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第2章
第28話:キーキとアーニーの初対面です
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翌日、少し寝不足のまま目を覚ました。そう、夜中に何度もアーニーが泣いたのだ。もちろん、そのたびに母乳を与えオムツを替えた。そしてアーニーが泣くたびに、アーサー様も起きて一緒にお世話をしてくれた。
「アーサー様、おはようございます。昨日は何度も起されましたが、大丈夫ですか?」
「ああ、俺は大丈夫だ。魔物討伐の時はもっと過酷だからな。これだけ寝られれば、十分だ」
その言葉通り、とても元気なアーサー様。さすが騎士団長、体力が凄い…
アーニーをモカラたちに預け、急いで朝食を食べ再び寝室に戻る。もちろん、アーニーのお世話をする為だ。そうだわ。
「アーサー様、キーキを出していただけませんか?アーサー様が意識を失っていた時、キーキもとても心配していたのです。それで…」
「モカラに聞いたよ。あいつ、寝ている俺をバシバシ叩いていたらしいな。あいつにも随分と心配をかけてしまった様だし、いいだろう」
そう言うと、アーサー様がキーキを出してくれた。
「ローラ、久しぶり。会いたかったわ」
私にすり寄って来たのは、キーキだ。
「キーキ、久しぶりね。私も会えて嬉しいわ」
優しくキーキを抱きしめた。ゆっくり私から離れると、すぐにアーニーの元へと向かうキーキ。
「この子がローラの子供?アーサーにそっくりね。それにしてもこの子、かすかに魔力を感じるわ」
そう言うと、アーニーにすり寄るキーキ。でも、次の瞬間
「キャァ、痛い!」
アーニーがキーキをぎゅっと掴んでしまったのだ。
「アーニー、ダメよ!放してあげて」
急いでアーニーの手からキーキを助け出す。きょとんとした顔のアーニー。
「何なのよ、この子。私を掴むだなんて失礼ね。これだから子供は嫌いなのよ」
そう言ってキーキが怒っている。それでもアーニーが気になるのか、少しづつ近寄ってはアーニーにすり寄っている。そんなキーキを見たアーサー様が
「おい、キーキ。まさかアーニーも…」
「そうね、この子もいずれ精霊魔法が使えるようになるわ」
キーキがにっこり笑ってそう答えた。
「それは本当か?何となくそんな気はしていたが…」
なぜかショックを受けてその場に座り込んでしまったアーサー様。どうやらアーニーも精霊魔法が使えるようになるそうだ。だからキーキは、酷い目に合ってもアーニーの傍を離れなかったのね。
「でもこの子、まだ赤ちゃんだからか魔力量は少ないわよ。それに、アーサーが傍にいるんだから、そんなに心配する事はないわ。アーサーが魔力をうまくコントロールすれば、この子はそんなに苦労する事はないだろうし」
「おいキーキ、それは本当か?俺の魔力を使えば、アーニーの魔力を抑えられるのか?」
「ええ、抑えられるわよ。ただ、この子がアーサーよりも魔力量が少ないうちだけだけれどね。まあ、それまでに魔力の勉強や訓練を積めば、問題ないわ。ねっ、アーニー」
再びキーキが、アーニーに嬉しそうにすり寄っている。そんなキーキを再び捕まえようと、アーニーが手を伸ばした。
「キーキ、危ない」
また握られるわ。そう思ったのだが
「何度も握られてたまるものですか」
そう言って軽くかわしたキーキ。ただ、かわされた事が気に入られなかったのか
「ホンギャーー」
と、すごい勢いで泣き出してしまった。慌ててアーニーを抱きかかえた。
「よしよし、アーニー。キーキを掴んではダメなのよ。仲良くしましょうね」
アーニーを抱きかかえてあやすが、泣き止まない。
「おい、キーキ。お前がよけたから、アーニーが泣き出してしまったではないか。お前、アーニーに握られていろ」
すかさずアーサー様が、キーキに向かって怒鳴っている。アーサー様、それはちょっと横暴なのでは…
「ちょっとアーサー、私を何だと思っているのよ。もう、本当にうるさい子ね。ほら、泣き止みなさい」
キーキがアーニーの周りを飛ぶと、なぜか泣き止んだ。
「すごいわキーキ、どうやって泣き止ませたの?」
「特殊な音を出したのよ。それにしても、本当に子供って嫌よね。魔力持ちじゃなかったら、絶対に近寄らないのだけれど…」
「おい、アーニーに変な事をしていないだろうな?イヤならアーニーに近寄るな」
すかさずキーキに文句を言っている。
「失礼ね、変な事なんてしていないわよ。そもそも、アーサーが泣き止ませろって言ったのでしょう?ローラ、アーニーは絶対に素直でいい子に育てなきゃダメよ。アーサーみたいなケチで短気な男になったら最悪だもの」
「おい、誰がケチで短気だ。お前だって我が儘で傲慢だろう」
「私のどこが我が儘で傲慢なのよ。大体アーサーは…」
「ホンギャーーー」
一人と一匹の怒鳴り合いの喧嘩を聞いていたアーニーが、再び泣き出してしまった。
「ほら、アーサーが怒鳴るから、アーニーが泣き出してしまったわ。本当に怖い父親ね」
「うるさい。アーニー、大きな声を出して悪かったな。よしよし」
「ほら、アーニー、泣き止んで」
アーサー様とキーキが、一生懸命アーニーをあやしている。その姿を見たら、この一人と一匹は似た者同士なのかもしれない。そう思ってしまった。
