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第27話:アリアとの距離が少しずつ縮まって行く~ワイアット視点~
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アリアと婚約を結んでから1ヶ月が過ぎた。まだまだアリアはあの男の事が気になる様で、家臣の話しでは極力カーターを見ない様に頑張っているとの事。ただ、たまに悲しそうな顔をしている時があるとの事なので、きっとあの男の事を考えているのだろう。
そんなある日、母上に呼び出された。
「ワイアット、3ヶ月後に控えている婚約披露パーティーの件なんだけれど、アリアちゃんにはもう話はしたの?」
「そう言えば、まだしていません。そろそろ話をしておいた方がいいですね。それから、アリアのドレスの方はきちんと俺のリクエストを取り入れてくれているでしょうね」
「もちろんよ。あなたとアリアちゃんの色でもある真っ赤なドレスを準備したわ。アリアちゃんのふんわりした可愛らしい雰囲気を引き出す為、フリルを多めに使ったものよ。それから、宝石はあなたの瞳の色でもある、エメラルドを使ったものを作らせているから安心しなさい」
今回の婚約披露パーティーでは、赤と緑をふんだんに使ったものをアリアには身につけさせるつもりだ。本当はアリアにドレスのリクエストを聞こうかとも思ったのだが、今のアリアだと俺の色を選ばない可能性が高い!
やっとアリアを手に入れたのだ!俺の色を身に付けさせ、皆にアリアは俺の婚約者だという事をしっかり見せつけたい。そのため、アリアにはまだ婚約披露パーティーを行う事すら話していない。
さあ、準備は整った。早速アリアに、3ヶ月後に俺たちの婚約披露パーティーを行う事を告げた。さすがに3ヶ月後と聞いてかなり驚くアリア。さらに何を思ったのか
「ワイアット様はどうしてこんなにも、婚約者を決めるのが遅かったのでしょうか?」
そう聞いて来たのだ。どうしてかって?あまりにも他人事の様に聞いて来るアリアに、俺の気持ちを伝えた。やっと俺の事を思い出してくれたアリア。さらに8年前のお礼まで貰えたのだ。なんだかあの時の俺が、少しだけ報われた気がした。
さらに今度2人でお出掛けしたいとまで言い出したのだ!これは夢なのか?そう思う程、嬉しくてたまらない!すぐさま王族所有の別荘に行く約束を取り付けた。
アリアが帰った後、早速母上に今週末は王妃教育を休ませてもらう様依頼した。
「あら、2人で旅行に行くのね。いいわよ!アリアちゃんの王妃教育は、予想を遥かに超えるスピードで進んでいるもの。後半年もすれば完全に終わるわ」
後半年で終わるのか…俺はアリアより1年早く学院を卒業する。そうなると、俺の目が届かなくなってしまうな。この際、アリアには貴族学院を途中で退学させ、王宮で過ごさせるのもいいかもしれない。
その件に関しては追い追い考えよう。とにかく母上に許可を取ったから、週末は目いっぱい楽しめる。そう言えば、最近別荘に行っていなかったな。
「ちょっと出かけて来ます。明日の朝までには帰って来ますので」
そう母上に伝え、馬にまたがる。向かった先は、もちろん別荘だ!馬を飛ばせば1時間半もあれば着く。別荘に着くと、客間を見て回る。よし、この部屋が一番いいな!そう、事前にアリアが寝泊まりする部屋をチェックしに来たのだ。週末までまだ数日ある。
早速アリア好みの部屋に模様替えするべく、別荘の使用人宛に細かな指示を書いたメモを作成した。さすがに今は夜中だ。使用人を叩き起こして指示を出すのは、気の毒だからな。
さらに隣の部屋は俺が使う為、準備してもらう事も記載する。そうだ、アリアと一緒に、ペガサスに乗って空の旅に出よう。途中、山の上のお花畑に立ち寄るのもいいな。
待てよ、ペガサスにまたがる為には、ズボンが必要だ。至急アリアに合うズボンを手配する様、別荘の使用人に伝えておかないと。もちろん、サイズも記入しておく。他にも、事細かな計画を紙に書き込んでいく。
全ての指示を書き終わった頃には、日が昇り始めていた。急いで帰らないと、学院に間に合わない。使用人たちへの直接の指示を執事に任せ、再び馬にまたがり王都へと戻った。
その後も現地にいる使用人たちと通信機で密に連絡を取り合い、綿密に計画を立てていく。
そして迎えた週末
朝早く馬車に乗り込み出発だ。よほど楽しみにしていたのか、嬉しそうに別荘について聞いて来るアリア。正直自然ばかりで、見どころなど何もないと伝えると、
「私はあまり王都を出た事が無いので楽しみですわ」
と、目を輝かせながら言ってくれた。
そんなアリアが、愛おしくてたまらない。せっかくアリアが俺に歩み寄ろうとしてくれているんだ。このチャンスを逃す訳にはいかない。とにかく移動時間も、大切に使わないと!そう思っていた俺に、嬉しい提案をして来たアリア。
俺の事をもっと知りたいから、移動中の時間は相手への質問タイムにしようと言い出したのだ。そう、俺の事をもっと知りたいと思ってくれたのだ!こんなに嬉しい事はない。
その後アリアは俺に色々な質問をして来た。もちろん、俺も包み隠さず正直に答える。俺の事を嬉しそうに聞いて来るアリア。そんなアリアを見ていたら、見栄など張っても意味がない、そう思ったのだ。
そうしているうちに、あっという間に別荘の近くに来ていた。嬉しそうに窓を眺めるアリア。早速馬車から降り、別荘へと案内する。よし、ここからが本番だ!早速アリアを連れて、ペガサスに会いに行こう!
