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第48話:私の気持ち
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ゆっくりと振り向くと、そこにはアレックス様が立っていた。
「あの…私は別に…」
「隠さなくてもいいよ。僕はこれでもユーリを一番近くて見て来たから、ユーリの気持ちくらい僕にはわかるよ。結局ディアンも、彼女の美しさに心を奪われてしまったのだね」
はぁっとため息をつく、アレックス様。
「でも…僕が言えた事ではないね。僕はユーリの気持ちに気が付いていながら、彼女に夢中になった。その結果、一番大切なユーリを傷つけ、そして失った。ユーリ、君がディアンの事が好きなのは知っている。でも、もうディアンはセレナ嬢に心を奪われている。これ以上ディアンを思い続けても、君も辛いだけではないのかな?」
「私は…」
私は別に、ディアンの事を好きだなんて思っていない。そう思っていた。でも、私は…
再びディアンとセレナ様を見つめる。
そうか、私はディアンの事が好きなのね…だからこんなに、胸が苦しいのだわ。まさかアレックス様の言葉で、その事に気が付くだなんて…
「ユーリ?大丈夫かい?散々君を傷つけた僕がこんな事を言うのは、図々しいかもしれないけれど、今度は僕がユーリの傷ついた心を癒させてくれないかな?僕がずっとずっと君の傍にいる。だからどうか、僕の傍にいて欲しい」
真っすぐ私を見つめるアレックス様。その瞳は、どこか不安げだ。
「アレックス様、ありがとうございます。確かに私は、きっと…ディアンが好きなのですわ。ディアンの事を思うと、私はこのまま黙って身を引くべきなのでしょう。でも私は、このまま黙って身を引き、何食わぬ顔でディアンを今後も幼馴染として接する事が出来るほど、強くはありません。それに、きっとずっとディアンの事を引きずってしまうでしょう。昔の私の様に…」
アレックス様が大好きだった時の私も、ずっとずっとアレックス様を諦める事が出来なかった。だからこそ、ディアンにも気持ちを伝え、すっきりさせたいのだ。
「ディアンに気持ちを伝えるという事は、今までの関係が変わってしまうかもしれないよ。それでもいいのかい?」
「ディアンの為には、気持ちを封印して今まで通り接するのがいいのでしょうが、生憎私はそんなに器用ではありません。気持ちを伝え、きっぱり断られたらきっと、前に進めると思うのです。それが私なので。それにディアンとの友情は、そう簡単に壊れたりしませんわ。もし壊れてしまったら、それだけの関係だったのです」
きっとディアンなら、今後も私の事を幼馴染として受け入れてくれるだろう。もし受け入れてくれなかったら、それはそれで仕方がない事。そう考えている。
「ユーリは強いね…分かったよ。ユーリ、僕には頼りたくはないかもしれないが、もし辛くて泣きたくなったら、その時は僕が君の傍にいたいと思っている。もちろん、君の幼馴染兼友人としてで構わないから」
「ありがとうございます、アレックス様」
きっと私がアレックス様を頼る事はないだろう。アレックス様は確かに変わった。昔の優しかったアレックス様に戻ったのは確かだ。でも…私はもう、前に向かって進みだしている。だからこそ、アレックス様と今後どうこうなりたいとはどうしても思えないのだ。
それでもアレックス様の気持ちは嬉しい。
「それでは私は、これで失礼いたします」
アレックス様に頭を下げ、その場を後にした。
屋敷に帰って来ると、大切にしまってあったサンクトスの羽を取り出した。キラキラと輝いているサンクトスの羽。本当に美しい。
この羽を持っていると、好きな人とずっと一緒にいられると言われているが、私には効果がなかったわね。
いいえ…
もしかしたら今後、もっと素敵な人が現れるかもしれない。未来の幸せの為にも、前に進まないと。
明日にでもディアンに時間を作ってもらって、自分の気持ちを伝えよう。
なぜだろう、ディアンの事が好きだと気が付いた今、なんだか今までのモヤモヤが嘘の様に、心が軽い。この気持ちに気づかせてくれたアレックス様には、感謝しないといけないわね。
ディアンが貴族学院にやって来てから、アレックス様とも随分と普通に話しが出来る様になった。昔の関係に戻れたような気がして、嬉しかった。
でも、これからはきっと、もうあの時の関係ではいられないだろう。それがなんだか寂しい。
それでも私は、前に進みたい。そう思っている。
