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第39話:怪我をしましたが生きています
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恐怖で完全に腰を抜かした私は、ただ涙を流す事しか出来ない。
「この女、かなり美しいぞ!売ればかなりいい金になりそうだな!」
「バカかお前は!とにかくとっととこの女を殺して、金品を頂こうぜ!」
殺すですって?さらに恐怖で震えが止まらない!どうしよう、このままここで殺されてしまうの?
1歩ずつ近付いて来る男達。ダメだ、このままだと本当に殺されてしまう!そんなの絶対に嫌!
「ワイアット様…助けてください…ワイアット様…」
無意識にワイアット様から貰ったネックレスをギューッと握りしめた。
その時だった!
「アリアから離れろ!」
馬にまたがり、物凄いスピードでこちらに向かって来るのはワイアット様だ。
「ワイアット様!」
馬から降りると、あっという間に盗賊たちを倒してしまった。恐ろしいほどの強さだ!ワイアット様が倒した盗賊たちを、どこからか現れた騎士たちが縛り上げていく。
「アリア、大丈夫かい?」
私の元に着くや否や、ギュッと抱きしめてくれるワイアット様。
「ワイアットさまぁ、怖かったです!!」
恐怖から解放された安堵感からか、涙が次々に溢れ出る。そんな私を、ギューッと抱きしめてくれるワイアット様。私も必死でしがみつく。
しばらくして落ち着いたところで
「どうして私の居場所がわかったのですか?」
と、聞いてみた。
「アリアには護衛騎士をずっと付けているからね。途中で伯爵家とは反対方向に向かったという報告を受けて、急いで駆け付けたんだよ!」
「そうだったのですか!ありがとうございます!」
確かによく考えたら、王太子の婚約者でもある私に護衛騎士が付かない訳が無いか…でもそれならすぐに助けてほしかったわ!そう思ったが、ワイアット様が助けに来てくれたから、まあいいか…
「アリア、足から血が出ている!怪我をしたのではないのか?すぐに王宮に戻って手当をしよう!伯爵家には家から使いを出すから」
そう言って私を抱きかかえたワイアット様。ふと男たちを見ると、なぜか馬を引いていた御者も捕まっている。そうか、あの人がこの場所に誘導したのね!
ワイアット様と一緒に伯爵家の馬車に乗り込み、向かったのは王宮だ。正直今はワイアット様と離れたくはない!馬車に乗っている間も、ワイアット様にずっとくっ付いていた。
王宮に着くと、私を抱きかかえ部屋へと連れて来てくれた。私用に準備されていた部屋にはベッドも備え付けられている為、そこに寝かされる。私の到着と共に医者がやって来て、全身をチェックされた。
服を脱ぐという事で、一旦ワイアット様に出て行ってもらい、治療を受ける。背中の打撲と足を捻挫していた。大したことは無いとの事だったので良かったわ。でも足を捻挫していたのね。
しばらくは歩かない方がいいとの事なので、この分じゃあ学院もお休みね。
治療が終わるとすぐに戻って来たワイアット様。私の怪我の様子を聞くと、悲しそうに
「守ってあげられなくてごめんね」
そう呟いた。
「何をおっしゃっているのですか!ワイアット様は私の命の恩人です!あの時来てくださって、ありがとうございました。とても嬉しかったです!」
本当にワイアット様は、私のヒーローだ。私がピンチの時には、必ず助けてくれるもの!
バタバタバタ
ん?なんだか廊下が騒がしい、そう思った時だった。
バン!!!
「アリアちゃんが盗賊に襲われたって本当なの?」
真っ青な顔をして現れたのは、王妃様と陛下だ。どうやら話が伝わった様だ。私の側に急いでやって来る王妃様と陛下。
「あぁ…なんて事なの!怪我は?」
「陛下、王妃様、ご心配をおかけして申し訳ございません。怪我は背中の打撲と足の捻挫程度なので、大した事はございませんわ!」
「大怪我じゃない!可哀そうに!」
私の手を握り、涙を流す王妃様。
「それで、犯人は捕まえたんだろう?次期王妃を狙うとどうなるか、思い知らせてやる!」
なぜか物凄く物騒な事を言っている陛下。今までに見た事が無いほど、恐ろしい顔をしている。正直怖い…
「父上、この件に関しては、俺に任せていただきたいです!それから、アリアの怪我が治るまでは王宮で生活させたいのですが」
「分かった!アリアの命が狙われたのだ!さすがに警備がどうしても手薄になる伯爵家では心配だからな!伯爵には、私から伝えておこう!
どうやら話は纏まった様だ。確かに今はワイアット様の側から離れたくはない。王宮で生活させてもらえるのなら、その方が有難い。
「父上も母上も、アリアは疲れていますので、部屋から出て行ってもらえますか!」
そう言ってさっさと陛下と王妃様を、部屋から追い出したワイアット様。
「アリア、今日からしばらくここで暮らす事が決まった。いいよね?」
「はい、私もワイアット様のお側にいた方が安心ですので…」
「よかった。今日は疲れただろう。ゆっくりお休み」
唇に軽い口付けをして出て行くワイアット様。その後メイドたちに手伝ってもらい、何とか湯あみを済ませ、再びベッドに入った。
今日はさすがに疲れたわ。でも、怪我だけで済んで本当に良かった。お父様やお母様、ジョセフも心配しているのだろうな…
とにかく今日はもう寝よう。
よほど疲れていたのか、あっという間に眠りについたアリアであった。
「この女、かなり美しいぞ!売ればかなりいい金になりそうだな!」
「バカかお前は!とにかくとっととこの女を殺して、金品を頂こうぜ!」
殺すですって?さらに恐怖で震えが止まらない!どうしよう、このままここで殺されてしまうの?
