大好きだった人には振られましたが、なぜかヤンデレ王太子に溺愛されました

Karamimi

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第2話:今は何も考えられません

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カーター様がスカーレット王女と婚約したですって…

スカーレット王女と言えば、今貴族学院1年生で私たちの1つ下だ。赤く燃えるような髪に、水色の瞳をした美しい女性。少し気が強いらしいが、それでも男性からの人気はかなり高いと聞く。

そして何より、王女という身分を持っている。そんな女性が、カーター様と…

頭を鈍器で殴られたような、物凄い衝撃を受ける。どう考えても、私に勝ち目はない…

「アリア、落ち着きなさい!アリアがカーター殿をどれほど好きだったか、私も知っている。でも、相手は王女だ。侯爵もこの婚約話に、かなり乗り気でな。近々正式に婚約を結ぶことになるだろう。私はお前には、好きな男性と結婚させてやりたいと思っていたのだが…すまない…」

「お父様のせいではありませんわ。私は何年も前から、カーター様にアプローチして来ました。それでも選ばれなかったのです。それは、私に魅力が無いのでしょう」

そう、いくら私がカーター様に気持ちを伝えても、決して首を縦に振ってくれる事はなかった。遅かれ早かれ、こうなる事は予想出来ていた。それでもそんな現実が受け入れられなくて、必死にカーター様に縋っていたのだ。

「あぁ、アリア。私の可愛い娘!大丈夫だ、お前は美しい。きっともっと素敵な男性が現れるはずだ。お前が辛いなら、しばらく貴族学院を休むといい。明日にはきっと、カーター殿と王女の噂で持ちきりになるだろう。そうなったら、お前も好奇な目を向けられる。とにかく、しばらくは家にいなさい。いいね」

確かに私がカーター様を好きだった事は、皆が知っている。そんな中での婚約話。間違いなく私は“好きな男に振られた可哀そうな女”として、皆に見られるだろう。

でも、そんな事はどうでもいい…
大好きなカーター様と、二度と結ばれないと言う現実を突き付けられた事がショックなのだ。フラフラした足取りで、自室に戻る。その瞬間、瞳から次から次へと涙が溢れだす。

「うわぁぁぁぁぁん」

抑えていた感情が一気に溢れ出した。次から次へと流れる涙に、どうする事も出来ず、ただ声を上げて泣いた。しばらく泣いたら少し落ち着いた。何もする気になれないが、メイドに手伝ってもらい、何とか湯あみを済ませベッドに入る。

ベッドの中でも、やはり涙が込み上げて来る。どうして…私の何がいけないの…こんなにもカーター様が好きなのに…

どうしようもない思いでいっぱいになった。結局その日は、泣きながら眠りに付いたのであった。

翌日
お父様の言った通り、今日は学院を休んだ。もちろん食欲なんて全くわかず、心配したお母様と弟のジョセフが部屋を訪ねて来た。

「アリア、あぁ、可哀そうに!」

そう言って抱きしめてくれるお母様。

「それにしても、カーター殿は許せない!姉上があそこまでカーター殿の事を思っていたのに!こんなひどい仕打ちをするなんて」

「ジョセフ、カーター様は悪くないわ。私が一方的にカーター様に思いを寄せていただけだから。でも、ありがとう。心配してくれて」

私の言葉を聞き、悲しそうにこちらを見つめるジョセフ。私は本当にダメね。大切な家族にも、こんなに心配かけているなんて…

確かにカーター様の事は辛くて苦しい。でも、決まってしまった事は仕方がない。とにかく、家族に心配かけないようにしないと。

食欲ははっきり言って無いが、お母様とジョセフと一緒に、昼食を食べた。その後は気分転換に中庭に出る。美しい花々が咲いていた。そう言えば、カーター様はチューリップが好きなのよね。

それでカーター様にプレゼントしたくて、ここにチューリップを植えたのだったわ。そう思ったら、また涙が込み上げて来た。ダメよ、しっかりしないと!


結局その日から1週間、私は屋敷の中で過ごした。両親からは、しばらくは学院を休んでも良いと言われているが、さすがに1週間も休んだのだから、そろそろ学院に行かないと。

でも、どうしてもカーター様の顔を見るのが辛い…
どうしようか悩んでいた時、親友のモカが訪ねて来た。

「アリア、大丈夫?1週間も学院を休むんだもの。そっとしておいた方がいいかとも思ったのだけれど、どうしても心配で来ちゃった」

「ありがとう、モカ。この1週間で大分落ち着いたわ。明日から、学院に行こうか迷っているのだけれど、やっぱりまだカーター様に会う勇気が無くって…」

カーター様の顔を見たら、一気に気持ちが溢れ出しそうな気がする。

「アリア、辛いなら無理をする必要はないわ。でも、クラスの令嬢みんなあなたの味方よ!そうだわ、明日皆で街に美味しいものを食べに行かない?明後日は皆でティータイムはどう?その次の日はお買い物に行って、その次の日は…」

「ありがとう、モカ。そうよね、いつまでもクヨクヨしていても仕方ないものね。私、明日から学院に行くわ」

「良かった。それじゃあ、待っているからね」

そう言って帰って行くモカ。正直まだカーター様に会うのは怖い。でも、いつまでもクヨクヨしていても仕方がないものね。
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