そんなある日、母上に呼び出された。
「ワイアット、3ヶ月後に控えている婚約披露パーティーの件なんだけれど、アリアちゃんにはもう話はしたの?」
「そう言えば、まだしていません。そろそろ話をしておいた方がいいですね。それから、アリアのドレスの方はきちんと俺のリクエストを取り入れてくれているでしょうね」
「もちろんよ。あなたとアリアちゃんの色でもある真っ赤なドレスを準備したわ。アリアちゃんのふんわりした可愛らしい雰囲気を引き出す為、フリルを多めに使ったものよ。それから、宝石はあなたの瞳の色でもある、エメラルドを使ったものを作らせているから安心しなさい」
今回の婚約披露パーティーでは、赤と緑をふんだんに使ったものをアリアには身につけさせるつもりだ。本当はアリアにドレスのリクエストを聞こうかとも思ったのだが、今のアリアだと俺の色を選ばない可能性が高い!
やっとアリアを手に入れたのだ!俺の色を身に付けさせ、皆にアリアは俺の婚約者だという事をしっかり見せつけたい。そのため、アリアにはまだ婚約披露パーティーを行う事すら話していない。
さあ、準備は整った。早速アリアに、3ヶ月後に俺たちの婚約披露パーティーを行う事を告げた。さすがに3ヶ月後と聞いてかなり驚くアリア。さらに何を思ったのか
「ワイアット様はどうしてこんなにも、婚約者を決めるのが遅かったのでしょうか?」
そう聞いて来たのだ。どうしてかって?あまりにも他人事の様に聞いて来るアリアに、俺の気持ちを伝えた。やっと俺の事を思い出してくれたアリア。さらに8年前のお礼まで貰えたのだ。なんだかあの時の俺が、少しだけ報われた気がした。
さらに今度2人でお出掛けしたいとまで言い出したのだ!これは夢なのか?そう思う程、嬉しくてたまらない!すぐさま王族所有の別荘に行く約束を取り付けた。
アリアが帰った後、早速母上に今週末は王妃教育を休ませてもらう様依頼した。
「あら、2人で旅行に行くのね。いいわよ!アリアちゃんの王妃教育は、予想を遥かに超えるスピードで進んでいるもの。後半年もすれば完全に終わるわ」
後半年で終わるのか…俺はアリアより1年早く学院を卒業する。そうなると、俺の目が届かなくなってしまうな。この際、アリアには貴族学院を途中で退学させ、王宮で過ごさせるのもいいかもしれない。
その件に関しては追い追い考えよう。とにかく母上に許可を取ったから、週末は目いっぱい楽しめる。そう言えば、最近別荘に行っていなかったな。
「ちょっと出かけて来ます。明日の朝までには帰って来ますので」
そう母上に伝え、馬にまたがる。向かった先は、もちろん別荘だ!馬を飛ばせば1時間半もあれば着く。別荘に着くと、客間を見て回る。よし、この部屋が一番いいな!そう、事前にアリアが寝泊まりする部屋をチェックしに来たのだ。週末までまだ数日ある。
早速アリア好みの部屋に模様替えするべく、別荘の使用人宛に細かな指示を書いたメモを作成した。さすがに今は夜中だ。使用人を叩き起こして指示を出すのは、気の毒だからな。
さらに隣の部屋は俺が使う為、準備してもらう事も記載する。そうだ、アリアと一緒に、ペガサスに乗って空の旅に出よう。途中、山の上のお花畑に立ち寄るのもいいな。
待てよ、ペガサスにまたがる為には、ズボンが必要だ。至急アリアに合うズボンを手配する様、別荘の使用人に伝えておかないと。もちろん、サイズも記入しておく。他にも、事細かな計画を紙に書き込んでいく。
全ての指示を書き終わった頃には、日が昇り始めていた。急いで帰らないと、学院に間に合わない。使用人たちへの直接の指示を執事に任せ、再び馬にまたがり王都へと戻った。
その後も現地にいる使用人たちと通信機で密に連絡を取り合い、綿密に計画を立てていく。
そして迎えた週末
朝早く馬車に乗り込み出発だ。よほど楽しみにしていたのか、嬉しそうに別荘について聞いて来るアリア。正直自然ばかりで、見どころなど何もないと伝えると、
「私はあまり王都を出た事が無いので楽しみですわ」
と、目を輝かせながら言ってくれた。
そんなアリアが、愛おしくてたまらない。せっかくアリアが俺に歩み寄ろうとしてくれているんだ。このチャンスを逃す訳にはいかない。とにかく移動時間も、大切に使わないと!そう思っていた俺に、嬉しい提案をして来たアリア。
俺の事をもっと知りたいから、移動中の時間は相手への質問タイムにしようと言い出したのだ。そう、俺の事をもっと知りたいと思ってくれたのだ!こんなに嬉しい事はない。
その後アリアは俺に色々な質問をして来た。もちろん、俺も包み隠さず正直に答える。俺の事を嬉しそうに聞いて来るアリア。そんなアリアを見ていたら、見栄など張っても意味がない、そう思ったのだ。
そうしているうちに、あっという間に別荘の近くに来ていた。嬉しそうに窓を眺めるアリア。早速馬車から降り、別荘へと案内する。よし、ここからが本番だ!早速アリアを連れて、ペガサスに会いに行こう!
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