1歩ずつ近付いて来る男達。ダメだ、このままだと本当に殺されてしまう!そんなの絶対に嫌!
「ワイアット様…助けてください…ワイアット様…」
無意識にワイアット様から貰ったネックレスをギューッと握りしめた。
その時だった!
「アリアから離れろ!」
馬にまたがり、物凄いスピードでこちらに向かって来るのはワイアット様だ。
「ワイアット様!」
馬から降りると、あっという間に盗賊たちを倒してしまった。恐ろしいほどの強さだ!ワイアット様が倒した盗賊たちを、どこからか現れた騎士たちが縛り上げていく。
「アリア、大丈夫かい?」
私の元に着くや否や、ギュッと抱きしめてくれるワイアット様。
「ワイアットさまぁ、怖かったです!!」
恐怖から解放された安堵感からか、涙が次々に溢れ出る。そんな私を、ギューッと抱きしめてくれるワイアット様。私も必死でしがみつく。
しばらくして落ち着いたところで
「どうして私の居場所がわかったのですか?」
と、聞いてみた。
「アリアには護衛騎士をずっと付けているからね。途中で伯爵家とは反対方向に向かったという報告を受けて、急いで駆け付けたんだよ!」
「そうだったのですか!ありがとうございます!」
確かによく考えたら、王太子の婚約者でもある私に護衛騎士が付かない訳が無いか…でもそれならすぐに助けてほしかったわ!そう思ったが、ワイアット様が助けに来てくれたから、まあいいか…
「アリア、足から血が出ている!怪我をしたのではないのか?すぐに王宮に戻って手当をしよう!伯爵家には家から使いを出すから」
そう言って私を抱きかかえたワイアット様。ふと男たちを見ると、なぜか馬を引いていた御者も捕まっている。そうか、あの人がこの場所に誘導したのね!
ワイアット様と一緒に伯爵家の馬車に乗り込み、向かったのは王宮だ。正直今はワイアット様と離れたくはない!馬車に乗っている間も、ワイアット様にずっとくっ付いていた。
王宮に着くと、私を抱きかかえ部屋へと連れて来てくれた。私用に準備されていた部屋にはベッドも備え付けられている為、そこに寝かされる。私の到着と共に医者がやって来て、全身をチェックされた。
服を脱ぐという事で、一旦ワイアット様に出て行ってもらい、治療を受ける。背中の打撲と足を捻挫していた。大したことは無いとの事だったので良かったわ。でも足を捻挫していたのね。
しばらくは歩かない方がいいとの事なので、この分じゃあ学院もお休みね。
治療が終わるとすぐに戻って来たワイアット様。私の怪我の様子を聞くと、悲しそうに
「守ってあげられなくてごめんね」
そう呟いた。
「何をおっしゃっているのですか!ワイアット様は私の命の恩人です!あの時来てくださって、ありがとうございました。とても嬉しかったです!」
本当にワイアット様は、私のヒーローだ。私がピンチの時には、必ず助けてくれるもの!
バタバタバタ
ん?なんだか廊下が騒がしい、そう思った時だった。
バン!!!
「アリアちゃんが盗賊に襲われたって本当なの?」
真っ青な顔をして現れたのは、王妃様と陛下だ。どうやら話が伝わった様だ。私の側に急いでやって来る王妃様と陛下。
「あぁ…なんて事なの!怪我は?」
「陛下、王妃様、ご心配をおかけして申し訳ございません。怪我は背中の打撲と足の捻挫程度なので、大した事はございませんわ!」
「大怪我じゃない!可哀そうに!」
私の手を握り、涙を流す王妃様。
「それで、犯人は捕まえたんだろう?次期王妃を狙うとどうなるか、思い知らせてやる!」
なぜか物凄く物騒な事を言っている陛下。今までに見た事が無いほど、恐ろしい顔をしている。正直怖い…
「父上、この件に関しては、俺に任せていただきたいです!それから、アリアの怪我が治るまでは王宮で生活させたいのですが」
「分かった!アリアの命が狙われたのだ!さすがに警備がどうしても手薄になる伯爵家では心配だからな!伯爵には、私から伝えておこう!
どうやら話は纏まった様だ。確かに今はワイアット様の側から離れたくはない。王宮で生活させてもらえるのなら、その方が有難い。
「父上も母上も、アリアは疲れていますので、部屋から出て行ってもらえますか!」
そう言ってさっさと陛下と王妃様を、部屋から追い出したワイアット様。
「アリア、今日からしばらくここで暮らす事が決まった。いいよね?」
「はい、私もワイアット様のお側にいた方が安心ですので…」
「よかった。今日は疲れただろう。ゆっくりお休み」
唇に軽い口付けをして出て行くワイアット様。その後メイドたちに手伝ってもらい、何とか湯あみを済ませ、再びベッドに入った。
今日はさすがに疲れたわ。でも、怪我だけで済んで本当に良かった。お父様やお母様、ジョセフも心配しているのだろうな…
とにかく今日はもう寝よう。
よほど疲れていたのか、あっという間に眠りについたアリアであった。
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