これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi

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第65話:友人達がお見舞いに来てくれました

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 その日の放課後。

「ユーリ、ディアンの面会状況はどうなのかな?もし可能なら、僕たちもお見舞いに行きたいのだけれど。もちろん、クラスメイト全員で押しかける訳にはいかないから、僕とレーナ嬢・カリン嬢、マリアン嬢の4人で行くつもりなんだけれど」

 話しかけてきたのは、アレックス様だ。お見舞いか…確かおば様が、面会を希望すれば出来ると言っていた。アレックス様たちなら、問題ないだろう。

「ええ、もちろん大丈夫よ。きっとディアンも、皆が来てくれたら喜ぶわ」

「確か貴族病院に入院しているのだよね?それじゃあ、一度家に帰ってから貴族病院に行くよ」

「分かったわ。病院の人には話をしておくから。それじゃあ、また後でね」

 皆がこうやって、ディアンの事を心配してくれている。それがなんだか嬉しい。今日、貴族学院に行ってよかったわ。ずっと病室にいたらきっと私、狭い世界でずっと泣いていたかもしれない。

 病院に戻ってくると、急ぎ足で病室へと向かう。

「ディアン、ただいま。意識はまだ…戻っていないか…」

 病室のドアを開けると、そこには使用人の姿が。どうやらディアンはまだ、眠ったままの様だ。着替えを済ませ、ディアンの元へと向かう。

「ディアン、今日はね、アレックス様たちがお見舞いに来てくださるのよ。それからね、クラスの皆がとても心配してくれていたわ。涙まで流してくれて…だからお願い、皆の為にも、早く目を覚まして」

 ディアンの手を握り話しかけるが、もちろん反応はない。瞼も閉じたままだ。それでもディアンの手は温かい。この温もりを感じるだけで、私は安心する。しばらくディアンの手を握り、今日あった事を話していると

「お嬢様、皆様がいらっしゃいました」

「ありがとう、早速入ってもらって」

 4人がお見舞いに来てくれた様だ。

「皆、ディアンの為に、わざわざありがとう。こっちにディアンが眠っているの」

 4人を早速ディアンに会わせた。ただ、変わり果てたディアンの姿を見た女性陣は、口を押えて固まっている。

 アレックス様に至っては…

「なんて酷い怪我なんだ…ディアン、しっかりしろ。どうしてこんな事に…」

 そう言ってディアンの手を握り、訴えている。

「酷い怪我でしょう?でもね、今のところ峠は越えて、安定しているのよ。こんなにひどい怪我を負ったのに、よく生きてくれたと私はディアンに感謝しているわ」

 命を落としてもおかしくはないほどの酷い怪我だったと、お医者様がおっしゃっていた。それでもディアンは、命だけは取り留めてくれたのだ。

「ユーリ…ごめんね、なんて言っていいか分からないけれど…きっとディアン様は、ユーリの残して死ねないと強く思ったのよ」

「そうよね、やっとユーリと結ばれたのですもの。きっとすぐに目覚めるわよ」

「ディアン様、ユーリが大好きだったものね。そうそう、私、お見舞いにお菓子を持ってきたの。ユーリ、今日もお昼あまり食べていなかったでしょう?」

「私は食べやすい果物を持ってきたわ」

「もう、皆、私は病人ではないのよ。でも、ありがとう。せっかくだから、果物とお菓子を頂きましょう。すぐに準備してくれるかしら?」

 近くにいた使用人に頼んで、準備してもらう。

「ユーリ、気を遣わないで。ディアン様の様子も見られたし、私たちはそろそろ帰るわ。ユーリ、明日も学院に来てね」

「えっ、もう帰るの?でも、今来たばかりじゃない」

「あまり病院に長居してはいけないと、お母様にも言われているの。それにディアン様の顔も見られたし、私たちは満足よ。ディアン様、ユーリの為にも、早く目覚めて下さいね」

「ディアン様、あなた様が元気に学院に登校してくる日を、私たちは待っておりますから」

「あまりのんびりしていると、ユーリを他の人に取られてしまいますよ。嫌なら早く目覚めて下さい。またお見舞いに来ますね」

 それぞれがディアンに言葉をかける。

「ユーリ、僕はもう少しディアンの傍にいてもいいかな?それから、せっかく3人が来てくれたんだ。病院の外まで、お見送りをしてあげたらどうだい?その間、僕がディアンを見ているから」

 アレックス様が、そう提案してくれた。わざわざディアンの為に、来てくれたのだ。ここはお見送りをしないとね。それに、なんだかアレックス様、ディアンと2人きりになりたい様だし…

「ありがとうございます、アレックス様。それでは皆を見送ってきますわ。皆、行きましょう」

 4人で病室を出た。皆何を話していいか分からない様で、誰も口を開かない。

「皆、今日は来てくれてありがとう。ディアン、酷い怪我でしょう?私も初めて見た時は、驚いちゃった」

「ユーリ…その…」

「私ね、今日学院に行って、皆がディアンの事を心配してくれていた事、涙まで流してくれたことがとても嬉しかったの。それからね、私、泣いてばかりだけれど、意外と大丈夫なのよ。だから、どうか心配しないでね」

 そう言って皆に笑顔を向けた。彼女たちには、いつも心配をかけてばかりだ。だからこそ、これ以上心配をかけたくはない。そう思ったのだ。
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