さて、気持ちも固まったし、今日は穏やかに過ごそう。久しぶりに、小説でも読もうかしら。
本棚から本を取り出そうとした時だった。
「お嬢様、カスタマーディス伯爵令息様がいらしております」
「えっ?ディアンが?」
「あの…私は別に…」
「隠さなくてもいいよ。僕はこれでもユーリを一番近くて見て来たから、ユーリの気持ちくらい僕にはわかるよ。結局ディアンも、彼女の美しさに心を奪われてしまったのだね」
はぁっとため息をつく、アレックス様。
「でも…僕が言えた事ではないね。僕はユーリの気持ちに気が付いていながら、彼女に夢中になった。その結果、一番大切なユーリを傷つけ、そして失った。ユーリ、君がディアンの事が好きなのは知っている。でも、もうディアンはセレナ嬢に心を奪われている。これ以上ディアンを思い続けても、君も辛いだけではないのかな?」
「私は…」
私は別に、ディアンの事を好きだなんて思っていない。そう思っていた。でも、私は…
再びディアンとセレナ様を見つめる。
そうか、私はディアンの事が好きなのね…だからこんなに、胸が苦しいのだわ。まさかアレックス様の言葉で、その事に気が付くだなんて…
「ユーリ?大丈夫かい?散々君を傷つけた僕がこんな事を言うのは、図々しいかもしれないけれど、今度は僕がユーリの傷ついた心を癒させてくれないかな?僕がずっとずっと君の傍にいる。だからどうか、僕の傍にいて欲しい」
真っすぐ私を見つめるアレックス様。その瞳は、どこか不安げだ。
「アレックス様、ありがとうございます。確かに私は、きっと…ディアンが好きなのですわ。ディアンの事を思うと、私はこのまま黙って身を引くべきなのでしょう。でも私は、このまま黙って身を引き、何食わぬ顔でディアンを今後も幼馴染として接する事が出来るほど、強くはありません。それに、きっとずっとディアンの事を引きずってしまうでしょう。昔の私の様に…」
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「ディアンに気持ちを伝えるという事は、今までの関係が変わってしまうかもしれないよ。それでもいいのかい?」
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きっとディアンなら、今後も私の事を幼馴染として受け入れてくれるだろう。もし受け入れてくれなかったら、それはそれで仕方がない事。そう考えている。
「ユーリは強いね…分かったよ。ユーリ、僕には頼りたくはないかもしれないが、もし辛くて泣きたくなったら、その時は僕が君の傍にいたいと思っている。もちろん、君の幼馴染兼友人としてで構わないから」
「ありがとうございます、アレックス様」
きっと私がアレックス様を頼る事はないだろう。アレックス様は確かに変わった。昔の優しかったアレックス様に戻ったのは確かだ。でも…私はもう、前に向かって進みだしている。だからこそ、アレックス様と今後どうこうなりたいとはどうしても思えないのだ。
それでもアレックス様の気持ちは嬉しい。
「それでは私は、これで失礼いたします」
アレックス様に頭を下げ、その場を後にした。
屋敷に帰って来ると、大切にしまってあったサンクトスの羽を取り出した。キラキラと輝いているサンクトスの羽。本当に美しい。
この羽を持っていると、好きな人とずっと一緒にいられると言われているが、私には効果がなかったわね。
いいえ…
もしかしたら今後、もっと素敵な人が現れるかもしれない。未来の幸せの為にも、前に進まないと。
明日にでもディアンに時間を作ってもらって、自分の気持ちを伝えよう。
なぜだろう、ディアンの事が好きだと気が付いた今、なんだか今までのモヤモヤが嘘の様に、心が軽い。この気持ちに気づかせてくれたアレックス様には、感謝しないといけないわね。
ディアンが貴族学院にやって来てから、アレックス様とも随分と普通に話しが出来る様になった。昔の関係に戻れたような気がして、嬉しかった。
でも、これからはきっと、もうあの時の関係ではいられないだろう。それがなんだか寂しい。
それでも私は、前に進みたい。そう思っている。
さて、気持ちも固まったし、今日は穏やかに過ごそう。久しぶりに、小説でも読もうかしら。
本棚から本を取り出そうとした時だった。
「お嬢様、カスタマーディス伯爵令息様がいらしております」
「えっ?ディアンが?」
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