大好きだった人には振られましたが、なぜかヤンデレ王太子に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
33 / 56

第33話:いい事を考えた~カーター視点~

しおりを挟む
アリアが王太子と婚約を結んでから、さらにアリアには近づけなくなった。少しでもアリアに近付こうとすると、鬼の形相で睨みつけて来る王太子。1度だけアリアと話しをしたが、やはりアリアはあの王太子が好きではない様だ。

それにしてもあの王太子の奴、権力を使ってアリアを手に入れるなんて!それに僕に見せつける様に、アリアに口付けを要求していた。もしかしたら、恐怖で支配しているのかもしれない!

何とかアリアをあの王太子から助け出したい。ただ、僕は侯爵令息だ。さすがに王太子には逆らえない。そんな悶々とした気持ちで日々を過ごしていた。

そんな僕に父上は
「カーター、いつになったスカーレット王女と正式に婚約を結ぶんだ!最近貴族の間で、もしかしてお前とスカーレット王女が婚約を結ばないのではないか!なんて話も出ているんだぞ!王女と婚約を結べば、家の地位もグンと上がるんだ!」

「そんな事言われなくても分かっていますよ。今王太子とアリアの婚約等で王宮もバタバタしているみたいですから、もう少し待って下さい!」

とっさに嘘を付く。確かにこの家の為には、スカーレット王女と結婚した方が得策かもしれない。特に今の陛下はスカーレット王女を溺愛している。どうせあの嫉妬深い王太子が、アリアを手放す事はないだろう。

それならばいっその事、スカーレット王女と結婚した方が何かと都合がいいな。そもそも、スカーレット王女は少し気が強いが、物凄く美しいし、かなりナイスなボディをしている。さらに既に何人もの男と関係を持っていると聞いた事がある。

きっと夜の方も、僕を満足させてくれるに違いない!そしてアリアだが、どうせ結婚する事は叶わないだろうから、王太子の目を盗んでこっそり会えばいいか。アリアは僕のゾッコンだ!きっと受け入れてくれるはずだ!

一時はアリアと他国に逃げようかとも思ったが、よく考えたら次期侯爵の座を捨ててまでアリアが欲しいかと言うと、ちょっと躊躇してしまうんだよね。

そうと決まれば、まずはスカーレット王女に話をしないと!

早速翌日、スカーレット王女を呼び出した。

「私に何か用?」

明らかに不機嫌そうな顔をしている。どうしよう…でも、彼女と婚約を結ばないと!

「あの…実はここ最近色々と考えていたのだが、やっぱり僕はスカーレット王女と婚約したいと思って!アリアよりも、スカーレット王女の方がずっと魅力的だからね」

かなり勝手な事を言っている事は分かっている。もしかしたら、激怒されるかもしれない!そう思っていたのだが…

「ふ~ん、そんなにも私と結婚したいの。いいわ、最近お母様が、あなたとの婚約を早く結べってうるさかったのよね!その代わり、1つお願いがあるのだけれどいいかしら?」

お願い?一体何だろう…

「僕に出来る事なら…」

「それなら、婚約はお兄様たちが婚約披露パーティーをする前日に行いましょう。そして婚約披露パーティーの時に、私たちも一緒に発表してもらうの!私ね、アリアが大っ嫌いなのよ!お父様やお母様にうまく取り入って、すっかり王宮で大きな顔をしているのよ!本当にムカつくのよね!だから、あの子が主役でもある婚約披露パーティーの邪魔をしたいのよ!」

なるほど、確かにアリアは人懐っこくて非常に優秀で、そして何より美しい。要するに、スカーレット王女はアリアに嫉妬しているんだな。だからって王太子の婚約披露パーティーの時に、僕達のお披露目も行うなんて…

まあいいか!確かにアリアと王太子の姿を、指をくわえて見ているのも腹ただしい。それに、アリアが動揺する姿も見たいしね。

「わかったよ。君がそうしたいなら」

そして婚約披露パーティーの前日、早速うちの両親と一緒に、王宮へとやって来た。どうやらスカーレット王女は、ギリギリまで陛下と王妃に話をしていなかった様でかなりびっくりしていたが、何とかサインを貰った。さらにスカーレット王女の強い要望で、明日の王太子たちの婚約披露パーティーで、僕達も披露してもらう事で話が付いた。

そして翌日
早速王宮へとやって来た。僕の婚約者になったスカーレットは、物凄くゴージャスなドレスを着ていた。きっと事前に準備をしていたのだろう。もちろん、僕の瞳の色でもある青いドレスだ。僕もスカーレットの瞳の色でもある水色のスーツに身を包む。

「きっとお兄様は激怒するでしょうね!私たちの婚約も同時に発表すると聞いたら、あの女はどんな顔をするのかしら?」

そう言ってニヤニヤしていた。多分アリアの性格上、別に何にも思わないだろう。アリアはそう言う女性だ。

そして陛下たちと一緒に、控室で待つ。すると、王太子とアリアがやって来た。アリアの顔を見た瞬間、自分の目を疑った。それはそれは幸せそうな顔でやって来たからだ。

いや、きっと気のせいだろう。アリアが好きなのは、僕なのだから…そう自分に言い聞かせる。そして僕を見た王太子が、物凄い勢いで文句を言っている。必死になだめる陛下と王妃。結局怒り狂う王太子をなだめたのはアリアだ。やっぱりアリアは、どんな時も冷静に周りを見ている。

その後無事僕達のお披露目が終わった。ただ、王太子の挨拶の時“8年間ずっと思い続けていた気持ち”と言っていたな。一体どういう事なのだろう…

その後も幸せそうに王太子と過ごすアリア。やっぱりアリアは可愛いな…

「ちょっと!結局あの女が主役になっているじゃない!どうなっているのよ!」

僕の隣で怒っているのは、スカーレットだ。それでも彼女は王女、沢山の貴族が話しかけて来た。もちろん皆、スカーレットと僕を褒めちぎる。

さらに他国の王族も!やっぱり王女を嫁に貰うという事は、我が侯爵家にとってもかなりメリットが大きい様だ。

とにかくスカーレットと結婚して侯爵家を守ると共に、アリアとも愛を育もう。そうだな、今は王太子がアリアにべったりだから、あいつが卒業してから徐々にアリアに近付こう。大丈夫、きっとうまく行くはずだ…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜

雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。 彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。 自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。 「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」 異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。 異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

処理中です...