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第6話:僕の幼馴染~カーター視点~
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侯爵令息として産まれた僕には、物心ついた時から一緒にいる令嬢がいる。彼女の名前は、アリア・マーティン。彼女の両親と家の両親が仲が良かった事、さらに家が近かったこともあり、よく一緒に遊んだ。
なぜか僕の事を物凄く好いているアリア。
アリアの口癖は
「私をカーター様の婚約者にして下さい!」
だった。
確かにアリアは可愛いし人懐っこいし、嫌いではない。でも恋人というよりは、どちらかと言うと妹の様な存在だ。そのため、どうしても婚約者にする気にはなれなかった。
そんなアリアは、僕の事となるととにかく努力を惜しまない。僕がお菓子が好きだからと料理を覚え、頭が悪い女性が苦手と言えば必死に勉強する。そう、僕が望む事は全て実行するのだ。
本当にアリアは可愛い。どんどん僕の理想の女性になって行く。そんなアリアは、銀色の髪に赤い瞳を持つ、それはそれは美しい女性だ。成長するにつれ、どんどんその美しさに磨きがかかっていく。
周りの令息共は何とかアリアに振り向いて欲しくて、必死に話しかけたりしているが、当のアリアは僕に夢中だ。それが快感でもあった。それは貴族学院に入ってからも変わらなかった。
僕の為に毎日お弁当とお菓子を作って来るアリア。放課後も一緒にいたいと毎日誘って来る。断ると怒られた子犬の様にシュンとし、OKを出すと飼い主に会えた子犬の様に満面の笑みを僕に向ける。
その姿が可愛くて可愛くて…
それでも婚約する気にはなれなった。そもそも、アリアは僕に夢中だ。わざわざ婚約する必要なんてないだろう。それに、アリアは伯爵令嬢だ。あわよくば、もっと身分の高い女性と結婚したいと思っている。
両親にもその事は話してある。
「カーターがそう決めているなら、私たちが何かを言う事はないよ」
そう言ってくれている。ただアリアの両親は納得していない様で
「婚約する気が無いなら、アリアにはっきりそう告げてあげて欲しい。あの子はもう15歳だ。このままだと、婚期を逃してしまうかもしれない」
そう言われたが
「別に婚約をしないとは言っていませんよ。ただ、迷っているだけです」
そう答えておいた。そもそもアリアの事がそんなに心配なら、アリアを説得して別の男と婚約させればいいんだ。それをしないのは、親の怠慢でもあると僕は思っている。
そんなある日、父上に呼び出された。
「カーター、お前にお見合いの話が来ている。いいか、驚くなよ!相手はスカーレット王女だ!」
興奮気味にそう言った父上。スカーレット王女だと!話を聞くと、スカーレット王女が僕の事を気に入ってくれている様で、一度ゆっくり話がしたいという事らしい。
翌日、両親と一緒に王宮へと向かった。もちろん、今日も嬉しそうに僕に予定が無いか聞いて来るアリアを断って。
王宮に着くと、すぐに王女の待つ部屋へと案内された。僕より1歳年下なのに、既に恐ろしいほどの色気を持っているスカーレット王女。
「カーター様さえよければ、ぜひ婚約の話を受けて頂きたいわ」
そう言ったスカーレット王女。本当に僕と婚約をして貰えるのか?この時の僕は、嬉しくて即答でOKを出した。まさか王女を嫁に貰えるなんて!そう思ったら、ニヤニヤが止まらない。
一瞬アリアの事が頭をよぎったが、こうなったのなら仕方がない。アリアも最初は悲しむだろうが、それなりに美しい娘だ。すぐに新しい男が出来るだろう。そう思っていた。でも…
翌日からアリアは1週間学院を休んだ。今までずっと一緒だったアリア。そんなアリアが居ない…その現実は、予想以上に辛かった。
