30 / 35
第29話:彼女の気持ち~カイ視点~
しおりを挟む
アナスタシアが行きそうな場所は…やっぱり海だな。アナスタシアの名前を叫びながら、浜辺を歩く。ここにはいないか…それなら中庭か?そう思い、中庭も隅々まで見て回るが、やはりいない。
他にも図書館などを探すが、アナスタシアの姿はどこにもない。他の家臣たちも必死に探しているが、どこを探してもアナスタシアは見つからないのだ。気が付くと、もう日は随分高く昇っている。
「クソ…アナスタシアは一体どこに行ったのだ…」
もしかして王宮の外に出てしまったのか?いいや、我が国の、特に王宮の警備はかなり厳重だ。百歩譲ってアナスタシアが優秀なスパイであったとしても、王宮に出入りするのは至難の業だ。やはりアナスタシアは、まだ王宮内にいるはずだ!
もう一度王宮内を探そうとした時だった。
「陛下、王宮内を隅々まで探しましたが、アナスタシア様の姿はどこにもありませんでした。一体どこにいらっしゃるのでしょうか…もしかして、私たちが知らない隠し通路に隠れていらっしゃるとか…」
隠し通路…
そういえば王族のみ知る隠し部屋を、アナスタシアに教えたことがあった。もしかして…
急いで自室に戻り、そこから隠し通路を通って奥に進む。頼む、あそこにいてくれ!そう願いながら、隠し部屋へと向かう。たくさんある隠し部屋を、1つ1つ扉を開けて確認していく。クソ、どうしてこんなに部屋があるんだ。
とにかく隠し通路にある部屋を片っ端から確認していくが、アナスタシアの姿はどこにもない。
一番奥の隠し部屋からは、そのまま王宮の外に出る事が出来る。もしもあの通路からアナスタシアが外に出てしまっていたら…
もしあの通路を使って裏山に、そして街に出れば、船が沢山出ている。我が国の場合、入国に関しては非常に厳しいが、出国に関しては比較的緩い。もしアナスタシアが、船に乗ってこの国から出て行ってしまったら、もう私にはどうする事も出来ない。
こんな形でアナスタシアを失う事になる何て!こんな事なら、最初からアナスタシアの気持ちを確認しておけばよかった。私は思い込みで突っ走ってしまう癖がある。その悪い癖が、最悪の形で出てしまうだなんて…
もしアナスタシアにまた会えたら、今度こそ彼女の望む様に動こう。それでルイス殿下を怒らせ、カルビア王国との関係が悪くなってしまったとしても…
だから、どうかアナスタシア、部屋にいてくれ。そう願いつつ、隠し部屋をくまなく探す。そして外に繋がる通路がある部屋の扉の前までやって来た。
ゆっくりと扉を開けると…
「アナスタシア!!」
イスに座っているアナスタシアと目が合った。
「カイ様…」
私の姿を見つけたアナスタシアが、その場で立ち上がった。急いでアナスタシアの元に向かい、思いっきり抱きしめる。よかった、アナスタシアがこの部屋にいてくれて。
それにしてもアナスタシアは柔らかくて温かくて、それにいい匂いがする…
「カイ様、あの、ごめんなさい…」
アナスタシアの声で我に返り、急いでアナスタシアから離れた。
「私の方こそすまなかった。急に抱きしめたりして。でも、君がまだ王宮内にいてくれて、本当によかった」
「勝手な事をしてごめんなさい。でも私…」
エメラルドグリーンの瞳からポロポロと涙を流すアナスタシア。そんなアナスタシアに、ハンカチを渡した。もちろん、アナスタシアが入れてくれた刺しゅう入りのハンカチだ。
「アナスタシア、謝るのは私の方だ。君の気持ちも聞かずに、一方的に国に帰る様に勧めてしまい、本当に申し訳なかった。アナスタシアが望むなら、ずっとこの国にいてくれて構わない。イヤ…むしろいてくれると嬉しい。だから、君の気持ちを聞かせてくれるかい?」
アナスタシアに向かって問いかける。
「カイ様、まずはずっと身分を隠していた事を、お許しください。私はカルビア王国の公爵令嬢で、ルイス様の婚約者でした。両親は私を政治の道具としてしか見ておらず、ずっと寂しい思いをしておりました。そんな私にいつも寄り添い、支えたくれたのが私の専属メイド、リーナです。彼女のお陰で、私は生きてこれたといっても過言ではありません。でもそんなリーナは、私を毒殺しようとした犯人に仕立て上げられ、処刑されて遺体を広場に晒されたのです…」
そう言うと、再び涙を流すアナスタシア。
「私がその事実を知ったのは、意識が戻った時でした。唯一私の家族だったリーナを殺され、さらに親友にも裏切られ、愛していた婚約者は私を裏切った親友と結婚し、幸せそうにしていたのです。その姿を見た時、全てが嫌になり、リーナの元に向かうつもりで屋敷を出ました。でも…ひょんなことから、あなた様に助けられ、この国で生活する様になったのです。そして、いつしかあなた様の傍にいたいと願う様になりました」
そう言うと、アナスタシアが私の方を真っすぐ見た。
他にも図書館などを探すが、アナスタシアの姿はどこにもない。他の家臣たちも必死に探しているが、どこを探してもアナスタシアは見つからないのだ。気が付くと、もう日は随分高く昇っている。
「クソ…アナスタシアは一体どこに行ったのだ…」
もしかして王宮の外に出てしまったのか?いいや、我が国の、特に王宮の警備はかなり厳重だ。百歩譲ってアナスタシアが優秀なスパイであったとしても、王宮に出入りするのは至難の業だ。やはりアナスタシアは、まだ王宮内にいるはずだ!
