大好きだった人には振られましたが、なぜかヤンデレ王太子に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
31 / 56

第31話:ワイアット様はやっぱり頼りになる

しおりを挟む
「アリア、緊張しているのかい?俺がしっかりフォローするから、アリアは隣で笑っていてくれたらいいからね」

そう耳元で呟いてくれるワイアット様。いつも私の様子をしっかり見て、今一番欲しい言葉をくれる。本当に頼もしい。

司会役の掛け声で、ゆっくり進んでいく。ふと周りを見渡すと、凄い数の人が居た。もちろん、他国の王族もいる。それにしても、これだけの招待客の人数でも厳選したと言っていたわね。一体結婚式には、どれほどの数の招待客が来るのかしら?

ワイアット様と一緒に、陛下の隣へとやって来た。最初は陛下の挨拶からだ。

「今日は我が息子、ワイアットとアリアの婚約披露パーティーに参加してくれた事、感謝する。まだまだ未熟な2人だが、どうか温かい目で見守ってやって欲しい」

陛下の言葉で大きな拍手が贈られる。そしてワイアット様と一緒に、一歩前に出た。

「本日は私、ワイアット・ロム・パルマとアリア・マーティンの為に集まって頂き、ありがとうございます。8年間ずっと思い続けていた気持ちがやっと報われ、とても嬉しく思います。私にとって命より大切なアリアと、今後国を支えて行けるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします」

ちょっとワイアット様!なんて事を言うのよ!とっさにワイアット様の顔を見たが、にっこり微笑んで私の頬に口付けをした。その瞬間

割れんばかりの大きな拍手が沸き上がった。えっ?あんな挨拶で大丈夫なの?そう思う程、会場は盛り上がった。

「コホン、え~と盛り上がっているところすまないが、実はもう1つ報告がある。我が娘スカーレットと、サンテェルム侯爵家のカーターが婚約を結んだので報告する。この2人も、どうかよろしく頼む」

陛下の言葉でまた拍手が起きた。2人揃って頭を下げている。大好きだったカーター様。どうか、幸せになって欲しい。今は素直に祝福できる。それもきっと、ワイアット様のおかげね。

「さあ、今日はゆっくり楽しんでいってくれ」

陛下の言葉で、皆が一斉に動き出した。料理を食べる人、ダンスをする人、話しに花を咲かせる人などなど。

「アリア、後でゆっくり料理が食べられる様、俺たちの分は取っておいてあるから安心して」

どうやら私が料理を見ていると思ったみたいで、すかさず耳元で呟くワイアット様。失礼ね、私はそんなに食いしん坊ではないわ!そう言いたいが、王宮での夜会では料理を全部制覇した私が反論できる訳がない…

「さあアリア、早速他国の王族たちに挨拶に行こう」

ワイアット様に連れられ、次々と挨拶をしていく。どうしても他国の王族となると、緊張してしまう。そんな私を、さりげなくフォローしてくれるワイアット様。私たちを見て、生温かい眼差しを向ける他国の王族たち。

「アリア嬢は随分とワイアット殿下に愛されているのですね。それにしても、8年もの思いを実らせるなんて、なんだか素敵ね」

「本当に!まさしく恋愛小説の様な純愛ですわ!」

そう言って、他国の王妃様や王女様達はうっとりとしている。なんだかどんどん話が大きくなっている気がするが…若干不安を覚えながらも、何とか王族たちへの挨拶を終えた。

そして次は我が国の貴族たちに挨拶だ。ふと両親とジョセフが目に入った。3人共貴族たちに囲まれ、アタフタしている。しがない伯爵家から次期王妃が誕生する事が決まったのだ。貴族たちは、お父様に取り入ろうと必死なのだろう。

そう言えば私の婚約が決まってから、ジョセフと婚約したいと言う令嬢が殺到しているらしい。

「姉上のおかげでモテモテだよ!」
と、鼻の下をビヨーンと伸ばしていた。いつからジョセフはそんな腑抜けになってしまったのかしら…

私の視線に気が付いたワイアット様。

「せっかくだから、ご両親とジョセフに挨拶をしに行こう」

そう言って3人に近付く。

「伯爵、夫人、ジョセフ、お久しぶりです」

ワイアット様が話しかけた瞬間、一気に他の貴族たちが離れた。と言っても、私たちの様子を伺っている様だ。

「ワイアット殿下、いつも娘に良くしていただき、ありがとうございます」

「こちらこそ、可愛いアリアと婚約させて頂き、ありがとうございます。そうそう、ジョセフなのですが、今後俺の右腕として働いてもらいたいと思っています。もちろん、アリアが王妃になった暁には、伯爵の爵位も上げる様検討しておりますので、どうかそのつもりで」

「何と!ありがとうございます!」

周りにあえて聞こえる様にそう伝えたワイアット様。これで我が伯爵家の爵位が上がる事が確定した。それにしても、ワイアット様はいつも家の家族の事まで気に掛けてくれている。本当にありがたいのだが、そんな事を言うとお父様が調子に乗るので、出来れば内緒にしておいて欲しかったな…

「それでは、他の貴族への挨拶もありますので、これで」

私たちが離れた瞬間、再び沢山の貴族に囲まれている。きっとさっきの話を聞き、尚更お父様と仲良くしたいのだろう。

「アリア、そろそろ一緒に踊らないかい?」

ふとホールの真ん中を見ると、何組かのカップルが踊っていた。

「はい、ぜひ踊りたいですわ」

2人でホールの真ん中に行き、踊り始める。

「アリアは本当にダンスが上手だね」

「あら、ワイアット様のリードがお上手なのですわ。本当に踊りやすいです」

そう、私の動きに合わせてくれるワイアット様とのダンスは、物凄く踊りやすい。結局5曲も踊ってしまった。踊り終わった瞬間、周りから大きな拍手を頂いた。なんだか恥ずかしいわ。

「アリア、少し休もう」

ワイアット様の提案で、ホールの端に置かれている椅子に2人並んで座った。

「お兄様!」

やって来たのは、カーター様の腕に巻きついたスカーレット様だ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜

雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。 彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。 自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。 「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」 異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。 異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...