機能が付いていただなんて…確かにルイス様から“このイヤリングはどんな時でも肌身離さず持っていてね”と言われていたが…
「僕は最愛の婚約者を殺そうとした女に、まんまと嵌められ、結婚してしまったんだ。君の専属メイドに罪を擦り付けるだなんて、本当に恐ろしい女だ」
ルイス様が悔しそうに唇を噛んでいる。
「アナスタシア、マルモットはもうこの世にはいないよ。さすがに公に罪を公表する事は出来なかったけれど、マルモットは国の最北端にある施設に幽閉したよ。そして少し前、この世を去った。父親でもあるディーズィ侯爵も、君に使った毒物の栽培に関与していたとして、侯爵家は取り潰し、マルモットと同じ施設に幽閉された。だからもう、君を苦しめる人たちはいない。安心して国に帰って来てほしい」
最北端にある施設…あそこは国で一番過酷な施設だと聞いた事がある。あの様な場所に、マルモットを…
「ルイス様、マルモットのお腹には、あなた様の子供がいたはずですが…」
「その件だが、すぐに確認したが、子供はいなかったよ。子供が出来ていたら面倒な事になっていたからね。出来てなくてよかったよ」
「…私には少なくとも、ルイス様はマルモットを愛している様に見えましたが…そうではなかったのですか?」
「僕は騙されていたんだ。マルモットは非常に演技が上手かったからね。君の意識が戻らず悲しんでいる僕に“私も親友の意識が戻らなくて辛いです、あなた様の気持ちが分かります”と、寄って来て。それでまんまと騙されてしまったんだ。弱っている時って、ちょっと優しくされただけでも、なびいてしまうものだろう?」
そう言って少し困ったように笑っている。
「とにかく国に帰ろう。国に帰って、すぐに結婚式を挙げないとね。マルモットがいなくなった今、君は僕の正室として受け入れるよ」
今日は天気がとてもいいので、カイ様と一緒に海で貝拾いだ。
「カイ様、こっちにとても綺麗な貝がありますわ。あっ、こっちにも」
「本当だ、とても綺麗な貝だね。この貝を使って、また花瓶を作るのかい?」
「ええ、もちろんですわ」
そう、私は拾った貝を使って、花瓶などちょっとした物を作っているのだ。と言っても、素人が作りました感満載だが、それでも私の作った作品を、王宮にカイ様が飾ってくれるのだ。
有難いやら恥ずかしいやら…それでもカイ様の気遣いが嬉しくてたまらない。
「アナスタシア、こっちにも綺麗な貝があるよ。ほら」
「まあ、本当。カイ様、お忙しいのに私の為にありがとうございます」
この国の国王でもあるカイ様は、毎日多忙な日々を送っている。そんな中でも、私と過ごす時間を作ってくれている様で、毎日こうやって私に付きあってくれるのだ。本当にお優しい方。
その時だった。
「陛下、その…お客様がいらしております」
カイ様の家臣が、こちらにやって来たのだ。なぜか私の方をチラチラと見ている。もしかして、私たちの邪魔をしてしまった事を申し訳なく思っているのかしら?
「客だと?もしかして、隣国の…」
「いえ…その様な相手ではありません。とにかく、一度王宮にお戻りください」
「分かった、すぐに戻ろう。アナスタシア、申し訳ないが、来客の対応をして来る。君は部屋に戻っていてくれるかい?部屋まで送るから」
「いえ、私はもう少し貝を拾っていますわ。ですからカイ様、私の事は気にせず、すぐにお客様の元に向かってください」
「そうか、申し訳ない。それじゃあ、行ってくる」
そう言って家臣とカイ様は、王宮に戻って行った。その後もしばらく貝を拾っていると
「アナスタシア様、陛下がお呼びです」
先ほどカイ様を呼びに来た家臣が、今度は私を呼びに来たのだ。
「…分かりましたわ。すぐに参ります」
なんだか嫌な予感がする。でも…まさかあの人たちが、ここまで来るわけないわよね…
そう自分に言い聞かせ、急いでカイ様の待つ部屋へと向かった。
家臣がゆっくりとドアを開ける。すると…
「あぁ、アナスタシア…本当に生きていたのだね」
嬉しそうにこちらにやって来るのは、まぎれもなく私の元婚約者のルイス様だ。そのまま抱きしめられそうになるのを、スッとかわした。
「お久しぶりでございます、ルイス殿下。あの日、国から逃げ出してしまい、申し訳ございませんでした」
悪い予感は的中した。ただ、両親ではなかった事だけは救いだ。
「アナスタシア、君には辛い思いをさせてしまってすまなかった。まさかマルモットが、君に毒を盛った張本人だったとは…」
「どうしてそれを…」
あの日、あの場所には私とマルモットしかいなかったはず。それなのに…
「このイヤリングを覚えているかい?」
「はい…それはルイス様が14歳のお誕生日に私に下さったものですよね。確か私を誘拐した男性に奪われたはずですが」
「あの後、僕の家臣が回収したんだよ。このイヤリングには居場所が特定できる機能と、録音機能も付いているんだ。それで僕は、君たちの会話をすべて聞いた。君が絶望し、自らこの国を去ろうとした事も…」
このイヤリングにそんな機能が付いていただなんて…確かにルイス様から“このイヤリングはどんな時でも肌身離さず持っていてね”と言われていたが…
「僕は最愛の婚約者を殺そうとした女に、まんまと嵌められ、結婚してしまったんだ。君の専属メイドに罪を擦り付けるだなんて、本当に恐ろしい女だ」
ルイス様が悔しそうに唇を噛んでいる。
「アナスタシア、マルモットはもうこの世にはいないよ。さすがに公に罪を公表する事は出来なかったけれど、マルモットは国の最北端にある施設に幽閉したよ。そして少し前、この世を去った。父親でもあるディーズィ侯爵も、君に使った毒物の栽培に関与していたとして、侯爵家は取り潰し、マルモットと同じ施設に幽閉された。だからもう、君を苦しめる人たちはいない。安心して国に帰って来てほしい」
最北端にある施設…あそこは国で一番過酷な施設だと聞いた事がある。あの様な場所に、マルモットを…
「ルイス様、マルモットのお腹には、あなた様の子供がいたはずですが…」
「その件だが、すぐに確認したが、子供はいなかったよ。子供が出来ていたら面倒な事になっていたからね。出来てなくてよかったよ」
「…私には少なくとも、ルイス様はマルモットを愛している様に見えましたが…そうではなかったのですか?」
「僕は騙されていたんだ。マルモットは非常に演技が上手かったからね。君の意識が戻らず悲しんでいる僕に“私も親友の意識が戻らなくて辛いです、あなた様の気持ちが分かります”と、寄って来て。それでまんまと騙されてしまったんだ。弱っている時って、ちょっと優しくされただけでも、なびいてしまうものだろう?」
そう言って少し困ったように笑っている。
「とにかく国に帰ろう。国に帰って、すぐに結婚式を挙げないとね。マルモットがいなくなった今、君は僕の正室として受け入れるよ」
176
あなたにおすすめの小説
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる
ラム猫
恋愛
王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています
※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい
サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。
──無駄な努力だ。
こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる