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第36話:ワイアット様の卒業パーティーに私も参加します【前半】
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あっという間に月日は流れ、今日はいよいよワイアット様の卒業式当日だ。本来であれば在校生はお休みなのだが、私はワイアット様の婚約者として、卒業パーティーに出席する事になった。
ワイアット様の門出だ!私も何かしたいと思い、去年アルフレッド様の卒業パーティーに参加したモカに相談して、シルバーのスーツを贈る事にした。せっかくなので、得意の刺繍も入れた。
本当はサプライズで渡したかったのだが、当日に着て欲しかったので早めに渡す羽目になってしまった。それでも物凄く喜んでくれたワイアット様。
嬉しそうなワイアット様の姿に調子に乗った私は、卒業式当日に渡せる様、刺繍を入れたハンカチを10枚準備した。ハンカチなら毎日使えるし、沢山あっても困らないものね。
ちなみに今日の私のドレスは緑だ。もちろん、ワイアット様からのプレゼントでもある。早速ドレスに着替え、アクセサリーを身につける。ワイアット様から肌身離さず持っている様に言われた、ネックレスも首元で光っている。
このネックレス、物凄く美しい。ただ普段はさすがに目立つ為、制服の中に隠している。いくら王太子の婚約者と言っても、さすがに高価な宝石を学院に身に付けて行くのは良くないものね。
コンコン
「お嬢様、王太子殿下がお見えになりましたよ」
「分かったわ、ありがとう」
ワイアット様の卒業パーティーなのに、わざわざ伯爵家まで迎えに来ると言ってくれたのだ。本当にワイアット様は優しい。
急いで玄関まで向かうと、そこには私が贈ったシルバーのスーツに身を包んだ、物凄くカッコいいワイアット様の姿が…
「アリア、今日は俺の卒業パーティーに参加してくれてありがとう。アリアは緑もよく似合うね」
「こちらこそ、ワイアット様の晴れの舞台に参加させて頂き、ありがとうございます。ワイアット様も物凄く素敵ですわ!」
お互いを褒めまくる、完全なバカップルだ。
「それじゃあ行こうか!」
ワイアット様と一緒に馬車に乗り込み、学院を目指す。今日は上級生ばかりの参加とあって、物凄く緊張している。
「緊張しているのかい?大丈夫だよ、ずっと側にいるからね!そうそう、アリアにはまだ伝えていなかったのだが、去年生徒会長をしていたアルフレッドも来賓として急遽参加する事になったんだ。だからバービレス嬢もきっと来ているはずだよ!」
「まあ、アルフレッド様とモカもですか!モカったら、黙っているなんて酷いわ!」
「急遽決まったから、きっとアリアに報告する暇が無かったんだよ」
そうだったのね。でも、アルフレッド様とモカがいるなら安心ね。最近は4人で頻繁に交流をしている。王宮内でも完全にモカは次期王妃でもある私の右腕になる人物として、既に陛下や王妃様から期待されている。
「そんな重役、私に押し付けられても困るわ!」
と嘆いていたが、きっとモカならしっかり私を支えてくれるだろう。そんな事を考えているうちに、学院に着いた。早速大ホールに向かう。私たちが入場すると、皆が一斉にこちらを見た。
正直この視線には慣れないが、いずれ慣れて行かないといけないのだろう。ワイアット様と一緒にホールの奥に進むと、アルフレッド様とモカの姿が。
「アリア、こっちよ」
嬉しそうに手を振っているモカ。
「もうモカ!来るなら来るってどうして教えてくれなかったのよ!」
「ごめんね、急に決まったから、アリアに伝える暇が無かったのよ!」
そう言って平謝りをしている。その後4人で軽く雑談した後、私とモカを置いて、どこかに行ってしまったワイアット様とアルフレッド様。どうしたのかしら?そう思っていたら、どうやら生徒会長と元生徒会長として挨拶をする様で、壇上に並んで座っていた。
「ああやって見ると、2人共雲の上の人って感じがするわね」
ポツリと呟いたモカ。
「確かにそうね!まさか伯爵令嬢の私たちが、あんな高貴な身分の人たちを捕まえるなんて、本当に何が起こるか分からないわね」
そう言って2人でクスクス笑った。その時だった!
「あなたね、アルフレッド様の婚約者は!」
見た事も無い令嬢が目の前に現れた。この人は一体誰だろう…不審に思っていると
「何とか言いなさいよ!私はずっとアルフレッド様が好きだったのよ!5年間の留学が終わって帰ってきたら、なんともうアルフレッド様が婚約しているというじゃない!彼は私のものだったのに!」
物凄い勢いでモカに詰め寄る令嬢。さすがに止めないと!
