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第31話:ワイアット様はやっぱり頼りになる
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「アリア、緊張しているのかい?俺がしっかりフォローするから、アリアは隣で笑っていてくれたらいいからね」
そう耳元で呟いてくれるワイアット様。いつも私の様子をしっかり見て、今一番欲しい言葉をくれる。本当に頼もしい。
司会役の掛け声で、ゆっくり進んでいく。ふと周りを見渡すと、凄い数の人が居た。もちろん、他国の王族もいる。それにしても、これだけの招待客の人数でも厳選したと言っていたわね。一体結婚式には、どれほどの数の招待客が来るのかしら?
ワイアット様と一緒に、陛下の隣へとやって来た。最初は陛下の挨拶からだ。
「今日は我が息子、ワイアットとアリアの婚約披露パーティーに参加してくれた事、感謝する。まだまだ未熟な2人だが、どうか温かい目で見守ってやって欲しい」
陛下の言葉で大きな拍手が贈られる。そしてワイアット様と一緒に、一歩前に出た。
「本日は私、ワイアット・ロム・パルマとアリア・マーティンの為に集まって頂き、ありがとうございます。8年間ずっと思い続けていた気持ちがやっと報われ、とても嬉しく思います。私にとって命より大切なアリアと、今後国を支えて行けるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします」
ちょっとワイアット様!なんて事を言うのよ!とっさにワイアット様の顔を見たが、にっこり微笑んで私の頬に口付けをした。その瞬間
割れんばかりの大きな拍手が沸き上がった。えっ?あんな挨拶で大丈夫なの?そう思う程、会場は盛り上がった。
「コホン、え~と盛り上がっているところすまないが、実はもう1つ報告がある。我が娘スカーレットと、サンテェルム侯爵家のカーターが婚約を結んだので報告する。この2人も、どうかよろしく頼む」
陛下の言葉でまた拍手が起きた。2人揃って頭を下げている。大好きだったカーター様。どうか、幸せになって欲しい。今は素直に祝福できる。それもきっと、ワイアット様のおかげね。
「さあ、今日はゆっくり楽しんでいってくれ」
陛下の言葉で、皆が一斉に動き出した。料理を食べる人、ダンスをする人、話しに花を咲かせる人などなど。
「アリア、後でゆっくり料理が食べられる様、俺たちの分は取っておいてあるから安心して」
どうやら私が料理を見ていると思ったみたいで、すかさず耳元で呟くワイアット様。失礼ね、私はそんなに食いしん坊ではないわ!そう言いたいが、王宮での夜会では料理を全部制覇した私が反論できる訳がない…
「さあアリア、早速他国の王族たちに挨拶に行こう」
ワイアット様に連れられ、次々と挨拶をしていく。どうしても他国の王族となると、緊張してしまう。そんな私を、さりげなくフォローしてくれるワイアット様。私たちを見て、生温かい眼差しを向ける他国の王族たち。
「アリア嬢は随分とワイアット殿下に愛されているのですね。それにしても、8年もの思いを実らせるなんて、なんだか素敵ね」
「本当に!まさしく恋愛小説の様な純愛ですわ!」
そう言って、他国の王妃様や王女様達はうっとりとしている。なんだかどんどん話が大きくなっている気がするが…若干不安を覚えながらも、何とか王族たちへの挨拶を終えた。
そして次は我が国の貴族たちに挨拶だ。ふと両親とジョセフが目に入った。3人共貴族たちに囲まれ、アタフタしている。しがない伯爵家から次期王妃が誕生する事が決まったのだ。貴族たちは、お父様に取り入ろうと必死なのだろう。
そう言えば私の婚約が決まってから、ジョセフと婚約したいと言う令嬢が殺到しているらしい。
「姉上のおかげでモテモテだよ!」
と、鼻の下をビヨーンと伸ばしていた。いつからジョセフはそんな腑抜けになってしまったのかしら…
私の視線に気が付いたワイアット様。
「せっかくだから、ご両親とジョセフに挨拶をしに行こう」
そう言って3人に近付く。
「伯爵、夫人、ジョセフ、お久しぶりです」
ワイアット様が話しかけた瞬間、一気に他の貴族たちが離れた。と言っても、私たちの様子を伺っている様だ。
「ワイアット殿下、いつも娘に良くしていただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、可愛いアリアと婚約させて頂き、ありがとうございます。そうそう、ジョセフなのですが、今後俺の右腕として働いてもらいたいと思っています。もちろん、アリアが王妃になった暁には、伯爵の爵位も上げる様検討しておりますので、どうかそのつもりで」
「何と!ありがとうございます!」
周りにあえて聞こえる様にそう伝えたワイアット様。これで我が伯爵家の爵位が上がる事が確定した。それにしても、ワイアット様はいつも家の家族の事まで気に掛けてくれている。本当にありがたいのだが、そんな事を言うとお父様が調子に乗るので、出来れば内緒にしておいて欲しかったな…
「それでは、他の貴族への挨拶もありますので、これで」
私たちが離れた瞬間、再び沢山の貴族に囲まれている。きっとさっきの話を聞き、尚更お父様と仲良くしたいのだろう。
「アリア、そろそろ一緒に踊らないかい?」
ふとホールの真ん中を見ると、何組かのカップルが踊っていた。
「はい、ぜひ踊りたいですわ」
2人でホールの真ん中に行き、踊り始める。
「アリアは本当にダンスが上手だね」
「あら、ワイアット様のリードがお上手なのですわ。本当に踊りやすいです」
そう、私の動きに合わせてくれるワイアット様とのダンスは、物凄く踊りやすい。結局5曲も踊ってしまった。踊り終わった瞬間、周りから大きな拍手を頂いた。なんだか恥ずかしいわ。
「アリア、少し休もう」
ワイアット様の提案で、ホールの端に置かれている椅子に2人並んで座った。
「お兄様!」
やって来たのは、カーター様の腕に巻きついたスカーレット様だ!
そう耳元で呟いてくれるワイアット様。いつも私の様子をしっかり見て、今一番欲しい言葉をくれる。本当に頼もしい。
司会役の掛け声で、ゆっくり進んでいく。ふと周りを見渡すと、凄い数の人が居た。もちろん、他国の王族もいる。それにしても、これだけの招待客の人数でも厳選したと言っていたわね。一体結婚式には、どれほどの数の招待客が来るのかしら?
ワイアット様と一緒に、陛下の隣へとやって来た。最初は陛下の挨拶からだ。
「今日は我が息子、ワイアットとアリアの婚約披露パーティーに参加してくれた事、感謝する。まだまだ未熟な2人だが、どうか温かい目で見守ってやって欲しい」
陛下の言葉で大きな拍手が贈られる。そしてワイアット様と一緒に、一歩前に出た。
「本日は私、ワイアット・ロム・パルマとアリア・マーティンの為に集まって頂き、ありがとうございます。8年間ずっと思い続けていた気持ちがやっと報われ、とても嬉しく思います。私にとって命より大切なアリアと、今後国を支えて行けるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします」
ちょっとワイアット様!なんて事を言うのよ!とっさにワイアット様の顔を見たが、にっこり微笑んで私の頬に口付けをした。その瞬間
割れんばかりの大きな拍手が沸き上がった。えっ?あんな挨拶で大丈夫なの?そう思う程、会場は盛り上がった。
「コホン、え~と盛り上がっているところすまないが、実はもう1つ報告がある。我が娘スカーレットと、サンテェルム侯爵家のカーターが婚約を結んだので報告する。この2人も、どうかよろしく頼む」
陛下の言葉でまた拍手が起きた。2人揃って頭を下げている。大好きだったカーター様。どうか、幸せになって欲しい。今は素直に祝福できる。それもきっと、ワイアット様のおかげね。
「さあ、今日はゆっくり楽しんでいってくれ」
陛下の言葉で、皆が一斉に動き出した。料理を食べる人、ダンスをする人、話しに花を咲かせる人などなど。
「アリア、後でゆっくり料理が食べられる様、俺たちの分は取っておいてあるから安心して」
どうやら私が料理を見ていると思ったみたいで、すかさず耳元で呟くワイアット様。失礼ね、私はそんなに食いしん坊ではないわ!そう言いたいが、王宮での夜会では料理を全部制覇した私が反論できる訳がない…
「さあアリア、早速他国の王族たちに挨拶に行こう」
ワイアット様に連れられ、次々と挨拶をしていく。どうしても他国の王族となると、緊張してしまう。そんな私を、さりげなくフォローしてくれるワイアット様。私たちを見て、生温かい眼差しを向ける他国の王族たち。
「アリア嬢は随分とワイアット殿下に愛されているのですね。それにしても、8年もの思いを実らせるなんて、なんだか素敵ね」
「本当に!まさしく恋愛小説の様な純愛ですわ!」
そう言って、他国の王妃様や王女様達はうっとりとしている。なんだかどんどん話が大きくなっている気がするが…若干不安を覚えながらも、何とか王族たちへの挨拶を終えた。
そして次は我が国の貴族たちに挨拶だ。ふと両親とジョセフが目に入った。3人共貴族たちに囲まれ、アタフタしている。しがない伯爵家から次期王妃が誕生する事が決まったのだ。貴族たちは、お父様に取り入ろうと必死なのだろう。
そう言えば私の婚約が決まってから、ジョセフと婚約したいと言う令嬢が殺到しているらしい。
「姉上のおかげでモテモテだよ!」
と、鼻の下をビヨーンと伸ばしていた。いつからジョセフはそんな腑抜けになってしまったのかしら…
私の視線に気が付いたワイアット様。
「せっかくだから、ご両親とジョセフに挨拶をしに行こう」
そう言って3人に近付く。
「伯爵、夫人、ジョセフ、お久しぶりです」
ワイアット様が話しかけた瞬間、一気に他の貴族たちが離れた。と言っても、私たちの様子を伺っている様だ。
「ワイアット殿下、いつも娘に良くしていただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、可愛いアリアと婚約させて頂き、ありがとうございます。そうそう、ジョセフなのですが、今後俺の右腕として働いてもらいたいと思っています。もちろん、アリアが王妃になった暁には、伯爵の爵位も上げる様検討しておりますので、どうかそのつもりで」
「何と!ありがとうございます!」
周りにあえて聞こえる様にそう伝えたワイアット様。これで我が伯爵家の爵位が上がる事が確定した。それにしても、ワイアット様はいつも家の家族の事まで気に掛けてくれている。本当にありがたいのだが、そんな事を言うとお父様が調子に乗るので、出来れば内緒にしておいて欲しかったな…
「それでは、他の貴族への挨拶もありますので、これで」
私たちが離れた瞬間、再び沢山の貴族に囲まれている。きっとさっきの話を聞き、尚更お父様と仲良くしたいのだろう。
「アリア、そろそろ一緒に踊らないかい?」
ふとホールの真ん中を見ると、何組かのカップルが踊っていた。
「はい、ぜひ踊りたいですわ」
2人でホールの真ん中に行き、踊り始める。
「アリアは本当にダンスが上手だね」
「あら、ワイアット様のリードがお上手なのですわ。本当に踊りやすいです」
そう、私の動きに合わせてくれるワイアット様とのダンスは、物凄く踊りやすい。結局5曲も踊ってしまった。踊り終わった瞬間、周りから大きな拍手を頂いた。なんだか恥ずかしいわ。
「アリア、少し休もう」
ワイアット様の提案で、ホールの端に置かれている椅子に2人並んで座った。
「お兄様!」
やって来たのは、カーター様の腕に巻きついたスカーレット様だ!
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