彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました

Karamimi

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第35話:今日から学院生活再会です

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怪我をしてから2週間が過ぎた。先日ガーゼと包帯も無事外れ、やっと今日からまた学院に通う事が出来る。ただ、やはりまだ少し傷痕は目立つが、時間と共に徐々に薄くなっていくとの事。

この2週間、毎日マイケル様やティーナ様、グラス様がお見舞いに来てくれた。本当に彼らは律儀だ。カルミアやファリサも定期的にお見舞いに来てくれていたのだが、一度3人と鉢合わせしたことがあり、マイケル様とグラス様の喧嘩を目の当たりにしてから、ぱったりと来なくなった。

残念ながらアデル様はこの2週間、一度もお見舞いには来てくれなかった。でも、ティーナ様から実は毎日持ってきてくれていた花束は、アデル様が準備してくれた物だと教えてもらった。

これほどまでに立派なお花を毎日準備してくれていたなんて。早速今日、お礼を言わないとね。

2週間ぶりの制服に袖を通す。今日から新品の制服だ。以前着ていた制服は、血まみれになってしまったため、新しい制服を新調したのだ。やっぱり制服を着ると、気持ちが引き締まるわね。

髪の毛をセットすれば、準備完了だ。早速馬車に乗り込んで、学院へと向かう。2週間ぶりに見る風景、なんだか懐かしい。

そんな事を考えているうちに、学院に着いた。ゆっくり馬車を降りると、皆が一斉に私の方を振り向く。そういえば、カルミアとファリサが、事故の件が話題になっていたと言っていたわね。

話題の人物が登校してきたから、皆注目しているのだろう。

「ローズ様、おはようございます」

「おはよう、ローズ嬢」

そんな私に声を掛けてきてくれたのは、ティーナ様とグラス様だ。

「ティーナ様、グラス様、おはようございます」

元気よく挨拶をする。ふと遠くの方に目をやると、心配そうにこちらを見つめているアデル様が。私と目が合うと、スッとそらせてしまった。なんだかアデル様、やつれているような気がするが、気のせいかしら?そうだわ、花束の件、お礼を言わないと。

私に背を向けているアデル様に近づき

「アデル様、おはようございます。まだ少し傷は目立ちますが、すっかり良くなりましたわ。アデル様、毎日私の為に花束を選んでいただき、ありがとうございました。選ぶの、大変だったでしょう?本当にありがとうございます」

アデル様に向かって頭を下げた。近くで見ると、明らかにやつれているように見える。しっかりご飯を食べているのかしら?

「お礼なんていらないよ。それより、誰に花束の事を聞いたんだい?あれほど内緒にして欲しいと伝えたのに…」

「私が伝えたのよ。だって私、内緒にするとか無理なのよね」

いつの間にか私たちの傍まで来ていたティーナ様。その隣にはグラス様もいる。

「ティーナ、どうして黙っていてくれなかったんだ!あれほど内緒にしてくれと言っただろう!」

珍しくアデル様が声を荒げた。ティーナ様もびっくりしたのか「ごめんなさい…」と、謝っている。

「アデル、落ち着け。ティーナに怒鳴るな。可哀そうに、怯えているではないか」

すかさずティーナ様を抱きしめるグラス様。アデル様がティーナ様を怒鳴るだなんて…一体どうしたのかしら?

「とにかく、勝手な事を言わないでくれ!それじゃあ、僕はこれで」

そう言って、アデル様が立ち去ろうとした。

「アデル様、お待ちください。皆様、毎日お見舞いに来てくださり、ありがとうございました。それで、お礼の気持ちを込めて料理長に頼んで、ケーキを焼いてもらいましたの。お昼の時に、皆で食べましょう。アデル様、お昼はいつも通り、4人で食べるという事でよろしいでしょうか?」

やっぱり私は、アデル様を放っておけない。ティーナ様を怒鳴ったり、見るからにやつれたりするなんて。きっと責任感の強いアデル様の事だから、私の怪我を未だに心配してくれているのだろう。

とにかく、私が元気になったところを見せないと。それに、少しでもしっかりご飯を食べてもらって、今までのアデル様の体系に戻ってもらわないとね。

「僕は…」

「ローズ嬢、おはよう。すっかり元気になったんだね。でも、まだ傷痕が目立つね。俺のせいで本当にごめんね」

私たちの傍にやって来たのは、マイケル様だ。この2週間で、マイケル様とはすっかり仲良くなった。

「おはようございます、マイケル様。傷痕はそこまで目立ちませんわ。だから、あまり気にしないで下さい。そうだ、これ、家の料理長が焼いたケーキです。マイケル様の好きな、お砂糖がたっぷりのケーキなので、是非召し上がってください」

「本当かい?ありがとう、嬉しいな。せっかくだから、放課後にでもお茶でもしないかい?そうだ、今度街にケーキを食べに行こうよ。動物や植物の形をした可愛いケーキ、この前食べたでしょ?お店にはまだまだたくさんあるんだよ。2人で行って、シェアしようよ」

「まあ、それは素敵ですね。ぜひ…」

ご一緒したいですわ。そう言おうとしたのだが…

「おい、マイケル。調子に乗るなよ。君たちが行くなら、僕たちも行くよ。それから、放課後ローズ嬢は、ティーナとお茶をする事になっているんだ。横入りはよしてくれ」

また始まったわ…
そもそもティーナ様とお茶の約束なんてしていないのに…

「グラス、君は本当に人の邪魔をするのが好きなんだね。君にはティーナ嬢がいるだろう。はぁ、こいつと話していると疲れるな。ローズ嬢、こんな奴ら相手にしていると、授業が始まってしまうよ。俺が教室まで送ってあげるね」

スッと私の手を握ったマイケル様。

「令嬢の手を軽々しく握るものではないぞ。離せ!」

なぜかグラス様が怒っている。と、次の瞬間。

「兄上の言う通りです。令嬢に気安く触るべきではない」

スッと私の手をマイケル様から奪ったアデル様。マイケル様を見つめる瞳には、怒りがにじみ出ていた。

なるほど、グラス様だけでなく、アデル様もマイケル様と仲が悪いのね。

「アデル、君には関係ないだろう」

マイケル様もアデル様を睨んでいる。これはまた長くなりそうだ。このままだと、本当に遅刻してしまうわ。

「あの…私、そろそろ行きますね。それでは、ごきげんよう」

適当に挨拶をして、その場を去ったのであった。
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