やっと学院に出て来たアリアは、少し痩せてしまっていた。そんなアリアを、令嬢たちが囲みこむ。その日から、アリアは令嬢たちと常に過ごす様なった。今まではいつも僕の所に駆け寄ってきていたアリアが、もう僕に見向きもしなくなったのだ。
それが寂しくて、辛くて…
アリア、どうして僕の方を見てくれないの?あんなに僕の事を愛してくれていたのに…
身勝手な感情が溢れ出す。この時、初めて僕はアリアがかけがえのない存在だった事に気が付いた。でも、もう遅い。僕は近々王女と婚約する事になっているのだ。気が付くと、無意識にアリアを目で追う様になっていた。
今まで、僕にだけ向けられていた笑顔が、色々な人に向けられる様になっていた。それが無性に辛くて、胸が張り裂けそうになった。たまにアリアと目が合う事があっても、すぐにそらされる。
こんな気持ちのまま王女と婚約したところで、きっと彼女を幸せに出来ない。そんな思いから、王女に正直な気持ちを伝えた。
「今更婚約する事を止めるなんて無理よ。そうね、1年くらい経ったら無かった事にしてあげてもいいわよ。それくらい経てば、ほとぼりも冷めるだろうしね。ただし、それまでの間は、アリア嬢に今の気持ちを伝えるのは禁止よ。もちろん、私たちが1年後婚約を無かった事にするという事ね。もし話したら、すぐに婚約を結ぶから!」
そう言った王女。1年後か…
1年我慢し王女との関係を清算したら、今度こそアリアと婚約しよう。そして、アリアを大切にしよう。そう心に誓った。
それでもどうしてもアリアと話したくて、1人きりの時に声を掛けた。いつもの様に、嬉しそうに僕に駆け寄って来るだろう、心のどこかでそう思っていた。でも…
彼女は僕に笑いかける事は無かった。それどころか、涙を流したのだ。その瞬間、僕は本当に後悔した。大切なアリアを泣かせてしまった事を!本当は今すぐ僕の気持ちを伝え、1年我慢して欲しいと言いたかった。でも、その話は出来ないことになっている。
もし王女にバレたら…そう思うと、どうしても話せなかった。
アリア、後1年どうか待っていて欲しい。きっと君を幸せにするから…
なぜか僕の事を物凄く好いているアリア。
アリアの口癖は
「私をカーター様の婚約者にして下さい!」
だった。
確かにアリアは可愛いし人懐っこいし、嫌いではない。でも恋人というよりは、どちらかと言うと妹の様な存在だ。そのため、どうしても婚約者にする気にはなれなかった。
そんなアリアは、僕の事となるととにかく努力を惜しまない。僕がお菓子が好きだからと料理を覚え、頭が悪い女性が苦手と言えば必死に勉強する。そう、僕が望む事は全て実行するのだ。
本当にアリアは可愛い。どんどん僕の理想の女性になって行く。そんなアリアは、銀色の髪に赤い瞳を持つ、それはそれは美しい女性だ。成長するにつれ、どんどんその美しさに磨きがかかっていく。
周りの令息共は何とかアリアに振り向いて欲しくて、必死に話しかけたりしているが、当のアリアは僕に夢中だ。それが快感でもあった。それは貴族学院に入ってからも変わらなかった。
僕の為に毎日お弁当とお菓子を作って来るアリア。放課後も一緒にいたいと毎日誘って来る。断ると怒られた子犬の様にシュンとし、OKを出すと飼い主に会えた子犬の様に満面の笑みを僕に向ける。
その姿が可愛くて可愛くて…
それでも婚約する気にはなれなった。そもそも、アリアは僕に夢中だ。わざわざ婚約する必要なんてないだろう。それに、アリアは伯爵令嬢だ。あわよくば、もっと身分の高い女性と結婚したいと思っている。
両親にもその事は話してある。
「カーターがそう決めているなら、私たちが何かを言う事はないよ」
そう言ってくれている。ただアリアの両親は納得していない様で