もう一度王宮内を探そうとした時だった。
「陛下、王宮内を隅々まで探しましたが、アナスタシア様の姿はどこにもありませんでした。一体どこにいらっしゃるのでしょうか…もしかして、私たちが知らない隠し通路に隠れていらっしゃるとか…」
隠し通路…
そういえば王族のみ知る隠し部屋を、アナスタシアに教えたことがあった。もしかして…
急いで自室に戻り、そこから隠し通路を通って奥に進む。頼む、あそこにいてくれ!そう願いながら、隠し部屋へと向かう。たくさんある隠し部屋を、1つ1つ扉を開けて確認していく。クソ、どうしてこんなに部屋があるんだ。
とにかく隠し通路にある部屋を片っ端から確認していくが、アナスタシアの姿はどこにもない。
一番奥の隠し部屋からは、そのまま王宮の外に出る事が出来る。もしもあの通路からアナスタシアが外に出てしまっていたら…
もしあの通路を使って裏山に、そして街に出れば、船が沢山出ている。我が国の場合、入国に関しては非常に厳しいが、出国に関しては比較的緩い。もしアナスタシアが、船に乗ってこの国から出て行ってしまったら、もう私にはどうする事も出来ない。
こんな形でアナスタシアを失う事になる何て!こんな事なら、最初からアナスタシアの気持ちを確認しておけばよかった。私は思い込みで突っ走ってしまう癖がある。その悪い癖が、最悪の形で出てしまうだなんて…
もしアナスタシアにまた会えたら、今度こそ彼女の望む様に動こう。それでルイス殿下を怒らせ、カルビア王国との関係が悪くなってしまったとしても…
だから、どうかアナスタシア、部屋にいてくれ。そう願いつつ、隠し部屋をくまなく探す。そして外に繋がる通路がある部屋の扉の前までやって来た。
ゆっくりと扉を開けると…
「アナスタシア!!」
イスに座っているアナスタシアと目が合った。
「カイ様…」
私の姿を見つけたアナスタシアが、その場で立ち上がった。急いでアナスタシアの元に向かい、思いっきり抱きしめる。よかった、アナスタシアがこの部屋にいてくれて。
それにしてもアナスタシアは柔らかくて温かくて、それにいい匂いがする…
「カイ様、あの、ごめんなさい…」
アナスタシアの声で我に返り、急いでアナスタシアから離れた。
「私の方こそすまなかった。急に抱きしめたりして。でも、君がまだ王宮内にいてくれて、本当によかった」
「勝手な事をしてごめんなさい。でも私…」
エメラルドグリーンの瞳からポロポロと涙を流すアナスタシア。そんなアナスタシアに、ハンカチを渡した。もちろん、アナスタシアが入れてくれた刺しゅう入りのハンカチだ。
「アナスタシア、謝るのは私の方だ。君の気持ちも聞かずに、一方的に国に帰る様に勧めてしまい、本当に申し訳なかった。アナスタシアが望むなら、ずっとこの国にいてくれて構わない。イヤ…むしろいてくれると嬉しい。だから、君の気持ちを聞かせてくれるかい?」
アナスタシアに向かって問いかける。
「カイ様、まずはずっと身分を隠していた事を、お許しください。私はカルビア王国の公爵令嬢で、ルイス様の婚約者でした。両親は私を政治の道具としてしか見ておらず、ずっと寂しい思いをしておりました。そんな私にいつも寄り添い、支えたくれたのが私の専属メイド、リーナです。彼女のお陰で、私は生きてこれたといっても過言ではありません。でもそんなリーナは、私を毒殺しようとした犯人に仕立て上げられ、処刑されて遺体を広場に晒されたのです…」
そう言うと、再び涙を流すアナスタシア。
「私がその事実を知ったのは、意識が戻った時でした。唯一私の家族だったリーナを殺され、さらに親友にも裏切られ、愛していた婚約者は私を裏切った親友と結婚し、幸せそうにしていたのです。その姿を見た時、全てが嫌になり、リーナの元に向かうつもりで屋敷を出ました。でも…ひょんなことから、あなた様に助けられ、この国で生活する様になったのです。そして、いつしかあなた様の傍にいたいと願う様になりました」
そう言うと、アナスタシアが私の方を真っすぐ見た。
185
あなたにおすすめの小説
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる
ラム猫
恋愛
王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています
※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい
サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。
──無駄な努力だ。
こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる