26 / 56
第26話:ワイアット様の為にケーキを作りました
しおりを挟む
屋敷に戻った後は、夕ご飯だ。せっかくなら外で食べようという事になり、急遽中庭に食事を準備してもらった。既に真っ暗になっていた事もあり、空には満天な星空が。
「こんなにも美しい星空は初めて見ましたわ!」
空を見上げ、うっとりと見つめる私に、ワイアット様が食べ物を口に入れてくれる。
「アリア、俺が食べさせてあげるから、君は思う存分星空を見ていればいい」
そう言ってくれたのだ。さすがに悪いと思ったが、ワイアット様がそうしたいと言って下さったので、お言葉に甘える事にした。
美しい星空に優しい婚約者、美味しい食事まで付いて来るなんて、私ってなんて幸せ者なのかしら。食後はそのまま中庭でティータイムだ。
「ワイアット様、こんなにも素敵な別荘に連れて来て下さり、ありがとうございます。おかげで今までに体験した事が無い様な、貴重な体験を沢山する事が出来ましたわ」
「どういたしまして!それにしても、別荘を随分と気に入ったみたいだね。この場所は王都から馬車で3時間程度だから、来たい時はいつでも来よう。君は俺の妻になる人なんだから、遠慮はいらないからね」
妻か…こうやってはっきりと言われると、なんだか照れ臭いわ!
「さあ、そろそろ冷えて来た。今日は疲れただろう、早めに休むといい」
「はい、そうさせて頂きますわ!」
ワイアット様と手を繋いで部屋へと向かう。
「それではまた明日。おやすみなさい、ワイアット様」
「おやすみ、アリア」
私のおでこに口付けをして部屋に入って行くワイアット様。ワイアット様の後姿を見たら、何となく寂しい気持ちになるのはなぜだろう…
とりあえず私も自室に戻り、湯あみを済ませベッドに入った。今日は本当にワイアット様にお世話になったわ。何かお礼がしたいわね。何が良いかしら?ベッドに潜り込みながら考える。そうだわ!
ここは果物が豊富に取れるみたいだから、明日早起きして、果物をたっぷり乗せたケーキを焼こう!でも、明日急に厨房を使わせてもらうのも迷惑かもしれない。早速近くに控えていたメイドにお願いし、明日の朝ケーキを焼きたい旨を伝えた。
有難い事にすぐに料理長に確認して来てくれ、無事OKを貰えた。よし、明日は早起きしないとね。ゆっくり瞳を閉じ、眠りに付いたのであった。
翌朝、何とか早起きした私は早速厨房へと向かう。
「おはようございます。無理言ってすみません。厨房をお借りいたしますね」
「アリア様。どうぞどうぞ!そこに朝一番で取れた果物も置いておきましたので、よかったら使ってください」
有難い事に、バスケット一杯に果物が入っていた。早速ケーキを焼く事にした。せっかくなら、クリームにも果物を細かくして練り込もう。果物をこし器で潰してクリームに混ぜていく。
焼きあがった生地の間にたっぷりのクリームと果物を並べ、さらに生クリームを塗っていく。最後にたっぷりの果物を乗せれば完成だ。昨日ワイアット様に好きな食べ物を聞いておいてよかったわ。
そう、ワイアット様の好きな食べ物は、甘いお菓子なのだ。男なのにおかしいよね。そう言って恥ずかしそうにしていたが、全然おかしくなんてない!私も甘いものが好きなので、むしろ大歓迎だ!
せっかくだから朝食後に出そう。ワイアット様、喜んでくれるかしら!ワクワクしながら、食堂へと向かった。しばらく待っていると、ワイアット様がやって来た。
「おはようアリア、随分と早起きなんだね」
「おはようございます。ワイアット様!はい、別荘がとても気に入ったので、興奮して早く起きてしまいましたわ」
「それは良かった。さあ、食べようか」
2人で仲良く朝食を食べる。食後はいよいよ私が作ったケーキの登場だ!
「ワイアット様、昨日は本当にありがとうございました。今日少し早起きして、ワイアット様の為にケーキを作りましたの。お口に合うと良いのですが」
早速ケーキをワイアット様の元に持ってきた。気に入ってくれるかしら?
「このケーキ、アリアが俺の為にわざわざ作ってくれたのかい?嬉しいよ、ありがとう!アリア!」
今まで見た事も無い様な、満面の笑みを浮かべるワイアット様。まさかここまで喜んでくれるなんて…そう言えば昨日の花冠も、異常なほど喜んでくれたものね。誰かの為に何かをした時、こんな風に物凄く喜んでもらえるのって、こんなにも嬉しいものなのね。
ワイアット様が子供の様にはしゃぐ姿を見て、私も心がほっこりした。さあ、早速切り分けて食べよう。2人分のケーキを切り分け、お皿に乗せた。
「どうぞ、召し上がってみて下さい」
1口サイズに切り分け、ゆっくり口に運ぶワイアット様。味はどうかしら?
「これ、物凄く美味しいよ!クリームにもフルーツが入っているんだね!こんなにも美味しくて斬新なケーキ、初めて食べたよ!これは美味しい、美味しすぎる!」
そう言って次々と口に入れていくワイアット様。早速私も1口食べてみる。生クリームにもフルーツの味がしていて、確かにとても美味しいわ!私が1切れ食べている間に、あっという間に残りのケーキも平らげてしまったワイアット様。
「アリア、こんなにも美味しいケーキをありがとう!何かお礼をさせてくれ。何がいいかい?宝石でも屋敷でも島でも何でも買ってあげるよ!ほら、何でも言ってごらん?」
島って…さすがにスケールが大きすぎる。
「ワイアット様、これは昨日のお礼です。それに私は料理を作るのが好きなので、こうやって美味しく食べてもらえるのが一番のお礼ですわ。また作るので、その時は食べてくれますか?」
「もちろんだ!あぁ、アリアはなんて謙虚なんだ!」
私をギューギュー抱きしめるワイアット様。本当に大袈裟なほど喜んでくれるわね。でも、物凄く嬉しいのも事実だ。
ケーキを食べた後は少し森を散策して、いよいよ帰る事になった。途中街に立ち寄り、モカたちのお土産も買った。さらにワイアット様から、沢山のプレゼントも買ってもらった。あまりの量に、さすがに申し訳ない気もしたが
「俺がプレゼントしたいだけだから、気にしないで欲しい」
そう言われたので、有難く受け取っておいた。
この2日間で、随分とワイアット様の事が知れた気がする。私とワイアット様は、後1年半もすれば夫婦になる。いつまでもカーター様の事を思っているなんて、変よね。
こうやって少しずつカーター様の事を忘れ、ワイアット様の事を好きになって行くのだろう。なんだかそんな気がする…
窓の外を眺めながら、そんな事を考えるアリアであった。
「こんなにも美しい星空は初めて見ましたわ!」
空を見上げ、うっとりと見つめる私に、ワイアット様が食べ物を口に入れてくれる。
「アリア、俺が食べさせてあげるから、君は思う存分星空を見ていればいい」
そう言ってくれたのだ。さすがに悪いと思ったが、ワイアット様がそうしたいと言って下さったので、お言葉に甘える事にした。
美しい星空に優しい婚約者、美味しい食事まで付いて来るなんて、私ってなんて幸せ者なのかしら。食後はそのまま中庭でティータイムだ。
「ワイアット様、こんなにも素敵な別荘に連れて来て下さり、ありがとうございます。おかげで今までに体験した事が無い様な、貴重な体験を沢山する事が出来ましたわ」
「どういたしまして!それにしても、別荘を随分と気に入ったみたいだね。この場所は王都から馬車で3時間程度だから、来たい時はいつでも来よう。君は俺の妻になる人なんだから、遠慮はいらないからね」
妻か…こうやってはっきりと言われると、なんだか照れ臭いわ!
「さあ、そろそろ冷えて来た。今日は疲れただろう、早めに休むといい」
「はい、そうさせて頂きますわ!」
ワイアット様と手を繋いで部屋へと向かう。
「それではまた明日。おやすみなさい、ワイアット様」
「おやすみ、アリア」
私のおでこに口付けをして部屋に入って行くワイアット様。ワイアット様の後姿を見たら、何となく寂しい気持ちになるのはなぜだろう…
とりあえず私も自室に戻り、湯あみを済ませベッドに入った。今日は本当にワイアット様にお世話になったわ。何かお礼がしたいわね。何が良いかしら?ベッドに潜り込みながら考える。そうだわ!