でも、そんな事を言ったらきっと全否定されるだろう。
アーサー様とキーキの姿を見て、そんな事を考えたのであった。
※次回、最終話です。
「アーサー様、おはようございます。昨日は何度も起されましたが、大丈夫ですか?」
「ああ、俺は大丈夫だ。魔物討伐の時はもっと過酷だからな。これだけ寝られれば、十分だ」
その言葉通り、とても元気なアーサー様。さすが騎士団長、体力が凄い…
アーニーをモカラたちに預け、急いで朝食を食べ再び寝室に戻る。もちろん、アーニーのお世話をする為だ。そうだわ。
「アーサー様、キーキを出していただけませんか?アーサー様が意識を失っていた時、キーキもとても心配していたのです。それで…」
「モカラに聞いたよ。あいつ、寝ている俺をバシバシ叩いていたらしいな。あいつにも随分と心配をかけてしまった様だし、いいだろう」
そう言うと、アーサー様がキーキを出してくれた。
「ローラ、久しぶり。会いたかったわ」
私にすり寄って来たのは、キーキだ。
「キーキ、久しぶりね。私も会えて嬉しいわ」
優しくキーキを抱きしめた。ゆっくり私から離れると、すぐにアーニーの元へと向かうキーキ。
「この子がローラの子供?アーサーにそっくりね。それにしてもこの子、かすかに魔力を感じるわ」
そう言うと、アーニーにすり寄るキーキ。でも、次の瞬間
「キャァ、痛い!」
アーニーがキーキをぎゅっと掴んでしまったのだ。
「アーニー、ダメよ!放してあげて」
急いでアーニーの手からキーキを助け出す。きょとんとした顔のアーニー。
「何なのよ、この子。私を掴むだなんて失礼ね。これだから子供は嫌いなのよ」
そう言ってキーキが怒っている。それでもアーニーが気になるのか、少しづつ近寄ってはアーニーにすり寄っている。そんなキーキを見たアーサー様が
「おい、キーキ。まさかアーニーも…」
「そうね、この子もいずれ精霊魔法が使えるようになるわ」
キーキがにっこり笑ってそう答えた。
「それは本当か?何となくそんな気はしていたが…」
なぜかショックを受けてその場に座り込んでしまったアーサー様。どうやらアーニーも精霊魔法が使えるようになるそうだ。だからキーキは、酷い目に合ってもアーニーの傍を離れなかったのね。
「でもこの子、まだ赤ちゃんだからか魔力量は少ないわよ。それに、アーサーが傍にいるんだから、そんなに心配する事はないわ。アーサーが魔力をうまくコントロールすれば、この子はそんなに苦労する事はないだろうし」
「おいキーキ、それは本当か?俺の魔力を使えば、アーニーの魔力を抑えられるのか?」
「ええ、抑えられるわよ。ただ、この子がアーサーよりも魔力量が少ないうちだけだけれどね。まあ、それまでに魔力の勉強や訓練を積めば、問題ないわ。ねっ、アーニー」
再びキーキが、アーニーに嬉しそうにすり寄っている。そんなキーキを再び捕まえようと、アーニーが手を伸ばした。
「キーキ、危ない」
また握られるわ。そう思ったのだが
「何度も握られてたまるものですか」
そう言って軽くかわしたキーキ。ただ、かわされた事が気に入られなかったのか
「ホンギャーー」
と、すごい勢いで泣き出してしまった。慌ててアーニーを抱きかかえた。
「よしよし、アーニー。キーキを掴んではダメなのよ。仲良くしましょうね」
アーニーを抱きかかえてあやすが、泣き止まない。
「おい、キーキ。お前がよけたから、アーニーが泣き出してしまったではないか。お前、アーニーに握られていろ」
すかさずアーサー様が、キーキに向かって怒鳴っている。アーサー様、それはちょっと横暴なのでは…
「ちょっとアーサー、私を何だと思っているのよ。もう、本当にうるさい子ね。ほら、泣き止みなさい」
キーキがアーニーの周りを飛ぶと、なぜか泣き止んだ。
「すごいわキーキ、どうやって泣き止ませたの?」
「特殊な音を出したのよ。それにしても、本当に子供って嫌よね。魔力持ちじゃなかったら、絶対に近寄らないのだけれど…」
「おい、アーニーに変な事をしていないだろうな?イヤならアーニーに近寄るな」
すかさずキーキに文句を言っている。
「失礼ね、変な事なんてしていないわよ。そもそも、アーサーが泣き止ませろって言ったのでしょう?ローラ、アーニーは絶対に素直でいい子に育てなきゃダメよ。アーサーみたいなケチで短気な男になったら最悪だもの」
「おい、誰がケチで短気だ。お前だって我が儘で傲慢だろう」
「私のどこが我が儘で傲慢なのよ。大体アーサーは…」
「ホンギャーーー」
一人と一匹の怒鳴り合いの喧嘩を聞いていたアーニーが、再び泣き出してしまった。
「ほら、アーサーが怒鳴るから、アーニーが泣き出してしまったわ。本当に怖い父親ね」
「うるさい。アーニー、大きな声を出して悪かったな。よしよし」
「ほら、アーニー、泣き止んで」
アーサー様とキーキが、一生懸命アーニーをあやしている。その姿を見たら、この一人と一匹は似た者同士なのかもしれない。そう思ってしまった。
でも、そんな事を言ったらきっと全否定されるだろう。
アーサー様とキーキの姿を見て、そんな事を考えたのであった。
※次回、最終話です。
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