大好きだった人には振られましたが、なぜかヤンデレ王太子に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
38 / 56

第38話:3年生になって早々トラブル発生ですか?

しおりを挟む
3年生になって1ヶ月が経とうとしている。有難い事に、今回ほとんどクラスのメンバーは変わらず、モカやケイトたちとも一緒だ。ただカーター様も一緒のクラスのせいか、令嬢たちが私とカーター様を近づかない様に、気を使ってくれているのが物凄く申し訳なく感じる。

正直もうお互い婚約者もいるし、今なら普通に話せそうなのだが、どうやら皆はまだ納得していない様で、カーター様が私に少しでも近づくと鬼の形相で睨んでいる。

そんな令嬢たちに囲まれて、毎日楽しい日々を送っている…と言いたいところだが、やはりワイアット様が学院にいないというだけで寂しい。朝はいつも門の前で待っていてくれたし、お弁当も一緒に食べていたし帰りも一緒だった。

最後の方はお昼と帰りは別々だったが、それでもお弁当を交換する時や帰る時などは、ワイアット様に会えた。でも今は全く会えないのだ!正直寂しい…

どうやら私は男性に少し依存する所があるみたいだ。結局愛が重いのよね。こんなにも重い女だと分かったら、ワイアット様は逃げて行かないかしら?最近そんな不安に襲われる事がある。

そんな私にモカは
「王太子殿下はあなたの何十倍も重たいから大丈夫よ!」
なんて言っている。一体ワイアット様のどこが重いのかしら?確かに私にたっぷり愛情を与えてくれるけれど、今まで重いと感じた事は一度もない!

今日も令嬢たちと過ごした後、皆で話をしながら門まで向かい、それぞれ馬車に乗り込む。そう、本当に1人になる時間が無いほど、皆と一緒にいる。きっと私が寂しくない様に、気を使ってくれているのだろう。本当に優しい令嬢たちだ。

やっと学院も終わったわ!今から王宮に向かえるのにね!早く王宮に着かないかしら!学院から王宮までは10分も掛からないのだが、最近この時間が物凄く長く感じる。早く早く!

やっと王宮が見えて来た。もちろん、門の前にはワイアット様が待っていてくれている。馬車が停まるや否や、飛び降りてワイアット様に抱き着いた。

「おかえり、アリア」

「ただいま帰りました。ワイアット様、会いたかったです!」

「俺もだよ!さあ、王妃教育の前にお茶にしよう!」

実は王妃教育は全て終わっている。なぜか先生が頑張ってくれたおかげで、1年半かけてやるところを、わずか半年で完了したのだ。今は復習をしながら、より完璧にマスターするための勉強を行っている。

その為、3年生になってからはまずワイアット様とお茶をしてから、王妃教育を受けているのだ。

ワイアット様に今日何をして過ごしていたのかを、事細かに話した。なぜかワイアット様は学院内での私の様子が気になるらしい。私の話が終わると、今度はワイアット様が、今日何をしていたのか話す番だ。

こうやって、お互い会えない時間をしっかり埋めている。お茶を飲みながら話をした後は、私を王妃教育が行われる部屋へと送ってくれる。

相変わらず優しい!部屋に着くと、早速王妃教育スタートだ!でも…

「アリア様はもう完璧すぎて、復習する必要も無さそうですね。お茶にでもしましょう」

そう言った先生。早速本日2度目のティータイムに入る。先生とは、約1年後に控えている結婚式のドレスに関する話をした。そうそう、先日ウエディングドレスのデザインを決めたのだ。

その時の話しで盛り上がった。話の後は一旦与えられた部屋に戻り、ワイアット様を待つ。廊下を歩いていると、スカーレット様の姿が!私付きの護衛騎士たちが身構える。

でも…

ニヤリと笑って去って行ってしまった。一体どうしたのかしら?あまりにも何もしてこなかったので、私も護衛騎士たちも拍子抜けだ。とりあえずそのまま自室に戻り、ワイアット様が来るまで本を読んで待つ事にした。

日が沈みかけた頃、やっとワイアット様がやって来て一緒に晩ご飯だ!やっぱりワイアット様と一緒に食べるご飯が、一番美味しい!食後は家に帰る為、門までやって来た。そう、もう帰らないといけないのだ。正直3年生になってから、ワイアット様との時間がグンと減ってしまった。仕方ない事と分かっていても寂しい!

「それじゃあアリア、また明日ね」

「はい…また明日」

寂しい気持ちを必死に抑え、馬車に乗り込む。その時、何を思ったのかワイアット様が馬車に乗り込んできて、ギューッと抱きしめてくれた。

「ああ…俺の可愛いアリア…ごめんね…」

言っている意味が全く分からなくて、キョトンとしていると

「急にごめんね、気を付けて帰るんだよ」

そう言って唇を塞がれた。そう言えば口付けをするのも久しぶりだ!嬉しくて離れたくなくて、自分からワイアット様の首に手を回す。

「アリアは本当に可愛いね!それじゃあね」

私から離れたワイアット様が、馬車から降りてしまった。名残惜しいが仕方がない…ゆっくり走り出す馬車。この揺れって気持ちいいのよね。ついウトウトしてしまう…


ガタン!
大きな音と揺れで目が覚めた。と言うより、馬車の中で吹き飛んでしまい、体を思いっきりぶつけた。痛い…一体何が起こったのかしら?ふと周りを見るが、馬車の中は特に変わった様子はない。どうやら馬車が急停車した様だ。

危ないわね!
何かトラブルかしら?

その時だった!
ドアがバンと開き、いかつい男性が入って来た。私を捕まえると、そのまま真っ暗な外に引きずり出す!

「止めて!何をするの?」

必死に抵抗するが、もちろん勝てる訳がない!周りを見ると、木々が生い茂っている。一体ここは何処?伯爵家に向かっていたのではないの?見た事も無い森に来ている。

周りには盗賊と思われる男性4人が、ナイフやオノを持って立っていた。どうしよう、このままだときっと…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話

下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。 御都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

修道院パラダイス

恋愛
伯爵令嬢リディアは、修道院に向かう馬車の中で思いっきり自分をののしった。 『私の馬鹿。昨日までの私って、なんて愚かだったの』 でも、いくら後悔しても無駄なのだ。馬車は監獄の異名を持つシリカ修道院に向かって走っている。そこは一度入ったら、王族でも一年間は出られない、厳しい修道院なのだ。いくら私の父が実力者でも、その決まりを変えることは出来ない。 ◇・◇・◇・・・・・・・・・・ 優秀だけど突っ走りやすいリディアの、失恋から始まる物語です。重い展開があっても、あまり暗くならないので、気楽に笑いながら読んでください。 なろうでも連載しています。

処理中です...