ここは果物が豊富に取れるみたいだから、明日早起きして、果物をたっぷり乗せたケーキを焼こう!でも、明日急に厨房を使わせてもらうのも迷惑かもしれない。早速近くに控えていたメイドにお願いし、明日の朝ケーキを焼きたい旨を伝えた。
有難い事にすぐに料理長に確認して来てくれ、無事OKを貰えた。よし、明日は早起きしないとね。ゆっくり瞳を閉じ、眠りに付いたのであった。
翌朝、何とか早起きした私は早速厨房へと向かう。
「おはようございます。無理言ってすみません。厨房をお借りいたしますね」
「アリア様。どうぞどうぞ!そこに朝一番で取れた果物も置いておきましたので、よかったら使ってください」
有難い事に、バスケット一杯に果物が入っていた。早速ケーキを焼く事にした。せっかくなら、クリームにも果物を細かくして練り込もう。果物をこし器で潰してクリームに混ぜていく。
焼きあがった生地の間にたっぷりのクリームと果物を並べ、さらに生クリームを塗っていく。最後にたっぷりの果物を乗せれば完成だ。昨日ワイアット様に好きな食べ物を聞いておいてよかったわ。
そう、ワイアット様の好きな食べ物は、甘いお菓子なのだ。男なのにおかしいよね。そう言って恥ずかしそうにしていたが、全然おかしくなんてない!私も甘いものが好きなので、むしろ大歓迎だ!
せっかくだから朝食後に出そう。ワイアット様、喜んでくれるかしら!ワクワクしながら、食堂へと向かった。しばらく待っていると、ワイアット様がやって来た。
「おはようアリア、随分と早起きなんだね」
「おはようございます。ワイアット様!はい、別荘がとても気に入ったので、興奮して早く起きてしまいましたわ」
「それは良かった。さあ、食べようか」
2人で仲良く朝食を食べる。食後はいよいよ私が作ったケーキの登場だ!
「ワイアット様、昨日は本当にありがとうございました。今日少し早起きして、ワイアット様の為にケーキを作りましたの。お口に合うと良いのですが」
早速ケーキをワイアット様の元に持ってきた。気に入ってくれるかしら?
「このケーキ、アリアが俺の為にわざわざ作ってくれたのかい?嬉しいよ、ありがとう!アリア!」
今まで見た事も無い様な、満面の笑みを浮かべるワイアット様。まさかここまで喜んでくれるなんて…そう言えば昨日の花冠も、異常なほど喜んでくれたものね。誰かの為に何かをした時、こんな風に物凄く喜んでもらえるのって、こんなにも嬉しいものなのね。
ワイアット様が子供の様にはしゃぐ姿を見て、私も心がほっこりした。さあ、早速切り分けて食べよう。2人分のケーキを切り分け、お皿に乗せた。
「どうぞ、召し上がってみて下さい」
1口サイズに切り分け、ゆっくり口に運ぶワイアット様。味はどうかしら?
「これ、物凄く美味しいよ!クリームにもフルーツが入っているんだね!こんなにも美味しくて斬新なケーキ、初めて食べたよ!これは美味しい、美味しすぎる!」
そう言って次々と口に入れていくワイアット様。早速私も1口食べてみる。生クリームにもフルーツの味がしていて、確かにとても美味しいわ!私が1切れ食べている間に、あっという間に残りのケーキも平らげてしまったワイアット様。
「アリア、こんなにも美味しいケーキをありがとう!何かお礼をさせてくれ。何がいいかい?宝石でも屋敷でも島でも何でも買ってあげるよ!ほら、何でも言ってごらん?」
島って…さすがにスケールが大きすぎる。
「ワイアット様、これは昨日のお礼です。それに私は料理を作るのが好きなので、こうやって美味しく食べてもらえるのが一番のお礼ですわ。また作るので、その時は食べてくれますか?」
「もちろんだ!あぁ、アリアはなんて謙虚なんだ!」
私をギューギュー抱きしめるワイアット様。本当に大袈裟なほど喜んでくれるわね。でも、物凄く嬉しいのも事実だ。
ケーキを食べた後は少し森を散策して、いよいよ帰る事になった。途中街に立ち寄り、モカたちのお土産も買った。さらにワイアット様から、沢山のプレゼントも買ってもらった。あまりの量に、さすがに申し訳ない気もしたが
「俺がプレゼントしたいだけだから、気にしないで欲しい」
そう言われたので、有難く受け取っておいた。
この2日間で、随分とワイアット様の事が知れた気がする。私とワイアット様は、後1年半もすれば夫婦になる。いつまでもカーター様の事を思っているなんて、変よね。
こうやって少しずつカーター様の事を忘れ、ワイアット様の事を好きになって行くのだろう。なんだかそんな気がする…
窓の外を眺めながら、そんな事を考えるアリアであった。
41
あなたにおすすめの小説
じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが
カレイ
恋愛
天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。
両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。
でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。
「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」
そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。
スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」
伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。
そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。
──あの、王子様……何故睨むんですか?
人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ!
◇◆◇
無断転載・転用禁止。
Do not repost.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる