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第32話:中庭で新たな思い出が出来ました
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カーター様を連れたスカーレット様に、なぜか勝ち誇った様な顔で睨まれた。
「何の用だスカーレット、俺はお前をまだ許していない!どうして今回こんな勝手な事をしたんだ!」
「どうせ私たちのお披露目もしないといけなかったのだから、まとめて出来てラッキーじゃない。そんな事で怒るなんて、そんなんじゃあ王太子失格よ!」
「何だって!お前の我が儘にはもう付き合いきれない!とにかく、これ以上俺たちの邪魔をするな!いいな、分かったな!さあアリア、こんな奴らは放っておいて、さっさと行こう」
私の手を掴み、歩き出すワイアット様。後ろで私たちに向かって怒鳴っているスカーレット様の声が聞こえるが、良かったかしら?
「アリア、嫌な思いをさせてしまいすまない!」
「私は大丈夫ですわ。でも…ワイアット様が王太子失格という言葉には、腹が立ちましたが」
ワイアット様は物凄く優秀な方だ。それなのにいくら実の妹だからって、あんな酷い事を言うなんて!
「ありがとうアリア!俺の事を考えてくれて、とても嬉しいよ!」
そう言って抱きしめてくれたワイアット様。
「誰でも未来の旦那様の悪口を言われたら、嫌な気持ちになるものですわ…」
「あぁ、アリアはなんて可愛い事を言ってくれるんだ!」
そう言ってさらに私をギューギュー抱きしめるワイアット様。周りから生温かい視線をひしひしと感じるのが、物凄く気になる。
「ワイアット様、せっかくなので中庭に出ませんか?天気もいいですし」
「そうだね、行こうか!」
2人で手を繋いで中庭へとやって来た。今日は私たちの婚約披露パーティーという事もあり、中庭も飾り付けがされている。そう言えばワイアット様とはあの夜会以降、一緒に中庭に来た事は無かったわね。
「ワイアット様、せっかくなのであのバラ園に行きたいですわ。物凄く奇麗なバラが沢山咲いていて、夜会の時に連れて行ってくれた場所です!」
「分かったよ、それじゃあ行こうか!」
ワイアット様と一緒に、バラ園へとやって来た。本当にここには沢山のバラが咲いている。
「夜会の時は、ワイアット様が赤いバラを私の頭にさして下さったのですよね」
「そうだったね。ねえ、知っている?この場所はバラが好きなアリアの為に、俺が作らせたバラ園なんだ。だから、この場所はアリアの物だよ。今後はアリアの手で、好きなように変えてもらって構わない」
「私の為に作って下さったのですか!」
確かに私は花の中で一番バラが好きだ。そんな私の為に…そう思ったら、何とも言えない感情が溢れ出し、瞳から涙がこぼれる。
「どうしたんだい?このバラ園が気に入らなかったかい?」
私が泣きだした事で、アタフタしだしたワイアット様。
「いいえ、私の為にここまでしてくれるワイアット様の気持ちが嬉しくて…それなのに私は…」
ずっと報われない恋に夢中になっていた。すぐ近くで、ずっと私の事を大切に思ってくてれている人が居る事にも気が付かずに…そんな自分が情けなくて、恥ずかしくて、どうしようもない感情が溢れてくる。
「アリア、君は今俺を受け入れてくれている。俺はそれだけで十分だよ。俺と婚約してくれて、本当にありがとう。君と生きていける事が、俺にとって何よりも幸せだ!確かに8年間辛い事もあったが、今はそれも良い経験だったと思っている」
そう言うと、真っ直ぐ私を見つめたワイアット様。
「アリア、8年前、この中庭で君に出会って以降、俺の心はずっとアリアの物だ。正直8年も密かに思われていたなんて、ある意味気持ち悪いと思うかもしれない。でも、俺のアリアを思う気持ちは誰にも負けない!アリア、俺は君を心から愛している!どうかこれからも、俺の側で笑っていて欲しい」
優しい眼差しで私を見つめるワイアット様。
「ワイアット様…ありがとうございます。今ならはっきりと言えます。私も、ワイアット様が好きです!いつでもどんな時も、私に寄り添ってくれるあなたが大好きです。どうかずっと一緒にいてください」
溢れる涙を止める事が出来ず、涙を流しながら必死に自分の気持ちを伝えた。
「ありがとう、アリア!」
私の涙を優しく拭い、そのまま抱きしめられた。ワイアット様の匂いも温もりも、今はとても心地いい。これからもずっと、この人の温もりと優しさに触れながら生きて行くのだろう。そう思ったら、心が温かくなった。
どちらともなく顔が近づき、唇が触れ合う。温かく柔らかな感触に、再び涙が溢れだす。この幸せを誰にも壊されたくない。そう強く思ったアリアであった。
「何の用だスカーレット、俺はお前をまだ許していない!どうして今回こんな勝手な事をしたんだ!」
「どうせ私たちのお披露目もしないといけなかったのだから、まとめて出来てラッキーじゃない。そんな事で怒るなんて、そんなんじゃあ王太子失格よ!」
「何だって!お前の我が儘にはもう付き合いきれない!とにかく、これ以上俺たちの邪魔をするな!いいな、分かったな!さあアリア、こんな奴らは放っておいて、さっさと行こう」
私の手を掴み、歩き出すワイアット様。後ろで私たちに向かって怒鳴っているスカーレット様の声が聞こえるが、良かったかしら?
「アリア、嫌な思いをさせてしまいすまない!」
「私は大丈夫ですわ。でも…ワイアット様が王太子失格という言葉には、腹が立ちましたが」
ワイアット様は物凄く優秀な方だ。それなのにいくら実の妹だからって、あんな酷い事を言うなんて!
「ありがとうアリア!俺の事を考えてくれて、とても嬉しいよ!」
そう言って抱きしめてくれたワイアット様。
「誰でも未来の旦那様の悪口を言われたら、嫌な気持ちになるものですわ…」
「あぁ、アリアはなんて可愛い事を言ってくれるんだ!」
そう言ってさらに私をギューギュー抱きしめるワイアット様。周りから生温かい視線をひしひしと感じるのが、物凄く気になる。
「ワイアット様、せっかくなので中庭に出ませんか?天気もいいですし」
「そうだね、行こうか!」
2人で手を繋いで中庭へとやって来た。今日は私たちの婚約披露パーティーという事もあり、中庭も飾り付けがされている。そう言えばワイアット様とはあの夜会以降、一緒に中庭に来た事は無かったわね。
「ワイアット様、せっかくなのであのバラ園に行きたいですわ。物凄く奇麗なバラが沢山咲いていて、夜会の時に連れて行ってくれた場所です!」
「分かったよ、それじゃあ行こうか!」
ワイアット様と一緒に、バラ園へとやって来た。本当にここには沢山のバラが咲いている。
「夜会の時は、ワイアット様が赤いバラを私の頭にさして下さったのですよね」
「そうだったね。ねえ、知っている?この場所はバラが好きなアリアの為に、俺が作らせたバラ園なんだ。だから、この場所はアリアの物だよ。今後はアリアの手で、好きなように変えてもらって構わない」
「私の為に作って下さったのですか!」
確かに私は花の中で一番バラが好きだ。そんな私の為に…そう思ったら、何とも言えない感情が溢れ出し、瞳から涙がこぼれる。
「どうしたんだい?このバラ園が気に入らなかったかい?」
私が泣きだした事で、アタフタしだしたワイアット様。
「いいえ、私の為にここまでしてくれるワイアット様の気持ちが嬉しくて…それなのに私は…」
ずっと報われない恋に夢中になっていた。すぐ近くで、ずっと私の事を大切に思ってくてれている人が居る事にも気が付かずに…そんな自分が情けなくて、恥ずかしくて、どうしようもない感情が溢れてくる。
「アリア、君は今俺を受け入れてくれている。俺はそれだけで十分だよ。俺と婚約してくれて、本当にありがとう。君と生きていける事が、俺にとって何よりも幸せだ!確かに8年間辛い事もあったが、今はそれも良い経験だったと思っている」
そう言うと、真っ直ぐ私を見つめたワイアット様。
「アリア、8年前、この中庭で君に出会って以降、俺の心はずっとアリアの物だ。正直8年も密かに思われていたなんて、ある意味気持ち悪いと思うかもしれない。でも、俺のアリアを思う気持ちは誰にも負けない!アリア、俺は君を心から愛している!どうかこれからも、俺の側で笑っていて欲しい」
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「ワイアット様…ありがとうございます。今ならはっきりと言えます。私も、ワイアット様が好きです!いつでもどんな時も、私に寄り添ってくれるあなたが大好きです。どうかずっと一緒にいてください」
溢れる涙を止める事が出来ず、涙を流しながら必死に自分の気持ちを伝えた。
「ありがとう、アリア!」
私の涙を優しく拭い、そのまま抱きしめられた。ワイアット様の匂いも温もりも、今はとても心地いい。これからもずっと、この人の温もりと優しさに触れながら生きて行くのだろう。そう思ったら、心が温かくなった。
どちらともなく顔が近づき、唇が触れ合う。温かく柔らかな感触に、再び涙が溢れだす。この幸せを誰にも壊されたくない。そう強く思ったアリアであった。
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