「婚約する気が無いなら、アリアにはっきりそう告げてあげて欲しい。あの子はもう15歳だ。このままだと、婚期を逃してしまうかもしれない」
そう言われたが
「別に婚約をしないとは言っていませんよ。ただ、迷っているだけです」
そう答えておいた。そもそもアリアの事がそんなに心配なら、アリアを説得して別の男と婚約させればいいんだ。それをしないのは、親の怠慢でもあると僕は思っている。
そんなある日、父上に呼び出された。
「カーター、お前にお見合いの話が来ている。いいか、驚くなよ!相手はスカーレット王女だ!」
興奮気味にそう言った父上。スカーレット王女だと!話を聞くと、スカーレット王女が僕の事を気に入ってくれている様で、一度ゆっくり話がしたいという事らしい。
翌日、両親と一緒に王宮へと向かった。もちろん、今日も嬉しそうに僕に予定が無いか聞いて来るアリアを断って。
王宮に着くと、すぐに王女の待つ部屋へと案内された。僕より1歳年下なのに、既に恐ろしいほどの色気を持っているスカーレット王女。
「カーター様さえよければ、ぜひ婚約の話を受けて頂きたいわ」
そう言ったスカーレット王女。本当に僕と婚約をして貰えるのか?この時の僕は、嬉しくて即答でOKを出した。まさか王女を嫁に貰えるなんて!そう思ったら、ニヤニヤが止まらない。
一瞬アリアの事が頭をよぎったが、こうなったのなら仕方がない。アリアも最初は悲しむだろうが、それなりに美しい娘だ。すぐに新しい男が出来るだろう。そう思っていた。でも…
翌日からアリアは1週間学院を休んだ。今までずっと一緒だったアリア。そんなアリアが居ない…その現実は、予想以上に辛かった。
やっと学院に出て来たアリアは、少し痩せてしまっていた。そんなアリアを、令嬢たちが囲みこむ。その日から、アリアは令嬢たちと常に過ごす様なった。今まではいつも僕の所に駆け寄ってきていたアリアが、もう僕に見向きもしなくなったのだ。
それが寂しくて、辛くて…
アリア、どうして僕の方を見てくれないの?あんなに僕の事を愛してくれていたのに…
身勝手な感情が溢れ出す。この時、初めて僕はアリアがかけがえのない存在だった事に気が付いた。でも、もう遅い。僕は近々王女と婚約する事になっているのだ。気が付くと、無意識にアリアを目で追う様になっていた。
今まで、僕にだけ向けられていた笑顔が、色々な人に向けられる様になっていた。それが無性に辛くて、胸が張り裂けそうになった。たまにアリアと目が合う事があっても、すぐにそらされる。
こんな気持ちのまま王女と婚約したところで、きっと彼女を幸せに出来ない。そんな思いから、王女に正直な気持ちを伝えた。
「今更婚約する事を止めるなんて無理よ。そうね、1年くらい経ったら無かった事にしてあげてもいいわよ。それくらい経てば、ほとぼりも冷めるだろうしね。ただし、それまでの間は、アリア嬢に今の気持ちを伝えるのは禁止よ。もちろん、私たちが1年後婚約を無かった事にするという事ね。もし話したら、すぐに婚約を結ぶから!」
そう言った王女。1年後か…
1年我慢し王女との関係を清算したら、今度こそアリアと婚約しよう。そして、アリアを大切にしよう。そう心に誓った。
それでもどうしてもアリアと話したくて、1人きりの時に声を掛けた。いつもの様に、嬉しそうに僕に駆け寄って来るだろう、心のどこかでそう思っていた。でも…
彼女は僕に笑いかける事は無かった。それどころか、涙を流したのだ。その瞬間、僕は本当に後悔した。大切なアリアを泣かせてしまった事を!本当は今すぐ僕の気持ちを伝え、1年我慢して欲しいと言いたかった。でも、その話は出来ないことになっている。
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