「お止めください!とにかく落ち着いて下さい!」
モカと令嬢の間に入った。
「あなた何なの!関係ないでしょう!引っ込んでなさいよ!私はこの女に用があるのよ!私がいない間にアルフレッド様に近付くなんて!この泥棒猫!」
「ちょっと、さっきから好き勝手言って一体何なんですか!そもそもアルフレッド様がモカに一目ぼれして、猛烈なアプローチを受けて婚約しなのですよ!そしてモカは泥棒猫ではありません!訂正してください!」
「何なのよ!あなたは!邪魔だって言っているでしょう!」
次の瞬間、突き飛ばされた。
「きゃ」
転ぶ!と思ったのだが、誰かにしっかり受け止められた。この香りは…
ワイアット様の門出だ!私も何かしたいと思い、去年アルフレッド様の卒業パーティーに参加したモカに相談して、シルバーのスーツを贈る事にした。せっかくなので、得意の刺繍も入れた。
本当はサプライズで渡したかったのだが、当日に着て欲しかったので早めに渡す羽目になってしまった。それでも物凄く喜んでくれたワイアット様。
嬉しそうなワイアット様の姿に調子に乗った私は、卒業式当日に渡せる様、刺繍を入れたハンカチを10枚準備した。ハンカチなら毎日使えるし、沢山あっても困らないものね。
ちなみに今日の私のドレスは緑だ。もちろん、ワイアット様からのプレゼントでもある。早速ドレスに着替え、アクセサリーを身につける。ワイアット様から肌身離さず持っている様に言われた、ネックレスも首元で光っている。
このネックレス、物凄く美しい。ただ普段はさすがに目立つ為、制服の中に隠している。いくら王太子の婚約者と言っても、さすがに高価な宝石を学院に身に付けて行くのは良くないものね。
コンコン
「お嬢様、王太子殿下がお見えになりましたよ」
「分かったわ、ありがとう」
ワイアット様の卒業パーティーなのに、わざわざ伯爵家まで迎えに来ると言ってくれたのだ。本当にワイアット様は優しい。
急いで玄関まで向かうと、そこには私が贈ったシルバーのスーツに身を包んだ、物凄くカッコいいワイアット様の姿が…
「アリア、今日は俺の卒業パーティーに参加してくれてありがとう。アリアは緑もよく似合うね」
「こちらこそ、ワイアット様の晴れの舞台に参加させて頂き、ありがとうございます。ワイアット様も物凄く素敵ですわ!」
お互いを褒めまくる、完全なバカップルだ。
「それじゃあ行こうか!」
ワイアット様と一緒に馬車に乗り込み、学院を目指す。今日は上級生ばかりの参加とあって、物凄く緊張している。
「緊張しているのかい?大丈夫だよ、ずっと側にいるからね!そうそう、アリアにはまだ伝えていなかったのだが、去年生徒会長をしていたアルフレッドも来賓として急遽参加する事になったんだ。だからバービレス嬢もきっと来ているはずだよ!」
「まあ、アルフレッド様とモカもですか!モカったら、黙っているなんて酷いわ!」
「急遽決まったから、きっとアリアに報告する暇が無かったんだよ」
そうだったのね。でも、アルフレッド様とモカがいるなら安心ね。最近は4人で頻繁に交流をしている。王宮内でも完全にモカは次期王妃でもある私の右腕になる人物として、既に陛下や王妃様から期待されている。
「そんな重役、私に押し付けられても困るわ!」
と嘆いていたが、きっとモカならしっかり私を支えてくれるだろう。そんな事を考えているうちに、学院に着いた。早速大ホールに向かう。私たちが入場すると、皆が一斉にこちらを見た。
正直この視線には慣れないが、いずれ慣れて行かないといけないのだろう。ワイアット様と一緒にホールの奥に進むと、アルフレッド様とモカの姿が。
「アリア、こっちよ」
嬉しそうに手を振っているモカ。
「もうモカ!来るなら来るってどうして教えてくれなかったのよ!」
「ごめんね、急に決まったから、アリアに伝える暇が無かったのよ!」
そう言って平謝りをしている。その後4人で軽く雑談した後、私とモカを置いて、どこかに行ってしまったワイアット様とアルフレッド様。どうしたのかしら?そう思っていたら、どうやら生徒会長と元生徒会長として挨拶をする様で、壇上に並んで座っていた。
「ああやって見ると、2人共雲の上の人って感じがするわね」
ポツリと呟いたモカ。
「確かにそうね!まさか伯爵令嬢の私たちが、あんな高貴な身分の人たちを捕まえるなんて、本当に何が起こるか分からないわね」
そう言って2人でクスクス笑った。その時だった!
「あなたね、アルフレッド様の婚約者は!」
見た事も無い令嬢が目の前に現れた。この人は一体誰だろう…不審に思っていると
「何とか言いなさいよ!私はずっとアルフレッド様が好きだったのよ!5年間の留学が終わって帰ってきたら、なんともうアルフレッド様が婚約しているというじゃない!彼は私のものだったのに!」
物凄い勢いでモカに詰め寄る令嬢。さすがに止めないと!
「お止めください!とにかく落ち着いて下さい!」
モカと令嬢の間に入った。
「あなた何なの!関係ないでしょう!引っ込んでなさいよ!私はこの女に用があるのよ!私がいない間にアルフレッド様に近付くなんて!この泥棒猫!」
「ちょっと、さっきから好き勝手言って一体何なんですか!そもそもアルフレッド様がモカに一目ぼれして、猛烈なアプローチを受けて婚約しなのですよ!そしてモカは泥棒猫ではありません!訂正してください!」
「何なのよ!あなたは!邪魔だって言っているでしょう!」
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